妊娠中期とは、妊娠5ヶ月頃から妊娠7ヶ月頃(14〜27週)のことを指し、一般的に「安定期」と呼ばれる時期でもあります。
胎盤が完成し、妊娠維持のために放出されていたホルモンの放出が抑制されるため、つわりが落ち着き、妊娠後期ほどお腹が目立つ時期でもないため、妊娠期の中でも最も行動がしやすい時期でしょう。
妊娠中期に入ると、赤ちゃんの身体が形成されていく発育期に入るため、体重が一気に増加します。そのため、妊娠中期の後半になってくると、お腹が徐々に目立つようになります。
遠出をしたり、旅行をしたりする予定がある場合は、お腹が本格的に大きくなり始める妊娠中期の前半までに済ませておくといいでしょう。
16週頃から、運動機能を司る前頭葉が発達しはじめるといわれています。脳の発達により、17〜18週頃になると赤ちゃんが手足を動かしたりと、動きがより活発になり、胎動を感じられるようになりますが、胎動の感じる方は人によって様々です。
22週頃まで胎動を感じないお母さんもいます。19週を過ぎた頃からは、外からの音が聞こえるようになるといわれています。赤ちゃんとコミュニケーションを取り始めるなら、この週数を目安に始めるといいでしょう。
妊娠中期は前述の通り安定期とも呼ばれますが、妊娠初期とはまた異なる体調不良が起こります。なぜ妊娠初期と症状が異なるのかというと、妊娠初期と妊娠中期では母体に起きている変化が異なるためです。
そのため妊娠初期に出ていなかった症状が急に現れたりしますが、妊娠中期の体調不良はどのような場合に見られるのかを、事前に知識として所持していると焦らずに対応することができるでしょう。
妊娠初期は、ホルモンバランスの激しい変動が主な体調不良の原因ですが、妊娠中期に起きる体調不良は、赤ちゃんが胎内で発育することにより母体が変化していくことやストレスが主な原因といわれています。
そのため、妊娠初期の体調不良と妊娠中期の体調不良では、一見同じような症状に見えても、原因が異なるため、対処の仕方も異なる場合があります。
妊娠中期に起こりやすい体調不良にはどのようなものがあるのでしょうか。事前に知っておくと、安心できるでしょう。
ここでは妊娠中期に起こりやすい体調不良を、6つピックアップしてその対処法と共に紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
妊娠中期にさしかかると、胎児の成長に合わせて子宮が大きくなり、横隔膜を持ち上げるために肺が圧迫されて、息切れを起こしやすくなります。
また、血液の循環量が増加するために心臓にかかる負担が大きくなることも、息切れや動悸が起こりやすい原因といわれています。
妊娠中は身体にかかる負担も大きくなるため、息切れを起こす前に身体を休めることが大切です。疲れたな、と感じる前に小休止を挟むようにしましょう。
妊娠初期と比べると倦怠感を感じることは減ってきますが、それでも妊娠中は貧血気味になったり、倦怠感があるでしょう。倦怠感がある時は無理をせずに、しっかりと休養をとるようにしましょう。
倦怠感を改善するには、できるだけ貧血にならないよう、食生活に気をつけましょう。たんぱく質と鉄分が多く含まれている食材を意識して取り入れるようにすると、貧血症状が緩和する傾向にあります。
また、適度な運動をすることで、ストレスの発散につながり、倦怠感が緩和されることがあります。
また、倦怠感と共に落ち込んだ気分が続く場合は妊娠うつ症状の可能性があります。長期間落ち込んだ気分が続く場合は、医師に相談してみることも重要です。
娠中期は赤ちゃんが急激に発育する時期です。そのため、母体は赤ちゃんにより多くの栄養を送るため、体内を循環する血液量を増加させます。
しかし、血液中の赤血球の量は、血液量に比例して増えるわけではありません。血液量が増えた分、血液中の赤血球の量は薄まってしまうことで血液中の赤血球濃度が下がり貧血になりやすくなります。
貧血を防ぐためには、意識してタンパク質や鉄分を食事から摂る必要があります。この頃には体重管理をする必要が出てくる妊婦さんも多いため、体重管理も兼ねて食生活を見直すように心がけましょう。
妊娠中期に胃痛を感じる場合があります。この胃痛は妊娠初期のつわりの影響で乱れた食生活によって胃が荒れていることや、ストレスが原因で引き起こされるといわれています。他にもつわりが長く続く人であれば、つわりが原因で胃痛を引き起こす場合もあります。
胃に負担をかけないためにも食生活を見直し、またストレス解消のために軽い運動をすると改善されることがあります。ただし、胃上部の強い痛みは高血圧症の可能性があるので、ひどい胃痛を感じる場合や胃痛がずっと続く場合は、医師に相談するようにしてください。
筋緊張性頭痛とは首筋から後頭部にかけてが締め付けられるように痛む頭痛で、筋肉の凝りや血流の滞りが主な原因で引き起こされるといわれています。
妊娠中期の妊婦さんの場合、お腹が大きくなってきたことによって今までとは異なる不自然な姿勢が続き、肩や首周辺の筋肉が凝り固まってしまうこと、また運動不足だと血流が滞りやすく、筋緊張性頭痛を起こしやすくなってしまいます。
まずは、普段の姿勢を意識して改善するようにしましょう。また、辛い時には温めたタオルを首筋や肩にあてると、血流が促進されて痛みが緩和することがあります。
妊娠中期は、赤ちゃんの成長による体重の増加と、出産に向けて骨盤がゆるむことで、腰に痛みを感じやすくなります。
これを予防するには、適度な筋肉をつけておくことが重要です。妊娠中期に入って体調が安定するようになったら、ウォーキングやスイミングなど、腹部にあまり負担のかからない運動をするのがオススメです。
また、睡眠時は横向きで寝たり、クッションを利用して身体に負担がかからないようにすると、腰痛が軽減されることがあります。
妊娠中の体調不良は、自己判断するだけではなく、医師に相談することで軽減することができる症状もあります。
場合によっては軽度であった体調不良が悪化し、切迫流産や早産へつながることもあります。気になる症状があった場合は、定期検診などの機会を活用し、医師に相談することが重要です。
妊娠中期の体調不良の中でも、特に注意が必要な症状のものがあります。
ここでは注意すべき症状を3つ、紹介します。このような症状に思い当たりがある場合は、すぐに医師に相談するようにして下さい。
妊娠中期は本来、出血する確率が低いといわれています。そのため、妊娠中期に発生する出血は自然発生的なものではなく、何か異常のサインの可能性があります。
もしも出血があった場合、切迫早産等の可能性も考えられるため、少量の出血でも必ず病院にかかるようにしましょう。
妊娠中期の妊婦さんは、免疫力が低下しているため、発熱しやすい傾向にあります。特に妊娠初期に外出を控えていた妊婦さんは、外出していないことで免疫力がより低下し、外部からの影響を受けやすくなっているでしょう。
発熱状態が長く続くと、元々胎児は母体よりも常に0.5℃ほど体温が高くなっているため、羊水に熱を逃がすことができず、胎児に影響を与える場合があります。
発熱時に下痢を起こすこともありますが、元々妊娠時は腸管の動きが鈍くなるため、便秘や下痢を起こしがちです。下痢症状が続く場合は整腸剤を飲んだり、食生活を改善する必要があります。
また、妊娠初期に比べて薬が胎児に影響を及ぼす可能性は低いですが、服用したものは胎盤を通して胎児の体内を循環するため、自己判断で薬を服用するのは控えましょう。
妊娠中、軽い運動をした後や家事をした後、その最中にお腹に張りを感じることがあります。張りを感じたらまずは安静にするようにしましょう。
安静にしていても張りが長引いたり痛みを感じるようであれば、万が一の可能性も考えられます。張りが継続する場合はすぐに病院へかかるようにしましょう。
妊娠中期は免疫力が低下していることもあり、風邪をひきやすい時期でもあります。ただ、風邪の症状の中にも、妊娠中期に感じる体調不良に似た症状のものがあります。
ここでは、その症状が風邪であるのか、医師に相談したほうがいい症状であるのか、その症状の見分け方を交えて紹介していきます。
のどの痛み・咳といえば風邪の初期症状によくある症状の1つですが、実は逆流性食道炎の可能性もあります。
妊娠中は黄体ホルモンの分泌量が増加します。黄体ホルモンは乳房や骨盤への血液の供給量を増やす働きがあり、妊娠中期でも安定して分泌されています。この黄体ホルモンは食道の筋肉を緩める作用があり、消化機能を低下させてしまうことがあります。
また、お腹が大きくなったことにより、胃が圧迫されて胃酸が逆流、さらに消化機能が低下していることから、逆流性食道炎の症状を発症することがあります。
逆流性食道炎の場合、食道から胃酸が上がってくることによって口内にすえた味が広がったり、喉よりも奥、食道のあたりに痛みを感じたら、逆流性食道炎の可能性が高いです。
ただの悪寒であれば、風邪の初期症状として考えて問題ないでしょう。注意すべきなのは、悪寒と下腹部の痛みが同時に起こる場合です。
下腹部の痛みが続き、悪寒が伴う場合は、切迫早産になるの可能性があります。そのままだと流産や早産につながることもありますので、必ず医者にかかるようにしてください。
また、ただの悪寒で風邪だと判断できた場合も、むやみやたらに市販薬を服用するのではなく、薬局等で調剤師さんに確認してもらってから、服用するようにしましょう。
妊娠中期は安定している時期とはいえ、お腹の中の赤ちゃんが成長する時期でもあるため、お母さんの体は赤ちゃんに栄養を回すために頑張っています。そのため、いつも通りに日常生活を送っているように思っていても、いつもよりもすぐに疲れてしまったりすることが多いです。
少しでも体調不良を感じたら、お腹の赤ちゃんのためにも、何よりお母さんの体に疲労を蓄積しないためにも、すぐに休息をとるようにしましょう。また、体に何か違和感を感じたら、迷わずかかりつけの病院へ向かいましょう。
妊娠しているという状態だけでくくるのではなく、妊娠期のいつ頃に該当するのかを知ることで、起こりやすい体調不良の種類などを絞り込むことができます。
また、その改善方法についても、事前に知識として備えておけば、慌てることなく自身の体調不良に対して対処することができるでしょう。
ですが少しでも違和感を感じたのなら、迷わず病院へ行きましょう。病院の先生にきちんと判断をしてもらうことで、深刻な症状になるのを未然に防ぐことができます。