【専門家監修】妊娠後期の検診の種類7つ|注意すべきGBSの知識5つ

妊娠後期とはどのような時期?

「妊娠後期」とは、妊娠28週から40週までを指し、月数で言うと妊娠8ヶ月から10ヶ月に当たります。


これまで成長が緩やかだった赤ちゃんも、妊娠後期に入ると急激な成長を見せることもあります。それに伴い、ママの身体にもいろいろな変化が起きます。


本記事では、妊娠後期の検診の種類7つと、注意すべきGBSの知識についてご紹介します。

妊娠後期に検診は必要?

「妊娠後期に検診は必要なのか」、その答えはもちろん「必要」です。妊娠の初期や後期に関係なく、妊婦検診は必ず受けるようにしましょう。


妊婦検診で赤ちゃんの状態が全てわかるわけではありませんが、万が一異常があったり、処置が必要になったりした時、瞬時に対応してもらうことができます。


「前回の検診で異常はなかったから大丈夫」と過信せず、きちんと毎回検診を受けるようにしましょう。

妊娠後期の検査の種類7つ

妊娠後期に受ける検査には、7つの項目があります。「たくさん検査の種類があって、その検査が何を調べるために行うのかわからない」と考える方も多いのではないでしょうか。


ここでは、妊娠後期に受ける検査の内容を一つずつご紹介していきます。


お腹の中の赤ちゃんの安全のため、ママ自身が安心して出産を迎えるために、きちんと理解して検査を受けるようにしましょう。

妊娠後期の検査の種類1:定期妊婦健診

まず1つめは、妊娠初期から出産まで受ける「定期妊婦検診」です。


その内容は、主に医師からの問診、腹囲・子宮底長の測定、超音波検査などが一般的です。


前回の検診から何か変わったことがないか、体調は悪くないか、心配事はないか、などを医師と話します。また、「エコー」と呼ばれる超音波検査では、赤ちゃんの位置や発育状況、羊水の量などを見ます。

妊娠後期の検査の種類2:GBS検査(B群溶連菌検査)

GBS検査とはB群溶連菌検査とも呼ばれるもので、ママがB群溶連菌を保有していないかを調べるために行います。


万が一、ママが菌を保有していた場合は赤ちゃんにも感染させてしまうことがあり、出産後の赤ちゃんに深刻な症状をもたらす危険があります。


感染が疑われた時は、分娩中に抗生剤点滴による治療を行い、赤ちゃんへの感染リスクを低減させます。

妊娠後期の検査の種類3:腟内細菌検査

膣内細菌検査は、細菌性膣症などを発見するために行う検査です。細菌性膣症は、クラミジアやカンジダなどの性感染症と似ています。


症状としては、おりものの増加や痒みなどが現れることが多いですが、症状がない場合もあります。そのため、膣内細菌検査で膣からの分泌物を採取し、検査を行います。

妊娠後期の検査の種類4:生化学的血液検査

生化学的血液検査は、出産前にママの身体に異常がないか調べる目的で行います。


腎機能や肝機能、貧血の有無など、様々な項目のチェックが可能です。これらの結果を元に、分娩するのに問題がないか確認します。

妊娠後期の検査の種類5:血液凝固検査

血液凝固検査は、出血があった際にきちんと止血する機能があるかを調べる検査です。


妊娠高血圧症候群などの人は、妊娠中に血液が固まる機能に異常が出ることがあります。出産に当たって異常がないかを調べる目的で行われます。

妊娠後期の検査の種類6:貧血、血小板など血液一般

貧血や血小板の減少が見られないかを確認する目的で行われます。万が一、この検査で貧血が見られた時は、分娩時の出血のことを考慮し、鉄剤が処方されます。


また、血小板数の減少が見られた時は原因を突き止め、その原因に合った処置をします。

妊娠後期の検査の種類7:胎児心拍数モニタリング

胎児心拍数モニタリングとは、赤ちゃんの健康状態が判定できる検査の一つです。ママのお腹に2つのセンサーを取り付け、赤ちゃんの心拍数と子宮の収縮具合を見ます。所要時間はおよそ30分ほどです。


このモニタリングは、分娩が始まってから出産までの間にも行われます。


また、NST(ノンストレステスト)といわれる検査も、現時点で赤ちゃんが元気かどうか確認するもので、胎児心拍数モニタリングと同じ検査です。

妊娠後期は感染症に注意すべき?

妊娠中は、初期や後期などの時期に関わらず、感染症に注意しましょう。万が一ママが感染してしまうと、生まれてくる赤ちゃんにも感染させてしまうことがあり、出産後に危険を及ぼす可能性もあります。


具体的に予防法が存在する感染症もありますので、きちんと予防をして過ごしたいところです。


有名な感染症といえば風疹などが一般的です。風疹は、赤ちゃんが感染してしまうと難聴や白内障などを引き起こすと言われています。


また、特に注意したいのがGBS(B群溶血性連鎖球菌)です。先述しましたが、GBSは赤ちゃんにとっては非常に怖い感染症です。


以下で、GBSについて詳しくご説明します。

妊娠後期に注意すべきGBSの知識5つ

GBSは、B群溶血性レンサ球菌と言われる細菌のことを指します。実は、私たちの体のどこにでもいる細菌で、検査をするとその保菌率は20~30%と言われています。


B群溶血性レンサ球菌自体はすごく弱い細菌ですので、万が一保菌していても、妊婦さん自身に症状が出ることはほとんどありません。また、抗生物質がよく効くこともわかっています。


しかし、赤ちゃんにとっては危険を及ぼす可能性が高いです。ここからは、そのGBSについて、どんな危険があるのか、どんな治療法があるのかなどを詳しく見ていきます。

妊娠後期に注意すべきGBSの知識1:GBS(B群溶血性連鎖球菌)とは

先ほども先述しましたが、B群溶血性レンサ球菌自体は私たちの体にいても悪さはしません。抗生物質もよく効きますし、怯える必要はないでしょう。


しかし、GBSの抗体を持っていないママから生まれてくる赤ちゃんの場合は大敵となります。産道感染といって、お産の時に赤ちゃんの鼻や口から感染してしまうと重大な疾病が残ることがあります。


以下で、想定される疾病についてご紹介します。

妊娠後期に注意すべきGBSの知識2:想定される疾患

GBSの抗体を持たないママから生まれる赤ちゃんが産道感染すると、新生児GBS感染症という重大な病気を引き起こすことがわかっています。


具体的には、肺炎や敗血症、髄膜炎などの疾患が想定されます。特に髄膜炎は、赤ちゃんに後遺症が残ることもあります。


また新生児GBS感染症は、短時間で症状が悪化しやすく、適切な処置や治療が出来なかった時は赤ちゃんの命も奪いかねません。赤ちゃんの発症率は1~2%と言われていますが、予防がとても重要です。

妊娠後期に注意すべきGBSの知識3:治療方法

万が一、妊娠後期の検査でママがGBS保菌者であると判明した場合は、赤ちゃんへ感染させないように治療を行います。


具体的には、ママに陣痛が来た段階もしくは破水した段階で抗生剤の点滴を開始します。分娩の4時間以上前に抗生剤を投与することで、ママの臍帯から赤ちゃんに薬剤が行き渡り、赤ちゃんへの感染リスクを低減させることが出来ます。


出産後は、赤ちゃんへのケアも行います。発熱や呼吸の状態をチェックし、異常が認められた場合には血液検査などを行い、抗生剤を投与する治療を行います。

妊娠後期に注意すべきGBSの知識4:赤ちゃんへの感染防止

赤ちゃんにGBSを移さないようにするためには、先述したように、ママへの抗生剤の投与が有効です。


ほとんどのGBSに効くと言われているペニシリン系の抗生剤を、分娩まで数時間ごとに点滴しますが、アレルギーのあるママには代わりの抗生剤が点滴されます。


この点滴を行うことで、ほとんどの場合、赤ちゃんへの感染は防ぐことが出来ます。


陽性だと判明した時点での抗生物質の投与や洗浄は、行ったとしても約70%のママが分娩時に再検出されるため、分娩が始まってからの治療がメインとなります。

妊娠後期に注意すべきGBSの知識5:検査にかかる費用

GBSの検査にかかる費用はどのくらいでしょうか。検査にかかる費用は、お住まいの市区町村や、産婦人科によって様々です。


最近では、経済的負担の軽減のために公費で賄っている市区町村も多く見られます。助成を受けない場合でも、費用は産婦人科によってばらつきがあり、数千円〜1万円ほどの開きがあります。


ほとんどの場合は、妊娠36週頃の検診にGBSが含まれていることが多く、妊婦健診票が使用できます。

妊娠後期の検査を受診して出産に備えましょう!

妊娠中は、自分でも気付かない変化があります。妊娠の時期に関わらず、検診は必ず受けるようにしましょう。


きちんと検診を受けていれば、万が一異常があったとしても、早期発見につながりますので、適切な処置や治療を受けられます。


ママ自身の体を守るため、また大切な赤ちゃんを守るためにきちんと検診を受けて出産に備えましょう。