生理前や生理中の「体調の変化」は女性の誰もが1度は悩む現象でしょう。特に「お通じ」の変化に悩まされている方は多いのではないでしょうか。今回は生理前や生理中の「お通じ」の悩み対処法について、紹介していきます。
女性ホルモンと呼ばれる数種類のホルモンの変化により、生理は起こります。生理期間に多く分泌される「プロスタグランジン」や「プロゲステロン」は胃腸機能にも影響を及ぼします。
そのため、生理前や生理中の便秘や下痢というお通じトラブルは多くみられます。
生理前の便秘には「プロゲステロン」が影響します。
「プロゲステロン」は排卵から生理前にかけて分泌され、黄体ホルモンとも呼ばれます。受精卵が着用しやすいよう、子宮内膜を厚くする働きがあります。
また、妊娠を維持するために子宮収縮を抑える働きがあり、この作用が大腸まで影響を与え、腸の動きが鈍くなることで便秘が生じるといわれています。
生理中の下痢には「プロスタグランジン」が影響します。
排卵期に妊娠せず、受精卵が生成されないと、「プロスタグランジン」というホルモン分泌が増加し、黄体期に入ります。このホルモンには、不要になった子宮内膜を排出し、子宮収縮を促す作用があります。
プロスタグランジンの働きが腸まで影響を及ぼし、生理前とは反対に腸の動きが活発になることで、下痢を引き起こすといわれています。
生理前や生理中のお通じトラブルは誰もが経験することです。
ホルモンバランスによる影響ですので、個人差がありますが、日ごろの生活習慣や環境を整えることでトラブルは軽減します。
今回はお通じの悩み対処法を9つ紹介していきます。
便秘になると、お腹の張りや肌荒れなど、もやもやしてしまいがちです。便が出ないのにいきみ続けると、痔になってしまうこともあります。生理前のお通じを少しでも改善するための方法をいくつか紹介いたします。
便秘は腸の働きが鈍くなることで、腸の内容物が停滞し、内容物から水分を過剰に吸収することでお通じが悪くなることで生じます。
お通じの水分量を増やすことで、お通じが良い状態になります。いつもより少し多めに、1日1.5~2L程度の水分摂取を心がけましょう。
ただし、コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは生理痛を増強させる可能性があるので、のみ見過ぎには注意が必要です。これらの飲み物とは別に1.5~2Lの水分摂取をするようにしましょう。
生理前に分泌される「プロゲステロン」の影響で腸の血流が滞ることで、腸の動きが停滞します。
軽く汗ばむ程度、無理のない範囲でウォーキングや軽いランニング等の運動を行い、腸の動きを活性化させましょう。
また、腹筋を鍛えることで、普段の生活でもお通じを良くすることができます。筋肉の増加は新陳代謝の向上にもつながり、血の巡りもよくなります。
腸に沿ってマッサージを行うことで、腸を刺激し、動きが活性化されます。
痛みを伴わない程度に、腸の走行に沿っておへその下を起点にして、「の」の字を描くよう、時計回りにマッサージをしましょう。
この時、お腹に力を入れないように仰向けで膝を立てた体勢で行うとよいです。
便秘が続いている際は、便秘薬を活用するとよいでしょう。
特に「酸化マグネシウム」は非刺激性の便秘薬であり、腸の中にある便に水分を与え、便を柔らかくすることでお通じを促す効果があるので、デリケートな生理前にもおすすめです。
便秘は肌荒れや腹痛の原因にもなりますので、無理せず便秘薬を活用していくことも大切です。また、便秘薬として使われるマグネシウムは皮膚からも吸収することができます。マグネシウムを多く含む入浴剤を選び、バスタイムを楽しんでみるのもよいでしょう。
ただしマグネシウムは水分が足りていないと意味を為さないため、酸化マグネシウムを内服していても1.5~2Lの水分摂取は必要です。
生理が始まると途端にお腹が緩くなり、下痢になりやすくなります。生理中は精神的にも不安定になりやすく、ストレスから下痢になる場合もあります。ちょっとした工夫でも症状の緩和につながるので、ぜひ試してみてください。
生理中は、血流が滞りやすくなることから、身体の冷えを感じる方が少なくありません。いつも以上に、お腹を冷やさないように注意しましょう。
腹巻や発熱インナー、カイロなどを上手に活用して、お腹を温めましょう。温めることで血の巡りが良くなり、生理痛の緩和にも効果があります。
下痢になりにくい、消化の良い食べ物を選んで食べましょう。食べ過ぎや早食いは消化不良の引き金になり、腸内にガスが充満します。そのガスが腸を過剰に刺激し、腸の異常収縮が起こることで下痢になりやすくなります。
胃腸に負担をかけないように、腸の働きを整える水溶性食物繊維を多く含む野菜や果物をよく噛んで、ゆっくり食べるように心がけてください。野菜の中でも根菜類は身体を温める効果があるので、積極的に摂取しましょう。
生理前や生理中は、ストレス発散のために、アルコールを摂取したくなるかもしれません。しかし、生理中はアルコールの摂取をなるべく控えてください。アルコールを大量に体内に取り込むと、腸から体内への水分の吸収機能が上手く働かなくなり、下痢を起こしやすくなります。
また、経血によって、身体を巡る血液が少なくなっている生理中は、普段よりもアルコールの分解速度が遅くなります。同時に、アルコールの利尿作用によって脱水症状にも落ち入りやすい状態です。
絶対にアルコールを摂取してはいけない、というわけではありませんが、一緒にお水も飲むなど上手にお付き合いをしてください。
辛いものは、胃腸に強い刺激を与えることから、下痢を引き起こしやすいです。辛いものには、カプサイシンという辛み成分が含まれています。カプサイシンは交感神経を刺激し、腸の動きを活発化させる効果があります。生理中は腸の動きが活発になっているので、カプサイシンの働きによって、腸が過剰に活性化して下痢になりやすくなるのです。
生理中は、七味唐辛子やにんにくなど、香辛料は控えめにするよう心がけましょう。
急な下痢が起こった時のため、お守りとして下痢止めを常備しておくことをおすすめします。通勤や通学中などでも飲みやすいように、水なしで飲めるタイプが便利です。
下痢を含む生理中に起こる不調は、プロスタグランジンによって引き起こされます。下痢止めだけでなく、プロスタグランジンの分泌を抑制できる鎮痛剤があると、より安心です。
生理前や生理中では、異なる2つのホルモンの働きによって、便秘と下痢という正反対の症状が引き起こされます。しかし、生理前や生理中を通して、お通じ改善のためにできることがあります。これから、5つの対策をご紹介します。
生理中は、普段よりも身体を冷やさないように注意しましょう。体が冷えると血行が悪くなり、お通じや生理痛を悪化させる原因にもなります。
人間の身体には、首・手首・足首の3つの首があります。これらの首の周辺には太い血管があり、しっかり保温することで、効率的に身体を温めることができます。
また、温かめのお風呂にゆっくりつかることで、リラックス効果も得られます。
生理前や生理中は、エストロゲンやプロゲステロンの影響により、基礎体温が変化します。日中でも眠くなったり、夜寝付きにくくなるのは、この体温の変化が原因です。過度な睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、下痢や便秘を引き起こします。
良い睡眠のためには、活動をする日中にしっかりと太陽の光を浴び、就寝前の夜中には部屋を暗めにしてリラックスできる環境を作るなど、オンとオフのメリハリをつけることが大切です。
発酵食品を食べて、腸内環境を整えることは、お通じ改善につながります。発酵食品には乳酸菌をはじめとした、善玉菌と呼ばれる微生物が多く含まれます。体外から善玉菌を摂取することで、腸内に存在する善玉菌を増やし、腸内環境を良くすることができます。
発酵食品は、味噌や納豆、キムチ、ヨーグルトなどです。普段の食生活にもぜひ取り入れてみてください。
ストレスは自律神経に影響を与え、お通じにも関係します。お通じに重要な腸の働きは、自律神経によってコントロールされています。ストレスによって自律神経の働きが乱れると、便秘や下痢を引き起こすことがあります。
ストレスが溜まると睡眠障害や肌荒れなど、多くのトラブルにつながります。なるべく溜め込まず、ケアをすることが大切です。
整腸剤は、便秘薬と異なり、自然に近いお通じを促進するものです。整腸剤には、乳酸菌やビフィズス菌などさまざまな菌が含まれており、ドラッグストアやスーパーなどでは、さまざまな種類の整腸剤が販売されています。
どの整腸剤が自分に合うのかは、個人個人によって異なります。最低でも2週間ほど、同じ整腸剤を試して自分に合うかを確かめてください。
生理前や生理中は、身体や心の変化がつきものです。上記で紹介したように、食生活や体温管理等を見直すことでお通じの悩みが軽減される可能性があります。
生理前後には体調管理に気を配って健やかな生活を送りましょう。