【専門家監修】つわりがあるとき仕事はどうすればよい?乗り切り方5つと休む目安

つわりとは

つわりとは、妊娠の初期に起こる吐き気や気持ち悪さ、だるさなどの症状のことです。


つわりの症状は個人差が大きく、つわりがひどい人がいればまったく起こらず仕事にも支障がでない、という人もいます。つわりの症状自体もさまざまなものがあり、どんな症状がでるのかも違います。

つわり中の仕事には多くの女性が悩む

妊娠初期のつわりがある時期は体調不良により、これまで通り仕事することが困難で、多くの女性が仕事と体調の間で悩みを抱えてしまうことがあります。


つわりは妊娠初期特有の症状で、この時期は外見から妊娠の有無を判断することはほぼできません。しかし、女性の体にはしっかりと妊娠による症状が現れます。妊娠前と同じように仕事することが困難で、妊娠と仕事をどう両立させていけばいいのか悩むでしょう。

つわりの症状を仕事先にうまく伝えられないとき

つわりが辛く仕事と板挟みになっているのにその症状をうまく伝えられない時は、「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用してみましょう。


母性健康管理指導事項連絡カードは、医師等が妊娠中または出産後の女性の状態についてや必要な措置などを、事業主に伝えるために用いられるツールです。仕事先につわりのことを上手く伝えられない女性は、主治医にそのことを相談し、母健連絡カードを利用することを検討してみてください。

つわりがあるときの仕事の乗り切り方5つ

つわりがある時期は、妊娠前と同じように仕事することは困難になる可能性が高いでしょう。ここでは、そんなつわりの時期の仕事の乗り切り方について紹介します。


つわり時期の仕事の乗り切り方はいくつかありますが、周囲の理解や協力が必要なものが多いため、きちんと相談しておくことが必要です。忙しい職場では迷惑をかけることもあるため、つわりの症状が重い場合は無理しない方がよいでしょう。

つわりがあるときの仕事の乗り切り方1:出勤を工夫する

つわりの症状が重い場合、通勤が辛い場合には一時的にテレワークにしてもらったり、通勤時間をずらして混雑しない時間帯に出勤するなど工夫してみましょう。


つわりの症状の中には匂いに敏感になる「においづわり」があり、通勤電車で気持ちが悪くなったり人混みが怖い、きついといったことが起こります。そのせいで仕事に行けないようになるよりは、出勤方法を工夫した方がよいでしょう。

つわりがあるときの仕事の乗り切り方2:体調に気をつけた働き方をする

体調に合わせて早退や遅刻を認めてもらうなど、働き方にも工夫してみましょう。仕事場の理解を得られるかどうか心配な場合は、「母性健康管理指導事項連絡カード」を提出するのも効果があります。


決して甘えや仕事が嫌いだというのではなく、妊娠によるつわりの症状でいつも通りの業務ができないのだ、ということを認めてもらうことが大切です。体調に合わせて働けるよう、フレックスタイムの許可をもらうことも有効でしょう。

つわりがあるときの仕事の乗り切り方3:仕事中もなにかを口にする

空腹になると気持ちが悪いという「食べつわり」の場合は、仕事中も手軽につまめるお菓子や軽食を用意して口にするようにしましょう。


食べつわりの症状があるのに、昼食時まで何も口にできないというのでは辛すぎます。症状を軽くするためにも、仕事の合間に食べられる程度のお菓子を常に常備しておくと、安心でしょう。ドライフルーツや昆布のお菓子などがおすすめです。

つわりがあるときの仕事の乗り切り方4:楽な姿勢をとる

つわりで仕事中に辛くなった場合は休憩時間を設けてもらい、楽な姿勢をとられる時間を作るようにすると楽になるでしょう。


気分が悪くなったり気持ちが悪くなっても、楽な姿勢をとって少し休憩すれば体調が改善することがあります。母性健康管理指導事項連絡カードで仕事中に休憩をとる必要があることを伝えてもらうことで、仕事中でも休憩時間をとりやすくなります。ぜひ検討してみてください。

つわりがあるときの仕事の乗り切り方5:思い切って休職する

つわりの症状が重く仕事が困難な場合、医師から自宅で安静にするよう指示があったような場合には、思い切って休職することを検討してみましょう。


つわりで休職すると収入面で心配な場合がありますが、条件を満たせば「傷病手当金」の支給対象になれます。つわりの症状があまりにも重く、仕事する上で困難だと感じた場合は医師に相談し、母性健康管理指導事項連絡カードで指導してもらいましょう。

仕事を休んだ方が良いつわりの目安

仕事を休んだ方がよいつわりの症状とは、嘔吐を繰り返して食事も水分もとれない場合、めまいや頭痛が酷い場合、体重が非妊時の10%程度減ったり体がだるすぎたりする場合です。


症状が重ければ休んだ方がいいといっても、自分の症状が当てはまるかどうか分かりにくいものです。つわりは個人差が大きいですが、以上のような症状があった場合は、休んだ方がよいでしょう。当てはまる項目がないかチェックしてみてください。

つわりが辛いとき仕事を休んだ方がよい期間

つわりが酷くて休職した場合、どのくらい休んだ方がよいかというと一般的には安定期(妊娠15週)に入るまで、となっています。


ただし、つわりは症状だけでなく起こる期間も個人差が大きいのが特徴です。仕事をいつまで休んだ方がよいのかは妊婦さんそれぞれによって違いますし、会社の事情によっても変わるでしょう。主治医の判断をあおぎ、会社の上司や人事部などと相談してみることをおすすめします。

診断書のもらい方とは?

会社に提出する診断書が欲しい場合は産婦人科で出してもらえますが、母性健康管理指導事項連絡カードを出してもらうこともできるため、相談しましょう。


母性健康管理指導事項連絡カードと診断書は同等ですが、どちらかというと母性健康管理指導事項連絡カードの方の判断が優先される傾向にあります。母性健康管理指導事項連絡カードが提出された場合、事業主は適切な措置を講じなければならないからです。


また、診断書は産婦人科にかかった際にその用途を説明することで、発行してもらうことが可能です。

つわり以外にも仕事を休職する妊娠症状5つ

妊娠中に休職する可能性があるのは、つわりだけではありません。ここから紹介するような症状がでた場合も、無理をせず休職した方がよいでしょう。


つわりが悪化した重症妊娠悪阻から、すぐに適切な処置が必要な切迫流産や切迫早産などについて、紹介します。

つわり以外の妊娠症状1:重症妊娠悪阻

重症妊娠悪阻(にんしんおそ)はつわりが重症化した症状であり、常に吐いて食べ物も飲み物もとれなくなったり、体重が減少してしまったり、脱水症状を起こすことを言います。


つわりの重症版ですが、症状が重いため病名がつきます。よって、適切な治療を受ける必要があります。

つわり以外の妊娠症状2:妊娠高血圧

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降に高血圧を発症することです。


自分の血圧は高くないから平気だ、とは安心しない方がよいでしょう。もともと高血圧な人は「高血圧合併妊娠」であり、妊娠高血圧症候群ではありません。


元は正常な血圧だった人が妊娠後に高血圧になるケースを指します。症状によっては入院する必要があるため、体重コントロールを気を付けるなど注意しましょう。

つわり以外の妊娠症状3:妊婦貧血

妊婦貧血はその名の通り、妊娠中に貧血の症状が現れることを言います。もともと女性は男性と比較すると貧血になりやすいと言われていますが、妊娠中はとくになりやすいため、注意が必要です。


妊婦貧血になった場合は妊婦さんには貧血の症状が現れる他、強度の貧血の場合には、早産や胎児の成長が緩慢になる可能性が出てきます。

つわり以外の妊娠症状4:切迫流産

切迫流産は妊娠22週未満の時点で流産しかかっている状態のことで、下腹部のはりや痛み、出血などが見られます。切迫流産と言われた段階では、流産している訳ではありません。


妊娠初期の流産は胎児の問題であることが一般的であり、薬剤での治療は行われないことが多いです。

つわり以外の妊娠症状5:切迫早産

妊娠22週~36週という胎児の機能が完成されていない時期に、出産の兆候が見られる状態のことを言います。


通常、赤ちゃんは妊娠37週ほどで体の機能を作り終えると言われています。37週未満ではまだ赤ちゃんの体の機能は作り終わっていない可能性があるので、なるべく出産時期を引き延ばす必要があります。


妊婦健診を受けることと、安静にしてもおさまらないお腹の張りや出血がみられたらすぐに病院に連絡しましょう。

つわりがあるときの仕事の乗り切り方を知ろう

つわりの症状が出た場合、体調面だけでなく精神的にも辛いと言われています。つわりが起こる妊娠初期は妊娠していても外見の変化がなく、周囲からは変わったようには見えないというのがその一因にあるでしょう。


つわりは無理しないことが大切なので、母性健康管理指導事項連絡カードや診断書を活用して周囲の理解を得て、仕事を乗り切っていきましょう。