「ザイザル」とは、ザイザル錠と呼ばれるいわゆる花粉症の薬のことです。
花粉症とは、植物の花粉を吸いこむことで鼻水や咳や目のかゆみといった、アレルギー症状を引き起こすことです。日本においては冬から春にかけて、花粉症になる人がもっとも多いと言われています。ザイザルはこの花粉症に対して効果が高い薬として、処方されることがあります。
妊娠中にはあまり食べてはいけない物や飲んではいけない物があるのと同じように、薬についても胎児へ悪影響を与える可能性があるため、医師の処方を受けてから服用するようにした方がよいでしょう。
妊娠中に薬を飲もうとした場合、ほとんどの薬の注意書きに医師の判断を必要とする者として「妊娠中、または授乳中」とあります。妊娠中の方や、赤ちゃんに授乳している方の薬の服用は、慎重に行う必要があるのです。
妊娠中に花粉症の薬を飲むことは、「リスクがあるとは言えない」としか書けません。
どうして安全と言い切れないのか、その理由は妊婦を対象とした治験が倫理上難しいためです。実際に妊娠中の女性に対して治験することが、事実上不可能なのです。
動物実験こそされていますが、だからといって人間の女性でも安全と言い切れるものではありません。そのため、妊娠中の服用の安全性については評価が難しくなっています。
妊娠中の薬の服用について、安全かどうかの評価は極めて難しいものがあります。しかし、花粉症は妊娠中にひどくなることもあるため、どうしても薬の服用を避けられないケース、薬を服用しないと体が辛いケースがあるでしょう。
ここではアメリカ食品医薬品局(FDA)やオーストラリア医薬品評価委員会・先天性異常部会による基準、添付文書を参考に、妊娠中でも比較的安心なザイザルやジルテックなど4つの薬について紹介します。
記事のタイトルにもなっている「ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)」は、アレルギー性鼻炎や皮膚炎、湿疹などの症状に効果のある花粉症の薬です。
ザイザルはアメリカFDAとオーストラリアの基準において、妊娠中でも比較的安全という評価になっています。日本においては、有益性が上回る場合に投与可能です。ザイザルはもともと多数使用されてきたジルテックを改良した薬であるため、わりと安心できるのではないでしょうか。
妊娠中にはジルテックに並び「クラリチン(ロラタジン)」という薬が多数処方されてきており、有害な報告がとくにないということで妊娠中でも処方されることがあります。眠気の少ない薬として重宝されています。
アメリカFDAとオーストラリア基準では高い評価を得ているものの、日本の添付文書では「避けることが望ましい」とされている薬です。現在はクラリチンを改良した薬が出ているため、処方される機会は少ないでしょう。
「ジルテック(セチリジン)」はアレルギー性疾患治療剤として長く、多く処方されてきた歴史をもち、とくに有害な報告がされていないことから世界でも普及している薬の1つです。
ジルテックを改良した薬がザイザルであり、この2つの薬はアメリカFDAとオーストラリア基準、そして日本において同じ評価を得ている比較的に安全な薬であると言えるでしょう。口の渇きや眠気、食欲不振や動悸、ほてりなどの副作用があります。
「デザレックス」はクラリチンを改良した薬であり、同じような安全性の薬として処方されることがあります。
花粉症の薬にありがちな眠気という副作用がなく、空腹でも服用できるなどの利点があります。しかし一方で胎児への影響もクラリチンと同様であると考えられ、妊娠中には投与を避けるのが望ましい薬ともされています。
妊娠中にはザイザルのように服用可能な薬もありますが、基本的にたいていの薬に有益性が勝る場合には、という注釈がついているのが現状です。有害な報告はないけれど、確実に安全とは言い切れないところから、薬を服用することに不安になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここからはザイザルのような薬を飲まなくてもできる花粉症対策について紹介します。
食事に気をつけることで花粉症対策できると言われていますので、代表的な食品を紹介します。
乳酸菌やビタミンCが含まれているヨーグルトやじゃがいも、体を温める作用があるネギやニンニク・ショウガ、花粉症の鼻に関する症状に影響のあるピーナッツやゴマ、ゴボウやハッカに柿などがあります。
ただし、これらはあくまでも民間療法と呼ばれているのものです。人によって効果がない場合もあるでしょう。
花粉症を引き起こす花粉はいつでも飛んでいる訳ではなく、季節や天候によって飛散量が変わるため、花粉が多い日の条件を知って備えることが花粉症対策となります。
花粉症を引き起こす花粉はスギ花粉だけでなく、他にもあります。自分が花粉症を起こす植物やその花粉飛散時期を調べましょう。そして花粉が多いとされている日の条件は晴れまたは曇り、最高気温が高く湿度は低く、風の強い日や雨の翌日などです。
花粉が多い日に外出する時には、花粉を落としやすい服を着て出かける、メガネをかけたりマスクをしたりして、アレルゲンとなる花粉を避けるよう工夫しましょう。
メガネは目に入る花粉を1/2~1/3減らす効果があり、マスクは吸い込んでしまう花粉を1/3~1/6に減らし、うがいすることで喉のあたりについた花粉を流せます。化学繊維でつるっとした服を着ることで服への花粉の付着を抑え、花粉をふるい落としやすくできます。
花粉症で鼻水が出てしまうことがよくありますが、鼻を強くかみすぎると鼻血が出たり耳が痛くなる、鼻の下が痛くなったりすることがあるため、気を付けましょう。
鼻をかむ時は、口から息を吸って少しずつ、ゆっくりかむようにしましょう。鼻のかみかた1つで、時に気管支炎や肺炎などの原因になってしまうこともあります。力まかせに強くかまないようにしましょう。
あまり関係ないように思うかもしれませんが、ストレスもまた花粉症によくないので、ストレスを溜めないように適度に発散するようにしましょう。
ストレスが多少あることは仕方ありません。しかしストレスを溜めすぎると自律神経を狂わせたり、免疫力を低下させたりしてしまいます。花粉症の時期はとくに、ストレスを溜めすぎないように注意して生活することが、花粉症対策に有効でしょう。
花粉症対策として鼻を刺激しないというのは、刺激臭のある香辛料(スパイス)やニンニクなどの匂いになるべく近づかないこと、冷たい空気を吸わないようにすることです。
香辛料やニンニクなどの匂いは鼻の粘膜を刺激し、花粉症を悪化させる可能性があります。花粉症の時期には鼻をあまり刺激しないよう、これらの刺激の強い匂いを発する食品に近づかないようにしましょう。
花粉は飛びやすい日、飛びやすい時間帯というものがあるため、花粉がよく飛んでいる時間を避けて外出するという花粉症対策も有効でしょう。
地域や天候にもよりますが、一般的に花粉がよく飛ぶ時間帯というのは午後1時~午後3時、いわゆるお昼時だと言われています。どうしても花粉が多い日に外に出ないといけないとしても、この花粉のピークタイムを避けることで、花粉に触れる量を減らせるでしょう。
妊娠したら薬の服用には注意しなければならない、というのは半ば常識です。しかし、妊娠に気づいていないような時期や妊娠が分かってから、生まれる直前など時期によって薬の与える影響は違います。妊娠中は服用できても、授乳中はやめた方がよいという薬もあります。
ここでは妊娠時期別に薬の影響がどうでるのか、見ていきましょう。
妊娠初期とは妊娠15週までのことを言いますが、そのうち妊娠7週前後までは胎児の体が作られる特に大切な時期であると言われています。薬の影響を受けて流産や奇形などの危険性がひときわ高い時期となっています。
妊娠に気づいていない4週未満の頃でも、薬の影響は受けてしまいます。妊娠に気づいて薬の服用を取りやめたとしても、残留性のある薬を服用していた場合はその影響が残りますので注意が必要でしょう。
妊娠中期は妊娠16週〜27週までのことをいいます。
妊娠16週前後までの頃には胎盤も出来上がり、すでに胎児の体で大切な部分の形成は終わっていますが、それでもまだ一部がまだだったりするため、まだまだ薬の影響による奇形の可能性は残っています。
妊娠初期ほどではありませんが、妊娠中期であってもまだ完全に安心してなんでも薬を飲んでよい、ということはありませんので注意しましょう。
妊娠後期は28週以降のことを言います。妊娠16週頃には胎盤も出来上がるため母体の胎盤を通じて胎児に薬の影響を与えることがあるため、やはり後期も薬の多用や長期間の服用は避けた方がよい時期です。
妊娠中に飲めるとされている花粉症の薬の中にも、胎盤を通ってしまう薬があることが分かっています。こういった薬が赤ちゃんの成長に影響を与えたり、分娩直後のトラブルの原因になったりする可能性があります。
妊娠中は、薬はなるべく飲まない方がよいと言われています。それは事実ですが、花粉症が辛い時期に花粉症の薬がまったく飲めない、というのでは妊婦さんの方がまいってしまう可能性もあります。
今回の記事でご紹介したザイザルは比較的に安全性の高い薬とされているため、花粉症の症状によっては、医師に相談して処方してもらうとよいでしょう。