妊娠すると、おなかの赤ちゃんは日々成長し、どんどん体の器官が作られていきます。そしておなかの赤ちゃんが大きくなるにつれて、ママの体や心にもどんどん変化があらわれるようになります。
この記事では、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期の赤ちゃんやママの体の変化など、赤ちゃんを妊娠したら知っておきたいさまざまな情報をご紹介いたします。
妊娠から出産までの期間は、WHOの定めた定義では最終月経が始まった日を0日として、40週0日(280日間)となっています。
しかしあくまでもこれは一時的な目安で、排卵の遅れや生理の周期によっては40週0日よりも長くなったり短くなったりします。
妊娠してから出産するまで、定期的に病院に行き妊婦検診を受けることになります。妊婦検診は、おなかの中の赤ちゃんの成長や様子、ママの体や心の様子をチェックする大事な検診ですので、必ず受けましょう。
妊娠から出産まで、おなかの中の赤ちゃんは絶えず成長し続けます。最初は3mmほどだった赤ちゃん(この時点では胎芽)は、出産する頃には50cmほどまで大きくなります。
また、体の大きさだけではなく、体の中の内臓や目や耳といった器官もママのおなかの中で次々と作られます。
妊娠してから出産後まで、赤ちゃんは毎日絶えず成長し続けます。この記事では、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期、出産後の4つの段階に分けて、赤ちゃんの成長についての情報をご紹介いたします。
妊娠初期とは、妊娠2~4カ月(4~15週目)の期間のことをいいます。妊娠2カ月ごろの赤ちゃんの大きさはおよそ3~12mmで、正確には赤ちゃんではなく胎芽と呼ばれます。
また、妊娠初期の赤ちゃんの体の中では臓器や手足などの体の部分も作られ始めています。心臓ができて体に血液がいきわたるようになったあと、脳の神経細胞や手足の指、皮膚や筋肉もできてどんどん人間らしくなります。
妊娠初期の赤ちゃんの身長は、妊娠2カ月には3~12mmで3カ月ごろにはおよそ18~60mmになり、4カ月ごろにはおよそ16cmに成長します。体重は、妊娠3カ月ごろは5~12g、妊娠4カ月ごろには100gほどになります。
妊娠5週ほどから、約50~80%の妊婦につわりの症状が出始めます。においに敏感になったり、食の好みが変わったりという変化があらわれ、吐き気や嘔吐、頭痛を起こすつわりが出る妊婦もいます。
つわりがつらい時には、無理をせず安静にしたり趣味などで気分を変えたりすると良いでしょう。また、空腹がつらい食べつわりなどの時には朝一番に軽食やガムなどを食べるのも効果的です。
また、つわりでものが食べられなくなっても赤ちゃんは成長できますが、水分も取れなくなったり嘔吐を繰り返し続けるなど脱水症状が疑われるときや、体重が5%以上減少したときには、すぐに医師に相談して点滴等の治療を受けるようにしましょう。
また、もしつわりで仕事に行くのが大変な時は、医師に伝えて母性健康管理指導事項連絡カードを書いてもらい、事業主に提出すると良いでしょう。
妊娠したらすぐにやるべきことは、まずは役所に妊娠届を提出して母子手帳をもらうことです。自治体によって金額に差はありますが、その時に妊婦検診のチケットを受け取れます。定期的な妊婦検診は赤ちゃんやママのために重要な検診ですので必ず受けましょう。
この時期はママが食べ物を食べられなくても赤ちゃんに大きな影響はないためつわりで栄養があまりとれなくても気にしなくて良いでしょう。しかし、食べ物もしくはサプリメントで積極的に葉酸を摂ることは意識して下さい。
また、正常妊娠で体調が良ければ運動しても問題ありません。ただし、体調が悪い時や、負荷の強い運動は避けるようにしましょう。
妊娠中期とは、妊娠5カ月~7カ月(16週~27週目)の時期のことをいいます。妊娠中期の赤ちゃんは、筋肉や神経が発達して動きも活発になります。
聴覚が発達してママの声やお腹の外の音を聴けるようになり、記憶や感情が生まれます。また、ママのお腹も少しずつ大きくなり、胎動を感じ始めるのもこの時期です。
妊娠中期の赤ちゃんの身長は、妊娠5カ月でおよそ16cm、妊娠6カ月でおよそ20cm、妊娠7カ月でおよそ25cmに成長します。体重は、妊娠5カ月でおよそ150g、妊娠6カ月でおよそ350g、妊娠7カ月でおよそ1000gになります。
妊娠中期になると、ママのおなかがふっくらとして妊婦らしい体型になります。また、妊婦によっては5カ月ごろからつわりがおさまり、体調がよくなり始めます。
しかし、妊娠中期は貧血が起きやすく立ち眩みが起こりやすいため、意識してこまめに休むようにするなど注意が必要です。
妊娠中期でも、妊婦検診は必ず受けるようにしましょう。また、妊娠中期は食事の摂りすぎにも注意しなければなりません。体重の増え過ぎは、切迫早産や妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群などへのリスクにつながります。
妊娠中期の食事では、葉酸や鉄を多く摂ることを意識しましょう。葉酸は妊娠前の2倍の量を摂るのが理想です。鉄は貧血の防止になりますので、1日9.5mgを目安に意識して摂るようにしましょう。
また、適度なウォーキングや、マタニティヨガなどの軽い運動もおすすめです。体調に注意し、少しでも違和感を感じたらすぐに安静にするようにしましょう。
妊娠後期とは、妊娠8カ月~10カ月(28週~40週目)のことをいいます。赤ちゃんの体の機能は中期までにできあがっており、後期では体が大きく成長します。
妊娠後期の赤ちゃんの身長は、8カ月でおよそ40cm、9カ月でおよそ45cm、10カ月でおよそ50cmに成長します。体重は、8カ月でおよそ1800g、9カ月でおよそ2200g、10カ月でおよそ3000gです。
妊娠後期になると、赤ちゃんが大きくなり子宮底がみぞおちの辺りまで上がってくるため、ママの胃や心臓が圧迫されてきます。そのため、動機が激しくなったり、息切れするなどの症状が出る妊婦もいます。
また、妊娠後期では妊娠前+450kcal分の食事を摂る必要があります。ただし、体重が増え過ぎると切迫早産や妊娠高血圧症候群などへのリスクが大きくなりますので、バランスの良い食事を心がけましょう。
妊娠後期では、出産に向ける準備を始めておくのが良いでしょう。産褥ショーツやマタニティパジャマなどの自分用のものや、ベビーベッドやベビー服、授乳グッズなどの赤ちゃん用品をそろえておきましょう。
また、赤ちゃんを迎える部屋のレイアウトを変えておくのも良いでしょう。ただし重たいものの持ち運びなど、強い運動は避けて体調に注意しながら作業を進めるのがおすすめです。
いよいよ出産を迎え、赤ちゃんが生まれると授乳やおむつ替えで忙しい毎日が始まります。生まれたばかりの赤ちゃんは寝ていることが多く、お腹が空いた時やおむつが汚れた時など短い時間しか起きていませんが、徐々に起きている時間が長くなり、できることも増えてきます。
赤ちゃんによって個人差はありますが、生後6カ月ごろから寝返り、生後8カ月でおすわり、生後9カ月でずりばいやハイハイ、生後11カ月でつかまり立ちを始めるようになります。
出産後の赤ちゃんの平均身長は、新生児で48.3cm~48.7cm、生後2~3カ月で57.8cm~59.0cm、生後4~5カ月で62.9cm~64.3㎝、生後6カ月~7カ月で66.4cm~67.9cm、生後8カ月~9カ月で69.1cm~70.6cm、生後10~11カ月で71.3cm~72.9cm、1歳で72.3cm~73.9cmに成長します。
出産後の赤ちゃんの平均体重は、新生児で2.91kg~ 2.98kg、生後2~3カ月で5.4kg~5.8kg、生後4~5カ月で6.73kg~7.22kg、生後6カ月~7カ月で7.22kg~8.01kg、生後8カ月~9カ月で8.01kg~8.53kg、生後10~11カ月で8.37kg~8.91kg、1歳で8.54kg~9.09kgに成長します。
ただし、性別による違いや個人差が大きいため、平均値より多少外れていても気にしすぎないようにしましょう。
出産後6~8週間までは産褥期と呼ばれ、体が妊娠・出産前に戻ろうとする時期なのでなるべく体に負担をかけず、ゆっくりと過ごすようにしましょう。ママの体調にもよりますが、産後20日ほどで床上げの時期になり、少しずつ家事などを行い体を生活に慣らしていきます。
また、産後のママは体がまだ本調子ではなく、赤ちゃんのお世話で疲労が溜まっているので、こまめに休息を取って体調に気をつけるようにしましょう。
また、出産後すぐには体重は元に戻りません。産後2~4カ月で数kg減りますが、妊娠中についた皮下脂肪が原因で妊娠前の体重+2kgほどで落ち着くママが多いでしょう。
また、出産後の生理の再開は産後2~3カ月が多く、母乳をあげている人で3~4カ月、もっと時間がかかる人では半年~1年後と、個人差があります。もし産後1年経っても生理が再開しない場合は、病気や妊娠の可能性もありますので病院を受診すると良いでしょう。
出産後は、赤ちゃんのお世話がスタートし生活が大きく一変します。新生児はまだ昼夜の感覚がなく、短いサイクルの睡眠を昼夜問わず繰り返します。
生まれたばかりの赤ちゃんは哺乳力が弱いため、1回の量を飲みきれないことも多くあります。そのためママは夜中でも起きて赤ちゃんに授乳してあげなければなりません。また、うんちやおしっこの回数も多いため、おむつ替えも度々行う必要があります。
毎日の育児で疲労し、産後うつになってしまう可能性もあります。そのため、休める時にしっかりと休むようにして、動けるようになったら散歩などの軽い運動を行ったり、バランスの良い食事を摂ったりなどママの体と心のケアに気を付けましょう。
また、買い物に行けなかったり、体力の限界で食事が作れないなどの時には、無理をせず食事の宅配サービスなどを使うのも有効な手段です。
赤ちゃんが産まれると、授乳やおむつ替えや沐浴などがスタートし、忙しくなってしまいます。そのため、なるべく妊娠中に赤ちゃんを迎える準備をしておく必要があります。
では、一体どのような準備をしておけばよいのでしょうか。
赤ちゃんが産まれたあとではなかなか買い物に行けなくなるため、赤ちゃんを迎える環境づくりも妊娠中に行っておいた方が良いでしょう。
まずは赤ちゃんとの生活を想像してみて、日中に赤ちゃんがいるスペース(ベビーベッドなど)をどこに置くか考えておきましょう。また、おむつやおしりふきの定位置、ベビー服や肌着の置き場所を決めてお世話しやすくするのも重要です。
また、危ないものは床に置かず、チャイルドロックやベビーガート等を用意して、赤ちゃんが安全に生活できる環境を整えておきましょう。
泣いている赤ちゃんを前にすると慌ててしまうこともあるため、妊娠中に、赤ちゃんが産まれたあとのお世話のシミュレーションをしておくと良いでしょう。育児本やマンガや雑誌を読んでみたり、インターネットで動画を観たり、セミナーに参加するのも良い方法です。
また、赤ちゃんのお世話の方法はパパも一緒に予習しておくとより良いでしょう。
妊娠20週ごろになると赤ちゃんの聴覚が発達し、音が聞こえるようになります。赤ちゃんに話しかけたり絵本の読み聞かせをしてあげると、赤ちゃんの気持ちが安らいだり、身近な人の声を認識するきっかけになったりという胎教になります。
話しかける、絵本を読む他にも、クラシックなどの音楽を聴かせることで脳が活性化されたり、赤ちゃんやママがリラックスできるといった効果もあります。
赤ちゃんは生まれたばかりはあやしてもあまり反応を示さないものの、大きくなってくると情緒が発達して遊びが好きになります。
妊娠中に遊びやあやし方を調べて知っておくことで、成長した赤ちゃんが泣いた時に泣き止ませられるため、手遊びや歌などをいくつか覚えておくと良いでしょう。
妊娠してから出産まで、赤ちゃんは身長がおよそ50cm、体重がおよそ3000gほどまで大きくなります。妊娠中期までには体の手足や臓器もほぼできあがり、人間らしい体へと成長します。
また、妊娠中はつわりがあったり、胃や心臓が圧迫されたりとママの体や心にも大きな変化があらわれます。
妊娠中に、赤ちゃんを迎えるための部屋作りをしておいたり、葉酸や鉄を意識して摂ったり、軽い運動をするなどしながらなるべくゆったりと過ごし、出産の準備を進めましょう。