妊娠前は気にせずに食べていた食品でも妊娠中は控えた方がいいものや、食べる頻度や量を考えた方がいいものもあります。ここではさまざまな食品の中でも『ひじき』に注目していきます。
ひじきには鉄分やミネラルなどのさまざまな栄養素が含まれているので、妊娠中にも食べてもらいたい食品の一つです。
ひじきはミネラルが豊富で食物繊維も多いため、体にもよく便秘解消にも役立つ食品とされています。
しかし、ひじきにはヒ素の成分が含まれているため、妊娠中は摂取量に気をつけなければいけません。
乾燥ひじきを水戻しした状態での1日の摂取量4.7g(1週間当たり33g)以上を継続的に摂取しなければ問題ないとされています。
ちなみに、日本人の1日の摂取量は約0.9gといわれており、週に数回小鉢程度の量であれば心配ありません。
そもそも、ヒ素は自然の中に存在する元素です。ヒ素は、ヒ素単体として存在するものもいれば、炭素や酸素など他の元素と結合するものもいます。その中のうち、炭素を含むものを有機ヒ素といい、炭素を含まないものを無機ヒ素といいます。ちなみにひじきは無機ヒ素です。
一般的に有機ヒ素は無機ヒ素に比べると、影響を及ぼす程度は小さいとされています。一方で、無機ヒ素が短い期間でなおかつ大量に体内へ入った場合は、さまざまな症状が出現するといわれています。
妊娠中にはひじき以外にも摂取量に注意したい食べ物があります。過剰摂取しなければ大丈夫といわれていても、どのくらいの量を摂取していいのか気になるでしょう。
ここからは、ひじき以外で摂取量に注意したい食品を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
ビタミンAは目や皮膚、粘膜の健康維持に必要不可欠な栄養素で不足すると、夜盲症になったり感染症にかかりやすくなったりするといわれています。
一方で、過剰摂取すると頭痛などの症状が出現します。また、妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんの器官形成異常が起こる可能性があるといわれています。
代表的な食品としては、ウナギやレバー類です。ウナギは1/2尾、レバー類は1切れでママにとっての1日の摂取量に達するといわれています。
魚介類の多くは水銀を含んでいますが、一般的には極微量であり健康に害を及ぼすことはないといわれています。しかし、マグロやカジキなどの大型の回遊魚は食物連鎖によって他の魚介類より水銀を多く含んでいる場合があります。
日本人が平均1食に摂取するお魚の量は刺身1人前、切り身1切れ(約80g)といわれています。1週間を基準とし、摂取量を考えましょう。
過剰な水銀摂取により、赤ちゃんが生まれてから音を聞いた時の反応が1/1,000秒以下のレベルで遅れる可能性があるといわれています。
妊娠中はカフェインの過剰摂取も気を付けましょう。コーヒー好きのママも多いと思いますが他の食品同様、摂取量に気を付ければ問題ありません。
カフェインは過剰摂取すると中枢神経系の刺激によって、めまいや心拍数の増加、下痢、嘔吐などの症状が現れることがあります。
各国でも、健康な成人であれば約400mg/日(コーヒーをマグカップで約3~5杯)までとしており、妊娠中に関しては約200mg/日(コーヒーをマグカップで約2杯)に制限しましょう。
妊娠中にカフェインを過剰摂取することにより、赤ちゃんが低体重になる可能性があるといわれています。
ハーブティーはリラックス効果があるといわれ、ノンカフェインのため妊娠中に飲んでいるママも多いでしょう。
しかし、ハーブティーの中には子宮収縮・緊張作用がある可能性も考えられるため、妊娠中には控えた方がよいものもあります。カモミール、フキタンポポ、アロエ、センナ類などです。
健康や美容にもよいとされているハーブティーですが、注意が必要です。
つわりの時は食べられなかった、スパイスが効いた辛いものもつわりが落ち着くと食べられるようになるママもいるでしょう。
妊娠中にスパイスの効いた辛いものを摂取しても、赤ちゃんには影響はないといわれています。しかし、妊娠中は妊娠前と体調が違います。辛いものなど刺激物を摂取することで、胃や腸に負担をかけ胃痛や胃もたれ、下痢などの症状を起こす可能性があります。
また、香辛料が多く使われている食品の中には、塩分も多く含まれている場合があり、塩分の過剰摂取や体重増加につながる可能性もあります。
海藻には、ヒ素を含む物もありますが、ヒ素と並んで気を付けたいのがヨウ素です。ヨウ素は海藻の中でも昆布に多く含まれます。
ヨウ素は不足しても、過剰摂取しても影響があるとされていますが、昆布などの海藻が身近にある日本人にとっては過剰摂取に気を付けなければなりません。
ヨウ素を過剰摂取することによって、赤ちゃんの体内に蓄積し、赤ちゃんは甲状腺機能低下症を起こす可能性があります。
妊婦の1日の摂取推奨量は約240㎍、耐容上限量はおよそ2,000㎍だといわれています。
インスタント食品には塩分や食品添加物が多く含まれており妊娠中でなくても、インスタント食品の過剰摂取は控えたいところです。
妊娠中は塩分の過剰摂取により妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを上げたり、体重増加につながる可能性もあります。たまに摂取する分には問題ありませんが、摂取する際にもラーメンのスープは飲み干さないようにするなど心掛けることが大事です。
妊娠中のアルコール摂取については、アルコール分解度や体質などが個人差があるため、どのくらい摂取しても大丈夫という基準がありません。
しかしアルコールは胎児性アルコール症候群を起こす可能性があり、胎児性アルコール症候群になると小脳低形成など脳の障害や成長の遅れを引き起こす場合があるといわれています。
ノンアルコール飲料にはアルコール0.00%のものもあれば、1%未満のものもあるため、表記の確認が必要です。
アルコール0.00%であればアルコールによる影響はありませんが、他の飲み物同様、糖分やカロリーの高い物もあるため、飲みすぎには注意が必要です。
妊娠中は免疫力が低下しているため、生ものには注意が必要です。加熱が不十分な肉はトキソプラズマ感染、魚はアニサキス感染、貝はノロウイルスなどの食中毒を起こす可能性があります。
他にも、カマンベールチーズやブルーチーズなど非加熱のナチュラルチーズには食中毒菌の一種のリステリア菌がいる可能性があるため、生で食べるのは控えた方がよいでしょう。75℃以上で加熱すれば菌は死滅するといわれているので、ピザなどの調理法で食べることは可能でしょう。
妊娠中の食事は気を付けなければならないことが色々あります。妊娠すると味覚が変わり、妊娠前に大好きだった物も食べられなくなったり、決まった物しか食べられなくなったりするママも多いでしょう。
つわりの時期は「食べられる物を、食べられる時に、食べられるだけ」と病院でも説明されますが、つわりの時期が過ぎたら食事内容の見直しをするとよいでしょう。
ここからは、妊娠中の食事で気を付けたいポイントを詳しく説明します。ぜひ参考にしてみてください。
妊娠中はママが摂取した栄養が直接赤ちゃんに運ばれるため、1日3食、バランスのよい食事をすることが大切です。
主食でエネルギー、副菜で野菜、主菜で肉・魚・大豆・卵、乳製品でカルシウムをまんべんなく摂取できるようにしましょう。
サプリメントは不足している栄養を手軽に補足できるため、多くの人が活用しているでしょう。
サプリメントの中でも、妊娠中の摂取を推奨している物があります。それは葉酸です。葉酸は細胞増殖に関与しており、葉酸の摂取で赤ちゃんの神経管閉鎖障害発症のリスクが低くなるといわれています。
しかし、サプリメントは医師が処方する薬ではありません。市販のサプリメントを選ぶ時には添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。
妊娠中は塩分の過剰摂取により、妊娠高血圧症候群を起こすリスクがあります。それだけでなく、塩分が濃いとついついご飯などの炭水化物を食べ過ぎてしまい体重増加につながる可能性もあります。
ご飯を作る際には、レモンやお酢などの調味料をうまく使うと、塩分を控えることができるでしょう。
1日の必要摂取カロリーは非妊娠時の18~49歳の女性の場合、2,000~2,200kcalが平均といわれています。妊娠期は妊娠時期別に付加量が加算されます。
この付加量とは、妊娠期では妊娠による総エネルギー消費量とエネルギー蓄積量であり、妊娠初期は+50kcal、中期は+250kcal、後期は+500kcalといわれています。
妊娠中は赤ちゃんの分もと、頑張って食べているママもいますが、カロリー過多によって必要以上に体重増加する可能性もあるため注意が必要です。
妊娠中はひじきをはじめ、注意しなければならない事が沢山あり、何を食べていいのかわからなくなるでしょう。しかし、重要なことは、栄養バランスの良い食事を摂取することです。
過剰に気にしすぎてしまうとストレスとなり、赤ちゃんにもよくない影響を与えてしまいます。あの食材はダメだと神経質になりすぎず、少しずつできることから取り入れてみましょう。