妊娠期間は週数によって、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期の3つに分かれています。
妊娠とは、最後に生理があった日から分娩に至るまでの期間をいい、個人差はあるものの、およそ10ヶ月程度で出産を迎えます。妊娠期間によって、変化する体の状態や気をつけることは違います。
それぞれの段階で、どのような体の変化や気をつけることがあるのでしょうか。また、いつからいつまでを妊娠初期・中期・後期と呼ぶのか、などを詳しく解説いたします。
妊娠初期とは、妊娠4週から15週、つまり妊娠2ヶ月から4ヶ月までとされています。
妊娠は最終月経開始日を「0週0日」として数えます。そのため、妊娠が分かる頃は5週を過ぎていることがほとんどで、この頃にはすでに妊娠2ヶ月に入っています。
この時期の体の変化として、お腹はまだ大きくはありません。しかし、つわりの症状が出始めたり、ホルモンの影響で気分の浮き沈みが激しくなるなど、妊娠初期特有の体の変化がみられる時期です。
妊娠中期とは、妊娠16週から27週、つまり妊娠5ヶ月から7ヶ月までとされています。この時期に入ると、妊娠初期に出始めたつわりなどの症状が治まって体調が安定するといわれています。「安定期」と呼ばれるのもこの時期です。
お腹が大きくなり、胎動を感じ始めるのもこの頃で、赤ちゃんの成長を感じられることでしょう。出産に向けて、体調のよい人は散歩などの適度な運動を取り入れるとよいとされています。
急な体重増加にならないよう、食事にも十分注意しましょう。
妊娠後期とは、妊娠28週から出産までの期間、つまり妊娠8ヶ月からをいいます。
この時期は、さらにお腹が大きくなることで生じる、むくみやお腹の張りなどの症状に悩まされる時期でもあります。胎動もさらに強く感じるため、お腹が張り出したら無理をせずに体を休ませましょう。
妊娠後期はお腹の中の赤ちゃんも大きくなり、ほとんどの臓器が完成に近づくなど、ますます赤ちゃんらしい姿になってくる時期です。そして大きくなるお腹とともに、ママの体にさまざまな症状が出てきます。
よりよい出産を迎えるためにも、気をつけておくべきことをいくつかご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
妊娠初期の頃はつわりなどの体調不良が多く、急激な体重増加はあまり多くありませんが、つわりがひと段落した、妊娠中期から体重が増加する人が多いようです。
急激に体重が増加すると、妊娠高血圧症候群のリスクも上がり、産道に脂肪がつくと難産のリスクも高まるといわれているため、体重のコントロールは重要です。妊婦の理想的な体重増加は、1週間に500g以下が望ましいとされています。
もちろん、痩せすぎも低体重で赤ちゃんが産まれる原因となるため、適度な体重増加を心掛けましょう。
妊娠すると、赤ちゃんを育てる胎盤の成長や維持に多くの血液が必要とされます。その血液量は、妊娠後期である36週、つまり妊娠10ヶ月頃がピークであるとされています。
妊娠中には血液が薄まった状態になるため、妊娠後期は貧血になりやすいといえるでしょう。貧血にならないようにするためにも、普段の食事からできるだけ多くの鉄分を摂取できるよう心掛けましょう。
貧血予防には、肉・魚など動物生食品に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄を、うまく組み合わせた食事がおすすめです。合わせてビタミンCも摂取すると、鉄の吸収率が高くなります。
妊娠後期は、ホルモンの影響や大きくなったお腹によって内臓が圧迫されるため、妊娠初期や中期よりも便秘になりやすいとされています。
妊娠によって分泌されるホルモン、プロゲステロンが腸の運動能力を低下させること、大きくなった子宮により圧迫されて便が停滞しやすいことが要因であるといえます。
便秘予防のためにも、食物繊維を含む食事を心掛けましょう。ごぼうやれんこんなどの根菜類、海藻類やきのこ類、ヨーグルトなどの発酵食品もおすすめです。
妊娠後期は、ホルモンの影響と、大きくなったお腹を支えるために腰痛を引き起こしやすくなるといわれています。
妊娠後期は足元が見えないほどにお腹が大きくなる人もおり、体の重心が前に移動し腰が反った姿勢になるため、腰痛を引き起こしやすくなるでしょう。
腰痛予防のために適度な運動を取り入れ、無理のない範囲でチャレンジしてみましょう。また、妊婦さん用の骨盤サポートベルトもあるため、併せて使ってみるのもよいでしょう。
お腹が大きくなってきた妊娠後期は、むくみや静脈瘤ができやすい時期でもあります。むくみや静脈瘤の原因は、お腹が大きくなることで血流が悪くなること、運動不足などがあげられます。特に足全体やふくらはぎに症状が出てくることが多いようです。
対策として食事時の塩分を控えめにすること、カリウムを多く含む食べ物を摂ることが効果的とされています。また、適度なマッサージや散歩や毎日お風呂で湯船につかるなど、体全体の血行をよくするように心掛けましょう。
妊娠後期で特に注意しておきたいのが、破水です。
赤ちゃんは羊水と呼ばれる水に守られているのですが、膜が破れ羊水が外へ流れ出ることを「破水」といいます。分娩よりも前に起こった場合、それは「前期破水」と呼ばれ、すぐに病院に連絡する必要があることを知っておきましょう。
破水の仕方は個人差がありますが、共通しているのは、水っぽいものが流れることです。いつもと違う兆候を感じた時には、自己判断せずに受診するようにしましょう。
妊娠後期になると、お腹に圧迫されて夜中に何度も起きてしまったり、頻繁にトイレに行きたくなることで睡眠不足になることがあります。また、横になると胎動を感じやすいこと、お腹の張りが増えることもあり、眠れない時もあるでしょう。
睡眠不足になると、いざ出産の時に体力不足となってしまいます。抱き枕を使ってみたり、昼間に適度な運動をするなど、睡眠がとりやすい状態にしておくとよいでしょう。どうしても夜眠れない時は、昼間に睡眠時間を確保するのも、方法の一つです。
妊娠後期に、再びつわりのような吐き気や胸やけを感じる人は少なくありません。これは、赤ちゃんが成長することで大きくなったお腹の圧迫により、胃が持ち上げられ胃液が食道に逆流しやすく胃があれやすくなることが原因とされています。
対策としては消化のよいものを食べるようにし、1回に食べる量をいつもより減らしてみることです。寝る時に枕を高めにして寝るようにすると、胃液が逆流しにくくなるでしょう。
妊娠後期に起こる症状の中に、動悸も挙げられます。心臓から体内に送られる血液量が増加することで、心臓の負担が増えることが原因といわれています。また、貧血を起こしているとさらに動悸を感じやすくなるでしょう。
こうした動悸を感じた場合は、まずは休憩をとるように心掛けましょう。また、深呼吸やリラックス効果もあるマタニティヨガやマタニティスイミングなどの適度な運動をすることで、動悸を予防できるともいわれています。無理のない範囲で試してみてください。
妊娠後期に入れば、いつ出産しても大丈夫なように、早めに出産に向けての準備をしておきましょう。予定日に必ず出産が進むとは限りません。
ここでは、子供用品の準備、お産の準備、入院時に必要なものについて詳しくご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
入院時に必要なものに関しては、出産予定である産院からの案内に従って用意すればよいでしょう。通常の入院と同じように、服や下着などの衣類から、食事の際に必要な箸やコップなどが必要となる場合がほとんどです。
入院時に洗濯ができる産院でなければ、衣類やタオルは、洗い替え用に何枚か用意しておくと安心でしょう。箸やスプーンなども産院が用意してくれるところがほとんどですが、差し入れを貰った時などに、使い捨てを用意しておくと便利でしょう。
入院時に必要なものと一緒に、出産時に必要なものも準備しておきましょう。マジックテープ付きの産褥ショーツや、お産用パッドなど、出産時に必要なものは産院からの案内に従って用意すればよいでしょう。
産まれたばかりの赤ちゃんに必要なものは、入院中は産院が用意することがほとんどです。退院時に赤ちゃんが着る服やおくるみなどを用意しておきましょう。
無事に出産が終わり退院すれば、いよいよ赤ちゃんとの新しい生活が待っています。新生児期はなかなか思うように買い物に出掛けることが困難なため、妊娠後期にある程度子供用品を揃えておくと、安心でしょう。
赤ちゃんのお世話をする部屋の広さに合わせて、子供用品を揃えましょう。産まれてすぐの赤ちゃんがほとんどを過ごす寝具はもちろん、まずは必要最低限のアイテムを準備しましょう。
妊娠後期に気をつけておくべきことを知ることで、出産にむけてよりよい準備をすることができます。また、出産前にしっかりと赤ちゃんを迎える準備をしておけば、安心してお産を迎えることができるでしょう。
素敵な赤ちゃんとの生活を迎えるために、出産前にしっかりと準備を行ないましょう。