【専門家監修】逆子に関する疑問5つ|逆子の原因や危険性は?予防や対処法はある?

逆子とは

逆子とはお腹の中の赤ちゃんが、頭が上、足やお尻が下になっている状態をいいます。


妊娠初期に逆子だった場合も、妊娠後期になると重力によって自然に頭が下の状態になるのですが、稀に逆子のまま出産時期を迎えてしまう場合もあります。こうした逆子のままでの出産率は全体の3~4%と極めて低い確率です。


逆子の検査方法としては、定期健診での超音波検査で確認できます。およそ8ヶ月頃の妊娠30週前後を目安に診断されます。

逆子の種類3つ

逆子と診断される赤ちゃんの状態として、赤ちゃんの頭が上で足やお尻が下を向いている「骨盤位」のほか、横向きの「横位」、斜め向きの「斜位」があります。


ここでは、これらの種類3つについて詳しく解説します。

逆子の種類1:骨盤位

骨盤位とは、赤ちゃんがお腹の中で、頭が上、足やお尻を下に向けている状態のことです。


代表的なものに、お尻を下に向け両足をV字のように上へ伸ばしている「単殿位」、足を折り曲げて座ったような状態の「複殿位」、足を真っすぐ下へと伸ばしている「全足位」、膝を付いて立ち膝をしているように見える状態の「全膝位」があります。


骨盤位のうち、大体の赤ちゃんが単殿位の状態が多いです。

逆子の種類2:横位

横位とは、赤ちゃんがお腹の中で横向きの状態であることをいいます。


妊娠中期の、赤ちゃんがまだ自由に動き回れるほどの広さが羊水にあるころによく見られる状態です。赤ちゃんの頭が左に向いている状態を「第一横位」、右に向いている状態を「第二横位」を呼びます。


ほとんどの赤ちゃんは、妊娠週数とともに頭が下向きになりますが、逆子となってしまう場合もあるようです。いずれも出産まで横位である状態は稀といえるでしょう。

逆子の種類3:斜位

斜位とは、骨盤に対してお腹の中の赤ちゃんが斜めになっている状態をいいます。


横位と同じく、多くの赤ちゃんは、妊娠週数が進むにつれ頭が下に回転します。しかし、逆子である骨盤位へと回転してしまう赤ちゃんも少なからずいるようです。


いずれも出産まで斜位である状態は稀といえるでしょう。

逆子に関する疑問5つ

一般的には稀とされる逆子ではありますが、もし逆子と診断された場合、さまざまな疑問点が生じることもあります。


ここでは、逆子に関する疑問について、詳しく解説します。

逆子に関する疑問1:逆子になる原因は?

逆子になる原因にはどんなものがあるのでしょうか。


逆子になる主な原因は、子宮の形態異常、胎盤の異常、骨盤の幅の影響、羊水過多、胎児の形態異常の5つです。


ここでは、それぞれの原因について詳しく紹介します。

子宮の形態異常

子宮の形態異常とは、母体の子宮が何らかの原因で狭くなってしまっている状態のことです。


子宮内に筋腫や腫瘍があり気が付かずに妊娠してしまった場合、筋腫や腫瘍によって子宮内が狭く赤ちゃんが動きにくくなり逆子になってしまう場合があります。


また、なかには子宮奇形と呼ばれる子宮異常の病気があり、およそ5%程度の確率ですが発覚しにくいため、妊娠後に発見されることが多い病気です。


多くの場合は支障なく出産に至りますが、これが逆子になってしまう要因とも考えられます。

胎盤の異常

お腹の中にいる赤ちゃんに、酸素や栄養を与え老廃物や二酸化炭素を受け取る役割を果たしているのが胎盤です。この胎盤の位置が通常よりも下の方にある場合を胎盤異常といいます。


胎盤異常には、「前置胎盤」と「低置胎盤」があり、どちらも胎盤が子宮口の出口付近を覆うような状態のことです。胎盤が下にあることで、赤ちゃんは頭を下にする状態を保ちづらいため、逆子になってしまいます。

骨盤の幅の影響

骨盤の幅が狭い場合も、逆子になる要因の一つとされています。


妊婦の身長が150cm以下だったり、元々の骨格が小さい人は、赤ちゃんが出産時に通る骨盤腔が通常よりも狭く、狭骨盤と診断されることがあります。


また、骨盤や脊柱に何らかの疾患を抱えていると、狭骨盤になりやすいとも考えられます。

羊水過多

お腹の中の赤ちゃんを守るように、子宮内で赤ちゃんを包んでいる液体のことを羊水といいます。この羊水が通常よりも多い場合を羊水過多といい、羊水の中で赤ちゃんが動き回りやすくなり、逆子になってしまう原因とされています。


羊水過多は他にも、赤ちゃんに先天性異常がある場合や、妊娠糖尿病が原因として挙げられますが、およそ60%は原因不明といわれています。羊水の量は定期健診のエコー検査で推定することができるので、定期健診は必ず受けましょう。

多胎妊娠

多胎妊娠とは、双子など2人以上の赤ちゃんを妊娠することです。妊娠が多胎妊娠だった場合も、逆子になる可能性が高まります。


赤ちゃんが増えれば、成長するにつれて子宮内で動き回れるスペースが限られてしまうので、逆子になってしまう場合が多いようです。

胎児の形態異常

お腹の中にいる赤ちゃんに何らかの異常があるため、逆子になっている場合もあります。


「水頭症」という、赤ちゃんの頭蓋骨内に水が溜まって通常よりも頭が大きくなってしまう胎児奇形があると、逆子になりやすいといわれています。


また、通常よりもへその緒が短い場合、胎内にいる赤ちゃんが身動きをとりにくく、結果的に逆子となってしまうというケースもあります。

逆子に関する疑問2:逆子がもたらす危険性は?

お腹の赤ちゃんが逆子であったとしても、きちんと定期健診に行き、医師の指導を受けていれば、妊娠中や赤ちゃんの成長に大きな影響はありません。


逆子がもたらす危険性は、分娩時にあるといえるでしょう。ここでは、胎児への影響、母体への影響について解説します。

胎児への影響

逆子の場合、分娩時の胎児にさまざまな危険があります。


逆子の時は、赤ちゃんの出産準備ができていない状態で破水する「前期破水」が起こりやすくなります。破水してから出生までの時間が長引いてしまうと感染リスクや羊水が減ることで胎児機能不全などのリスクがあります。


また、臍帯脱出といって赤ちゃんより先にへその緒が出てしまうリスクもあります。いずれにせよ、このような危険性を避けるため、逆子である場合は帝王切開で出産する予定を立てる病院も多いようです。

母体への影響

逆子の場合、出産時に帝王切開を予定する病院が多くなります。


赤ちゃんへの影響を考え、リスクを避けるために帝王切開を選択することがほとんどではありますが、帝王切開にもリスクがあることを理解しなければなりません。


しかし通常分娩であったとしても、緊急帝王切開に切り替わることもあるため、出産時に関して分からないことや不安なことは、前もって病院に相談するとよいでしょう。

逆子に関する疑問3:逆子のまま出産する場合は?

逆子の場合は分娩時に伴うリスクを考慮して、帝王切開を予定する病院が多いことを解説しました。


しかし、逆子の状態や妊娠経過が極めて良い場合、病院によっては自然分娩を選択できるケースもあるようです。


その場合、逆子の自然分娩経験が豊富な医師であるか、リスクが生じた際は緊急帝王切開に切り替える設備や態勢が整えられているか、しっかり確認しておきましょう。

逆子に関する疑問4:逆子の予防法はある?

前述した原因に当てはまらなくても、逆子になる場合はあります。冷えやストレスにより子宮収縮が起こることで逆子の原因になるので注意しましょう。


また、便秘は直接的な逆子になる原因にはなり得ませんが、便秘になることで逆子になる妊婦の方は多いようです。食事を見直したり適度な運動を取り入れ、お通じを良くすることを心掛けましょう。

逆子に関する疑問5:逆子をなおすには?

逆子をなおす方法として、専門の医師が行う「外回転術」や、妊娠30週を過ぎた頃から、病院によっては逆子をなおす「逆子体操」を勧められる場合もあるようです。


ここでは、逆子をなおす2つの方法について解説します。

外回転術を受ける

専門の医師が赤ちゃんが回転しやすいように、お腹の上から力を加える方法を外回転術といいます。


お腹が張らないように子宮収縮を抑える薬を使いながら行い、かかる時間は2~3分、長くても10分ほどです。痛みを伴うため、無痛分娩に使用するような麻酔を用いている病院もあるようです。


この方法を受ける場合、専門の医師が行うこと、リスクが生じた際にはすぐに緊急帝王切開へと切り替えることができる態勢が整っているかが非常に重要です。外回転術を考えている方は、一度かかりつけ医にも相談してみましょう。

逆子体操をする

逆子体操とは、赤ちゃんが頭を下にできるように妊婦が医師の指示のもとに行う体操のことです。妊娠30週を過ぎたあたりから、病院によっては医師から妊婦体操を促される場合があります。


逆子体操の方法は、まず四つん這いのポーズをとり顔と胸は床につけます。できるだけお尻は高く上げ、5分程度このポーズを保ちます。最後に横向きに寝て10分程度安静にしておきましょう。


この横向きになるとき、右を向くか左を向くかは、逆子になっている向きによるため、医師の指示に従いましょう。もし妊婦体操をして、お腹が張ったり気分が悪いときは体操を中止し、医師に相談しましょう。

逆子になりやすい時期について

妊娠初期から妊娠中期までは、子宮内にスペースがあり、赤ちゃんも羊水の中を自由に動いている状態なため、逆子になりやすい時期といえます。この時期に逆子だと診断された赤ちゃんも、妊娠後期には多くが頭を下にした頭位になるため、焦らず赤ちゃんの様子を見守りましょう。


大切なのは、妊娠中を穏やかな気持ちで過ごすことです。不安もあるでしょうが、思い悩まずストレスを溜めこまないように注意しましょう。

逆子は専門家の話を聞いて対応を!

もし逆子のまま分娩になった場合、自然分娩や帝王切開に伴うリスクを理解し、どのような出産方法をとるか医師としっかり相談することが大切です。病院によっても考え方や設備などの違いがあるため、よく考えたうえで病院を選びましょう。


不安や心配ごとがあれば、かかりつけ医に相談し悩みを抱え込まないことが大切です。