昔は「結婚してこそ一人前」という考え方があり、結婚するのが当たり前でしたが、現代では価値観や考え方が変わり、結婚を選ばない男性女性が増えてきています。
結婚することにメリット、デメリットはあるのかと損得視点に立って考える人も少なくありません。特別に結婚したい人がいるならそんなことは考えませんが、そうでないなら、メリットとデメリットで判断することも必要でしょう。
結婚にあるメリットやデメリットは特に考えられてきませんでしたが、現代では違います。それは、現代特有の考え方や問題が根本にあるからでしょう。現代の結婚事情はどうなっているのか、現代特有の問題についても見ていきましょう。
同級生の中で結婚適齢期を過ぎても結婚していない人が増えているのではないでしょうか。それは気のせいや、たまたまではありません。
厚生労働省による「平成30年(2018年)の人口動態統計」によると、平成30年の婚姻率(人口1,000人あたりの婚姻件数)は4.7%で、前年平成29年の4.9%を下回る結果となっています。
これだけでは分かりにくいですが、第1次ベビーブーム世代と言われる世代が25歳前後だった1970~1974年の頃の婚姻率は10.0%を超えていたと言われています(平成29年度版少子化社会対策白書より)。
第1次ベビーブーム世代が適齢期の頃は10.0%あった婚姻率が、現代である平成30年には半減以下の4.7%となった理由はどこにあるのでしょうか。
なぜ独身が増えてしまったのか、その理由は経済的なもの、相手へ求める理想、男性の草食化などが理由ではないかと言われています。3つの理由について、それぞれ見ていきましょう。
結婚する人が減った理由としては、結婚するような適齢期の人に経済的な余裕がなくなったことが大きな原因の1つだとされています。
バブル崩壊以降、日本は非正規社員や派遣社員など、正社員にはなれない人たちが激増してしまいました。現代は共働き世代が急増してはいるのですが、それでもやはり安定した収入がないと結婚に積極的になれない男女が多いようです。
誰しも結婚に対して理想を抱くものですが、理想にこだわるあまり現実とのギャップを受け入れられず、結婚にまで至らないという人もいます。
結婚したらこうありたいと理想を抱いていても、なかなか思い通りにはいかないものです。しかし、自分の理想は高いと自覚していても、なかなか理想を取り下げられず、結果的に独身を貫いているという人たちも増えています。
恋愛に積極的ではない草食系男子の増加も婚姻率減少に一役買っているのではと言われていますが、昔とは違ってお見合い結婚がほとんどなくなったことの影響が大きいでしょう。
昔は、草食系男子だろうと親戚や親が結婚相手の候補を見つけてくるお見合い結婚が多くありました。自分の親はお見合い結婚だ、という方も多いのではないでしょうか。現代ではお見合いが廃れたことが影響していると考えられています。
ここからは、結婚することによるメリットやデメリットにはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
「好きな人と結婚したい」という人は、結婚のメリットやデメリットについてあまり考えません。しかしそうではなく結婚すること自体が目的ならば、メリットやデメリットを念頭に置き結婚することを決めるという考え方もあるでしょう。
結婚することのメリットは、主に4つあります。
まず1つ目の結婚のメリットは新しい家族ができるということ、2つ目は結婚相手と一緒にいることで得られる安心感や幸福感、3つ目は感情の共有ができること、4つ目は共働きすることで世帯収入を増やすことができるというメリットです。
ここではそれぞれのメリットについて、細かく解説していきます。結婚することでしか得られないメリットもあるので、チェックしてみてください。
結婚することで夫または妻という配偶者、そして2人の間に生まれる子どもたちという新しい家族を持てるのは、結婚の大きなメリットでしょう。
親元を離れてしまうと、兄弟姉妹がいても普段は1人になってしまいます。しかし結婚をすることで一緒に暮らす配偶者や、場合によっては子どもたちが生まれて家族がどんどん増えていきます。自分の家族と言える存在が増えていくのは嬉しいことでしょう。
好きな人と結婚できたら、毎日一緒に暮らせるということで幸福感が得られるとともに、何かあっても自分1人ではなく支えてくれる人がいるという安心感があります。
何もなくても、結婚して好きな人と一緒にいられるのは幸せでしょう。それに、万が一体調を崩してしまった場合でも、結婚していれば配偶者のサポートを得られるという安心感があります。この幸福感や安心感が結婚のメリットであると言えるでしょう。
結婚することのメリットの中には、自分の感情を共有して一緒に悩んだり悲しんだり、喜んだりできるというメリットがあります。
例えば昇進したとき、結婚していれば配偶者も一緒になって喜んでくれます。悲しいことがあったときは、悲しい気持ちを共有してお互いに慰めあうこともできるでしょう。感情を共有することで一緒に問題を乗り越え、お互いに支え合うことができます。
現代では男性が働き女性は家事育児をするという結婚観は崩れ、お互いに働く、共働きの世帯が増えています。これにより、結婚することで単純に世帯収入が増えるというメリットがあります。
専業主婦を選ぶ人もいますが、現代ではそう多くはありません。ほとんどの世帯が、結婚してからも共働きすることを選択しています。そのため、結婚することによって単純に働き手が2人になり、世帯としての収入が増えることはメリットと言えるでしょう。
ここまでは結婚によるメリットを紹介してきました。しかし、結婚にはメリットだけではなくデメリットも存在します。ここからは、結婚することで発生するデメリットについて見ていきましょう。
考えられるデメリットは主に3つ、結婚することで失う自由についてや、結婚することで付き合いが増えることの苦労、そしてお金についてもデメリットがあります。メリットだけではなく、デメリットについても押さえておきましょう。
1つ目は、結婚をすることで配偶者と同居することになり、自分の自由な時間の確保が難しくなるというデメリットです。
独身だった頃は、好きなように自分の時間を使えていました。夜更かししたり朝寝坊したりと、仕事に影響しなければ問題はありませんでしたが、一緒に暮らす人間が増えることで自分の都合だけでは動けなくなります。そのことを大きなデメリットだと考える人は多いようです。
結婚相手の家族や親族、いわゆる身内と呼ばれる人たちとの付き合いが増えることもデメリットと言えるでしょう。
社交的な人ならそれほど苦にならないかもしれません。しかし、結婚することで身内となる人数が増えるため、相性が悪い人がいると身内といえど付き合いが大変で、デメリットにしかならないでしょう。
またお互いの親戚との付き合い方が違うと、ストレスになりやすいこともデメリットと言えます。
結婚のメリットで共働きは世帯収入が増えると紹介しましたが、収入が2人分なので自分1人で自由に使える訳ではなくなるというデメリットもあります。
結婚するまでは、自分の収入は自分で好きに使えます。結婚したら、お金の使い方は夫婦で決めるのが当たり前です。お金の自由がなくなることを嫌って完全に分ける家庭もありますが、今までよりもお金の使い道に関する自由度に変化が訪れます。
結婚することでお金の自由が失われるため、実はデメリットが大きいと紹介してきました。しかし、お金については大きなメリットもありますので、ここでは結婚することで得られるお金関連のメリットについて紹介します。
自分の収入が自分で自由に使えなくなるというデメリットを超えて、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
結婚をして配偶者の所得が一定以下ならば、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が受けられるため、支払う所得税を節税できるというメリットがあります。
「配偶者控除」は配偶者の給与収入が103万円以下であった場合、給与所得控除額を引くと合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)になることで受けられる控除です。配偶者の給料が低くても、その分所得税が節税できます。
結婚して社会保険に加入している配偶者の扶養家族となると、その人は第3号被保険者となりますが、国民年金の保険料を支払う必要がありません。
一般的に出産がある女性よりも男性の方が収入は高くなりがちなので、男性の方の扶養に入る女性が多いです。この場合、男性が社会保険に加入していれば、女性は自分で年金の保険料を支払う必要がなくなります。
これは会社によりますが、結婚することで配偶者に対して「家族手当」が給付され、収入が増えるというメリットがあります。
ここでは家族手当としましたが、会社によっては「扶養手当」と呼んでいる場合もあります。家族手当の給付には条件を付けているところが多いですが、条件を満たしていれば何もしなくても手当が増えるため、メリットになるでしょう。
それぞれの両親から援助を受けることがありますが、本来なら贈与税や相続税がかかるところ、贈与税が非課税になるというメリットがあります。
通常は110万円以上の贈与だと贈与税がかかります。しかし祖父母や父母などから子や孫に、結婚資金としては受け取り者1人につき年間300万円まで、子育て資金は年間1,000万円までは贈与税が非課税です。
結婚のメリットやデメリットについて紹介してきました。結婚には大きなメリットがありますが、無視できないデメリットも存在しています。
結婚してから「こんなはずじゃなかった」と感じてしまうようでは遅いため、結婚する前にメリットと共にデメリットについてもきちんと把握しておきましょう。