立ち会い出産は赤ちゃんの誕生を夫とともに迎え共有することです。分娩室の中まで一緒に入るため、痛みや不安で辛い陣痛のサポートや出産の大変さを理解することのできる大切な場になります。
父親になったという自覚を得て、ともに育児をスタートさせることができます。基本的には自然分娩で行われ、帝王切開では立ち合い出産することができません。
近年では、出産や育児に積極的に関わりたいと考える旦那さんは多く、立ち会い出産の希望も増加傾向にあります。立ち会い出産に対して「恥ずかしい」といった声は少なく「立ち会うのが当たり前」という考えになっています。
また働き方改革により有給取得が可能になったため、立ち会い出産しやすい環境になっていることも要因の1つです。産院側も分娩室を広く設けるところが増えており、立ち会い出産が増えていることの表れとも言えるでしょう。
出産が近づくにつれ不安な気持ちが膨らむでしょう。少しでも不安な気持ちを軽減させるために立ち会い出産を希望する人もいます。
また立ち会い出産を希望する人の割合は増加していますが、実際に立ち会ってもらうことでのメリットはどのようなものがあるでしょうか。ここからは、立ち会い出産のメリットをご紹介します。
出産は「この痛みはいつまで続くのだろう」と苦しく不安な時間が続きます。初めての出産であればなおさら不安は大きいと言えます。そんな中そばにいてくれる存在がいるのは心強く感じるでしょう。
医者や助産師さんがいるので何かあれば頼ることもできますが、言いづらかったり気を遣ってしまうこともあり、夫や家族は頼りになる存在になると言えます。
女性は赤ちゃんがおなかにいる間に赤ちゃんの成長を感じたり動きを感じることで母親の自覚を持ちますが、男性は赤ちゃんが生まれてくるまで自分で成長する体感ができないため、いまいち実感を感じにくいと言います。
そのため、立会い出産をし陣痛スタート時から何時間も一緒に付き添い誕生の瞬間を目にすることで、父親になる自覚が芽生えやすくなるでしょう。
実際に出産することのない男性にとって出産の実感は得られにくいと言えます。しかし立ち会い出産で自分の子供が生まれ泣き声を聞くことで、初めて子供が生まれ父になる実感と感動を味わうでしょう。
立ち会い出産とはそんな感動を夫婦で分かち合うことのできる時間になります。この感動を分かち合う時間は夫婦の絆が深まる体験になると言えるでしょう。
痛みに耐えながら身の回りのことをこなすことは容易ではありません。自分ではできないことは助産師さんなどにお願いすることはできますが、忙しくしているところにお願いするのは気が引けてしまう人も多いでしょう。
その中で立ち会い出産をして水を飲ませてくれたり、汗を拭いたり腰をさすったりと、身の回りの事をやってくれる旦那さんがいることは大変助かります。
出産の大変さ・子育ての大変さ・子供の尊さを立ち会い出産をすることで、身をもって体験し子供への愛情が増す人が多くいます。そのため、その後の子育てにスムーズに、そして積極的に参加することができたと感じる人が多いです。
出産が大変であるということは口で説明しても伝わりづらいので、実際に立ち会ってもらうのは良い手と言えます。
子供が大きくなった時にパパとママが誕生を楽しみにどのように出産したいかを考え、立ち会い出産をどのように行ったか詳しく話してあげる事ができます。
愛情をもって迎えられたということを伝えるられるでしょう。
立ち会い出産した人の中には「立ち会い出産はしなくて良かったかな」「次に出産するのなら立会いはしてほしくない」と後悔する人もいます。その理由には予想していた出産とは違ったという感想から来るものです。
ここからは、立ち会い出産のデメリットと思われる点を紹介しますので参考にしてください。
夫婦といっても人それぞれで、普段からどんな姿もオープンに見せ合う夫婦もいれば、お互いに気遣いながら失礼が無いようにという夫婦もいます。いつもと違う姿は見せたくないと思っていても、出産は思うようにはいかないものです。
いきむ際には尿や便が出てしまうこともあります。そんな痛みに耐える姿や泣く・叫ぶといった姿を見せる場合もあるため、「恥ずかしい姿を見せてしまった」と後悔する可能性があります。
出産は今まで体感したこともない痛みが伴います。病院側の配慮で頭側での立ち合いにするよう指示されますが、苦しむ姿や出血する様子・羊水の独特な臭いが残りトラウマになることもあります。
そのため、立ち合い出産では今までに見たことのない奥さんの姿を目の当たりにすることになり、女性として見ることができなくなったという旦那さんは少なくありません。
また、ここから関係がうまくいかず離婚に繋がってしまったというケースもあり、立ち会い出産をする場合に気を付けなくてはいけないところです。
せっかく立ち会い出産をするなら、記念になるこの瞬間を残そうとビデオ撮影に夢中になり、一番大切な奥さんのサポートを忘れてしまう人も中にはいます。医者や助産師さんの邪魔になることは我が子を危険にさらすことと同じです。
奥さんとビデオ撮影して誕生する姿を残そうと話をしていたとしても、その場の状況を見て判断しなくてはいけないと言えるでしょう。
立ち会いを嫌だと言っている旦那さんの中には、血が苦手・奥さんが苦しむ姿を見たくないなど立ち会いしない理由があるはずです。
嫌がっている人を無理に立ち会わせてしまうと、誕生の感動よりも「無理に見せられた」とマイナスな思い出になってしまいます。旦那さんの意思も尊重しましょう。
立会い出産を良い思い出にするためには事前にしっかり準備を行うことが大切になってきます。
出産時どのように過ごしたいか、何をしてもらいたいかなど奥さんの希望を聞くとともに、旦那さんがどのように生まれる瞬間を迎えたいかなど、お互いの気持ちのすり合わせが必要です。
そして、やり直しがきかない出産では後で不満や後悔をすることが無いように、準備を念入りにすることをおすすめします。
ここからは、立ち会い出産の準備について紹介します。
病院によって立ち会い出産に関しての決まりは違い、立ち会える人の条件や立ち会いができるタイミング・講習を受ける必要があるなど制限を設ける病院が多くあります。また出産の状況によって途中で立ち合いを中止する場合があります。
現在、コロナの影響もあり旦那さんであっても立ち合いを禁止している病院も多いため、忘れずに確認するようにしましょう。
旦那さんは同じ部屋でただ我が子が生まれる瞬間を待てばよいということではありません。あらかじめ出産の流れを把握するなど、立会い出産とは何かをしっかり理解していなければなりません。
旦那さんの役割は奥さんのサポートをすることになります。何が自分にできるか、出産中に奥さんは何を求めているかを理解しておきましょう。
どちらか一方が立ち会い出産はしたくないという考えであるのならば、無理に考えを押し付けることなく話し合いでお互いの意見を確認しましょう。また、あくまでも立ち会うかどうかを決めるのは夫婦2人です。
立ち会い出産をしない場合でも赤ちゃんに対する愛情が無いということではなく、立ち会う立ち会わないで愛情ははかれません。
旦那さんが仕事場から向かっても間に合わないこともあります。確実に立ち会いをすると決めすぎるてしまい、間に合わなかった時に喧嘩にならないように気を付けましょう。
立ち会い出産をした際、その場で何もしないで痛みに苦しむ姿を見ているだけでは意味がありません。当日落ち着いてサポートするためには、事前に旦那さんができるサポートはどんなことであるか知っておくことが大切です。
呼吸法を一緒に練習しておき、当日陣痛でパニックになった奥さんをリードして一緒に行うことも良いでしょう。ゴルフボールやテニスボールを用意し、痛みを和らげるマッサージを練習しておくのも良いことです。
少しでも落ち着いて出産に臨めるサポート方法を2人で確認しておきましょう。
出産予定日が近づくにつれ話題に出るのがビデオ撮影をするかどうかです。このビデオ撮影は子供が誕生する瞬間を記録できるため記念になると言えます。
しかし出産のビデオ撮影は賛否両論です。「感動的な映像が取れた」「客観的に子供が生まれる瞬間を見られる」「2人目のイメトレになった」といった賛成派の意見もあります。
反対に「撮ったけど封印した」「トラウマになった」という意見や「そもそも苦しんでいる姿なんて撮影されたくない」という人もいます。
ビデオ撮影したいと決めた場合、いつから撮影を始めるかも決めておくと良いでしょう。
出産という初めての経験にオロオロしてしまう旦那さんは多くいます。その原因のほとんどが知識不足によるものです。
そんな頼りない旦那さんの姿にイライラする奥さんもおり、残念ながら出産中に怒られている人もいます。奥さんは痛みや不安で余裕がないので旦那さんにはどんと構えていてほしい、冷静に判断してサポートしてほしい、というのが奥さんの本音でしょう。
事前に両親学級に積極的に参加し、妊娠時から立ち合いが始まっているという心構えで臨むと良いでしょう。
昔に比べ立会い出産を希望する夫婦は多く、立ち会い出産をすることが当たり前のように言われています。しかし本当に大切なのは立ち会うという行為ではなく、夫婦で話し合いお互いの気持ちを尊重すること、出産の大変さを共有するということです。
出産は日時を指定することはできず、大幅に予定日を過ぎる事もあれば予定日より早く陣痛が起こる事もあります。
また、立ち会い出産を希望していても間に合うか分からなかったり、コロナの影響で立ち合いだけでなく検診の立ち合いもいつから再開できるか分からないなど、希望通りにならないこともあります。
どのように我が子の誕生を迎えるか事前にしっかり話し合い、後悔のないようしましょう。