妊娠中は赤ちゃんの発育のため、いつもより栄養の摂取量とバランスに配慮する必要があります。エネルギー源となるごはんなどの糖質、体を作るもとになる肉などのたんぱく質に加え、ビタミン、ミネラルも過不足なく摂取しなければなりません。
カルシウムは、妊婦さんが意識して摂取すべきミネラルの1つです。カルシウムは、赤ちゃんの骨や歯の形成に加え、規則正しい陣痛や産後の母乳を作るためにも必要になります。
妊婦さんが摂取することを推奨されているカルシウムの量は、1日当たり650mgといわれています。これは牛乳であれば、1杯200mlのコップ3杯弱ほどの量に相当します。
カルシウムは、牛乳以外の乳製品、小魚、緑黄色野菜にも含まれるため、自分の好みの食材を組み合わせて、必要な量のカルシウムを摂取すると良いでしょう。カルシウムを強化したウエハースも、簡単にカルシウムを摂れる食品の1つです。
カルシウムは、妊婦さんに限らずすべての人に必要なミネラルですが、妊婦さんにとっては、妊娠中、産後も特に意識して摂取すべき栄養素の1つになります。
妊婦さんにとって、カルシウムの機能は何でしょうか。ここからは、カルシウムの役割を5つほどご紹介していきます。カルシウムの働きを知って、必要量をしっかりと摂取していきましょう。
カルシウムは、骨を作る材料となるミネラルです。赤ちゃんは、胎盤を通してお母さんからカルシウムを受け取っています。
お母さんの摂取するカルシウム量が不足すると、お母さんの骨に蓄積されているカルシウムが赤ちゃんのために使われるようになります。そうなると、お母さんに必要なカルシウムが不足して、体に悪影響があるので、注意しましょう。
赤ちゃんはお母さんの産道を通って生まれてきますが、産道は大きく「骨産道」と「軟産道」に分けられます。骨産道は骨盤から形成されているので、カルシウムは産道にとって必須の栄養素なのです。
骨盤が十分に広くしっかりしていれば、赤ちゃんに余分な負担をかけずに出産が進むでしょう。カルシウムをしっかり摂って、赤ちゃんが通りやすい産道に整えていきましょう。
陣痛は、赤ちゃんを送り出すために子宮が周期的に収縮することを指します。赤ちゃんが生まれてくる力の源である陣痛は、カルシウムによって強く、規則正しく生じるように調整されるのです。
出産時にお母さんの体内に十分なカルシウムがないと、陣痛がうまく起こらずに苦労するかもしれません。妊娠中は、必要量のカルシウムを摂ることを常に意識していると良いでしょう。
母乳は、赤ちゃんの大切な栄養の源です。母乳には、赤ちゃんの発達に必要な多くの成分が含まれており、カルシウムもその1つになります。
赤ちゃんは、生まれてからもどんどん成長していきます。体を作る骨格には、カルシウムがもちろん必要です。赤ちゃんの成長を助けるため、出産後もカルシウムをしっかり摂取して、栄養豊富な母乳を作りましょう。
カルシウムは、妊娠中や出産時、母乳を作るためにも必要な栄養素で、赤ちゃんに優先的に供給されます。お母さんの摂取カルシウム量が不足していると、お母さんの骨や歯からカルシウムがとられてしまうでしょう。
カルシウム摂取が足りないと、お母さんの歯がもろくなったり、骨の密度が低下して骨粗しょう症を引き起こす危険があります。妊娠中に限らず、産後もカルシウムの摂取を忘れないようにしましょう。
カルシウムは、日本人に不足している栄養素であるといわれており、意識しないと妊娠中も不足しがちになります。また、カルシウムだけ摂取していても体内に十分吸収されません。
ここでは、妊婦さんがカルシウムを摂取するときのポイントを2つほどご紹介します。ポイントを押さえて、効率良くカルシウムを摂取しましょう。
カルシウムは、妊婦さんに限らず、日本のあらゆる世代で摂取量が不足している栄養素です。
さらに、カルシウムは摂取した分すべてが体に吸収されるわけではなく、摂りすぎた分は尿中や便中に排泄されてしまいます。したがって、毎日必要量を意識して摂取しないと、あっという間に不足してしまう栄養素といえるでしょう。
カルシウムは、単独では体内で吸収されません。カルシウムの吸収に不可欠な因子の1つに、マグネシウムがあげられます。
カルシウムだけ摂取していても、体内のマグネシウムが不足していると、カルシウムが体内に吸収されずに結局不足することとなります。
マグネシウムは、アーモンドといった種実類、魚介類、豆類などに含まれています。カルシウム摂取の際は、マグネシウムの摂取も忘れないようにしましょう。
カルシウムは、妊娠中だけではなく、出産後にも必要量が増える栄養素です。普段から不足しやすい栄養素であるため、妊婦さんや授乳中の方は特に意識して摂取しなければなりません。
ここでは、カルシウムを摂取しやすい食品を3つご紹介します。自分の好みの食品を組みわせて、上手にカルシウムを摂取していきましょう。
カルシウムを摂取しやすい食品の1つ目は、乳製品になります。乳製品はカルシウムを豊富に含むだけではなく、体内に吸収されやすいという特徴もある優れた食品といえるでしょう。
乳製品は、牛やヤギといった動物のミルクから作られる食品のことで、牛乳、ヨーグルト、チーズが代表的です。商品によって含まれるカルシウム量が異なるため、パッケージの成分表示を参考にして購入しても良いでしょう。
カルシウムを摂取しやすい食品の2つ目は、小魚になります。
ししゃもは、3尾(50g程度)あたり165mgのカルシウムが含まれており、主にカタクチイワシなどの稚魚から作られるちりめんじゃこは、大さじ2杯分で50mgのカルシウムを含んでいます。
おやつとして販売されている煮干しや、小魚とアーモンドの小袋も、手軽にカルシウムを摂取できる食品の候補にあげられるでしょう。
カルシウムを摂取しやすい食品の3つ目は、緑黄色野菜になります。
カルシウムを多く含む緑黄色野菜は、モロヘイヤ、小松菜、水菜、からし菜、チンゲン菜などです。お味噌汁などスープの具材にしたり、お浸しや炒め物など、それぞれの食材に合わせておいしく調理し、たくさん食べられるように工夫をすると良いでしょう。
カルシウムは、食品だけではなくサプリメントからも摂取できます。つわりなどで食欲がない時に、カルシウム摂取の補助製品として活用しても良いでしょう。
しかし、食品からカルシウムを摂取する場合と比べ、サプリメントは摂りすぎてしまうと健康被害リスクが高まるといわれており、注意が必要です。
カルシウムは、妊婦さんにとって大切な栄養素の1つです。妊婦さんだけではなく、母乳の成分でもあることから、出産後もしっかり必要量を摂取したい栄養素といえるでしょう。
日本人に不足しがちなカルシウムの摂取には常に注意を向け、お母さんの健康維持と赤ちゃんの健やかな成長のための食事を心がけましょう。