犬などのペットを飼っていて妊娠すると、何に気を付けるべきか、何をしてはいけないのか、など心配が尽きないでしょう。果たして妊婦さんは犬を飼っても大丈夫なのでしょうか。
結論からいえば、きちんとした知識を身につけ、いくつかの注意事項を守れば妊婦さんでも安心して犬を飼うことができます。
ではどういったことに気を付けるべきか、注意点やポイントなどを紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
犬との暮らしの中で妊婦さんに与える影響とは、どんなことが考えられるでしょうか。犬とのふれあいの中で噛まれることや、何らかの病気に感染することがあるかもしれません。
ここでは、注意すべきケガや感染症について詳しくご紹介します。
犬の散歩中や犬にとびかかられた時、転倒して手や足をすりむいたり捻挫したり、打撲しないように注意が必要です。
犬の散歩に出かける時は転ばないように滑りどめ付きの靴を履いたり、室内犬の場合は距離を取ったりしましょう。
万が一、犬に噛まれた場合はすぐに傷口をよく洗い、様子を見ましょう。赤くはれたり膿んだりする場合は1度、病院で診てもらいましょう。
噛みつかれて不安なのは感染症にかかってしまうことです。そうならないためにも、ペットは普段からきちんとしつけて噛み癖をなくすことが重要です。
狂犬病は犬をはじめ猫や様々な野生動物が感染する病気ですが、狂犬病に感染してもお腹の赤ちゃんにはほとんど影響ないといわれています。しかし妊娠中のママが感染してしまうと、大変な思いをするので予防が大切です。
日本では犬を飼う時に狂犬病のワクチン接種が義務付けられているので、狂犬病のウイルスを持った犬は、国内では少ないといわれています。
妊婦さんにとってもっとも心配な感染症がトキソプラズマ症です。これは、トキソプラズマ原虫を病原体とする人畜共通感染症で、妊娠中に初感染すると流産したり、お腹の赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症にかかったりする恐れがあります。
ただし、動物からの感染は猫だけといわれており、犬からの感染はありません。しかし、このトキソプラズマは生肉からも感染するので、妊婦さんが生肉を食べるのは避けたほうがよいでしょう。
犬の毛の中にはダニやノミが、フンなどには雑菌がいます。妊娠すると免疫力が低下するので、いつも以上に色々なことが気になるでしょう。では、妊婦さんと犬が快適に過ごすためにはどうすればよいでしょうか。
犬ここからは、妊婦と犬の過ごし方を衛生面やお手入れの仕方、しつけなど6つのポイントに絞って紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
まず気になるのが衛生面です。犬猫や鳥などの動物から、人へと感染する病気がいくつかあります。
犬の場合、唾液や排泄物には含まれませんが、トキソプラズマは土の中にいることがあります。散歩に出た犬の体に付着している可能性もあるので、家に帰ったら犬の体をふく、手を洗う、を心がけましょう。
もしも犬アレルギーだった場合は、犬のフケ・唾液・尿などにアレルゲンが含まれているので注意が必要です。
症状や重症度によって対応は異なりますが、犬の毛にも唾液やフケが付いているので、定期的にシャンプー・ブラッシングをする必要があります。できれば週に1回シャンプーをし、ブラッシングは毎日行うようにしましょう。
抜け毛も気になるので、毛を短くカットする・こまめに掃除をするなどの対策をするとよいでしょう。
犬が顔を舐めてくることがありますが、犬は自分のおしりやおしっこを舐めることもあります。家の中で飼っている室内犬であっても、様々な菌や寄生虫を体内に持っていることでしょう。
ちなみに犬の約75%が口の中にパスツレラ菌という病原体を持っているといわれています。犬の口の中は決して清潔とはいえず、人に病気をうつしてしまう可能性は十分にあるわけです。
上記でも紹介しましたが、犬の口の中は決して清潔とはいえません。犬はエサと一緒にお皿を舐めてしまうため、人と同じ食器は使わず犬用の食器を使うようにし、人用の食器から食べさせないようにする必要があります。
手の平にエサをおいて、おやつを上げた場合にもしっかりと手を洗って、清潔に保てるように心がけるとよいでしょう。
犬と赤ちゃんとの関係性がスムーズにいくためにも、妊娠中からのしつけが大切です。
例えば、普段から人が食べているものを与えていると産後は、赤ちゃんのご飯まで食べてしまうなどのトラブルも考えられます。食べずに我慢できたらしっかりとほめてあげましょう。
また、ベビーベッドを用意したり、室内に犬専用の場所(サークルやケージなど)がない場合は用意したりして、出産前からそこにいることに慣らしておくことも必要です。
犬が中型犬以上の大きさの場合、抱き上げたり、お腹の上に乗せたりしないようにしましょう。特に妊娠初期は注意が必要です。
また、ドッグランやドッグカフェには不特定多数の犬がやってきます。中には、飼い主のいうことが聞けない犬がいるかもしれません。
例えば小型犬が足元にまとわりついて転倒したり、大型犬がじゃれてふいに飛び掛かられたりする可能性もあります。いろんな可能性を考えて、こういった場に行くのは控えるとよいでしょう。
次に産後、赤ちゃんが生まれてからのお話です。犬が赤ちゃんに与える影響には、どんなことがあるでしょうか。
赤ちゃんと犬の同居にはよい点もありますが、悪い点もあります。その中でも、犬が赤ちゃんに与える影響を2つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
人はペットと会話というよりも、主に言葉以外のコミュニケーションで関係性を築くことになるので、感受性が豊かになるでしょう。
そして自分よりも弱いものと生活することで、思いやりの心や慈しみの心を育てます。また、時が来て、その死に際に触れることにより生命について考え、その大切さを知る機会にもなります。これは、おもちゃやゲームではできないリアルで貴重な体験となるでしょう。
犬とのふれあいの時間が減り、今まであった愛情が後からやってきた赤ちゃんへ注がれることにより、犬も嫉妬をしてしまう可能性があります。
犬が飛びついて赤ちゃんが倒されたり、噛みつかれたり、犬が寝ている赤ちゃんの上に飛び乗ることもあるでしょう。赤ちゃんと犬が同じ部屋にいるときは絶対に、目を離さないようにしましょう。
可愛い我が子と犬とがうまく共存できるよう、しっかりとしつけし教えることが大切です。
妊娠中はお腹がどんどんと大きくなっていきます。そんな中、犬の世話をするのは大変で、つわりが酷い妊婦さんの場合は尚更、世話が辛くなるでしょう。
特に、毎日散歩に連れて行くことは身体に大きな負担となるでしょう。飼いなれた犬なら、散歩にも慣れているので安心ですが、これから犬を飼うとなるとそうはいきません。
散歩を誰かにお願いできるのが1番ですが、それができない場合の散歩での注意点を紹介します。
小型犬や引っ張り癖のない犬であれば、妊娠前と同じように自分でお散歩し続けることができるでしょう。
妊婦さん自身が犬のお散歩に行くために、回数や時間を減らす方法があります。その場合、犬にストレスがかからないよう、急に減らすのではなく徐々に散歩の回数や時間を減らしていくことが大切です。
妊娠初期は胎児もまだ不安定な時期です。できるなら散歩も誰かにお願いするようにして、妊婦さんが散歩に連れていくのは止めておきましょう。
安定期に入ったとしても、妊娠前とは体が違います。犬との散歩も出来るだけ一人で行かないように、それが無理なら、なにか体に異変があった時にすぐに助けが呼べるよう、必ず携帯電話を持って出かけましょう。
また、お腹の張りを感じたらすぐに座るなどして休憩しましょう。
赤ちゃん返りややきもちへの対応と同じように、ペットのメンタルケアも大切です。
犬には妊娠中から赤ちゃんが来ることを話してあげて、出産入院中に赤ちゃんが着た肌着などをパパが持ち帰り、においをかがせてあげるのもいいでしょう。
赤ちゃんの授乳やお世話のあとは、犬もかわいがってあげましょう。お世話に加わり育児で忙しくなりますが、散歩などペットのリズムを守ってあげることも大切です。
特に、初めての妊娠や出産は不安なことばかりでしょう。家族の一員である犬と、どうすればうまくつきあえるのでしょうか。
妊娠中だけでなく、今から産後も想定して、犬との暮らしを見直してみましょう。こういう時だからこそ犬との絆を再確認し、お互いの信頼感や愛情の深さを知る事ができるはずです。
妊婦さんの体や心に負担の少ない解決策を見つけ、実践し、犬と素敵な妊娠生活を送ってください。