【専門家監修】妊娠後期の下痢の理由・症状・対処法を解説|注意したい症状4つ

妊娠後期の下痢とは

妊娠をすると、妊婦の体にはいろいろな変化が起こります。その体の変化による影響によって、妊婦にはいろいろな症状が表れるようになります。妊娠後期に表れる下痢の症状もその1つです。


もうすぐ出産という妊娠後期に、下痢となってしまうことで、母体や赤ちゃんに悪い影響が出るのではないか、出産が近いのではないかなど、いろいろな心配をしてしまう人もいるでしょう。


しかし、妊娠後期に下痢となってしまう妊婦は多くいます。元気な赤ちゃんを生むためにも、妊娠後期に下痢が起こる理由やその正しい対処法を知っておくようにしましょう。

妊娠後期には下痢になりやすい

妊娠後期に妊婦が下痢となる主な原因はホルモンバランスの変化によるもので、そのホルモンバランスの変化が腸の働きに影響を与えています。そのため、妊娠をすることで妊婦は下痢になりやすい体質となっています。


ただし、その症状には個人差があり、下痢の症状が強く出る人もいれば、下痢と便秘を繰り返すという人もいます。


妊娠中に起こる下痢は急性ものであり、特に母体の心配をする必要はなく、自然と回復していきます。

妊娠後期の下痢と陣痛の関係

妊娠が下痢になりやすいのは、ホルモンバランスが変化していることが原因の1つです。そのため、妊娠後期に下痢となることは、ホルモンバランスが変化してきているということで、陣痛が近いのではないかと思われることがあります。


しかし、ホルモンバランスの変化によって、母体が徐々に出産の準備を始めていることは確かではありますが、下痢と陣痛が直接的な関係はないと言われています。

妊娠後期の下痢の理由4つ

妊娠後期に下痢となる妊婦は多くいます。その下痢の原因の1つとしてホルモンバランスの変化があります。しかし、妊娠後期に妊婦が下痢になる理由は他にもいくつか考えられます。


ここからは妊娠後期の下痢の理由を4つ詳しく紹介していきます。下痢の症状に正しく対処をするためにも、どのようなことが理由で妊娠後期に下痢となってしまうのか把握しておくようにしましょう。

妊娠後期の下痢の理由1:食物アレルギーによる

妊娠中は体質に変化が起きていて、妊娠前には食べられていたものが、体に合わなくなってしまうことがあります。


そのため、体に合わなくなってしまった食べ物や、その食べ物に含まれる成分などに対して、一時的なアレルギー反応を起こすことで、下痢となってしまうことがあります。また、下痢以外にも胃のむかつきが起こることもあります。

妊娠後期の下痢の理由2:ホルモンバランスが崩れたことによる

妊娠をすると、ホルモンバランスが変化します。そのホルモンバランスの変化によって、母体にはいろいろな体質の変化が起こります。


その体質の変化によって、食べ物を消化する力が弱くなってしまうことがあります。消化の力が弱くなり、消化に時間がかかってしまったり、うまく食べ物を消化できなくなってしまうことで、下痢が起こってしまいます。


ホルモンバランスの変化は妊娠初期から起こっているので、妊娠初期から下痢で悩んでしまう人もいます。

妊娠後期の下痢の理由3:感染症にかかってしまった

下痢は細菌やウイルスなどの感染によっても起こることがあります。もし、下痢の原因が感染症の場合、赤ちゃんに影響を及ぼしてしまう可能性があります。感染性の場合、下痢だけではなく、嘔吐も伴うことが多いため嘔吐と下痢をしている場合には注意が必要です。


特に、カンピロバクターやリステリアなどは感染すると流産や死産、新生児髄膜炎などのリスクを高めてしまうことがあります。

妊娠後期の下痢の理由4:腸を圧迫している

妊娠後期になれば妊婦のお腹も大きくなっています。大きくなったお腹は腸を圧迫します。その圧迫によって腸の動きが鈍ってしまい、食べ物の消化が悪くなってしまうことがあります。


また、消化が悪くなったことで下痢の原因となってしまいます。消化が悪くなったときに多くの水分を摂ると水下痢となってしまったり、未消化の食べ物がドロドロの状態で排出されるような下痢になってしまいます。

妊娠後期の下痢の症状3つ

下痢になった場合、お腹の調子が悪くなるだけでなくいろいろな症状が合わせて表れることがあります。その症状によっては、早く病院で診てもらった方が良いものもあります。


そのため、妊娠後期の下痢はよく起こり、自然に回復するものと油断せず、他の症状と合わせて状態や状況を判断する必要があります。

妊娠後期の下痢の症状1:吐き気を併発する

下痢の症状と合わせて、吐き気や嘔吐を併発している場合は、カンピロバクターやリステリアなどの細菌やウイルスに感染している可能性があります。


他にも、カンピロバクターの場合は発熱や頭痛の症状が出たり、リステリアは発熱や悪寒、背中の痛みなどの症状が出たりなどします。これらは赤ちゃんに影響を与えてしまう可能性もあるので、病院で診てもらうようにしましょう。

妊娠後期の下痢の症状2:しばらくすると便秘になる

妊娠中はホルモンバランスが変化したり、大きくなったお腹が腸を圧迫したりなどすることによって、下痢となってしまうことがあります。


また、これらは腸の働きを鈍らせるので便秘となることもあります。そのため、人によっては便秘と下痢の症状が繰り返して出てくることもあります。

妊娠後期の下痢の症状3:寒気がする

細菌やウイルスに感染すると、下痢とあわせて悪寒の症状も表れることがあります。リステリアの場合では嘔吐、発熱、悪寒などのインフルエンザの初期症状に似た症状が出ます。リステリアは赤ちゃんが敗血症となるリスクを高めてしまう可能性があります。


また、赤ちゃんに影響を与える細菌やウイルスはリステリアだけではないので、体に異常を感じた場合はすぐに病院で診てもらいましょう。

妊娠後期の下痢の対処法4つ

妊娠後期に下痢になったとしても、下痢自体は赤ちゃんに悪い影響を与えることはありません。しかし、下痢の症状が出たり、下痢と便秘を繰り返したりなどすることは、妊娠後期の妊婦にとっては体の負担となります。


そのため、母体の辛さを和らげるためにも、下痢の症状が出たときの対処法や、予防法などを把握しておくようにしましょう。


ここからは妊娠後期の下痢の対処法について詳しく紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

妊娠後期の下痢の対処法1:お腹を冷やさない・温める

妊婦がお腹を冷やしてしまうと、胃腸も冷えてしまうことになり、胃腸の働きを弱くしてしまいます。胃腸の働きが弱くなることで、便秘や下痢などの原因となってしまうことがあります。


また、妊婦が体を冷やすと、胎盤への血液の流れが悪くなってしまったり、子宮の血管が収縮してお腹が張りやすくなったりしてしまいます。そのため、妊婦はお腹や体を冷やさないように注意が必要です。

妊娠後期の下痢の対処法2:水分や食物繊維の多い食事に心掛ける

妊娠中はホルモンバランスの変化や、大きくなったお腹が腸を圧迫したりなどすることで、腸が正常な働きをできず、便秘と下痢を繰り返してしまうことがあります。


そのため、便秘のときには水分と食物繊維をしっかり摂って、軽い運動をして排便を促しましょう。下痢のときには脱水状態にならないように、適度に水分補給をすると良いでしょう。

妊娠後期の下痢の対処法3:冷たい食べものや飲み物を避ける

妊婦がお腹を冷やしてしまうと、胃腸の働きが弱くなって便秘や下痢の原因となってしまうことがあります。


また、妊婦が体を冷やすと胎盤への血液の流れが悪くなったり、お腹が張りやすくなったりなどの原因となることもあります。


そのため、冷たい食べ物や飲み物などで体を冷やしてしまわないように注意し、なるべく暖かい食べ物や飲み物を摂るようにしましょう。

妊娠後期の下痢の対処法4:食事をゆっくり食べる

妊婦の胃腸は妊娠によって働きが鈍くなっていることがあります。そのため、食事をする際に、よく噛まなかったり、早食いをしたりなどすると、下痢や消化不良などの原因となってしまいます。


食事をする際には、消化を良くするためにも、よく噛んでゆっくりと食事を進めるようにしましょう。また、冷たいものは食べ過ぎて体を冷やさないように注意しましょう。

妊娠後期の注意したい下痢の症状4つ

妊婦は下痢になりやすい体質となっているので、妊娠後期に下痢を経験する妊婦は多くいます。その下痢は一時的な症状であり、すぐに治ることもあります。


しかし、病院ですぐに診てもらった方が良い場合もあります。そのため、どのような下痢であれば病院に相談すべきか判断できるようにしておきましょう。

妊娠後期の注意したい下痢の症状1:血便を伴う場合

下痢が長く続いている場合は、排泄の刺激によって肛門の周りに傷ができてしまうことがあります。その傷からの出血によって血便となることがあります。


しかし、あまりにも出血量が多い場合や毎回血便が出るという場合には、腸や胃に潰瘍ができていたり、大腸ガンなどの可能性も考えられます。そのため、病院で状況を伝えて、相談するようにしましょう。

妊娠後期の注意したい下痢の症状2:2週間以上下痢が続く場合

妊娠中はホルモンバランスの変化や大きくなったお腹などが原因で下痢ととなってしまうことがあります。しかし、妊娠が原因の下痢は自然と回復していくことが多いです。


2週間以上も下痢の症状が続いているような場合は、妊娠が原因の下痢ではなく、大腸ガンや炎症性腸疾患、腸結核などの病気が原因の可能性があります。そのため、短期間で下痢が治らない場合は病院で診てもらうようにしましょう。

妊娠後期の注意したい下痢の症状3:お腹に張りを感じる

妊娠後期になるとお腹が大きくなって張りを感じるようになります。その大きくなったお腹が腸を圧迫することによって便秘や下痢などの原因となることがあります。


また、妊婦が体を冷やしてしまうと、子宮の血管が収縮してしまい、お腹に張りを感じる場合もあります。


これらが理由でお腹が張っている場合は一時的なものなので心配はありません。しかし、念のために病院で相談しておくと良いでしょう。

妊娠後期の注意したい下痢の症状4:脱水の症状がある

下痢が続くと体にだるさを感じたり、肌がカサつくようになったりすることがあります。これらは脱水症状の1つです。下痢で失った水分はしっかりと補給しておくようにしましょう。

下痢をして受診する前の注意点

妊娠中に下痢をした場合、症状によっては病院で診てもらう必要があります。しかし、いきなり病院へ行くようなことは避けましょう。


もし、下痢の原因が細菌やウイルスなどによる感染であった場合、他の妊婦に感染を広げてしまう危険性があります。


そのため、まずは電話で相談して、産婦人科に直接行っても良いのか、内科での受診をするべきか、判断してもらいましょう。

妊娠後期の下痢は原因と症状を理解して緩和しましょう!

妊娠後期はお腹が大きくなっていたり、ホルモンバランスが変化したりなどすることで、下痢になることがあります。妊娠が原因の下痢であれば、自然と治っていくことが多いですが、病院で診てもらわなければいけない場合もあります。


そのため、妊娠後期ではどのようなことが原因で下痢になり、どのような症状のときには病院へ行くべきか判断できるようにしておきましょう。