妊娠20週目は、妊娠6ヶ月で中期と言われる頃です。つわりも落ち着き、胎動を感じ始める時期です。心身共に落ち着いてくることが多いですが、段々とお腹も大きくなってきていますから、腰痛や背部痛がでてくる時期でもあります。
お腹の中で赤ちゃんが元気に育っているということを実感しながら、注意すべきことやお母さんや赤ちゃんの変化などを学んでいきましょう。
妊娠20週頃の赤ちゃんはどれほどの成長をしているのでしょうか。体重は250~350g程と言われています。臓器の機能も成熟し、体の細部まで発育していきます。
骨の形成がしっかりと出来て、体の末端まで筋肉がついてきます。心臓の動きはより強くなり、聴覚や触覚といった5感も発達してきます。早ければ超音波検査で男女の区別が出来ることもあります。羊水を飲み込む動きもみられるようになるので、楽しみがより一層、増すことでしょう。
妊娠20週を過ぎると、赤ちゃんは上下のまぶたが離れ、鼻が形成され、顔立ちがはっきりしてきます。また、妊娠20週~23週を迎えると、髪の毛やまつ毛、眉毛も生えてきます。
個性豊かな、それぞれ可愛いお顔がエコー写真(超音波検査)で確認できるようになってきますので、病院に行くのが楽しみになるでしょう。
この頃になると、赤ちゃんは全身が胎脂で覆われるようになります。 胎脂とは、羊水の刺激や温度変化から身体を守る役割を持つといわれています。
また、出産時の潤滑油の役割や、赤ちゃん自身が発した熱を逃がさないように守る働きもします。生まれてからも、お肌を乾燥から守る働きがあります。
胎脂の色は白~ピンク色で、粘り気の強いクリーム状となっています。その成分は、ほとんどが水分、その他が脂質とタンパク質です。
妊娠20週を過ぎると、赤ちゃんの睡眠パターンが確立してくるといわれています。この頃になると、赤ちゃんは手足を活発に動かしてお腹の中で過ごします。その途中で、うとうと眠っていたりする時間も出てきます。
活動する時間と眠る時間とを交互に繰り返し、睡眠サイクルが出来上がっていきます。時には、お腹の外からの音で目を覚ますこともあるようです。
妊娠20週、妊娠6ヶ月を迎え、個人差はありますが、母体の変化が目で見てもわかるようになります。一般的な妊娠期間の折り返しの時期です。
子宮の大きさは、子宮底長が約16~20cm程で大人の頭より少し大きいくらいです。子宮の一番上(子宮底)は母体のへそ近くにあることがほとんどです。この頃になると、母体自身が感じる身体の変化も大きく見られます。
モントゴメリー腺(乳輪腺)とは、乳輪にいくつかある小さな突起のことを指します。このモントゴメリー腺には、皮脂を分泌する働きがあり、乳輪を乾燥から保護してくれます。また、肌が弱酸性に保たれるので、細菌の繁殖も抑えてくれるといわれています。
授乳をする時には、乳頭が切れることがありますから、乳頭と乳輪を保護するために、皮脂は欠かせないものとなります。
妊娠中はホルモンの影響で乳頭や乳輪が大きくなり、モントゴメリー腺の突起部分も大きく目立つようになります。しかし、通常は妊娠~授乳期が終わると自然と目立たなくなるのが一般的なようです。
乳頭・乳輪マッサージは乳頭の伸びをよくし、摩擦に強い乳頭へしてくれるといわれています。あらかじめお手入れしておくことで皮膚の鍛錬になり、産後の乳頭の裂傷の予防にも効果があるでしょう。
ただし、マッサージをするとお腹が張ってしまう場合があります。切迫早産で安静を指示されている場合は、やめておきましょう。
始める前に乳頭や乳輪はとても敏感な部位ですので、低刺激のオイルなどをつけましょう。
妊娠20週を過ぎると、胎動を感じ始める人が増えてきます。おなかに触れると、赤ちゃんの位置がわかることもあり、お腹の中の赤ちゃんが元気に育っている実感がわくでしょう。
同時に、活発に動く赤ちゃんの場合は臍帯がからまったり巻きついたりしないか心配になることもあるでしょう。しかし、その可能性はほとんどないので過度に心配する必要はありません。
超音波検査(エコー)では、臍帯の形や位置、働きも調べてみてくれていますので、無性に心配することはありませんが、どうしても不安がある場合はお医者さんに聞いてみてください。
つわりも落ち着き、食欲が増進しやすい時期ですが、赤ちゃんのためにふたり分と思ってする食事は要注意です。太りすぎてしまうと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病につながるだけでなく巨大児出産などのリスクも出てきます。
太りすぎを心配して食事を抜くことは赤ちゃんの栄養不足になるため、バランスのよい食事と適度な運動を心がけて、適正な体重増加を目指しましょう。
出産予定日までに増える体重は、妊娠全期を通して、7~12㎏が理想と言われています。ただし、妊娠前の体重によって適正な体重増加の目安は変化しますので、こちらは担当医とよく相談することが必要です。
一般的には、BMI値に従って、やせ型は9~12kg、ふつう型は7~12kg、肥満型はおよそ5kgとなっています。
妊娠20週に入ると、段々とお腹も目立ち始めてきます。赤ちゃんのいるお腹は、大きくなるにつれて前にせり出してきます。そうなると腰痛や背中の痛みといった悩みも出てくるでしょう。
整体やマッサージに関しては、妊婦さんNGにしている施設も多いため、予約の際に確認しておきましょう。腰痛や背部痛は骨盤のゆるみからくる場合も多いので、骨盤ベルトでケアをすることをおすすめします。
骨盤ベルトはきつく締めれば締めるほど効果があるわけではありません。自分で心地がよいと感じる程度で締めるようにしましょう。
また、運動が効果的な場合もあります。できるだけ家族など、周りにサポートしてもらいながら、無理の無い程度に運動を心がけましょう。
妊娠20週を迎える頃は、安定期と呼ばれる時期です。お腹の中の赤ちゃんは、ぐんぐん成長して、個々の特徴ができあがっていきます。
安定期と言っても、様々な身体の変化や不調が出てくるでしょう。ここでは、特にママの身体に注目して、注意すべき点などを解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
妊娠をするとホルモンのバランスが大きく変化し、妊婦の約6割が足などのむくみに悩まされるようです。特に段々と子宮が大きくなる妊娠20週以降になると、足から心臓に戻る血流が圧迫されることで足がむくみやすくなるといわれています。
基本的には、このむくみ自体に問題がある場合は少なく、生理的浮腫と呼ばれています。ただし、妊娠高血圧症候群など、稀に病気が隠れていることもあります。
自然なむくみの場合は、マッサージをしたりしっかり水分補給をすることで、軽減されるでしょう。
また、体を冷やさないように注意しましょう。特にお腹周り・腰回り・足元は冷やさないように気を付けましょう。
リラキシンとは、女性ホルモンの一種で、関節の靭帯などを緩める働きがあり、恥骨結合が緩み骨盤腔を広げる作用があります。妊娠中だけでなく、経血の排泄のために生理前にも分泌されます。このホルモンは骨盤のじん帯だけでなく、全身のじん帯に作用するといわれています。
様々な身体の不調の予防のため、普段から正しい姿勢でいることを意識しましょう。また、前述したとおり、骨盤ベルトでのケアが効果的です。
妊娠をすると上記リラキシンやエストロゲン、黄体ホルモンといった様々なホルモンが分泌され、身体に大きく影響を与えるといわれています。
妊娠中は、それらホルモンの影響を受け、鼻づまりやくしゃみ、鼻血などの症状が現れることがあります。
ホルモンの影響から血液増加、末梢の血管の拡張がみられ、喉や鼻がうっ血しイガイガ感(乾燥)を感じることがあります。また、鼻水やくしゃみが頻繁に出る妊婦さんも少なくありません。
これは、妊娠中に免疫が低下し、軽い風邪にもかかりやすくなっていることが影響している可能性があります。
妊娠に伴うホルモンの変化により、消化器運動が低下します。また、子宮が大きくなるに伴ってまわりの消化管を圧迫することになります。
結果として、便秘やお腹の張り、ガスがたまっているように感じる、などの症状がおきやすくなります。
妊娠中は市販薬はなるべく避ける必要があるため、十分な水分補給とバランスのよい食事を心がけましょう。どうしても便秘がひどい場合には担当医に相談をしてみてください。
また、お腹に痛みが生じている場合は便秘だけが原因でない可能性がありますので、すぐに受診・相談をしてください。
妊娠20週の頃どのように過ごすことがベストなのでしょうか。どのような生活をすることが、ママにとっても赤ちゃんにとってもよいのかを考えていきたいと思います。
ポイントは、「ストレスを抱えない」「少しずつ出産への準備を整える」ことになってきます。
ママのストレスはお腹の赤ちゃんにとっても大敵です。つわりが落ち着き、お腹もまだ歩き回るのに大変なほどには大きくないので、様々な方法でリフレッシュをしましょう。
例えば、ウォーキングは適度な運動にもなりますし、外の気持ちよい空気を取り込んで、よい気分転換になるでしょう。妊娠前からの趣味で、続けられる趣味であれば続けたほうがよいでしょう。料理やものづくりなどは続けられる趣味のひとつです。
妊婦健診の際に、助産師さんや担当の医師は様々なことをチェックしています。母体となるママの体重や血圧、子宮の大きさなどはもちろん、赤ちゃんの様子も様々な方面からみてくれています。
赤ちゃんの心拍の確認、身体の大きさや成長していない箇所はないか、臍帯や羊水量、胎盤の位置に異常がないかなども調べてくれています。
妊娠20週を過ぎると、赤ちゃんのお顔がはっきりしてくるので、超音波検査(エコー写真)を通して、可愛い赤ちゃんのお顔をみることが出来るでしょう。
赤ちゃんを迎えるにあたって、妊娠全期を通してバランスのよい食事は必須です。これまで、つわりでなかなか食べられなかったママも、特定のものを多くとっていたママも、妊娠20週を迎える頃には随分と落ち着いてくるでしょう。
野菜、お肉、お魚、乳製品、炭水化物、果物、これらをバランスよく3食とることが大切です。
ですが、毎食一汁三菜を意識して食事をつくることは大変な作業でもあります。離乳食の練習と思って頑張るママも多く見られますが、時には味噌汁に沢山の具材を入れたり、一日三食のなかでバランスをとるようにするなどでもよいでしょう。
激しい運動は厳禁ですが、軽い運動は腰痛予防にもなり、ママの気持ちもリフレッシュできるでしょう。出産に必要な筋力もつけられますから、無理の無い程度に楽しんで行いましょう。軽い体操やウォーキング、マタニティヨガなどが人気です。
お腹に痛みがある、張っている、早産を経験したことがあるなど心配な場合は、担当医とよく相談して運動ができるかどうか、どの程度なら大丈夫かを決めましょう。
妊娠6ヶ月のはじめ、妊娠20週は全妊娠期間のちょうど折り返し地点です。赤ちゃんの胎動も感じ始め、より一層ママと赤ちゃんとの距離が近くなってきます。一方で、母体は腰痛などのマイナートラブルも出てきやすい時期となります。
少しでも気になることがある時は、助産師や医師に相談しましょう。自分で対処できることは、知識を持ち、栄養をしっかりとり、リフレッシュすることです。
お腹の中の赤ちゃんの様子、ママの身体に起きる変化をよく知り、楽しいマタニティライフを送りましょう。