妊娠中の旅行には普段とは違ったリスクがつきまとっているので、その点を理解しておきましょう。例えば急な体調不良や、自分ではどうしようもない突発的なハプニングが考えられます。
ほかにも、海や温泉を利用する際には感染のリスクも指摘されています。場合によっては、安定期であっても旅行中に出血や破水が起き、救急搬送とともにそのまま出産した事例もあります。
このように、妊娠中の旅行は安定期であっても母子にリスクが伴うものとして、注意して計画を立てるようにしましょう。
妊娠中の旅行は、安定期であってもリスクがあることから推奨されていないものの、絶対に行ってはいけないという決まりはありません。きちんとリスクを理解した上で、危険性を回避するように行動すれば、妊娠中でも安全に旅行をできるでしょう。
ここからはそんな妊娠中の旅行を安全に行うため、そして後悔しないための注意点を11個紹介します。
旅行に行く前にやっておく必要があるのが、主治医への相談です。旅行前に母子ともに安全な状態なのかを確認しておかなければ、旅行中に思わぬトラブルが起きてしまう可能性があります。
そのため旅行ができるかどうかの判断をしてもらい、可能と判断された場合は何に注意するべきなのかを確認しておきましょう。
主治医に相談する場合はもちろんですが、自己判断で旅行に行くことを決めた場合も、できる限り妊娠の経過が落ち着いている時に行くようにしましょう。
流産や早産の可能性がある場合、安定期であっても何らかのリスクや経過に不安な部分がある場合は旅行を控えましょう。また、旅行当日であっても、体調不良の場合はキャンセルすることも視野に入れる必要があります。
妊娠中は普段よりも疲れやすく、何気ないことも負担になってしまう場合があります。そのため、旅行するにしても、できる限り遠出をせず、移動距離が短い場所を選ぶようにすると良いでしょう。
妊婦は体調が安定していても、旅行中に体調を崩す可能性もあります。また破水や早産などのトラブルが起きる可能性も考えなければいけません。旅行先からかかりつけ医に連絡をしても、対応してもらえない場合もあります。
そのため旅行先の医療機関(特に産婦人科)を調べておき、いざトラブルが起きた場合にすぐに連絡、受診できるようにしておきましょう。その際、母子手帳や健康保険証などを忘れないようにしてください。
旅先で移動する際に注意しておきたいのが、こまめな休憩と水分補給です。妊娠中は移動するだけでも体に負担をかけてしまうため、こまめに休憩を取って体を休める必要があります。特に車の場合は、渋滞に巻き込まれる可能性も想定しておくと良いでしょう。
また、妊婦にとってこまめな水分補給は、血栓を予防するという意味でも重要になります。喉が渇いたと思ったら少量ずつこまめに摂取するようにして、体に負担をかけないようにすることが大切です。
出典:妊娠中・出産後こそ血栓症に気をつけて!|医療法人玲聖会貴子ウィメンズクリニック
参照:https://takako-womens-clinic.com/blog/1418
飛行機での移動、車での長距離移動など、長時間座る場合に注意しなければいけないのが、深部静脈血栓症/肺塞栓症(エコノミークラス症候群)のリスクです。
長時間座ったまま足を動かさないでいると、足の静脈に血の塊ができてしまい、血栓となってしまう恐れがあります。特に妊娠中は血栓ができやすく、エコノミークラス症候群を引き起こしやすいため注意が必要です。
長時間座る場合には、脚や体を動かすようにし、水分補給もこまめに行いましょう。
出典:深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防Q&A|厚生労働省厚生労働科学研究事業「難治性疾患克服研究」
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/000364553.pdf
新幹線での移動が必要となる場合は、自由席ではなく指定席を予約しておくと良いでしょう。体に負担をかけずに移動しやすくなるためです。
この時、狭い通路を移動する負担を軽減するため、指定席はできる限りトイレに近い場所にしておきましょう。
可能であれば、グリーン車付近の車両で指定席を取っておけば、乗務員に声をかけやすいことからトラブルにも対応してもらいやすくなります。
妊婦が飛行機に乗る場合、航空会社によっては医師の診断書の提出を必要としていることがあります。航空会社から診断書の提出が求められる時期を確認しておきましょう。確認はもちろんですが、出発当日に書類を忘れないようにしてください。
旅行を計画する時、行きたい場所や見たいものがたくさん出てくる人もいるのではないでしょうか。そうした希望をすべて詰め込むと、無理なスケジュールになってしまうことがあります。
無理なスケジュールで動こうとすると、急いだり走ったりと体に負担をかけてしまう可能性が出てきます。万が一転倒してしまったら、母体だけではなくおなかの中の赤ちゃんにも深刻なダメージを与えてしまうなど後悔する結果になりかねません。
旅行計画の際には、無理なく余裕をもって動けるようなスケジュールを組み立てましょう。
旅行のスケジュールで海に行く場合に注意したいのが、紫外線や細菌感染です。海水浴場は紫外線の刺激が強く、妊娠中はホルモンの影響でシミやそばかすなどの肌トラブルが起きやすいでしょう。
また、不特定多数の人が利用していることから、細菌感染のリスクも考えられます。もし、どうしても海に行きたい場合には、医師に相談の上、温水プールも検討してください。
出典:妊娠中の注意・禁忌事項|医療法人西川医院
参照:https://www.nlc1.net/treat/knowledge/b02/
妊娠中のある程度の運動は必要ですが、運動内容によっては控えた方が良いものもあります。特に激しい運動は、転倒のリスクが高くなるので避けた方が良いでしょう。
旅行先で想定される激しい運動の例としては、スキーやスノーボード、登山、シュノーケリングやダイビングなどのアクティビティが挙げられます。
出典:妊娠中の運動について|医療法人社団佐野産婦人科医院
参照:http://www.sanolc.com/blog/2018/05/post-160-600040.html
気になる人が多いのが、妊娠していつからであれば旅行のリスクが低くなるのかという点です。
基本的には、母子ともに健康で、安定期であれば問題ないと言われています。安定期は胎盤が完成して、ある程度体調が安定した時期のことで、妊娠16週から31週に旅行を検討すると良いでしょう。
旅行のリスクを低くしたいのであれば、安定期に入った頃を予定しつつ、主治医に必ず相談してください。
出典:行っても大丈夫かしら?-妊娠中の旅行-| 鹿児島県医師会
参照:http://www.kagoshima.med.or.jp/people/topic/2000/060.htm
いかがでしたでしょうか。妊娠中の旅行は、ストレス発散や気分転換、夫婦の思い出づくりの一環になるなどのメリットもあるでしょう。妊娠の経過が良好で安定期に入っていれば、出かけることは可能とされています。
ただし、どんなに安定していても、妊娠中の旅行は何らかのリスクを伴うでしょう。そのため、きちんと準備をしておかないと、流産や早産など後悔するような結果になってしまうこともあります。
このことから、妊婦さんが旅行したい場合には、リスクについてしっかり理解した上で主治医に相談するなど、きちんと事前準備を行い、後悔ない旅行を計画していきましょう。