妊娠初期には出血をすることもありますが、その出血が少量であれば正常範囲内のものとして心配をする必要はないでしょう。
しかし、妊娠5ヶ月くらいの時期の出血であれば、何らかの異常が起こっている可能性があります。場合によっては、早く病院で診てもらわないと、妊娠を続けることができなくなってしまうこともあるので、注意が必要になります。
妊娠5ヶ月では胎盤がほぼ完成して、赤ちゃんを育てるための体の変化が落ち着いてきます。また、妊娠初期から起こっているホルモンバランスの変化も落ち着いてきます。
これらのことから、妊娠5ヶ月くらいになると、母体も赤ちゃんも状態が安定してきます。そのため、妊娠5ヶ月からは安定期と呼ばれています。
また、安定期になると状態が落ち着いてくることから、つわりの症状が軽くなったり、赤ちゃんが成長してお腹が出てきたりなどもしてきます。
妊娠5ヶ月になると、安定期に入ります。安定期では母体も赤ちゃんも状態が安定してきています。そのため、妊娠初期と比べると出血の量は少なくなっていきます。
しかし、その状態が安定して出血の量が減るはずの時期に出血が起こるということは、母体や赤ちゃんに何らかの問題が起こっている可能性があります。
その問題の内容によっては妊娠を続けることが難しくなってしまうものもあるので、安定期の出血は軽視せずに病院で相談する必要があります。
妊娠5ヶ月くらいになり、安定期に入ると、母体も赤ちゃんも状態が安定してくるので、妊娠初期と比べると出血の量は減っていきます。
そのため、本来は出血の少ない時期の安定期に出血がある場合は、母体や赤ちゃんにいくつかの原因が考えられます。
原因によっては妊娠が続けられなくなってしまう可能性もあるので、正しい対処をできるようにするためにも、どのようなことが原因で安定期に出血が起こるのか把握しておきましょう。
早産とは妊娠22週以降で、正期産よりも前に赤ちゃんが生まれてしまうことです。正期産は妊娠37週〜妊娠41週6日までの出産のことを指します。
また、流産とは妊娠22週未満で妊娠の継続ができなくなってしまう状態のことです。妊娠5ヶ月での出血は、これらのリスクが高まっている可能性があります。
切迫早産とは妊娠22週〜37週の間に、出血をしたり、陣痛に繋がるような痛みが出てきたりなど、早産のリスクが高まっている状態のことです。
切迫早産の原因は感染症が多いと言われています。そのため、切迫早産にならないためにも、定期検診で母体と赤ちゃんの状態を確認したり、妊娠5ヶ月で出血があった場合には早く病院で診てもらうなど、早期発見をできるようにしておく必要があります。
切迫流産とは流産のリスクが高まっている状態のことです。しかし、まだ流産をしたわけではないので、早くに対処をすることで妊娠を続けられる可能性もあります。
後期流産とは死産のことで、死産は妊娠12週以降に亡くなった状態で胎児が娩出されることです。死産をした場合には市区町村への届け出が必要になります。
妊娠5ヶ月くらいでの出血は早産や流産のリスクが高まっている状態となっている可能性があります。しかし、妊娠とは直接関係のない子宮のトラブルが原因によって、出血を起こしている可能性もあります。
子宮頸管ポリープとは、子宮頸部にできるイボのような腫瘤ができることです。その子宮頸管ポリープが刺激を受けることで出血をすることがあります。
基本的には良性で、痛みもないのですが、出血や細菌感染が生じることで、早産や流産のリスクを高めてしまうことがあります。そのため、病院で切除が必要かどうか、判断をしてもらう必要があります。
子宮腟部とは、子宮の出入り口で、粘膜で覆われていて、赤く見えている部分のことです。びらんとはただれているという意味で、その様子から子宮腟部のびらんと言います。
妊娠中の子宮は充血していて、刺激によって出血をすることがあります。しかし、痛みがなく、出血が少量であれば治療をする必要はありません。
胎盤は母体と赤ちゃんを繋ぎ、赤ちゃんの呼吸や栄養維持などの生きていくために重要なことをしてくれる臓器です。
胎盤は赤ちゃんが生きていくために必要な臓器なので、もし異常があると赤ちゃんに負担をかけてしまうことになります。
常位胎盤早期剥離とは、妊娠中や分娩中などに胎盤の一部が剥がれてしまうことです。常位胎盤早期剥離が起こると、激痛と共に出血し母児共にとても危険な状態になります。
常位胎盤早期剥離は、妊娠高血圧症候群、切迫早産、喫煙などが原因で起こると言われています。
胎盤は子宮の出入り口から離れた場所に位置します。しかし、胎盤が子宮の出入り口を覆ってしまうことがあります。これを前置胎盤と言い、妊娠中期や後期になると、大出血を起こす原因となることがあります。
ただし、赤ちゃんが育って子宮が大きくなるにつれて胎盤の位置もズレていくことが多いです。
出血の時には痛みが無いことが多いですが、出血が止まっても再度出血したり、胎盤の位置が正期産時にも子宮口の近くに位置する場合は、経膣分娩ではなく帝王切開での分娩が選択されます。
子宮膣部びらんや子宮頸管ポリープなどのように、妊娠とは直接関係なく出血をすることもあります。
これら以外にも、妊娠とは直接関係なく出血することはあり、また性器以外の部分から出血するという場合もあります。
尿路感染症とは、腎臓から尿道にかけての尿路で、大腸菌が原因で炎症が起こることです。また、その炎症が膀胱で起こると膀胱炎、腎臓や腎盂(じんう)で起きていると腎盂腎炎と呼ばれます。
妊娠中はお腹が大きくなることで尿管が圧迫されたり、ホルモンバランスの変化などによって尿路感染症になりやすい体質となっています。
もし、尿路感染症になってしまった場合は切迫早産や前期破水などのリスクを高めてしまうことになるので、早期発見、早期治療が必要になります。
妊娠中はお腹が大きくなることで、尿管だけでなく腸も圧迫します。そのため、妊婦は便秘にもなりやすいです。便秘になると便が硬くなるので、排便の際に肛門を傷つけてしまうこともあり、痔になることもあります。
妊娠中はお腹が大きくなっていることから、その圧迫によって肛門や直腸の血液の流れが悪くなっているので、痛みや出血がひどくなりやすいので注意が必要です。
安定期に入る妊娠5ヶ月での出血は、早産や流産などのリスクが高まっている可能性があります。そのため、その時期の出血は軽視できず、自己判断はせずに病院で診てもらう必要があります。
ただし、病院で出血の状態を医師に伝える必要はあるので、その出血に対するチェックポイントは押さえておくようにしましょう。
ここからは、妊娠5カ月の出血時のポイントを5つ紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
妊娠中はおりものの状態も変化します。変化したおりものはにおいが強くなったり、酸っぱいにおいがしたりする方もいます。
また、量が増えたり、おりものの形状がポロポロしたりもします。これらの場合は急いで医師に診てもらう必要はありません。ただし、自覚症状が強い場合や異常を感じた場合には病院で相談するようにしましょう。
出血の量が異常に多い場合は破水して、羊水が流れ出ている可能性があります。量や見た目が水っぽいおりものに近いので区別が難しい場合もあるので注意が必要です。
もし、定期的なお腹の痛みや、性器からの出血などの自覚症状もある場合は、切迫早産のリスクが高まっているので、すぐに病院で診てもらう必要があります。
妊娠中期になると、母体と赤ちゃんの状態が安定してくるので、出血の量は妊娠初期と比べると少なくなっていきます。しかし、母体と赤ちゃんの状態が安定しているはずなのに、出血が出るということは母体や赤ちゃんに何らかの異常が起こっている可能性があります。
そのため、妊娠中期となる妊娠5ヶ月くらいからの出血があった場合、またその頻度が多い場合には、自己判断せずに病院で診てもらうようにしましょう。早期に病院で診てもらわないと、場合によっては妊娠を続けることが難しくなる場合があります。
出血をした際に、定期的なお腹の痛みを感じている場合は切迫早産の可能性があります。また、切迫早産では破水を起こすことが最初の自覚症状となる場合もあります。
もし、早産となってしまった場合には、赤ちゃんには呼吸障害や低体温症、低血糖症などのリスクが高まります。特に、妊娠34週未満で早産となった場合には、重症呼吸障害や脳出血、重症感染症などのリスクもあるので、切迫早産の疑いがある場合はすぐに病院へ行きましょう。
母親が発熱して高熱が続くと、赤ちゃんの体にも影響が出てしまう可能性があります。もし、39.5度以上の高熱が続くと、妊娠初期の場合は流産、妊娠後期の場合は切迫早産のリスクを高めてしまう危険性があります。
また、母親が妊娠中に発熱した原因が麻疹であった場合は早産や流産の可能性を非常に高めてしまいます。
他にも、風疹であれば難聴や白内障、緑内障、心臓の病気などのリスクを高め、水痘であれば眼に異常が出たり、手足の形成がうまくできなかったりなどのリスクを高めてしまいます。
そのため、発熱や吐き気などの症状があった場合は、赤ちゃんに影響のある感染症ではないか病院で確認するようにしましょう。
妊娠5ヶ月くらいになると安定期になり、母体も赤ちゃんの状態も落ち着いてきます。しかし、安定しているはずの時期に出血があった場合には、切迫早産や切迫流産に関わる異常が起こっている可能性があります。
しかし、すぐに病院へ行き、正しく対処をすれば、妊娠を続けられる可能性があります。そのため、焦らずに正しい対処ができるようにしておきましょう。