妊娠兆候とは、受精卵が着床してから検査で妊娠が判定されるまでに感じる体調の変化のことをいいます。
妊娠検査薬で妊娠が判定できるのは生理予定日の1週間後からです。しかし中には妊娠の兆候によって、検査できる時期よりも早く妊娠に気づく人もいます。
医学的には妊娠6週ごろ、エコーで胎嚢が確認できて初めて妊娠が確定します。
妊娠の兆候が見られるようになるのは早い人で排卵から1週間ほどあと、受精卵が子宮に着床するころです。妊娠周期は前回の月経の開始日から数え始めるので、だいたい排卵の時点で妊娠2週、着床するころで妊娠3週です。
妊娠の兆候は妊娠によるホルモンの変化に起因します。体調の変化はだいたいが妊娠初期が終了する15週(4カ月)ごろまで続き、徐々におさまっていくといわれています。
検査薬で妊娠しているかテストができるのは生理予定日の1週間後からです。しかし、妊娠を希望している人にとっては生理予定日からの1週間はとても長く感じられるでしょう。
ここでは妊娠の自己診断の根拠となるチェック項目を紹介します。ただし妊娠の兆候は個人差が大きく、妊娠を決定づけられるものではありません。あくまで参考にしてください。
自己診断テスト1つめは「生理のような出血があったけれどいつもの生理とは違う」です。生理ではなく月経様出血という妊娠超初期症状かもしれません。
月経様出血は着床出血とも呼ばれ、受精卵が着床するときに子宮内膜を傷つけたことによる出血です。薄い鮮血、ピンクや茶色のおりものが2~3日で止まるものがほとんどでしょう。
着床出血が起こる確率は全体の2%ほどで、必ず出血するわけではありません。
自己診断テスト項目2つめは「生理痛のような痛みがあるのに生理が来ない」です。妊娠初期はさまざまな腹痛を感じやすくなります。
腹痛の要因としては赤ちゃんを育てるための子宮の血流増加や、子宮を大きくするために靭帯が伸びることなどがあります。
妊娠の可能性がある場合は自己判断で痛み止めを飲むのはやめましょう。激しい痛みや大量の出血を伴う場合は病気の可能性があります。すぐに病院で診断を受けましょう。
自己診断テスト項目3つめは「おりものがいつもと違う」です。妊娠中のおりものは粘り気がなく、白みがかった色をしている傾向にあります。
しかし、生理前もおりものは増加します。また量や形状は人それぞれで、こういう状態なら妊娠しているという判断はできません。日頃から自分のおりものをチェックしておくことで変化にも気づきやすくなり、自己診断の根拠になるでしょう。
自己診断テストの項目4つめは「急に便秘になった」です。
妊娠すると増えるプロゲステロンというホルモンには、子宮の筋肉を弛緩させる効果があるといわれています。胎児の成長に合わせて子宮も大きく伸びやすいようにするためです。
子宮の近くにある大腸もこのプロゲステロンのはたらきで筋肉が弛緩してしまうことがあります。その結果便を押し出す力が弱ってしまい、便秘がちになるのです。
自己診断テストの項目5つめは「胸が張ったり、乳頭に違和感を感じやすくなった」です。これは出産後の授乳に備えて乳腺を発達させようとホルモンが働きかけるからといわれています。
乳頭はいつもの下着なのにこすれる感じがして痛い、何も異常はないのにチクチクする感じがする、などが多く聞かれます。胸の違和感は時間とともに治まっていくでしょう。下着を肌に優しい材質のものに変えるなどの対応をしましょう。
自己診断テストの項目6つめは「腰に痛み・重みを感じる」です。妊娠で増える女性ホルモンは胎児の成長や出産にそなえて骨盤を広げようとします。その結果骨盤まわりの靭帯や骨の結合が緩んで腰の筋肉に負担がかかり、腰痛が起きます。
ただし生理前にも腰痛になる人がいるので判断が難しいところです。妊娠の可能性があるときは胎児への影響を避けるためシップを貼る・痛み止めを飲むのはやめましょう。
自己診断テストの項目7つめは「風邪ではないのに頭痛がする」です。妊娠の初期症状として頭痛を感じる方は比較的多いです。頭痛には「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類があります。
片頭痛は脈打つような痛みが特徴です。妊娠期に増える女性ホルモンの作用で起こるといわれています。痛む部分を冷却シートなどで冷やすと緩和されるでしょう。
緊張型頭痛は頭が重い感じがするのが特徴です。妊娠で身体が変化したことのストレスが原因の可能性があります。身体を温める、軽いストレッチなどで緩和されるといわれています。
自己診断テストの項目8つめは「むくみやすくなった」です。妊娠すると、成長する胎児の分も血液を確保しようと身体が働きかけます。結果として体内の水分量が多くなり腎臓の機能が追いつかず、むくんでしまうといわれています。
むくみにはきちんと水分を取り、軽いストレッチやマッサージなどで対処しましょう。体を冷やしすぎないことも大切です。
自己診断テストの項目9つめは、「体温感覚がおかしい」です。
生理前の約10日間ほどは黄体ホルモンの分泌が多いため黄体期と呼ばれ、平熱よりも少し体温が高い状態が続きます。妊娠が成立しないと黄体ホルモンの分泌が止まって体温が平熱に戻り、生理が来ます。
妊娠すると黄体ホルモンの分泌が続き、高温期が終わるころになっても体温が高いままになります。ほてりやだるさを感じ、風邪をひいたと勘違いする人も多くいます。
自己診断テストの項目10個めは「眠気が強い」です。妊娠することで分泌が増える女性ホルモンは、お腹の中で胎児が育ちやすいよう働きます。母体を安定させるためにもしっかり休養を取るよう、眠くなる作用があると考えられています。
なかには眠気が強く、生活に支障が出てしまう人もいます。妊娠の可能性がある場合は無理をせず、可能な限りしっかり休養を取るようにしましょう。
妊娠による体の変化が原因で夜の眠りが浅くなることもあります。
妊娠中は体内の水分量が増えたり、子宮が徐々に大きくなり膀胱を圧迫したりすることでトイレが近くなります。そのため尿意で何度も目を覚ます人もいます。つわりで気分が悪くなり、ゆっくり眠れない人もいるようです。
また、妊娠中はホルモンバランスの影響で情緒が不安定になるため、いろいろなことが気になって眠れない人もいます。
自己診断テストの項目12個めは「倦怠感がある・やる気が出ない」です。
高温期が続き、眠気が強くだるいので、風邪をひいたと勘違いする人も多いようです。のぼせたような感じになってしまうという人もいます。
また、妊娠初期症状の1つでもある眠りの浅さが原因の可能性もあります。夜あまり眠れないせいで寝不足になり、昼になるとだるくなってしまうのです。
自己診断テストの項目13個めは「急に食欲に変化があらわれた」です。妊娠による食欲の変化はつわりの一種で、食欲は減退する人もいれば旺盛になる人もいます。食べ物の好みが変わることもあり、特定のものが無性に食べたくなる人もいます。
生理前に食欲が増す傾向にある人は判断が難しいかもしれませんが、可能性は考えておきましょう。
また、妊娠中の急激な体重増加はさまざまなリスクの要因となるので食べすぎに注意してください。
自己診断テストの項目14個めは「においに敏感になった」です。においつわりと呼ばれるつわりの一種です。今まで気にならなかった匂いが気になったり、気分が悪くなったりします。
なかにはにおいが原因で、それまで使っていたシャンプーが使えなくなってしまう人もいるようです。
妊娠によって増える女性ホルモンににおいを感じ取る作用があるため、においに敏感になるといわれています。また、胎児を守るための防衛本能という説もあります。
自己診断テストの項目15個めは「吐き気がある」です。妊娠の初期症状で一般的によく知られているつわりの症状でしょう。
つわりは妊娠によるホルモンバランスの変化に身体が適応しきれないときに発生するといわれます。ホルモンが脳の嘔吐中枢を刺激することが要因と考えられています。
嘔吐や食欲不振によって脱水症状などが起こることもあります。体調不良がひどいときは妊娠の可能性があることを告げたうえで病院を受診しましょう。
自己診断テストの項目16個めは「鼻風邪のような症状がある」です。妊娠をきっかけに発生する鼻炎を妊娠性鼻炎といわれます。
妊娠で増える女性ホルモンの影響で体内の血液量が増加するため、鼻の粘膜がむくんだようになるからです。また、妊娠中は身体を守る目的で有害物質に敏感になるためともいわれています。
自己診断で鼻炎薬や点鼻薬を使用することはやめましょう。鼻づまりで苦しいときは鼻腔拡張テープなどが効果的です。
自己診断テストの項目17個めは「よだれが多くなる」です。よだれが多くなるのもつわりの一種で、よだれつわりと呼ばれます。
たくさん出るよだれを飲み込んで気持ち悪くなったり、よだれを不快な味と感じるようなったりします。原因ははっきりわかってはいません。
可能な範囲でよだれをこまめに吐き出して気分の悪さを緩和しましょう。外出時はカバー付きのペットボトルなどを持ち、いつでも吐き出せるようにしておくと安心でしょう。
自己診断テストの項目18個めは「口内環境が乱れる」です。痛みがないのに歯茎の腫れや出血の症状が出ることがあり、妊娠性歯肉炎と呼ばれます。これは鼻の不調と同様、体内の血液量が増えることで粘膜がむくむのが原因といわれています。
また、つわりが原因でしっかり歯磨きをしにくく、そこから歯周病になってしまうこともあります。歯周病は早産のリスクを高めるので、歯磨きがつらい人はマウスウォッシュなどでケアしましょう。
自己診断テストの項目19個めは「肌が荒れる」です。妊娠によって増えるプロゲステロンというホルモンが肌荒れの原因とされています。
プロゲステロンは肌の新陳代謝を低下させ、皮脂の分泌を促進します。そのため肌が乾燥してカサカサする、ニキビができるなどさまざまなトラブルが起こりやすくなるのです。肌の保湿に気を付けて過ごしましょう。
自己診断テストの項目20個めは「気分がイライラしたり落ち込んだりして落ちつかない」です。ホルモンの急激な変化により気分にムラが起きたり、ストレスを感じやすくなるといわれています。
妊娠中はストレスが大敵なので、なるべくストレスがたまらないようゆったり過ごしましょう。
自己診断テストの項目21個めは「色に敏感になる」です。
あまり知られていませんが、妊娠は色彩の好みにも変化をもたらすことがあります。好みの変化はつわりと同じくらいの時期に現れるため、一部で「色つわり」とも呼ばれています。
正確な原因はまだわかっていません。しかし、つわりの吐き気の原因に色彩が関わることがあるといわれています。
妊娠検査薬でのテストは生理予定日の約1週間後からできます。それ以前は検知するホルモンのhcgの値が低く正確な判断はできないといわれています。
また、使い方を間違うときちんとした結果が出ないこともあります。説明書をしっかり読んで正しい方法でテストするようにしましょう。
不妊治療でhcg投与をしてると、投与されたhcgに反応して陽性が出てしまうことがあります。事前にテストしてもよい時期を医師に確認しておきましょう。
妊娠初期に気を付けることがあります。それは、お酒を飲まないや煙草を吸わないなどよく知られていることから、葉酸を摂取することまでさまざまです。
ここからは妊娠初期に気をつけること6つを詳しく紹介していきます。妊娠したかなと思った場合は、この記事を読んで落ち着いて過ごせるように参考にしてみてください。
妊娠していることが判明したらお酒とたばこはやめましょう。初期だけではなく、妊娠中は飲酒や煙草を吸わないようにしましょう。
妊娠中のアルコール摂取は流産・死産・奇形などの先天異常のリスクを高めるといわれています。特に妊娠初期の飲酒では顔面の奇形や脳障害に関わるといわれます。
妊娠中の喫煙は流早産のほかに前置胎盤や胎盤早期剥離、胎児発育不全など、母子の命にかかわる異常のリスクを高めるといわれています。
妊娠中は免疫が下がり風邪や胃腸炎などにかかりやすくなるといわれています。また、妊娠の兆候には風邪の症状に似たものが多く勘違いしてしまうこともあります。
薬の成分によっては胎児の発育に悪い影響を与えてしまうでしょう。妊娠している・妊娠の可能性があるときは自己判断で薬を飲まないようにしましょう。特に妊娠4週~7週ごろは胎児への影響が出やすいといわれています。
葉酸は胎児の神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを下げるとして、妊娠前から摂取することが推奨されています。とくに妊娠1か月前から妊娠3ヶ月までの摂取がよいとされています。
葉酸は緑黄色野菜・海藻類・レバーなどに多く含まれていますが、食事だけで十分な葉酸を摂取するのは難しいため、サプリメントを積極的に活用していきましょう。ただし、サプリメントで摂取する場合は過剰摂取に注意しましょう。
近年、若い女性が低体重である傾向や、食生活が偏っていることが問題視されています。健康な赤ちゃんを産むためには母体が健康でなくてはなりません。
妊娠を意識した時や妊娠が確認された場合はバランスのよい食事をとり、健康的な生活を送りましょう。
妊娠初期の外出時は安全に心がけ、事故や体調に気を付けましょう。重たい荷物を持つなど、身体の負担になるようなことはなるべく誰かに代わってもらいましょう。
また、妊娠中は免疫力が落ちるため感染症に注意しましょう。人込みではマスクの着用を心がけるとよいでしょう。
妊娠初期は流産しやすい時期といわれています。妊娠初期の流産の多くは染色体異常が原因で、避けようのないものです。
しかし、なかには過ごし方に気を付けることで防げることもあるでしょう。妊娠の可能性があるときは無理をせず、休息をきちんと取るようにしましょう。
紹介した妊娠自己診断テストは妊娠しているかを確定できるものではありません。しかし当てはまる項目が多い場合、妊娠している可能性は高いでしょう。
テストを参考にして、自分の体調を確認してみてください。妊娠が期待できる状況の場合、検査薬の使用が可能になるまでの期間は大事に過ごすようにしてください。
検査薬の結果が陽性だった場合は早めに産婦人科を受診しましょう。