【専門家監修】妊婦の便秘を解消する方法7選|病院に行く必要がある症状

妊婦に起こる腹痛の原因3選

妊娠中は、体にさまざまなトラブルが起こりやすい時期です。なかでも腹痛は、とても不安になりやすい症状で、お腹の赤ちゃんに影響はないのか心配になるでしょう。


そんな不安になりやすい腹痛ですが、すべてが流産につながる腹痛というわけではありません。ここからは、妊婦さんがなりやすい腹痛の原因を3つ紹介していきます。


腹痛の原因について興味がある方は、参考にしてください。

妊婦に起こる腹痛の原因その1:子宮が引き伸ばされるため

妊娠中の下腹部の痛みの原因には、子宮が引き伸ばされたり収縮することによる痛みがあります。これは、赤ちゃんの成長とともに、子宮も大きく引き伸ばされるために起こります。


また、子宮と一緒に子宮にくっついている靭帯も伸びるので、そのことによっても痛みがでることがあります。この痛みは長く続くものではなく、多くの場合は心配しなくても良いでしょう。痛みがあるときは横になり、体を休めて様子をみましょう。

妊婦に起こる腹痛の原因2:流産や早産

腹痛のなかには、流産や早産の兆候となる痛みもあります。流産の可能性がある下腹部痛は、不正出血が同時にある場合が多いです。また、激しい腹痛や、お腹がしめつけられるような痛みがある場合も要注意です。


切迫早産の可能性がある痛みは、痛みとともにお腹が硬く張ります。さらに、痛みが急に強まったり、規則的に痛みがくる陣痛のような症状は危険です。


上記の痛みや症状があるときは、すぐに産婦人科を受診してください。

妊婦に起こる腹痛の原因3:便秘

妊娠中は、ホルモンの影響で便秘になりやすくなります。また、赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮に腸が圧迫されることにより、腸の動きも悪くなってしまいます。


また、食べづわりによって食事のバランスが崩れ、食物繊維が不足したり、運動不足によっても便秘を引き起こします。


便秘が続くと腹痛になることがあります。便秘にならないために、水分、食物繊維を十分に摂取し、つらい便秘はかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。


また、便秘の種類によっても原因や症状が異なります。以下で詳しく解説するので、自身の便秘の症状と照らし合わせて参考にしてみてください。

器質性便秘(きしつせいべんぴ)

器質性便秘とは、腸管になんらかの基礎疾患を抱えていることで起こる便秘です。大腸がんや腸閉塞、腸の周辺臓器の癌などにより、腸管が圧迫されることによって起こります。


器質性便秘は、突然便秘になるとともに、お腹が張った感じがすることや腹痛、吐き気や嘔吐などの症状が現われ、腸管になんらかの病変があるために起こり、重篤かつ緊急を要する場合があります。


突然の便秘や嘔吐の症状がある場合は、軽視せず医療機関で診察を受けることをおすすめします。

弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)

弛緩性便秘は、大腸の機能が低下することで腸の動きが悪くなり、長時間便が腸にとどまる便秘です。水分の吸収が過剰になり、便が硬くなることによって、排便がスムーズにできなくなります。


また、食物繊維の摂取量が少ないことも、原因のひとつとなっています。弛緩性便秘にならないようにするためには、積極的に食物繊維を摂取しましょう。

妊婦の便秘を解消する方法7選

妊娠中は体にさまざまな変化が起こりますが、特に便秘に悩んでいる方が多くいます。妊娠中は、ホルモンの変化で便秘になりやすくなっています。


他にも、赤ちゃんの成長とともに子宮が大きくなることで大腸を圧迫したり、つわりや大きなおなかで動けず、運動不足になりやすいなど、便秘を起こしてしまう原因はたくさんあります。


とはいっても便秘はお腹の不快感もありつらいものです。ここからは、妊婦の便秘を解消する方法を紹介するのでぜひ試してみてください。

妊婦の便秘を解消する方法1:水分を摂る

便秘がひどくなる原因のひとつに水分不足があります。水分不足といっても、水だけを飲む必要はありません。お茶や糖質の少ないスポーツドリンクなど、飲みやすいものを、1日1ℓ以上摂取するように心がけましょう。


特に朝は、腸の活動が活発になります。起床後すぐに、水分を摂取する習慣をつけることをおすすめします。

妊婦の便秘を解消する方法2:ツボを刺激する

「合谷」・「神門」・「湧泉」・「大腸兪」などのツボが、便秘解消に効果があるといわれています。上記のツボを、気持ち良いと感じるぐらいの強さで、ゆっくりと押していきましょう。


ツボを刺激する方法は、比較的即効性があるといわれていますが、すぐに便秘が解消されるものではありません。他にも、便秘への影響が大きいといわれる、ストレスや生活習慣、食生活なども気をつけることが大切です。

医師に相談する

妊婦さんの便秘解消のためには、ツボを刺激することは効果的といわれています。ですが、妊娠中の体はデリケートになっています。ツボを刺激しても問題ないのか、かかりつけの産婦人科に相談してからおこないましょう。

妊婦の便秘を解消する方法3:薬を服用する

妊婦の便秘解消方法で、即効性があるのは便秘薬を服用することです。


食事の改善や運動をおこなっても便秘が改善されない場合は、薬の力を借りて排便を促すことも妊婦さんの体のためには必要なことです。


妊娠中に薬を飲むことには抵抗を感じたり、不安に思う妊婦さんもたくさんいると思いますが、妊娠中でも問題なく飲める薬もありますので、かかりつけの産婦人科の医師に便秘の症状を伝え、症状に合わせた薬を処方をしてもらうのが得策でしょう。

医師や薬剤師に相談する

妊婦さんの便秘薬の服用は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。


例えば、妊娠中の便秘に処方されるマグネシウム製剤ですが、市販でも発売されています。ですが、他の薬との飲み合わせがよくないこともあります。市販のマグネシウム製剤を購入する時に不安なことがあれば、薬剤師のいる薬局で相談し購入するのも手です。


また、市販の便秘薬に含まれているセンナは、妊婦が服用するには医師の判断が必要です。センナを含む便秘薬は、流産や早産のリスクを高める可能性があります。


市販で購入できるとはいえ、やはり妊娠中は気を付けなければならないことが多くあるので、病院で処方してもらった薬を服用するのが安心でしょう。

妊婦の便秘を解消する方法4:マッサージをする

妊婦の便秘を解消する方法として、マッサージをすることも効果的といわれています。


ただし、まだ流産のリスクなどが高く、安定していない妊娠初期のマッサージは控えてください。安定期に入ってから、便秘解消のためのマッサージを取り入れましょう。

マッサージの方法

今回は、妊婦さんにおすすめの「の」の字マッサージをご紹介します。


「の」の字マッサージは、おへその下の、右側から優しく手を添え、スタートします。手を下の方向にさすり、おへそに向かってぐるっと回します。ひらがなの「の」の字を書くようなイメージです。


一度にゆっくり3回繰り返し、腸に刺激を与えましょう。マッサージの頻度は、1日2回朝晩でおこなうことが最適です。

マッサージをする時の注意点

妊婦さんの便秘解消におすすめな「の」の字マッサージですが、注意点もあります。


まず、上記にも記載しましたが、マッサージは安定期に入ってからおこなってください。また、お腹には大切な赤ちゃんがいます。強い力でマッサージをしないように注意してください。


洋服の上からマッサージをおこなっても、十分効果はあります。お風呂上がりに、優しくボディオイルなどを使ってマッサージをするのもおすすめです。

妊娠中の便秘を解消する方法5:運動をする

便秘を解消するには運動も大切ですが、妊婦さんは、リラックスしながら無理のない範囲で運動することが大切です。


リラックスすることによって、副交感神経が優位になります。そのことによって、大腸の動きが活発になるといわれています。


そのため、激しい運動をするのではなく、軽いウォーキングや、腹式呼吸を取り入れながらストレッチすることがおすすめです。体に無理がかからない程度の運動にしましょう。

ウォ—キング

ウォーキングは妊婦さんの体への負担も少なく、日常の生活で取り入れやすいため、おすすめの運動になります。通勤時や、時間が空いたときにもすぐに取り入れられるのもおすすめポイントです。


ウォーキングを効果的におこなうためには、背筋を伸ばした姿勢で腕をしっかり振り、いつもより少し早歩きで歩いてみましょう。20分~30分のウォーキングで有酸素運動の効果があらわれ、エネルギーも消費されやすい体になります。

ストレッチ

妊娠中の便秘解消にはストレッチもおすすめです。便秘の原因には、腸の動きが悪くなっていることがあげられます。そこで、腸に刺激を与えるストレッチが効果的です。


例えば、ゆっくり息を吐きながら腸を動かすことをイメージし、背筋を伸ばすストレッチや、腰をひねるストレッチなどがおすすめです。腰をねじる運動は、腰痛の予防にも効果的で気分転換やストレス発散にもなります。

妊婦の便秘を解消する方法6:便秘に効果がある食材を摂る

便秘の解消には、食物繊維や乳酸菌を含む食べ物を積極的に摂取することをおすすめします。


ですが、便秘解消のためにと食物繊維や乳酸菌が含まれた食べ物ばかりを摂取することはやめましょう。あくまでも、バランスの良い食事を心がけ、その上で便秘解消に良い食べ物を摂取していきましょう。

食物繊維

妊娠中便秘を解消するためには、食物繊維を多く摂取することが大切です。ごぼうやさつまいも、寒天など、食物繊維が豊富な食品を多く摂取しましょう。


また、柑橘類には便を柔らかくする作用があるため、みかんやオレンジなどは便秘解消におすすめです。さらに、グレープフルーツのジュースなども飲みやすくておすすめです。

乳酸菌

腸内環境を整えてくれるヨーグルトなどは、便秘解消におすすめです。腸内環境を整えてくれる乳酸菌やオリゴ糖は、便秘解消に効果があるだけではなく、便秘の予防にも効果的といわれています。


そのため、便秘症状が改善した後も、予防のために継続的に摂取すると良いでしょう。

妊婦の便秘を解消する方法7:病院に行く

妊娠中の便秘は、腹痛を起こす原因にもなります。腹痛になったら、お腹の赤ちゃんは大丈夫なのと心配になるでしょう。しかし、妊娠中の便秘が、お腹の赤ちゃんに大きな影響を与えることはあまりありません。


便秘で強くいきんでも、陣痛が始まっていない場合は、赤ちゃんが生まれてしまうこともありません。ですが、すぐに病院に行った方が良い便秘による腹痛もありますので、その症状を紹介していきます。

激しい痛みが続く

便秘による腹痛の原因は、便がお腹に溜まっていることで出口が塞がり、腸内で便が押し出されたときに痛みがでます。


対処法としては、まずは安静にして様子をみてください。激しい痛みには、便秘以外の病気が隠れている可能性もあるので、自己判断は危険です。安静にしていても痛みが治まらず、激痛が続く場合はかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

吐き気や嘔吐

便秘で腸内に便がたまると、食べたものや消化液が消化管に溜まりやすくなることで、腸内におならがたまり、胃が圧迫され苦しくなります。そのことによって、吐き気や嘔吐を引き起こします。


この、吐き気や嘔吐がひどい場合は、腸閉塞や他の病気が隠れている可能性があります。吐き気や嘔吐が続く場合は、かかりつけの産婦人科を受診してください。

冷や汗

妊婦さんの便秘の症状で、冷や汗がでる場合は注意が必要です。妊娠による単なる便秘ではなく、腸閉塞などの病気の可能性もあります。ただの便秘だろうと自己判断せず、気になる症状があれば、かかりつけの産婦人科に相談してみましょう。

発熱

お腹の激痛に加え、発熱がある場合も、単なる便秘ではない可能性があります。腸閉塞や大腸の潰瘍・穿孔など、すぐに治療が必要な病気の可能性もあります。我慢せずに、かかりつけの産婦人科で症状を伝え相談するか、動けないほどの症状の場合は救急病院などですぐにみてもらいましょう。

便に血が混ざっている

便に血が混ざっているときも注意が必要です。以前から痔がある場合は、痔の悪化の可能性もあります。


また、大腸癌や直腸潰瘍などの病気の可能性もあり、詳しい検査が必要な場合もあります。便に血が混ざるような症状がでれば、かかりつけの産婦人科に相談してください。

妊婦の便秘で知っておくべき事3選

妊婦さんは、ホルモンバランスの変化やお腹が大きくなることで腸が圧迫され、便秘になりやすくなっています。


便秘による腹痛が起きたときは、お腹の赤ちゃんは大丈夫なのと心配になったり、不安になったりする方も多くいます。また、便秘がつらく、手っ取り早く便を出したいと思う方もいるでしょう。


ですが、妊娠中は気をつけなければいけないこともあります。ここからは、妊婦の便秘で知っておくべきことを3つ紹介します。

妊婦の便秘で知っておくべき事1:浣腸を使用しない

便秘で悩んでいる妊婦さんのなかには、浣腸してすぐに便をだしたいと思っている方もいるでしょう。ですが浣腸は、子宮の収縮を促すため流産や早産の危険があります。


自己判断で浣腸するのは、とてもリスクが高いので絶対にやめましょう。なお、頑固な便秘に悩まされている妊婦さんは、医師の管理の下で浣腸も使用できる場合があります。まずは、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。

妊婦の便秘で知っておくべき事2:妊娠中の便秘が原因で流産にはならない

妊娠中は、便秘によって腹痛が起きたりするので、お腹の赤ちゃんは大丈夫なのと不安になる方も多くいます。お腹の赤ちゃんに影響がでないのか心配という声もあります。ですが、便秘がお腹の赤ちゃんに大きな影響を与えたり、便秘が原因で流産するといったことはありません。


また、便秘になると、トイレで強くいきんでしまうこともありますが、妊娠後期でも、陣痛がきていない限りいきんでも出産になることはありません。

妊婦の便秘で知っておくべき事3:心配なら医師に相談する

妊娠中の便秘で、心配なことがあれば迷わずかかりつけの産婦人科に相談しましょう。


そして、ただの便秘と自己判断するのはやめましょう。特に、激しい腹痛・吐き気や嘔吐・発熱などは、ただの便秘ではない可能性もあります。また、便秘が長期間続くと、悪化してしまい合併症を引き起こす可能性もあります。


上記のようなことにならないためにも、気になる症状や便秘に悩まされたら、医師の診察を受けましょう。

便秘にならないように日頃から気を付けよう

妊娠中の腹痛の原因や、便秘の解消方法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


便秘にならないように、食生活に気をつけたり、適度な運動を取り入れましょう。便秘の原因や解消法は、個人の体質にもよりさまざまですので、この記事を参考にして、自分に合った便秘解消法をみつけましょう。


また、便秘になってしまった場合は、一人で悩まず、症状が悪化する前にかかりつけの産婦人科に相談することが大切です。