仏前結婚式とは
仏前結婚式とは、仏教の教えに基づき、仏様やご先祖様に因縁の報告をしてから結婚の誓いを行う結婚式のスタイルです。芸能人や著名人が結婚する際に仏前結婚式を選ぶ方も多く、結婚式の儀式は仏教の宗派によっても異なります。
所要時間は30分前後と短く、基本は近親者のみで執り行います。仏前結婚式では作法やマナーなど、決められた項目があるため、事前に把握してから参列するようにしましょう。
仏前結婚式の知っておく知識とマナー6選
仏前結婚式は、仏教に基づいた儀式を行うため、家の信仰する宗派や式を挙げる場所についてのマナーがいくつかあります。格式の高い結婚式のスタイルのため、基礎知識やマナーを理解してから進めるのがいいでしょう。
また仏前結婚式に参列する親族やゲストも、儀式の内容を考慮しながら服装に気を配ることも大切です。では、仏前結婚式の知っておく知識とマナーについてくわしく見ていきましょう。
仏前結婚式の知っておく知識とマナー1:仏前式は両家の宗派に関わりのあるお寺
仏前結婚式を執り行う場合は、事前に両家の宗派を確認するのが重要なポイントです。たとえば、両親ともに信仰している宗教がなかったとしても、祖父母の代に信仰している宗教がある場合もあります。
信仰している宗派をお互いで確認した後は、どちらの宗派を選ぶかと、宗派に合わせたお寺を選ぶ必要があります。どこのお寺でも結婚式が行えるわけではないので、いくつかの候補地を選んでから確認するようにしましょう。
仏前結婚式の知っておく知識とマナー2:原則家族・親族のみ挙式参列
仏前結婚式の参列者は、家族や親族のみが原則となります。最近では、友人や知人が参列する場合もありますが、お寺は披露宴会場のように広いスペースがないため、できる限り参列者の数は少なくしておくのがいいでしょう。
誰を呼ぶべきか悩んだ場合は、式をお願いするお寺に参列可能な人数を確認しましょう。多くの人数を呼びたい方は、結婚式の後に別途祝いの場を設けるのがおすすめです。
仏前結婚式の知っておく知識とマナー3:参列者には「数珠」の持参
仏前結婚式に参列する場合は、必ず数珠を持参するのがマナーです。仏教の宗派によっても異なりますが、結婚式で数珠が必要な場合は「当日は数珠をご持参ください」と一言付け加えるのも1つの方法です。
数珠の持ち方は、ふさの部分を下にし、左手で持ちます。席を離席する場合は、必ず自分のバッグやポケットにしまい、その場に置いていかないように注意しましょう。
仏前結婚式の知っておく知識とマナー4:仏前式は「お寺」か「自宅」で執り行う
仏前結婚式は、信仰する宗派のお寺か自宅で行うのが一般的です。最近では仏前結婚式が行えるホテルの式場も増加しており、公共交通機関からのアクセスなどを考慮して場所を決めるのも1つのポイントです。
地域によっては自宅で行うことを慣習としているところもあり、式を挙げる場所は両家の家族にも相談してから決めるようにしましょう。
仏前結婚式の知っておく知識とマナー5:結婚式を覚悟の場と考える
仏前結婚式では、仏教の教えから学び、結婚式を覚悟の場と考えて臨むことが大切です。結婚するということは、相手のことが好きという感情だけではなく、ともに生活し生涯を育む決意を固めなければなりません。
二人の間柄は恋愛の延長ではなく、永遠に続く絆や愛とともに、お互いを尊敬し尊重し合う関係性を築き上げることです。仏前結婚式はキリスト教式の結婚式とは異なる厳粛な空気があり、それも1つの醍醐味といえるでしょう。
仏前結婚式の知っておく知識とマナー6:仏前式にかかる費用の相場(衣装は別)
仏前結婚式にかかる費用の相場は、10万円~30万円前後となります。結婚式の費用というと、教会式やホテルで挙式と披露宴を行えば、数百万円になる傾向も多いでしょう。
仏前結婚式は結婚式費用がリーズナブルな点も魅力の1つで、ホテルで行う場合は会食付きのプランを選ぶこともできます。会食付きのプランでも50万円以内で抑えることもでき、その他に費用を充てれるのも大きなメリットだといえるでしょう。
関西で仏前式ができる会場3選
これまでお寺や自宅で仏前結婚式を行うのが一般的でしたが、最近ではホテルでも仏前結婚式を行える場所が増加傾向にあります。
ホテルの式場では、仏前結婚式で厳粛な儀式を行った後、仲のいい友人や知人を招いた会食も行うことが可能です。次は、関西にて仏前結婚式を行える人気のホテルや会場についてくわしくご紹介いたします。
関西の仏前式ができる会場1:ハトヤ 瑞鳳閣
京都市下京区にあるハトヤ 瑞鳳閣は、創業70年の歴史をもつ老舗ホテルで、仏前式から教会式までさまざまな種類の結婚式を挙げられるおすすめのホテルです。
ハトヤ 瑞鳳閣には、2階にある瑞鳳閣の間(収容人数366名)と7階にある鳩の間(収容人数78名)があります。和の雰囲気漂う落ち着いた内装で、料理のプランも和食から中華までバリエーション豊富な点も大きな魅力です。
関西の仏前式ができる会場2:KKRホテル大阪
大阪城から徒歩圏内に位置するKKRホテル大阪では、仏前結婚式からガーデンウェディングまで、あらゆるジャンルにも対応できる施設と会場を持つ人気のホテルです。
KKRホテルでは、自社で神殿を持つほか、提携している神社で儀式を行うことも可能です。また式を終えた後は、ゲストの人数に合わせて会食もでき、新郎新婦の理想を叶えるプランも豊富に用意しています。
関西の仏前式ができる会場3:京都東急ホテル
京都駅から車で5分の場所にある京都東急ホテルでは、ホテルの仏式会場か西本願寺・安穏殿のいずれかで式を挙げることができる人気のホテルです。
西本願寺が世界遺産にも指定されている由緒正しい場所で、浄土真宗本願寺の総本山より司婚者を迎える本格的な結婚式を執り行うことができます。ホテル内では、日本料理からフレンチまで、素材からこだわったおいしい料理も評価の高いポイントです。
仏前結婚式が執り行われる流れ10選
仏前結婚式では、仏様やご先祖様に因縁の報告を行い、誓いを交わすまでの決められた流れがあります。信仰している宗派によって儀式の流れが異なりますが、おおよその流れは同様のものとなります。
入堂する順番やそれぞれ行う儀式の意味を理解することで、二人の結婚式をつつがなく進めることができます。では仏前結婚式が執り行われる流れについてくわしく見ていきましょう。
仏前結婚式が執り行われる流れ1:入堂
入堂とは、僧堂に入ることを意味し、入る順番には決められた順序があります。
はじめに、家族や親族が先に僧堂へ入り、着席した状態で新郎新婦を待ちます。参列者が着席後、新郎新婦とともに媒酌人が入堂し、最後に僧侶が僧堂に入ります。一同が揃ったところで僧侶が焼香を行うので、一緒に合掌を行います。
仏前結婚式が執り行われる流れ2:敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)とは、新郎新婦の二人が結婚することを仏様やご先祖様に報告するため、経文の一部を読み上げる儀式です。経文は仏教の教えを書いたもので、経文を読んでいる間は全員起立した状態で聞きます。
仏前結婚式が執り行われる流れ3:念珠授与(ねんじゅじゅよ)
念珠授与(ねんじゅじゅよ)とは、僧侶が仏前に備えた念珠を新郎新婦の二人へ授ける儀式を意味します。仏式結婚式の中でも重要儀式の1つで、新郎は白い房の念珠を授かり、新婦は赤い房のついた念珠を授かります。
ここで言う「念珠」とは数珠を意味し、新郎新婦は僧侶から授かった念珠を左手にかけます。念珠は信仰する宗派によっても異なり、式後は桐箱などに入れて大切に保管しましょう。
仏前結婚式が執り行われる流れ4:指輪の交換
指輪の交換は、結婚式の儀式で恒例となっている儀式の1つで、お互いで指輪の交換をすることを意味します。信仰する宗派によっては、儀式の途中で指輪の交換ができない場合もあります。
最近はキリスト教式や教会式のように指輪交換を望む声も多く、ほとんどの僧堂では指輪の交換が可能です。交換する指輪は、一般的に呼ばれる結婚指輪で、僧侶から指輪を受け取りお互いの薬指にはめます。
仏前結婚式が執り行われる流れ5: 司婚の儀(しこんのぎ)
司婚の儀(しこんのぎ)とは、僧侶が新郎新婦に結婚の誓いに関する問いかけをし、誓詞を読み上げる儀式を意味します。
誓いでは、僧侶から終生苦楽を共にすることを問いかけられるので、その問いかけに答えることで結婚の誓いとします。司婚の儀を終えることで、正式に結婚が成立となります。
仏前結婚式が執り行われる流れ6:新郎新婦焼香(しょうこう)
新郎新婦焼香(しょうこう)とは、新郎新婦ともに左手に念珠を持ち、それぞれお焼香を行う儀式です。お焼香とは、仏教において香を焚くことを意味し、信仰宗派によって回数や作法が異なります。
天台宗や真言宗では3回行うのが一般的ですが、その他の宗派では回数が少ないほか、回数を決めていない宗派もあります。式の前に説明があるので、焼香する回数もしっかり覚えておきましょう。
仏前結婚式が執り行われる流れ7: 誓杯(せいはい)
誓杯(せいはい)とは、僧侶が注いだお酒を新婦と新郎が交互に飲む儀式を意味します。神前式のウェディングでも同じような儀式があり、三々九度と呼ばれています。
三々九度では、大中小に分かれた盃を、それぞれ三回に分けて飲み、はじめは新郎から飲むのが一般的です。誓杯では、新婦から先に飲み、その後に新郎が飲み、最後は新婦が飲みます。神前式とは異なる順番なので注意しましょう。
仏前結婚式が執り行われる流れ8:親族固めの杯
親族固めの杯とは、それぞれの参列者が杯を交わし、親族同士の誓いを意味する儀式を意味します。
それぞれの盃に巫女さんがお神酒を注いでいきます。お神酒を注がれた盃は、全員が起立した状態で、三回に分けて飲みます。お神酒を飲み干した後は、参列者全員で合掌を行います。
仏前結婚式が執り行われる流れ9: 法話
仏前結婚式で行う法話とは、仏教の言葉の1つで、僧侶から新郎新婦や参列者に対し有難い教えや話を聞くことを意味します。
仏教関連の儀式では最後に行うのが恒例で、結婚式では祝いの言葉やこれからの生活で糧となる話をしてくれるでしょう。
仏前結婚式が執り行われる流れ10:退堂
仏前式結婚式の儀式を終えたら、儀式を行っている部屋から退出することを退堂と言います。入堂する際も順番があったように、退堂も退出する順番が決められています。
儀式を終えた後、参列者も含む全員が起立し、合掌を行います。その後、僧侶から退堂し、続いて新郎新婦、媒酌人、両家の両親と続きます。最後に参列者が並び、2列になって退堂します。
伝統を重んじた厳かな仏前結婚式を挙げよう
結婚式の中でも仏前結婚式は、仏教の教えに基づき儀式を行う格式の高い儀式の1つです。お堂に入る順番から、盃を交わす回数まで決められたルールに基づき儀式を進めます。
最近では仏前結婚式でも指輪の交換を行う方も多い傾向にあります。参列者の数も少ないことから比較的リーズナブルに行うことができるのも大きなメリットの1つです。一生に一度のイベントだからこそ、自分たちにとって素敵な結婚式を行いましょう。