妊娠を希望していても、順調に妊娠して育ってくれるかどうか、無事に生まれてくれるかどうかは、奇跡の確率と言われるように、決して当たり前のことではありません。
年齢が上がれば上がるほど妊娠する確率は下がっていきますし、年齢以外にも妊娠・出産ができにくい体質もあります。
妊娠を希望する場合は、女性・男性問わず妊娠についての理解を深めておきましょう。
妊娠を希望して妊活を行っていてもなかなか子どもが授からない場合、女性の責任と考える人がいますが、不妊の原因は女性だけではなく男性にも可能性があります。
男性は自分が原因だと認めるのをためらい、検査等に消極的な場合も多いです。親戚などから女性側だけが責められることも少なくありません。しかし、不妊の場合は原因をしっかりと見極めて治療をしていく必要があり、男性の協力が必要不可欠なのです。
妊娠を希望する場合、女性だけではなく男性にも妊娠前の準備が必要です。不妊の原因には女性であれば無排卵や子宮筋腫、男性であれば無精子症や射精障害などさまざまなものがありますが、原因となりうるものを患っているのであれば、男女問わず、妊活の前にまずはその治療を行わなければなりません。
また、不規則な生活や食生活、ストレスなども不妊の原因となりますので、妊娠前の準備として、これらを改善する努力をしましょう。
上述した不妊の原因の中で、治療が必要なものは医療機関の受診が必要ですが、生活習慣やストレスについては自分たちでできることがあります。
ここでは、自分たちでできる妊娠前の準備を3つ紹介しますので、妊娠を希望している人はぜひ参考にしてみてください。簡単にできるものはすぐにでも取り入れてみましょう。
妊娠自体を目指すのも大事ですが、妊娠したあと、無事に赤ちゃんを産むことができる体づくりのために、貧血予防は重要です。
貧血を予防するために必要な栄養素で代表的なものは葉酸と鉄です。そして、鉄の吸収をサポートするビタミンCとビタミンB群も一緒に摂取しましょう。この食生活は妊娠前はもちろんですが、妊娠してからはより一層意識しなければいけません。
これから、葉酸と鉄について詳しく説明していきます。
葉酸は、貧血予防よりも赤ちゃんの神経管の先天異常のリスクを下げる働きがある栄養素として有名です。そして、赤ちゃんの神経管は受精後28日から6週末までに完成するので、妊娠が判明した後に葉酸を摂り始めても遅いです。
そのため、葉酸は妊活中から積極的に摂取する必要があります。妊婦の葉酸の必要摂取量は1日当たり400μgと多く、つわりで食事がすすまないことが多い妊娠初期には、吸収率のよいサプリメントでの摂取が推奨されています。
貧血予防に鉄は欠かせない栄養素です。鉄は血液中のヘモグロビンを作る働きをしており、ヘモグロビンは血液中の酸素を全身に運ぶ大切な役割を果たしています。
鉄を含む食べ物には、レバーや緑の葉物野菜、豆腐などがあります妊娠初期は1日当たり非妊時+2.5㎎(8.5~9.0mg)、妊娠中期-後期は1日当たり+15.0㎎(21.0~21.5mg)が必要ですが、日本人女性は不足しがちなので、こちらもサプリメントでの摂取が可能です。
元気な赤ちゃんを安全に産むには、自分たちの健康な身体づくりが必要です。食生活を見直し栄養バランスの良い食事を心がける、十分な睡眠時間をとるなどの規則正しい生活をする、ストレスを溜めすぎないように工夫する、適度な運動を取り入れる、適正体重に近づける、など、健康的な身体を目指した生活をしましょう。
また、たばこや過度な日焼け対策など、避けた方がいいこともありますので、意識して生活しましょう。
過度な日焼け対策は、ビタミンD不足の原因になります。ビタミンDは、紫外線により、皮膚でコレステロールから合成されるものなので、適度に自然光を浴びる必要があります。
過度に日焼け対策をすると、ビタミンDが合成されず、不妊症・月経困難症・早産・妊娠糖尿病・胎児発育不全・妊娠高血圧症候群などの原因となる可能性があります。ですが、日光に当たりすぎるのも他の危険がありますので、適度に日光浴を行いましょう。
肘もしくは膝下を、夏なら15分、冬はもう少し長く日に当てれば十分です。
妊娠を希望する場合、まずは身体に意識を向けることから始めましょう。妊娠前の準備としてはもちろん、元気な赤ちゃんを産むためにも、産まれた後に待っている育児でも、健康な身体は大切です。
身体に意識を向けるといっても、特別なことは特にありません。規則正しい生活をする、バランスの良い食事を摂る、適度な運動をする、十分な睡眠時間を確保する、など基本的な生活習慣を身に着けることで、健康的な身体に近づくでしょう。
自分たちでできる妊娠前の準備を紹介してきましたが、それとは別に、医療機関で行う妊娠前の準備が3つあります。どれも妊活をすすめていく上で重要で、無事に元気な赤ちゃんを産むためには、ぜひ受けておいてほしいものばかりです。
妊娠を希望している人は、ぜひパートナーと話し合ってみてください。
妊娠中の女性が気を付けるべき感染症はいくつかありますが、中でも風疹に母体が感染してしまうと、胎児が耳や目、心臓に障害を及ぼす先天性風疹症候群(CRS)になる可能性があります。
風疹の予防接種を子どものころに受けたり、風疹にかかったことがある人でも、抗体が残っていない場合も多いです。ですので、まずは抗体検査をして、必要ならば予防接種を受けましょう。このとき、女性だけではなく、男性も受けましょう。
自治体より補助が出ている場合が多くあるので、確認しておきましょう。また、風疹の予防接種後2か月は避妊するようすすめられています。妊娠を希望される場合には、早めの対応がよいでしょう。
妊娠中はさまざまな要因で虫歯になりやすく、また、妊婦の歯周病は早産・低体重児出産などの原因になるので、妊娠前に歯をきれいにしておくことでそのリスクを減らすことができます。
母子手帳に歯科検診の記載欄が含まれていることからも分かるように、妊娠と虫歯は密接な関係にあります。妊娠後でも治療は可能ですが、つわりやお腹が大きくなることで思い通りにいかないこともあるので、妊娠前に治療しておくことをおすすめします。
ブライダルチェックとは、将来、妊娠を考えている女性のための婦人科検診のことですが、男性の項目がある病院もあります。2人で一緒にブライダルチェックを受けることで、不妊の原因となりうるものをいち早く見つけ、場合によってはすぐに治療を始めることが可能です。
ブライダルチェックは女性向けだという認識がまだまだ強いですが、不妊の原因が男性にある可能性も十分あるので、ぜひ2人で受けて、現状を把握しましょう。
男性のブライダルチェックの内容は、精液検査、超音波検査、内分泌ホルモン検査、性感染症検査などがあります。不妊の原因となるものを先に見つけることができれば、治療が必要なものに関しては早期治療が可能になります。
男性ができる妊娠前の準備として、スマホでできる精子セルフチェックキットがあります。これは、精子を採取してアプリで撮影するだけで、精子濃度や運動率がすぐに分かります。
男性がなかなか病院に行ってくれない場合、このような簡易的な検査から始めてみるのもいいのではないでしょうか。
妊娠前の準備をいくつか紹介しましたが、生活習慣の見直しや予防接種など、普段の生活を送りながらできるものばかりなので、難しく考えずにできることから始めてみましょう。
妊娠を希望しているカップル・夫婦は、本記事で紹介した妊娠前の準備をぜひ2人で実践してください。2人で実践することで絆が深まると同時に、妊娠への近道になります。