妊娠9週目ではママの外見に大きな変化は生じませんが、体の中では劇的な変化が起こっています。妊娠後すぐに感じるのは「気分がだるい」「気持ち悪い」という症状です。
つわりは妊娠8週目から10週目でピークを迎え、12週目あたりから軽減します。頻尿やお腹の張りなどマイナーなトラブルもあるので、妊娠初期は無理をせずにゆったりとした気持ちで過ごすことが肝心です。
具体的には、1時間動いたら10分〜15分の休憩を取るなどの対策を立てると良いでしょう。妊娠すると疲れを感じやすくなります。こまめに休憩を取って負担がかからないよう動きましょう。
また、空腹になると気分が悪くなる人もいるので、アメ、チョコレート、ブドウ糖が多いラムネなどを常備するといざという時に役立ちます。
このように妊娠9週目は、体調の変化が顕著になります。時には周囲の協力も得て、無理せず過ごしましょう。
妊娠9週目の赤ちゃんは、骨が形成され、脳は大人のように丸く、表面にはしわが入るなど脳の発達が始ります。身体全体は二頭身になり、人間のミニチュアのような形になります。
胎芽から赤ちゃんの形になってきた姿をエコー検診の時に見たりすると、「お腹に赤ちゃんがいる」と感動する時でもあります。この時期の赤ちゃんの成長について、2項目に分けて解説します。
赤ちゃんは、受精卵から胎芽という赤ちゃんの素のようなものになり、やがて胎児に成長していきます。妊娠9週目の赤ちゃんは顔が丸くなり、首ができて頭と体が分かれてきます。
目の網膜の中に色素が出来て、瞼は目のほとんどを覆うようになります。鼻はほとんど完成し、耳の外と上唇も完成します。膝、首、かかともあるべき場所に形成され、手足の指も一本ずつ分かれてきます。
生殖器も形成されていきますが、まだ性別の判断は難しいでしょう。超音波検査で性別が判定できるのは、早くても16週目以降になります。
妊娠9週目の赤ちゃんは、内臓も発達します。胃の消化液がつくられ、肝臓で血がつくられて、腎臓は尿を出すために血液中の老廃物を取り除きます。
ここからは妊娠9週目でみられるママの体調の変化を6つご紹介します。体調の変化は個人差が多いので目安と考えてください。
つわりは妊娠7週目から11週目あたりでピークを迎え、12週目から16週目までに落ち着く場合が殆どです。つわりは個人差が大きく、寝込むほど酷い人もいれば、まったく経験しない人もいます。
つわりが酷く、非妊時の体重より5%以上の体重減少がみられる場合は妊娠悪阻の可能性があります。かかりつけのクリニックを受診しましょう。
妊娠悪阻はつわりより数倍も酷い症状のことを指します。
激しい吐き気や嘔吐によって体重が減ったり、1日に何度も嘔吐を繰り返すことで脱水症状やめまいを起こしたりと、日常生活に支障を来たします。妊娠20週目あたりから軽減しますが、妊娠中ずっと続く場合もあります。
妊娠9週目のマイナートラブルとして多いのが頻尿です。子宮が大きくなり、膀胱が圧迫されるのに加え、体内の血液量の増加で腎機能が高まることが原因です。
トイレの回数が増えるので、脱水症状を防ぐためにもしっかり水分補給をしましょう。
妊娠中に初めて糖代謝異常となることを、妊娠糖尿病と呼びます。妊娠糖尿病の疑いがある場合は、血糖値を厳格に管理することが必要になります。
妊娠中の運動療法は難しいため、食事療法で管理します。栄養のバランスと摂取カロリーを考え、塩分は控えめにしましょう。
一方、妊娠前や妊娠中に起こる明らかな糖尿病でママが高血糖になると、赤ちゃんも高血糖となり、合併症を引き起こします。
ママの合併症としては、妊娠高血圧症候群、難産、羊水の異常、網膜症、腎症があります。赤ちゃんの合併症には、巨大児・心臓の肥大・低血糖症・多血症・メタボリックシンドロームがあります。
妊娠9週目では大半の人がお腹の張りやチクチク感を経験します。赤ちゃんを包む袋状の器官「胎嚢」は、外からの刺激で収縮しやすいからです。
長時間、立ったり歩いたりすると、子宮を支える円靭帯が引っ張られ、お腹に張りを感じます。安静にして良くなるようであれば、クリニックを受診する必要はありません。
しかし、眠れない程の強い痛みや、夜用ナプキンが一杯になる程の出血があった場合は、直ちに病院に向かって下さい。手術が必要になるような子宮外妊娠や、卵巣茎捻転などの疑いがあります。
妊娠9週目にはホルモン分泌の増加で、嗅覚が敏感になります。今まで平気だった匂いが急に苦手になったりするので、食事の好みなど変わる場合も多くあります。
つわりの原因と同様に、嗅覚が変化する原因も科学的に解明されていません。赤ちゃんを守るための危険察知という説もあります。
匂いで気持ち悪くなるときはマスクをすると良いでしょう。感染症の予防にもなります。
妊娠9週目には、食べていないと気持ち悪くなる「食べづわり」が起こる場合もあります。
妊娠すると2種類の女性ホルモンが増加します。エストロゲンは血糖値を下げ、プロゲステロンは血糖値を下げにくくします。
エストロゲンの影響が強いと低血糖となり、空腹時に気分が悪くなる「食べづわり」を起こします。必要に応じて食べたい物を食べて構いませんが、過食に気をつけましょう。カロリーオーバーや糖質の取り過ぎでは、妊娠糖尿病や高血圧の原因になりかねません。
妊娠9週目は、プロゲステロンの影響でイライラや不安感が増します。赤ちゃんの発育には欠かせない女性ホルモンですが、ママの情緒を不安定にしてしまいます。
ホルモン分泌は妊娠直後から始まるので、イライラは妊娠初期から始まります。妊娠中期に入ると体が慣れて、情緒も安定してきます。
ストレスの溜め過ぎは、お赤ちゃんにも良くありません。深呼吸や瞑想をしたり、趣味に打ち込むなどして精神的な安定を送りましょう。
妊娠9週目に入ると、今まで平気だったことにも注意する必要が出てきます。過度の運動やコーヒーなど刺激物の摂取、スキンケアの3点が挙げられます。
下記で詳しく説明します。
妊娠9週目は体調が安定せず、流産のリスクも伴うので、運動は妊娠中期となる12週目以降にしましょう。
運動しても良いのは、現在の妊娠が正常であること、過去に流産・早産がないことが第一に挙げられます。単胎妊娠(双子などではないこと)で、胎児の発育に異常がないことや、妊娠12週以降であること、妊娠の経過に問題がないことも重要です
以上の条件を満たしていれば、適度な運動をして、健康なマタニティーライフを送りましょう。
妊婦さんのおすすめの運動はウォーキングです。ウォーキングは誰でも気軽に始められるので、心地よいペースでお散歩などでもいいでしょう。
他にはマタニティーヨガやスイミング、エアロビクスがあります。こちらはジムなどでマタニティークラスを受けることをお勧めします。
コーヒーなどに含まれる刺激物カフェインの取り過ぎは、母体だけでなく赤ちゃんの体にもカフェインが蓄積されてしまい、低体重などの健康リスクに繋がります。
一般には1日に摂取しても良いカフェインの量は200mg(コーヒーカップ2杯程度)とされてます。カフェインレスやデカフェの飲み物を取り入れるなどして、カフェインの取り過ぎに気を付けましょう。
妊娠中の肌トラブルは女性ホルモンのプロゲステロンが原因と考えられています。プロゲステロンの分泌が増えるにつれ、肌のターンオーバーを鈍らせてしまうからです。
代表的な肌トラブルとしては、ニキビやシミそばかす、黒ずみができたり、乾燥などが挙げられます。プロゲステロンは、肌のターンオーバーを鈍らせるほか、メラニン色素の生成を増やします。このため妊娠中はシミや黒ずみが出来やすくなります。
子宮や腸の働きを緩やかにさせるので、便秘がちにもなったり、吹き出物が出やすくなります。このため、UVケアや低刺激のスキンケアを使うことがお勧めです。
妊娠9週目はつわりのピークと言われていてます。赤ちゃんが出来た嬉しさを、つわりという試練が襲います。辛いこの時を乗り切るために、つわりの対処法を6つご紹介します。
空腹時に起きるつわりを「食べづわり」と呼びます。空腹を感じたら、サッと取り出せるように、アメやカカオの含有率の高いチョコレートをポケットに忍ばせておくのも一案です。
しかし、高カロリー摂取になると、妊娠中毒症や妊娠糖尿病の懸念が出るので気を付けて下さい。ポケットに入れるのは、低カロリーの昆布のお菓子やこんにゃくゼリーなどがお勧めです。
炭水化物には単体炭水化物と複合炭水化物があります。単体炭水化物がすぐに体に吸収されるのに対し、複合炭水化物はゆっくり体に吸収されるので、血糖値の上がり方が緩やかになる特徴があります。
カロリーは高いですが、複合炭水化物はつわりを軽減する効果があります。明確な摂取量の基準はありませんが、全体のカロリー摂取量の6割を複合炭水化物で補うのが理想とされています。
複合炭水化物は、全粒粉のパンやパスタ、玄米から摂取できます。献立を工夫してカロリーを調整して下さい。
水分補給は重要です。1日の水分摂取量は1.5〜2.5リットルを目安にして下さい。
水分補給が必要な理由は、羊水にも水分が必要、新陳代謝をよくするため、便秘解消のため、血液をサラサラにするため、と主に4つあります。
1つ目は羊水です。水分摂取量が減ると羊水も減ってしまいます。そうすると赤ちゃんを守羊水が減ることになり危険になります。
2つ目は新陳代謝に関することです。妊娠中は体温が高いので、汗をかきやすくなります。脱水症状を防ぐためにも意識的に水分補給を行って下さい。
3つ目が便秘です。妊娠中はホルモンの影響や運動不足で便秘がちになるので、水分補給が必須です。
最後に血液をサラサラに保つことです。赤ちゃんの栄養素は血液を通して運ばれます。水分補給で血液をサラサラにして、赤ちゃんへスムーズに栄養を届けられるようにしましょう。
食欲減退や胃の圧迫による気分の悪さから、炭酸飲料を体が欲する場合もあります。つわりが和らぎ、水分も補給できるので、おすすめです。
ただし、ジュースやソーダ水のような糖分の高い炭酸飲料は避け、無糖でノンカフェインの炭酸水を選んでください。
ご飯の炊ける匂いなどがつわりを誘発する「においづわり」の場合は、マスクを着用すると良いでしょう。感染症予防にも繋がるのでおすすめです。
つわりが酷い時は、冷たいものや酸味があるものを食べるのも効果的です。水分が多く酸味の強いフルーツは、口の中がさっぱりするので食べやすく、つわりを抑える効果があります。
特におすすめなフルーツは、ビタミンや、カルシウム、葉酸が豊富なバナナやイチゴです。バナナはタンパク質も取れるので栄養補給に最適です。バナナの匂いがダメな場合は冷凍すると良いでしょう。
ただ、冷たい物の取り過ぎは体を冷やしてしまうので、白湯など飲んで体温調整を図ってください。
つわりが酷い場合は、かかりつけ医に相談しましょう。受診の目安となる主な症状は、食べても飲んでも吐いたり、料理やお風呂などの日常生活を送るのも難しい場合などです。また、湯気や臭いをきっかけに吐き気をもよおすなども該当します。
こんな症状がみられる場合はかかりつけ医に相談しましょう。点滴や食餌療法を受ければ、妊娠悪阻の予防にも繋がり、家族も安心できます。
妊娠9週目は今まで胎芽だった赤ちゃんが二等身となり、手や足が形造られるときです。エコー検診でミニチュアの人間として赤ちゃんの形を確認できると感動します。
しかし、まだまだ妊娠初期です。無理はせず、つわりが辛いときは、パートナーや直属の上司など周りの人の協力を得てください。これからの赤ちゃんの成長と、出産して会えることを楽しみにして、ゆったりと安定したマタニティーライフを心がけてください。