受精卵の着床に伴い、胎盤が作られ始めます。この胎盤から、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)というホルモンが作られ、血液の中や尿の中でhCGが検出されるようになります。
妊娠検査薬は、このhCGが尿の中に含まれているかどうかを調べることで妊娠の可能性をチェックする検査薬です。妊娠検査薬の精度は99%以上のものもあり、正しく使えば早期に妊娠の有無がわかります。
妊娠検査薬は高精度ですが、正しく使ってこそ、正確な結果が分かります。基本的な使い方は大体同じですが、尿をかける時間など、細かいところはそれぞれの製品によって違います。
検査薬の指定部分にきちんと尿をかけ、判定を待つときは検査薬を水平に置き、判定窓のラインで陽性か陰性かを確かめましょう。
妊娠検査薬がいつから使えるのかというと、生理予定日の1週間後からです。時期が来たら手順を守って使用してください。
指定された部分に尿をかけるようにしてください。取扱説明書に尿をかける場所や時間を示してありますので、事前に確認しましょう。
製品によっては容器に採取した尿に妊娠検査薬を浸して判定できるものもあります。この場合、採取する容器は清潔なものを使いましょう。
判定を待つ間は、妊娠検査薬を水平に置いておきます。どこかに縦に立てかけたり、斜めに置いたりすると正しい結果が得られない場合があります。検査をする前に、妊娠検査薬を水平に置ける場所を確保してから検査しましょう。
検査結果が出るまではむやみに触らず、そのままにしておきます。検査が終了したかどうかのサインが出る製品がほとんどですので、そのサインが出てから手に取ってください。
妊娠検査薬により、同じ窓に「確認」と「判定」があるものや、「確認」と「判定」の窓が別々になっているものもあります。どこに「判定」の結果が表れるのか先に確認しておきましょう。
「判定」の部分に縦ラインが入っていれば、陽性(妊娠の可能性あり)です。何もなければ陰性(妊娠の可能性は低い)となります。
判定窓のラインが薄い場合でも、製品によっては「薄くてもラインがあると陽性」と説明しているものもあります。
妊娠検査薬の正しい使い方を今まで見てきましたが、使うときに注意したいポイントも説明します。
尿は適量かける、フライングで検査をしないようにする、使用期限が切れた妊娠検査薬は使わない、結果が分かるまでの時間を守るの4つです。
これらのことは、正確に結果を出すために大切なことです。ここから、この4つのポイントを詳しく紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
妊娠検査薬にかける尿の量が少なくても正確な結果が出ませんが、かけすぎてもよくありません。取扱説明書に何秒以上は尿をかけないでくださいと明記している製品もありますので、事前にきちんと説明書を読みましょう。
尿をかけすぎた場合、判定の表示が見にくくなることもあるようです。正確な判定結果を出すために尿をかける決められた時間を守ってください。
妊娠検査薬を使うタイミングですが、生理予定日から1週間ほど経過してから使いましょう。それより先に検査をすると、検査結果が正しく出ないことがあります。
生理周期には個人差がありますので、自分の生理周期で生理予定日を計算しましょう。また、生理不順の人で生理予定日がいつか分からない場合は、早期妊娠検査薬を使うという手もあります。
妊娠検査薬にも使用期限があります。それをこえたものは検査の結果が正確に出ないこともあるので使うのをやめましょう。
使用期限内であっても、直射日光が当たるところや、湿気の多いところなどで保管されていた妊娠検査薬の場合は、結果の正確性が保証できなくなります。妊娠検査薬は、直射日光の当たらない涼しいところで保管してください。
使用する際には、使用期限内のもので適切に保管されていたものを使いましょう。
早く結果が知りたいという人もいるでしょう。しかし、結果が分かるまでの時間は守りましょう。尿をかけた後、水平な場所に置いて指示通りの時間、待ってください。
逆に置きっぱなしにして判定を見るのを忘れていたという場合も、正しい結果が分からないことがあります。製品によっては〇分以降の判定は避けてくださいと書かれているものもありますので、判定できる時間内にチェックするようにしましょう。
妊娠検査薬の精度がかなり高いとはいえ、妊娠検査薬で「陽性=妊娠確定」ではありません。妊娠の有無は病院に行って診察を受けてから確定します。
妊娠検査薬でラインが薄かったり、陽性判定だったのに妊娠していなかった、陰性判定だったのに妊娠していたということもあります。
判定と妊娠の有無のずれはどうして起こるのでしょうか。このようなケースになる可能性を説明します。
薄くても、ラインが出ていれば陽性という妊娠検査薬もあります。もし取扱説明書にそのように書かれていない場合は、いくつかの可能性が考えられます。
たとえば、水分の摂りすぎで尿の濃度が薄くなっていた場合、検査のタイミングが早すぎた場合です。
また、受精はしたものの、着床できなかった場合や、流産の場合なども考えられます。その他には、不妊治療でhCG注射をしているときも薄くラインが出ることもあるようです。
グレーの線が出ていたら、蒸発線の可能性もあります。蒸発線とは妊娠検査薬の検査時間が長すぎたなどの理由により、尿の水分が蒸発し、周囲の色よりも濃くなった線のことです。薬剤を貼っている糊の部分が溶けて線のように見えることもあります。
判定のラインは、通常終了確認のラインと同じ色ですので、それを目安にして区別してください。
多くの妊娠検査薬は正確さ99%以上といわれていますが、それでも陽性=妊娠とは限りません。いくつかの理由で間違った判定が出ることもあります。
尿の中のたんぱく質や糖の濃度が濃い場合は、妊娠検査薬の正常な反応を妨げます。受精卵が一旦着床するも、それ以上育たずに流産したり、何らかの病気の場合もhCGが分泌されるので、陽性になる可能性があります。
検査結果は陰性なのに妊娠していたということもありえます。検査をするのが早すぎたり、尿の濃度が薄すぎると、判定が陰性になることもあるようです。
またhCGの濃度が高すぎた場合も正確に判定できないこともあります。多胎児妊娠の場合、hCGの分泌が多くなり、陰性と判定されることもあります。その他、子宮外妊娠の場合なども陰性となることがあります。
通常の妊娠検査薬は生理予定日1週間後から使えます。通常のタイプは尿中のhCGが50mlU/ml以上で感知します。
しかし、早期妊娠検査薬を用いると、生理予定日の当日に検査できます。早期妊娠検査薬はhCGが25mlU/ml以上で感知できるからです。製品によっては生理予定日の数日前からでも検査できます。どうしても早く妊娠結果が知りたいときは、この早期妊娠検査薬を使いましょう。
生理予定日から使える早期妊娠検査薬ですが、買える場所は制限されています。
通常の妊娠検査薬は、コンビニやドラッグストアで買えますが、早期妊娠検査薬は薬剤師常駐のドラッグストアか薬局でないと買えません。
妊娠検査薬のしくみから、正しい使い方手順、使うときに注意したいポイント、結果の見方、早期妊娠検査薬の紹介などを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
早く妊娠の有無を確かめたい人も多いでしょう。その場合、検査のタイミングや方法を守って正確な検査結果を出すようにしましょう。
妊娠検査薬で陽性が出た場合は産婦人科を受診して、あらためて検査を受けましょう。