臨月スクワットというものをご存知でしょうか。臨月になると早く赤ちゃんに会いたいという気持ちからさまざまな陣痛促進ジンクスを行う妊婦さんもいます。臨月スクワットもその陣痛促進ジンクスの1つです。
しかし、臨月スクワットは陣痛を促進するものではなく、出産時の体力づくりなどのために良いとされています。
本記事では臨月スクワットのやり方や効果、臨月スクワットを行う際の注意点などについて解説するため、臨月スクワットをしてみようか迷っている人は是非参考にしてみてください。
また、臨月スクワット以外におすすめの運動も併せて紹介しています。さまざまな運動の中から自分に適したものを無理のない範囲で行うようにしましょう。
臨月に入ってから、「いつ生まれてくるだろう」「早く赤ちゃんに会いたい」と、ソワソワしはじめる人はたくさんいるでしょう。そういった時に、陣痛を促す方法を調べて挑戦してみようと思う人も多いのではないでしょうか。
焼肉を食べる、栄養ドリンクを飲むなどの陣痛促進のジンクスはいくつかありますが、臨月スクワットもそのジンクスの一つです。
臨月スクワットはどうやって行うのか、スクワットを行うときの注意点についてお伝えします。
臨月スクワットが陣痛を促すという医学的な根拠はありませんが、臨月にスクワットを行うことで出産に向けて体力づくりができるなどの効果が期待できます。
そこで、ここでは臨月スクワットを行うことでどのような効果が期待できるのかを詳しく見ていきましょう。
スクワットなどの運動を行うことで、持久力などを高めることができるため、出産に向けての体力づくりができます。
しかし、臨月だからと言って急にスクワットを始めたり、とりわけ頑張ってスクワットをしたりする必要はありません。
基本的に妊娠中に激しい運動をすることは避けた方が良いため、体力づくりとして無理のない範囲で行うようにしましょう。
スクワットを行うことで腹圧がかかるため、子宮口が開きやすくなります。また、赤ちゃんは骨盤を通り生まれてくるため、股関節がやわらかく広がりやすいほど出産は進みやすいと言えるでしょう。
臨月スクワットでひざを開いてスクワットすることで、子宮口が開きやすくなり、お産が進みやすくなる効果が期待できます。
出典:お産へ向けて ~からだづくりをしましょう~ |東京大学医学部附属病院
参照:https://www.obstetrics-htu.jp/wp/wp-content/uploads/body.pdf
出産後は尿道の開閉を制御する骨盤底筋が衰えやすく、尿漏れなどのトラブルを起こしがちになります。
しかし、スクワットをすることにより骨盤底筋が鍛えられると、尿漏れなどのトラブルを起こすリスクを抑えることができるでしょう。
出典:【尿もれは治る 1日1分これをするだけ!】|くぼたクリニック松戸五香
参照:https://www.kubota-clinic.info/blog/2020/2325/
スクワットはお尻や脚など骨盤周りの筋肉を鍛えることができます。骨盤を支える土台となるこれらの筋肉を鍛えることで、骨盤の位置を整える効果が期待できるため、出産後に起こりやすい骨盤の歪みを予防することができるでしょう。
出典:骨盤スクワット|みとう整骨院
参照:https://mitouseikotsuin.grupo.jp/blog/3041000
妊娠中は赤ちゃんに栄養を送るため、脂肪がつきやすくなります。たくさん食べ過ぎると産道にも脂肪がついて、赤ちゃんがスムーズに産道を通れなくなってしまうでしょう。
スクワットを行うことで筋力がつくと、余分な脂肪が燃焼されやすくなるため、産道に脂肪がつきにくくなるという効果が期待できます。
出典:2.体重コントロール|亀田マタニティレディースクリニック
参照:https://www.kameda-c.com/files/megumi.pdf
ここからは、臨月スクワットのやり方について見ていきます。臨月スクワットは、事前にかかりつけ医に相談の上、体調の良いときに行うようにしましょう。
また、無理をせずにできる範囲で行うようにすると良いでしょう。
足を肩幅より少し開いた状態にして立ち、つま先は少し外側に向けます。足の裏の親指付け根、小指付け根、かかとの3点をしっかり床につけ、重心がつま先やかかとに偏らないようにどっしりと立ちましょう。
最後に背筋を伸ばし、一度胸を開き、肩をストンと落として肩の力を抜きます。基本姿勢を守ることで、スクワットの際のバランスを崩しにくくなります。
基本姿勢で息を吸ったら、ゆっくり息を吐きながら深く腰を落としていきます。このとき、ももと地面が平行になっているか、またひざの下の位置にかかとがきているかを確認しましょう。
深く腰を落とすのがつらい場合は、ひざの角度をゆるめてつらくない高さまで腰を落とすようにすると良いでしょう。
スクワットをする際は、息を吸いながら両ひざを伸ばし、息を吐きながら腰を落とすというように、呼吸に合わせて行うのがポイントです。
臨月スクワットはゆっくりと呼吸をしながら、ゆったりとしたペースで5回から10回を1セットで行い、1日に1セットから3セット程度行います。1セットの回数や1日に行うセット数は、自分がつらくない範囲で行うようにしましょう。
臨月スクワットを行う頻度については毎日でも構いませんが、破水などのリスクがあるため正期産に入ってから始める方が良いでしょう。
臨月スクワットを行う際には、注意すべき点がいくつかあります。ここでは、臨月スクワットをする際の注意点について解説するため、臨月スクワットを行う前に、できる限り目を通すようにしましょう。
マタニティスクワットを行っている途中で転倒しないよう、マタニティスクワットを行う際には椅子や机を前に置いて、両手をつけながら行うようにしましょう。
丁度良い椅子や机がない場合には、壁を利用します。壁に背中をくっつけて立ち、両手を腰にあてて行うと良いでしょう。
臨月スクワットはいきなり行わず、ウォーミングアップとして簡単なストレッチをしてから行うようにしましょう。
壁に片手をつけて立ち、片足ずつ左右の足を15回程度ぶらぶらと動かすという簡単な方法でストレッチをすることができます。
妊娠中の状況は人それぞれ異なります。人によって適した運動量が違ったり、運動そのものを制限されたりすることもあるでしょう。
そのため、臨月スクワットを行う場合には、必ずかかりつけ医に相談して許可を得てから行うことをおすすめします。
また、その際にはスクワットをする回数や頻度についても確認しておくと良いでしょう。
臨月は36週0日からとなっていますが、正期産に入るのは37週0日からです。
「鍛えなくては」と、早い時期から臨月スクワットをやってしまうとお腹が張ってしまい、赤ちゃんに負担がかかってしまいますので、37週に入ってから行いましょう。
それまでは、お散歩やマタニティヨガなどの軽い運動がおすすめです。
スクワットを頑張りすぎてしまうと、ふらついてしまうことがあります。しゃがんだり立ち上がったりする動作のため、ゆっくり行わないと立ちくらみが起きやすいので気を付けましょう。
また、妊娠中は貧血を起こしやすくなっています。少しでもふらつくなと感じたときには、すぐにスクワットをやめましょう。小さな変化にも気を使いましょう。
臨月になるとお腹の張りはよくあることなのですが、スクワットをやめてしばらくたっても治らず、定期的にお腹が張るようであれば、陣痛かもしれません。
張りの間隔を測ってみて間隔が規則的であれば陣痛の可能性があります。スクワットはやめ、座ったり横になるなどして安静にしてください。
陣痛の間隔の時間によって、病院に連絡を入れるよう指示されている場合が多いのですが、大体の目安は10分間隔と言われています。
万が一、臨月スクワットをしていて破水をしてしまった場合は、すぐにスクワットをやめ、病院に連絡をしましょう。
破水は水がドバっと出てくるイメージが強いですが、おりもののように少量の場合もあり、人それぞれです。
少しでも「破水かな?」と感じたら、自分で動こうとせずに病院からの指示を仰ぎましょう。今は、陣痛タクシーというものもありますので、事前に予約しておくのも一つの手です。
塊状の出血があった場合は、運動をやめすぐに病院に連絡しましょう。少量の場合であれば、おしるしと呼ばれる出産が近づいているサインの可能性もありますが、自分で見分けるのは難しいです。
まずは病院に電話して、血の色やどのくらいの量なのか、いつから出血しているのかを伝えましょう。量が多く、血の色が真っ赤で痛みや強い張りを感じる場合は、胎盤の早期剥離などの可能性がありますので病院の指示を仰ぎましょう。
臨月スクワットに取り組み始めた当初はきついと感じることもあるでしょう。そのような場合は、きついと感じない範囲で無理せず行うのが大切なポイントです。
無理のない範囲でスクワットを行ううちに、だんだん回数をこなせるようになるでしょう。
臨月期には、臨月スクワットのほかにもおすすめの運動がいくつかあります。そこで、ここでは臨月におすすめのスクワット以外の運動について見ていきましょう。
いろいろな運動の中から、自分に適した運動をやってみましょう。
散歩は臨月だけでなく妊娠初期から取り組める運動です。外の空気を吸いながら気分転換をすることができ、運動しながらストレス解消にもなるのがメリットと言えます。
散歩やウォーキングは、天候が良い日の明るい時間帯に近所で行うようにしましょう。散歩やウォーキング中に体調が悪くなる可能性もあるため、携帯電話や母子手帳、健康保険証、かかりつけ病院の診察券などを持ち歩くようにすると良いでしょう。
リラックスしながら行えるマタニティヨガは妊婦さんに人気の運動です。マタニティヨガでは分娩時を意識した呼吸法を取り入れていることが多いため、イメージトレーニングに役立つというメリットがあります。
妊娠後期や臨月は体調が変化しやすいため、マタニティヨガを行う場合は事前に医師の許可を得るようにしましょう。
ラジオ体操は短い時間の中でさまざまな運動が組み込まれているため、バランスよく運動することができます。ラジオ体操ではジャンプや腰をひねる動作を避けて、ストレッチを行うようにしましょう。
また、安産体操は骨盤周りの筋肉を鍛えるものです。安産体操に取り組む際には、無理のない範囲で行うようにしましょう。
階段の昇り降りは、自宅の階段などで気軽に取り組むことができる運動です。外出時にエスカレーターを使わずに階段を使うなど、日常生活の中で工夫して取り組めるのがメリットと言えるでしょう。
しかし、階段で足を踏み外さないよう、昇り降りには十分注意して行うようにしましょう。
雑巾掛けやアイロンがけの家事は全身を使って行うため、ちょうど良い運動になります。四つん這いになって雑巾掛けを行うと、体への負担も少なく適度な運動になるでしょう。
普段の家事が運動になるのは嬉しいですが、張り切って無理をしないように注意が必要でしょう。
今回は臨月スクワットを紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。陣痛を促す根拠はありませんが、適度な運動により出産のための体力づくりにつながります。妊娠中のストレス解消やいろんなジンクスを試したい方におすすめの運動です。
ただし、臨月スクワットをやる際は自分の体調とよく相談して、万が一異変が起きたときのために、家族がいる時間に行いましょう。
無理なく骨盤底筋を鍛えて、安産を目指しましょう。