帝王切開手術とは、赤ちゃんかお母さんのどちらかに何かの問題が発生した場合に選択される出産方法のひとつです。帝王切開手術は麻酔をかけてお母さんのお腹を開腹し、子宮から赤ちゃんを直接取り出します。
現在では昔より帝王切開の数も増え5人に1人が帝王切開で出産しているという結果もでています。
帝王切開には大きく2つのパターンがあります。
事前に手術日を決めて出産を行う予定帝王切開と経腟分娩を予定していたが何かの問題で急遽行われる緊急帝王切開があります。どちらも手術の内容としての違いはあまりありません。
普通分娩を予定している妊婦さんやそのご家族の方でも、帝王切開について把握しておくことは不安や恐怖を払拭しておくという上でも大切です。
予定帝王切開は妊娠37週までの妊婦健診で自然分娩が難しいと判断される場合に行われる手術です。
予定帝王切開になる理由には、赤ちゃんが逆子といわれる骨盤位の状態になっている時や、双子以上を妊娠した時、前置胎盤の状態で妊娠した時などに行われます。
一般的には母子ともの安全を考慮した妊娠37〜38週ごろに手術が行われる事が多いです。
予定帝王切開とは異なり急遽行われる帝王切開手術を緊急帝王切開といいます。
緊急帝王切開は、常位胎盤早期剥離といわれる出産前に胎盤が剥がれ子宮内で大量出血が起きてしまう場合や、遷延分娩といわれるお産が長引いた時、胎児機能不全など赤ちゃんの健康状態が心配な場合に行われることがあります。
帝王切開でも、普通分娩でも出産には痛みが付きものというのは変わりません。帝王切開は、出産時に痛みを感じることはありませんが手術後の麻酔が切れた後は数日間強い痛みと戦うことになります。
ここでは、手術中、手術後の時期別に感じる痛みについて解説していきます。
手術中は腰椎麻酔が効いているため、痛いということはありません。
帝王切開の麻酔は胸の下辺りから足先にかけての痛みを感じなくなるもので、意識ははっきりとしているので赤ちゃんが生まれたら手術中でも見ることができます。
腰椎麻酔は痛みや冷たいという感覚がなくなります。しかし、押したり引っ張られたりなどの触られている感覚は麻酔が効いていても感じるものなので、びっくりしてパニックにならないように気を付けましょう。
炎症期には血小板などの働きにより、止血や傷の修復が活発に行われる時期です。傷口を修復していく過程で、痛みを起こす物質も放出されているため手術後は特に痛みを感じやすくなっています。
手術から3日目くらいは、赤い腫れや痛みが生じますが徐々に落ち着いてきます。
増殖期には新しく細胞が増殖しはじめ、その増殖した新しい細胞が傷の隙間を埋めることで徐々に元の状態に戻っていきます。
増殖期は手術の3日目から約3週間続き、痛みは炎症期ほど強くはありません。
最後に成熟期が訪れます。成熟期になると細胞の活動は落ち着きます。徐々に傷跡も白く目立たないようになっていきます。
一方で体質や衣類との摩擦など何らかの要因で傷跡が赤く盛り上がるケロイドというものになり、かゆみや痛みを伴うことがあります。
帝王切開の痛みには大きく2つのものがあります。開腹手術の傷の痛みと、出産直後から起こる子宮収縮による痛みです。
普通分娩では出産時に強い痛みを伴い、さらに会陰切開をした場合には数日お尻に痛みや違和感を感じることになります。
一方、帝王切開では出産時に痛みを感じることはありませんが、出産後には長い期間痛みを感じることがあります。ここでは、帝王切開で感じる痛みの原因について解説していきます。
帝王切開の手術直後は麻酔の効果もあり、それほど痛みは感じないかもしれませんが麻酔が切れると痛みだすことが多いです。麻酔が切れても痛み止めの薬が処方されるので多少は緩和できますがしばらくは痛みが続きます。
手術翌日からは起き上がったり、歩く練習などが行われますが痛みのピークでもあるので辛いと感じる方も多いかと思います。動いてみて傷の痛みが和らぐ姿勢や寝方など、痛みの乗り越え方を探してみましょう。
手術後の切開創の回復には4~6週間かかるといわれているので退院したからといって無理をしすぎないことが大切です。
子宮収縮の痛みは後陣痛が起こると感じるものです。後陣痛は出産後に大きくなっていた子宮が小さくなるために起こるもので出産から数日ほどは痛みを伴います。
子宮はオキシトシンというホルモンが分泌され、6~8週間をかけて妊娠前の大きさに戻っていきます。
痛みを和らげるためには、お腹や腰回りを温める、マッサージなどをして血行を良くする、寝る時に体勢を横向きにする、他のことに集中して気を紛らわすなどがおすすめです。
帝王切開の痛みの対処法を5つ紹介していきます。退院しても傷が回復するまでは安静に過ごす必要があるので無理をしすぎないようにしましょう。
対処法にはテーピングをきれいにする、痛み止めを処方してもらう、授乳クッションを使うなど自分自身で行うものもありますが、家事の負担を減らす、沐浴の協力をしてもらうなどの対処法は家族の協力が必要になので赤ちゃんの生まれる前に話し合っておくと良いかと思います。
早く治すためにも病院で受けた医師の指示に従い傷口は清潔に保つことが大切です。手術後は最低でも3カ月ほどはしっかり保護テープ等を貼って傷口を保護するようにしましょう。
肌の弱い方などはシリコンテープやジェル状のテープもあるので試してみるのもオススメです。傷口が清潔に保たれていないとケロイドになり腫れやかゆみなどの原因となってしまうので気を付けましょう。
人によって、雨の日が多い梅雨の時期や、天気の悪い日、冬の寒い日には傷口がチクチクとするなど軽い痛みが何年も続く方もいます。自分なりの痛みの和らげ方を見つけて上手く付き合っていきましょう。
麻酔が切れた後の痛みの度合いについては個人差があります。立ったり座ったりする動作で痛む、咳やくしゃみをすると痛いなど日数や回復のレベルによっても感じ方はそれぞれです。
痛みに耐えられないという場合には、ロキソニンやカロナールといった痛み止めが処方されることがあるのでお医者さんに相談してみましょう。
授乳中にお薬を飲んでも大丈夫なのかと不安に思う方もいるかと思いますが、病院で処方されるお薬は授乳中に飲んでも問題のないものなので安心して使ってください。
産後はできるだけ安静を保ち、体力の回復をしっかりとすることが大切です。しかし、日中に赤ちゃんとお母さんが2人きりの場合などは休みたくても休めないのが現状です。
やらなければいけない家事もたくさんあるとは思いますが、省略できるものやラクできるものを探したり家族に頼めることは任せて休むなど役割分担をしましょう。
今では家事の代行サービスを行っているところもたくさんあるので、お母さんが頑張らずに過ごせる環境づくりをしましょう。
日中に赤ちゃんの沐浴を済ませようとすると、お母さん1人でやらなければいけないという方も多いのではないでしょうか。
特にこだわりがなければ、旦那さんやご家族がお家にいるタイミングで、役割分担をして沐浴を済ませるほうがお母さんと赤ちゃんの負担も少なくて済みます。また1人で無理をするよりも、誰かと協力して行う方が安全性も高まります。
授乳や抱っこした時の姿勢が楽になるというのもありますが、赤ちゃんの手足などが傷口にあたって痛いということを防ぐこともできます。
長時間赤ちゃんを抱っこすると腕が疲れたり、肩こりの原因になることもあるので、体の疲れを軽減するためにも効果的です。
何も知らない状態と少しでも知識がある状態では、不安や恐怖などストレスの感じ方も全然違うと思います。
帝王切開での出産が決まっている方はもちろん、普通分娩を予定されてる方も、健診を受けている病院や里帰り出産を予定している病院で先生や助産師さんに不安に思っていることを相談し解決することも大切です。
また、身近に帝王切開での出産を経験している方がいれば実際の体験談を聞くこともできますし、出産レポートを書いてブログなどに投稿している方も多いので検索して読んでみるのもいいかもしれません。