【専門家監修】葉酸はいつからいつまで?気になる4つの疑問や摂取すべき理由

そもそも葉酸とは?

葉酸とはビタミンB群に属している、水溶性ビタミンです。主にビタミンB12や赤血球の生産、細胞の生産・再生を促進する効果があると言われています。


植物の葉に多く含まれている葉酸は、妊活期から出産後初期までは積極的に取り入れたい栄養素のひとつと言われています。また貧血予防にも重宝するビタミンのひとつです。

厚生労働省も推奨している葉酸

妊娠する可能性がある年齢の女性に対しては、厚生労働省も積極的な葉酸摂取を推奨しています。のちに詳しく説明しますが、胎児が神経管閉鎖障害を発症するリスクを軽減する効果があるとされたためです。


このリスクを軽減する効果があると証明されたことで、2000年には妊娠の可能性がある女性は食事・栄養補助食品から1日400マイクログラムの葉酸摂取をするように通知が出されました。

葉酸はサプリで摂取するのがよい理由

厚生労働省においても、葉酸摂取は通常の食事だけではなく栄養補助食品を利用するように呼びかけています。それは水溶性ビタミンである葉酸は、調理段階で栄養素が溶け出しやすく安定した量の摂取が難しいためです。


モノグルタミン酸として消化吸収されるまでにさまざまな影響を受けるのも、摂取量にばらつきが出てくる理由となっています。栄養補助食品を取り入れれば、安定した量の葉酸摂取がしやすくなります。

葉酸はいつからいつまで摂取すべき?気になる4つの疑問

積極的な葉酸摂取は、早い段階から始めるのがおすすめです。出産を考えているのであれば、妊活中から葉酸を取り入れるのが良いでしょう。


葉酸はいつからいつまで摂取するべきなのか、摂取し始めるタイミングから期間などを紹介します。期間によって推奨する摂取量にも変化が出てくるので、注意が必要です。

葉酸はいつからいつまで摂取すべきか1:葉酸を摂取し始めるタイミング

葉酸を摂取し始めるタイミングは、早いに超したことはありません。胎児は妊娠4~5週で脳・脊髄のもとになる神経管が作られ、6週を迎えた段階でほとんど完成します。


しかし妊娠4週付近は、まだ自身が妊娠していると気づかない女性が多いです。そのため葉酸摂取をスタートする理想のタイミングは、妊娠する1ヶ月前と言われています。妊活を意識した時から、葉酸摂取は意識することがおすすめです。

葉酸以外の栄養摂取も大切

妊娠中は葉酸だけではなく、他の栄養素もバランス良く摂取しなければいけません。特に鉄分やビタミンC、ビタミンB、カルシウムは母体・胎児をサポートする重要な役割を果たします。


妊娠中の血液必要量は、通常時の3倍ほどです。貧血にもなりやすくなるので、鉄分が必要となります。その鉄分の吸収を手助けするのが、ビタミンCです。ビタミンBはエネルギー源となり、カルシウムは胎児の骨格を形成するのに必要となります。

葉酸はいつからいつまで摂取すべきか2:意識して摂取する期間

厚生労働省で推奨している期間は妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月までです。しかしこの期間はあくまでも神経管閉鎖障害のリスクを軽減するために推奨された期間となっています。


妊娠3ヶ月後も胎児の形成に必要な栄養素となりますので、摂取量を守ったうえで取り入れた方が良いです。いつまではこのくらいの量が望ましいなどの目安が出ているので、後ほど詳しく紹介します。

葉酸はいつからいつまで摂取すべきか3:出産後の摂取の有無

出産後も葉酸を摂取した方が良いと聞いたけれど、いつまでが良いのか気になる人も多いでしょう。出産後の葉酸摂取がいつまでが良いのかというと、授乳期間終了するまでが望ましいです。


いつからいつまでの葉酸摂取が望ましいかまとめると、必要量は時期によっては異なりますが妊娠1ヶ月前から授乳終了までとなります。


授乳期間は通常期よりも、多くの栄養素が必要となる時期であることを忘れないようにしましょう。

葉酸はいつからいつまで摂取すべきか4:時期ごとの摂取量

時期ごとに適正量が定められているので、下記で説明していきます。


時期は3段階に分けられますが、いずれも食事で摂取する葉酸は240マイクログラムが目安です。それプラス、妊娠1ヶ月前(妊活中)~妊娠3ヶ月は、モノグルタミン酸型葉酸を400マイクログラム、妊娠4ヶ月~出産時までは、天然葉酸を240マイクログラム摂取します。


授乳期は天然葉酸を100マイクログラム、摂取しましょう。

葉酸の摂取が必要な2つの理由

いつからいつまで葉酸摂取が必要なのかを知った後は、なぜ葉酸がここまで推奨されているのかをみていきましょう。葉酸の摂取が必要な理由は2つあります。


赤ちゃんの先天性リスクを軽減するだけではなく、母体の健康を維持するためにかかせない栄養素であるため下記で詳しく説明していきます。

葉酸の摂取が必要な理由1:赤ちゃんの先天性異常リスクの減少

妊娠超初期の段階でお腹の中では、胎児の細胞増殖が盛んに行われています。この時期において、DNA合成に携わっている葉酸は必要不可欠な栄養素であると言えます。


神経管が形成されるこの時期に葉酸が不足していると、形成不全になってしまい先天性異常が発生してしまうのです。これらのリスクを減少するために、葉酸摂取が推奨されています。


もちろん先天性異常は葉酸不足だけが原因ではありませんが、リスクは減少できます。

葉酸の摂取が必要な理由2:お母さんの健康維持

赤ちゃんのためだけではなく、お母さんの健康維持にもかかせない栄養素であるのが葉酸です。妊娠期は赤ちゃんに栄養を送っているので、通常期よりも多く必要となるのは当然のことと言えます。


ビタミンB12や赤血球の生産に携わっている葉酸が不足すると、貧血になりやすくなります。また貧血だけではなく、循環器疾患の発症リスクも高くなるので注意が必要です。


健やかな状態で出産を迎えるためにも、葉酸は摂取しましょう。

3つの時期からみる葉酸摂取の目的

葉酸摂取の適量は3つの時期に分けて先述しました。次はその3つの時期からみる葉酸摂取の目的についてみていきましょう。いつからいつまで葉酸が特に必要かと、推奨されているのには理由があります。


妊娠1ヶ月前(妊活中)~授乳期まで、葉酸が必要であることには変わりありませんが、理由はそれぞれ異なります。

葉酸摂取の目的1:妊活中から妊娠初期

妊活中から妊娠初期までの間は、何度も記述しているように神経管閉鎖障害のリスク軽減が目的となります。赤ちゃんの脳や脊髄を形成するために、葉酸が必要です。


妊娠に気がついた時には、葉酸を最も必要とする時期を過ぎている可能性があります。


そのため妊娠1ヶ月前(妊活中)から妊娠3ヶ月までは先天性のリスクを軽減するために、葉酸の摂取を心がけましょう。

葉酸摂取の目的2:妊娠中期から妊娠後期

妊娠中期から妊娠後期にかけては、母体の健康維持のために葉酸が必要となります。妊娠中は赤ちゃんとお母さんの分の栄養が必要です。


貧血になりやすいこの時期は、血液の生産をサポートする栄養素がかかせません。その栄養素のひとつとなる葉酸は、赤血球を作る働きがあります。妊娠中のマイナートラブルを防ぐためにも、葉酸の摂取をこころがけましょう。

葉酸摂取の目的3:授乳中

いつまで葉酸を摂取すれば良いのか考えた時に、妊娠期だけでピックアップされますが授乳中も必要な栄養素です。母乳を作り与え続けている授乳中も、葉酸は通常時よりも必要となります。


忙しさで自身の食事がおろそかになり、不足しがちな栄養バランスをしっかりと補いながら健康維持を心がけたい時期です。栄養バランスを考えた食生活が難しい時には、栄養補助食品やサプリメントに頼るのも良いでしょう。

葉酸が不足した場合に考えられる神経管閉鎖障害とは?

葉酸摂取が推奨されている理由は、神経管閉鎖障害のリスクを抑えるためがひとつの理由です。神経管閉鎖障害とは一体どのような症状なのでしょうか。


赤ちゃんにとって命に関わる症状が発生してしまうため、可能なかぎりリスク軽減対策を行いましょう。

無脳症

神経管閉鎖障害で考えられる症状のひとつが、無脳症です。無脳症とは神経管の上部に閉鎖障害が発生した時に、脳の形成異常が起きてしまうことを指します。


この症状が発生してしまうと、存命する事が難しくなってくるため注意が必要です。

二分脊椎

二分脊椎は神経管の下部に異常が発生した時に、発症するリスクが高くなります。脊椎の骨により脊椎組織が覆われていないことにより、発症する症状です。


二分脊椎が発症すると、下肢を中心とした運動障害や排泄障害が起こります。

葉酸をいつからいつまで摂取すべきか確認しておこう

赤ちゃんや母体の健康維持に大きく関係している葉酸は、いつからいつまでどのくらいの量を摂取するのかがとても大切です。


妊娠1ヶ月前(妊活中)から授乳期まで欠かせない栄養素となるので、食生活だけではなく栄養補助食品などに頼りながら必要量を摂取していきましょう。