妊娠すると女性ホルモンの影響などによる体調の変化や、それに伴うストレスや不安によって憂鬱な気分になりやすくなります。情緒不安な状態が長期間続く人もいますが、ほとんどは一過性であることが多く、特に妊娠初期と妊娠後期の時期に陥りやすくなります。
妊娠初期ではつらいつわりに耐え続けなければならない苦痛と、妊娠後期では大きくなるお腹を抱えながらの産後の準備や育児への不安などが主な原因でしょう。
妊娠中期間中は、愛おしい我が子に早く会いたいと願う一方で、お腹の中の赤ちゃんをしっかり守らなければならないというプレッシャーを感じる人も少なくありません。妊娠出産の経験がある人でも、初産であっても、妊娠期間中は常に様々な不安がつきものです。
妊娠中は不安だけでなく、食欲がなくなったり、眠れなくなり睡眠不足に陥ってしまったりと、様々な症状を経験します。
特に初産である場合は、妊娠、出産、育児と、現状やこれからのことが未知なことだらけで、様々なことを不安に感じてしまいます。出産時の痛みに耐えられるのか、健康な赤ちゃんを産めるのかなど不安になる要素も多くなります。
また、妊娠期間中も仕事を続けている人は体調不良時も休みにくいことや、産休を取りたくても産後復帰できるかが不安でなかなか言い出せないという人も少なくありません。
妊娠初期の症状につわりがあります。吐き気、嘔吐、様々なにおいに敏感になるなどがよくある症状ですが、食欲不振も症状のひとつと言われています。
食欲がなくなると、体重が減り赤ちゃんへの影響を考えて不安になりますが、無理して食事する必要はありません。妊娠初期のうちはまだ、お母さんの食事から赤ちゃんに与える影響はそう多くはないからです。
ただ、脱水症状にならないように水分はしっかり摂るようにしましょう。
妊娠中は様々な要因で睡眠不足になりがちです。初期では、お腹が大きくなり始めると運動量が減り、その分疲れも少なく眠れなくなります。
また、後期では大きなお腹に圧迫されて寝返りがうちにくかったり、近々くるであろう陣痛に神経質になったりして、安心して眠れないこともあります。
睡眠不足になると、胎児に栄養をスムーズに届けられない可能性もあります。
妊娠中に起こる憂鬱の原因として考えられることが、妊娠により変化するホルモンバランスや、プレッシャーや不安からくるストレスによるものが大きいと言われています。
ホルモンバランスの変化も大きく関わっていることから、妊婦さんの性格とは関係なくどんな人にでも起こりやすい症状です。原因を知りあまり不安にならずに対処するようにしましょう。
妊娠すると胎児を守るために女性ホルモンが多量に作られ始めます。このホルモンバランスの変化が、体調不良や情緒不安定になってしまう大きな原因ともいわれています。
また、ホルモンバランスの変化によりそれまでは耐えられていたストレスも、脳が耐えられなくなりストレスに対する抵抗力が減ってしまうことも原因のひとつです。ストレスをうまく処理できなくなり、ネガティブ思考に陥りやすくなります。
妊婦のストレスの原因は様々で、妊娠初期から出産を経て産後時期まで常に不安と向き合わなければなりません。特に初産であればなおさらです。
妊娠初期ではいつまで続くかわからないつらいつわり、体調や体型の変化による戸惑い、また、出産や育児が不安だと思い続けて過ごす人も少なくありません。さらに、産後では体の疲労や睡眠不足に悩まされる人も多くそういったストレスが続くと、精神面も不安定になりがちです。
妊娠を知った当初は嬉しくて幸せを感じられたのに、つらいつわりや情緒不安定な状態が続いてしまうと、妊娠をポジティブなこととして捉えられなくなってしまいます。憂鬱な気分はできるだけ早めに対処することで、妊娠中の鬱が発症するリスクを抑えられます。
ここでは、その解消方法を7つ紹介します。妊娠中のネガティブな思考や胎児にもよい影響を与えないので、是非参考にして憂鬱気分を解消するようにしましょう。
家事や仕事は、ただでさえ労力を使うことです。妊娠中となれば負担は大きく思うように動けないことも多いでしょう。そんな時は無理をせずに家事も仕事も周囲に頼る、完璧を求めないなど、自分に出来る範囲で動くようにしましょう。
それを習慣にできれば、心にも少し余裕ができて妊娠中憂鬱になることも少なくなるはずです。
周囲に協力してくれる人がいるなら甘えてみることです。また、家事は手の抜き方を覚えることも大切です。食事に冷凍食品を使ってみてもいいでしょう。掃除は毎日しなくても大丈夫、洗濯も溜まってからでいい、そんな風に割り切ってみましょう。
無理に動くとそれがストレスとなり蓄積されてしまいます。周囲に頼る人もおらず、散らかった部屋では気が休まらないという人は状況が許せば家事代行サービスを利用する方法もあります。
妊娠初期ではつわりなどで体調不良をおこしやすい時期なので安定期に入る前に上司や同僚に妊娠を伝えておくと、体調を気遣ってくれることもあるでしょう。安定期に入っても妊娠中はいつもより疲れやすくなっています。疲れたらこまめに休憩を取ることも大切です。
つわりでまともな食事ができていない、ストレスが多い職場であるなどの場合は思い切って休む選択も必要です。症状によっては安静にする必要もあるため無理は禁物です。
妊娠中は、体調不良やお腹が大きくなることで、妊娠前と比較すると運動量が減りがちになります。体を動かすことは、ストレス解消にも効果的なので、少しずつでも体を動かす努力していきましょう。
激しい運動でなくても構いません。近所を散歩したりヨガや軽いストレッチをしたりするだけでも充分効果的です。その中でもヨガは、妊娠中でも負担の少ない動きと、精神面でもリラックス効果があるので特におすすめです。
憂鬱な気持ちは、一人で抱え込まず、家族や友人に話しをするようにしましょう。気持ちを共感してくれるママ友や、初産であれば妊娠出産経験者に不安を聞いてもらっても良いでしょう。
不安があればその都度、解決できるようにしておくことが憂鬱な気持ちを持続させないためのポイントです。愚痴や不安を吐き出せる相手がいないという場合は、SNSなどを利用して同じ悩みを持つ人達と触れ合ってみても良いでしょう。
普段なら職場や家庭でもマイナス感情はあまり表面に出さないようにしてしまうものです。しかし、妊娠中だけは特別だと割り切って、思い切ってつらい気持ちを外に出すようにしてみましょう。
特に妊娠中は情緒不安定になりがちです。急に涙が出てきたり、物事を悪い方に考えてしまったりします。そんな気持ちを言葉にしたり、紙に書き出したりしてみましょう。感情を外に出すことは平常心を取り戻す効果的な方法です。
不安やストレスを解消したいけれど、身近な人に心配や迷惑をかけたくないという人は専門家に相談してみても良いでしょう。専門家になら適切なアドバイスを求めることも可能であり、身内や友人と話すよりも素直に受け入れられるかもしれません。
家庭支援センターの利用や、検診の際助産師さんに相談してもみてもよいでしょう。気構えずに気楽に相談してみましょう。
妊娠中に起こる憂鬱な症状は、ホルモンバランスの変化によって引き起こされることです。妊娠してからの身心の変化に戸惑う人も少なくありませんが、それは妊婦さんの性格に影響されて起ることは少なく、生理現象のひとつでもあります。
つまり、自身の心が弱いと感じたり、自身の考え方を否定したりすることはありません。ホルモンバランスの変化により誰もが経験してもおかしくない症状だと認識しておきましょう。
自分が今どうして憂鬱な気分になっているのか、その原因は何なのか冷静に考えてみましょう。今モヤモヤしている事や、不安に思っている事など心の中にある感情と向き合い、それらを客観的に感じてみます。
問題を客観的に見られれば、解決方法が見えてきて次にやるべきことが自然に導かれるでしょう。そうすることで、マイナス感情の悪循環から抜け出すことも可能になってくるはずです。
妊娠中に憂鬱な気分になる可能性は誰にでもありますが、憂鬱な気分になりやすい人にはいくつかの特徴があります。
ここでは、妊娠中に憂鬱な気分になりやすい人の特徴を3つ紹介します。
責任感が強い人は、頼まれると断れないことや、期待されればそれに応えようと必死で頑張る傾向があります。これまで努力次第でそれらをクリアしてきたことから、妊娠中でその習性が抜けず、しっかりと期待に応えようとします。
しかし、妊娠中ではそれまで出来ていたことも大きな負担になることがあります。それを無理して引き受けてしまったり、期待に応えられなかったりすることがストレスとなり、憂鬱な気分になってしまいます。
何事にも手を抜かずに一生懸命で真面目な人ほど、いざという時も臨機応変に対応できず、疲れ果ててしまうことがあります。
仕事に加えて家事や育児を両立している人は多いですが、最近ではワンオペ家事になっている人も少なくありません。真面目な人はそんな状況でも手を抜くことなく家事でも仕事でも誠実にこなしていきます。
しかし、それを続けてしまうと肉体面だけでなく精神面まで疲れ果ててしまうでしょう。
PMSやPMDDは、月経前になると身心に、うつに似た症状が現れることがあります。日常生活に支障がない範囲であればPMS、その症状が日常生活に支障をきたすようであればPMDDと診断されます。
月経前に変化する女性ホルモンの影響によるものと言われており、妊娠により多量に分泌されるホルモンと同じものです。つまりPMSやPMDDの症状があった人は妊娠中も同じ症状に陥りやすいといえるでしょう。
普段、ポジティブに物事を考えられる人なら特に、妊娠中の憂鬱な気分を経験すると戸惑ってしまうでしょう。そんな憂鬱が続くと産後うつのリスクが高まるともいわれています。原因は妊娠によるホルモンバランスの変化だと認識して、慌てずに対処するようにしましょう。
身心共に健康的に過ごすことは、赤ちゃんにとっても良いことです。無理をせず心のケアを大切にしてストレスや不安はその都度解消するようにしましょう。