出産前におりものが変化するのはなぜ?
臨月を迎えると、おりものの状態に変化が見られます。
これは「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンの分泌量の増加が原因です。
この「エストロゲン」は出産前になると分泌量が増え、子宮や乳房を大きくしたり、おりものを増やして赤ちゃんが外に出やすくする手助けをします。
臨月を迎えると見られる症状
臨月になると、身体は出産の準備を始め、子宮が下がります。これにより胃の圧迫感はなくなるため、吐き気や食欲不振などの症状が治まり、食欲が出てきます。
臨月を迎えると、下がり始めた子宮が膀胱を圧迫することで頻尿になったり、おりものが変化したり、おなかの張りを感じたりする人が多くなります。
これらの変化は、出産に向けて身体が準備を進めているために起こります。
粘膜栓とおしるしとは?
出産が近くなると、子宮から粘液のようなものが排出されることがあります。
この粘液のようなものには2種類あり、それぞれ「粘液栓」または「おしるし」と呼ばれる分泌物です。
まず、「粘膜栓」とは、子宮の出口付近にある粘液のことで、子宮の中にいる赤ちゃんをこの粘液で栓をして細菌から守る働きをします。
一方、「おしるし」とは、出産前に出てくる血が混ざったおりもので、おしるしが見られたら出産が間近であるサインです。
おしるしとの違い
「粘液栓」は出産の準備が整った時期に、「おしるし」は、間もなく出産になる時期に分泌されるサインと覚えておきましょう。
お腹の中で、胎児は膜に覆われており、その膜の中は羊水で満たされています。また、子宮の出口付近には粘液があり、この粘液が栓となって細菌から胎児を守る役割をしています。
これが「粘液栓」と呼ばれるもので、スライム状またはゼリー状の透明なおりものとして排出されます。
一方、「おしるし」とは出産日近くになると出てくる、血液が少量混ざったおりものです。子宮口が少しずつ広がり、赤ちゃんを包んでいる膜が少しずつ剥がれ落ちる際に出血します。
おしるしには血液が混ざっているため、色はピンク色や茶褐色、赤っぽい色という特徴があります。
出産前のおりものの特徴5つ
本記事に目を通している妊婦さんの中には、臨月に入り、おりものに変化が出ているという方も多いのではないでしょうか。
おりものは、妊娠中の体の変化に気づくバロメーターとなりますので、日ごろから気にかけておきましょう。
ここからは、出産前のおりものの特徴についてご紹介します。
出産前のおりものの特徴1:においがきつくなる
個人差はありますが、出産前のおりものは、においに変化が見られることがあります。
おりものには善玉の乳酸菌が含まれているため、酸っぱいにおいがすることがあり、鼻につくようなにおいに変わることもあります。特に出産前には、女性ホルモンの影響でにおいをきつく感じる方も少なくありません。
においの他に、かゆみや痛みがある場合は注意が必要ですが、何もなければ特に心配はいらないでしょう。
出産前のおりものの特徴2:色の変化
妊娠後期になると、おりものの色にも変化が現れ、透明なものから黄色っぽいものや茶色っぽいものになる場合があります。
この色の変化も、やはり女性ホルモンの分泌量が出産前に増えることと関連しているので、あまり心配することはありません。
出産前のおりものの特徴3:粘り気がある
臨月には、無色透明のスライム状またはゼリー状のおりものが出ることがあります。これが、先述の「粘液栓」です。
粘り気が強く、普段はあまり見ることの少ないおりものですが、赤ちゃんを細菌から守ってくれる役割を果たしています。
出産前のおりものの特徴4:水っぽくなる
粘り気のあるおりものとは反対に、出産前のおりものが水っぽくなることがあります。
尿漏れと勘違いしてしまうこともありますが、おりものシートがびしょびしょになってしまうくらい水っぽく量が多い場合は、破水の可能性がありますので、すぐに病院へ連絡してください。
出産前のおりものの特徴5:量が多く塊で出る
おりものの変化は、多くの場合、女性ホルモンであるエストロゲンの増加が原因です。これにより、おりものの量が増えたり、ゼリー状のおりものが塊で出てくることもあります。
ただし、悪臭や黄色、黄緑、灰色など色に異常が見られた場合は、感染症にかかっている可能性があります。早めに病院を受診しましょう。
出産前に気を付けるべきおりものの症状7つ
ここまで見て来たように、おりものからは身体の状態を色々と知ることができます。「もうすぐ出産ですよ」という合図や、「何か感染症にかかった」というサインを見逃さないようにしましょう。
以下に、気を付けるべきおりものの症状を7つご紹介します。
出産前に気を付けるべきおりものの症状1:出血が長く続く
臨月の出血の中でも、だらだらと続く出血は、早産や切迫早産の可能性があるため注意が必要です。
早産とは、36週6日までの出産のことです。早産の場合、新生児治療室での治療が必要になることもあり、発達に異常が生じたり身体に障害が残ったりしてしまう可能性もあります。出血に加えてお腹の張りや痛みが持続する症状が出たら、要注意です
出産前に気を付けるべきおりものの症状2:血が混じったおりもの
おりものに血が混じっているものは、おしるしの可能性があります。
おしるしは、少し粘り気がありピンク色や茶色、褐色をしている場合がほとんどですが、出血量が多いと鮮血が出る場合もあり、やはり個人差があります。
おしるしが出たら、早めに病院へ連絡をしましょう。
出産前に気を付けるべきおりものの症状3:出血量が多い
出血量が多い場合、「常位胎盤早期剥離」または「前置胎盤」の可能性が考えられます。
「常位胎盤早期剥離」とは、妊娠中や分娩前に胎盤が剥がれてしまうことで、大量に出血する場合があります。また、軽度であれば、少量の不正出血が続くこともあります。
「前置胎盤」とは、胎盤が正常な位置よりも低い位置になってしまい、子宮の出口にかかった状態や、完全に覆ってしまった状態で付着していることです。
痛みはありませんが、お腹の張りと出血が特徴で、少量の出血の後、大量に出血する場合があります。出血が多いことに気が付いたら、早めに病院へ行くことが大切です。
出産前に気を付けるべきおりものの症状4:灰色っぽいおりもの
灰色っぽいおりもので、魚が腐ったようなにおいがあるおりものは、「細菌性膣炎」と呼ばれる症状の可能性があります。これは、免疫力の低下などが原因で細菌が繁殖してしまうことで起こります。
細菌性膣炎を放置すると、前期破水や早産などの原因にもなりますので、早めの治療が必要です。ストレスや疲れを溜め込まないようにすることも大切です。
出産前に気を付けるべきおりものの症状5:痒みがありポロポロした固形のおりもの
痒みと、ポロポロとしたおりものが出た場合は、「カンジダ膣炎」の可能性が高いでしょう。
我慢できない程の強い痒みがあり、おりものはヨーグルトのようなドロっとしたもので、カッテージチーズのようなポロポロとした状態です。においは、チーズのような少し酸っぱいようなにおいです。
カンジダ膣炎は、カンジダ属のカビによる感染症です。カンジダは人の口や消化管、膣に常在していますが、本来であれば人体に害があるものではありません。
疲れやストレスなどが溜まり、免疫力が低下してくると発症することが多いと言われています。症状があるまま放置しておくと、赤ちゃんの口の中にも感染してしまいますので、早めに病院へ行って相談しましょう。
出産前に気を付けるべきおりものの症状6:黄緑色で泡立っているようなおりもの
黄色や黄緑色の、泡立ったようなおりものが出たら、「トリコモナス膣炎」の可能性があります。
トリコモナス膣炎は、原虫によって引き起こされる症状で、性行為や共同のトイレ、お風呂などで感染すると言われています。
免疫力が落ちている妊娠中は、特に感染しやすいとされています。おりものの異常の他に、強い痒みや熱感、排尿時の不快感や痛みがあります。前期破水の可能性や、産道を通って赤ちゃんにも感染する事がありますので、早めに治療をすると良いでしょう。
出産前に気を付けるべきおりものの症状7:水っぽいおりもの
尿漏れと間違われることも多いですが、水っぽいおりものには破水の可能性があります。
この場合は、粘り気がなくサラサラとしていて、安静にしていてもちょろちょろと出てきます。少し甘酸っぱいような、または生臭い独特のにおいがある場合は、破水の可能性が高いので、早めに病院へ連絡をしましょう。
出産前に見られるサイン9つ
出産が近くなり、日々の身体の変化を楽しんでいる妊婦さんも多いでしょう。その変化は、身体が出産に向けての準備を整えている証拠です。
ここからは、出産前に見られるサインを9つご紹介します。
出産前に見られるサイン1:トイレの回数が増える
出産前は、頻尿になることがあります。
これは、子宮が大きくなり、さらに赤ちゃんの頭が下向きになっていることで膀胱を圧迫することが原因です。中には、30分おきにトイレに行く人なども見られます。
なるべく体を冷やさないよう温かい飲み物を飲んだり、利尿作用のあるカフェインや緑茶などをなるべく避けたりして、必要以上に水分を摂らない対策をとると良いでしょう。
ただし、生理現象なので、我慢をしすぎて膀胱炎にならないように気を付けましょう。
出産前に見られるサイン2:昼間に眠気を感じるようになる
出産前になるとお腹が大きくなることで、夜は寝返りが打てず睡眠不足になることがあります。また、お腹が大きく重たくなっているため、体力をとても使います。出産までこのような状態が続くので、体はかなり疲れていると言えるでしょう。
また、この眠気には女性ホルモンも影響していると言われています。妊娠中は女性ホルモンが増えるため、睡眠の質が下がり眠りが浅くなります。この影響で、日中に強い眠気を感じる場合があります。
出産前に見られるサイン3:下痢が起こってしまう
臨月になると、増加する女性ホルモンが腸の動きを活発にするため、下痢が起こることがあります。
また、大きくなった子宮と赤ちゃんに腸が圧迫され、腸の動きが悪くなるため、消化できなかったものが下痢として出る場合もあります。お腹をなるべく冷やさないように、腹巻きなどを使ってとにかくお腹を温めるように意識すると良いでしょう。
出産前に見られるサイン4:吐き気・嘔吐
この吐き気や嘔吐は、「後期つわり」と呼ばれることもあります。
これは、お腹が大きくなったこと胃が圧迫されることや、睡眠不足による疲れとストレスが原因で起こります。また、ホルモンバランスの関係で逆流性食道炎を発症している場合もあります。
他にも、妊娠高血圧症候群の症状として胃痛に伴う吐き気などの症状が出ることがあります。その場合は、早めに病院へ相談をしましょう。
出産前に見られるサイン5:便秘になりやすい
出産前になりお腹が大きくなるため、子宮が腸を圧迫することで、多くの妊婦さんが便秘になります。さらに、女性ホルモンの作用により、腸内の水分が奪われやすく、自律神経も乱れやすくなるため便秘になりやすい状態になります。
運動不足も原因の1つになりますので、毎日しっかりと水分を取ることに加えて、ストレッチや軽い運動を日々の生活に取り入れると良いでしょう。
出産前に見られるサイン6:前駆陣痛
前駆陣痛とは、子宮の筋肉が収縮することで起こるお腹の張りや痛みのことで、正常な妊娠中に起こる反応です。
前駆陣痛を誘発する要因には、妊婦さんが活発に動いたときや、膀胱に尿が溜まっているとき、脱水状態にあるとき、そして性行為の後などが挙げられます。
前駆陣痛は、本陣痛に比べてそこまで強くないので、陣痛のように時間経過とともに痛みが強くなることもありません。安静にしていればすぐに治まるでしょう。
出産前に見られるサイン7:少量の出血がある
出産前の少量の出血は、「おしるし」と呼ばれ、出産が近づいていることを知らせてくれるサインです。
出産が近づくと、子宮の出口が広がることに伴い、赤ちゃんを守っている膜がはがれることで出血が起こります。この血液とおりものが混ざり、ピンク色や褐色、茶色っぽいおりものが出ることがあります。
出産前に見られるサイン8:おりものが増える
おりものの量は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量で変化します。
このエストロゲンは、妊娠周期とともに増えていくため、臨月にはおりものの量も多くなります。おりものは、出産前になると粘り気のあるものになり、量も増えます。このおりものには、赤ちゃんが、産道を通って出てくるときの潤滑剤としての役割もあります。
出産前に見られるサイン9:お腹が張る
妊娠後期になると子宮の収縮が活発になるため、お腹に張りを感じることが多くなります。これは、赤ちゃんの胎動が大きくなることと、赤ちゃんの頭が子宮の出口付近にあるために子宮が圧迫されることによる張りと考えられます。
子宮を収縮させることで陣痛の準備をしていますので、順調に出産の準備が進んでいると考えましょう。
出産前のおりものの変化に注意しよう
本記事では、出産前のおりものについて詳しく解説してきました。
出産前は、エストロゲンの分泌量が変わることにより、おりものにも様々な変化が起こります。おりものは、妊娠中の体調のバロメーターとなりますので、しっかりと日々のチェックをしましょう。
いつも粘度のあるおりものが、さらさらとした水っぽくなり、ナプキンがびしょびしょになるようでしたら破水している可能性があります。慌てず、早めに病院へ相談をしてください。
いつもと違うことが多いこの時期は心配事も増えますが、一人で抱えることはありません。あまり思いつめず、周りの人にも頼りながら出産まで過ごしましょう。