妊婦を悩ませるのが足がだるい、むくみなどの症状です。特に妊娠後期になると子宮が大動脈やリンパを圧迫することで血の流れが滞り、手足のむくみに悩まされる方が多くいます。
足がだるい、むくみなどの症状をそのままにしておくと気分も体調も優れません。原因を知り、解消する方法を知ることが大切となってきます。
今回は妊婦の足がだるい、むくみなどの悩みに効果的な解消方法などを紹介します。
血流を全身に流す心臓が大きくなったお腹により圧迫されることで、妊娠後期は特にむくみやすくなるといわれています。むくみが現れる部分は、顔や手など個人差がありますが、多くの人は下半身がむくみやすくなります。
妊娠後期にむくみやすいのは、大きくなったお腹だけが原因ではありません。運動不足や食生活がむくみやすくなる理由でもあります。
靴下の跡が戻らない、指で押した跡が戻らないなどの症状があります。
妊婦はよくあることだからと、足がだるい・むくみの症状を軽くみてはいけません。それらの症状と急激な体重増加やめまい、高血圧などがみられる時は要注意です。
自覚症状がないまま、病気になっている場合もあるため足がだるい・むくみの症状が気になる人はかかりつけの医師に相談しておくのもよいでしょう。病気をそのまま放置してしまうと、母体だけではなく、お腹にいる赤ちゃんにも危険を及ぼす可能性があります。
蜂窩織炎は皮膚や、皮下脂肪に細菌が感染することで炎症を起こす病気です。足に発症しやすく、患部は赤く腫れる・熱をもつ・痛みが現れるなどの症状がでます。
進行すると関節痛や発熱など、全身に症状が現れてきます。足のむくみなどと共に、全身のだるさも感じられたら蜂窩織炎の可能性があるので、速やかにかかりつけの医師に相談しましょう。
昔は妊娠中毒症とも呼ばれていた妊娠高血圧症候群は妊娠20週~出産後12週まで血圧が高くなる症状のことを指します。発症する原因は解明されていませんが、20人に1人の割合で現れる病気だといわれています。
この病気が悪化すると目がチカチカするなど視神経に影響したり、頭痛など脳神経にも影響することがあります。
自覚症状がないことも多いですが、頭痛や急激な体重増加も見られたら医師に相談した方がよいでしょう。
下肢静脈血栓症とは静脈に血栓ができることで、血流が滞ってしまう病気です。むくみだけではなく、患部は痛みを感じたり赤くなったりすることがあります。
長時間同じ姿勢のまま足を動かさない、外傷などが原因による炎症で発症することがあります。最悪の場合、足にできた血栓が肺に詰まるなどし呼吸困難になる場合も考えられます。疑われる自覚症状があった場合は、きちんと医師に相談しましょう。
病気の可能性がなく妊娠期によくある足がだるい・むくみなどの症状は、自身の生活習慣で解消することができます。
湯船にゆっくり浸かったり、適度なマッサージやストレッチをしたりするとむくみの解消だけではなく、妊婦中の気持ちのリフレッシュにも繋がるのでおすすめです。無理の無い範囲で、できることから実践してみましょう。
途中でお腹のハリなどの異変が出てきたら、中断して安静に過ごしてください。
体が冷えてしまうと、血流が悪くなりむくみに繋がるといわれています。血流をよくするために、入浴は効果的でしょう。
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かりながら、足を優しくマッサージしましょう。熱めのお湯にしてしまうと、妊婦の体に負担がかかってしまうので注意が必要です。
体の冷えは冬に起こることだけではありません。エアコンなどにより、夏も体が冷えてしまうこともあるので、1年中気をつけなければならないでしょう。
食生活に気をつけることも、足がだるい・むくみの解消につながるといわれています。特にむくみの原因となりやすい塩分を輩出する働きがあるカリウムが含まれている食材は、積極的に摂取しましょう。
カリウムはバナナやきのこ、豆類、トマトジュースなどに多く含まれています。また代謝を促す筋肉の素となる肉・魚などもバランスよくとることも大切です。
塩分を過剰に摂取してしまうと、むくみやすくなるので味つけにも気を配りましょう。
軽くマッサージをすることも、足のむくみの解消に繋がります。マッサージをしやすいようにオイルやボディクリームなどを使うのがおすすめです。好きな香りにすると、リラックス効果も得られるでしょう。
くるぶしから太ももにかけて優しくさするように、マッサージするだけです。気持ちいいと感じるくらいの力加減で、優しくさすってください。足がだるいと感じる時にもおすすめです。
靴や靴下はゆるめの物を選ぶと、むくみの解消に繋がるといわれています。きつい靴下は血流が滞ってしまう原因のひとつです。むくみが気になる時には、締付けがあまりないものを使用すると、楽になるでしょう。
またむくみ解消のために着圧ソックスを使用することは制限されていませんが、きつくなりすぎないように正しいサイズのものを選びましょう。
妊婦も適度な運動が大切です。全身に血液を送り出す働きをしているのは、心臓だけではありません。ふくらはぎもポンプ的な役割を果たしています。
運動不足になるとふくらはぎの機能が低下し、血流が悪くなるといわれています。適度な運動をして、ふくらはぎを使いましょう。10分ほど近所をゆっくり散歩したり、プールで歩いたりするのがおすすめです。
無理はせず、体調に異変を感じられたら、すぐに中断してください。
妊婦でもお腹に負担がかからない範囲のストレッチはおすすめです。無理な体勢になったり、お腹に負担がかかったりしない範囲でゆっくりと行いましょう。
足がだるい・むくみが気になる時にはあぐらをかいた姿勢で足を上下に動かしたり、仰向けになった状態で片足ずつ交互にあげたりするストレッチが効果的です。股関節を動かすことで、全身の血流がよくなるでしょう。
妊婦に限ったことではありませんが、塩分のとりすぎはむくみに繋がります。成人女性の1日あたりの塩分摂取量は7g未満となっています。
インスタント食品は塩分が過剰に含まれていることが多いので、控えたほうがよいでしょう。また塩分を摂った際にはカリウムが含まれている食材も意識して摂取することが大切です。
足がだるい・むくみの解消に効果的な方法を紹介しましたが、気をつけなければならない注意点もあります。自身が効果的だと思っていても、間違った方法は体に思わぬ負担をかけてしまうので注意が必要です。
例えばマッサージを行う時には、強い力を入れてしまうと足を痛めてしまうことがあります。入浴をする時もお湯が熱すぎると、貧血などの原因になってしまいます。正しい方法で実践していきましょう。
妊娠中にもマッサージやエステに行くことは可能です。しかし施術の際には必ず、妊娠中であることを伝えましょう。
また施術中に少しでも異変を感じた時には、中断しなければなりません。マッサージやエステはむくみにも効果的な上に気分転換にもなるので、妊娠中の楽しみのひとつとして取り入れるのもおすすめです。
食欲がわかない時や、食事で必要な栄養素が摂れない時にはサプリメントや漢方に頼るのもひとつの手段です。しかし体によかれと思ったことでも、妊娠中には負担になってしまうことがあるので注意が必要です。
サプリメントには複合的に栄養素が含まれていることがあります。また漢方は妊婦が使ってはいけないことが多いです。使用する前に、必ず医師に相談してから服用しましょう。
足がだるいと感じたり、むくみがひどかったりする時には、食べ物や生活習慣を見直してみましょう。簡単に取り入れられる方法で、むくみなどが解消できます。
また足のむくみが危険な病気のサインになっていることもあるので、妊娠中は特に自身の体調の異変に気づくことが大切です。自分自身と向き合いながら、健やかな妊娠生活を過ごしましょう。