わが子には、ちゃんと栄養を与えたい、すくすと育ってほしいと考えている人も多いでしょう。一方で、いま、食べている食事で充分なのだろうかと心配されている人もいるでしょう。
店頭の離乳食コーナーで見かける「フォローアップミルク」とは、1日3食離乳食を与えたときに、食べた量が少なかった、栄養が足りなかったという時に補う役割として与えます。
ただ、毎日・毎回ではなく、あくまで不足した場合に与えます。離乳食で栄養がとれていれば、必要ないので通常の食事だけで構いません。
飲ませる量は、生後9ヶ月から12ヶ月で単体なら200ml、離乳食後なら80~100mlです。12ヶ月以降は、1日に2回でトータル400ml(1回200ml)で与えます。
母乳育児の場合も、お母さん自身がしっかりと栄養をとれていて、母乳からその栄養が赤ちゃんに与えられていれば、使う必要はないでしょう。
もし、「栄養が足りているかわからない」という方は、医師や栄養士に相談してみるのもいいでしょう。
また、赤ちゃんの中には牛乳アレルギーのお子さんもいますが、フォローアップミルクも牛乳と同成分が配合されていますので、アレルギー用ミルクを使う方が安全です。
ではフォローアップミルクは、いつからいつまでの時期に使えるのでしょうか。時期としては、生後9ヶ月から3歳まで対応しています。
9ヶ月頃は、ミルクから離れ始め、なおかつ離乳食を1日3食食べるようになってくる時期です。栄養に不足がなければ使う必要がありませんが、この頃は動きが活発になり、カルシウムや鉄といった栄養素が必要になってきます。その補完のために、フォローアップミルクを使います。
1歳を過ぎて、牛乳が飲めるようになれば、牛乳からカルシウムや鉄が補えるので、使う必要はなくなっていきます。
育児用ミルクとフォローアップミルクの違いは、栄養素とその用途です。
育児用ミルクは、正しくは乳児用調製粉乳といいます。「完全栄養食品」といわれるように、母乳と同様に赤ちゃんに必要な栄養素がすべて入っています。
そのため、母乳の代わりで使用でき、育児用ミルクだけを食事として与えることができます。その状態を、完全ミルク育児いわゆる「完ミ」といいます。
一方、フォローアップミルクは、カルシウムや鉄分、ビタミン、ミネラルなどの離乳食では足りない栄養素しか配合されておらず、育児用ミルクのようにフォローアップミルクだけを食事として使用することはできません。あくまで、補完としての使用になります。
フォローアップミルクは、さまざまなメーカーから販売されています。メーカーやその商品により、配合されている栄養素が異なったり、独自のアイデアで味や使い方、パッケージが工夫されています。
ここからは7つのフォローアップミルクを詳しく紹介していきます。商品によって若干、対応する年齢が異なりますので、購入するときには注意しましょう。
和光堂 フォローアップミルクぐんぐんは、9ヶ月から3歳までを対象とし、牛乳より多い100ml1.33gの鉄を配合していて、発育に大切なカルシウム・DHAを強化しています。また、ビタミン・ミネラルをバランス良く配合し、赤ちゃんに必要な栄養素がたくさん含まれています。
顆粒で水にも溶けるので、水分補給や料理にもサッと使えて非常に便利です。種類も、スティックタイプ、小缶、大缶と3タイプあり、使用頻度に合わせて選択できます。
値段と容量 | 830g:オープン価格 |
14g×10本:520円(税抜き) | |
300g:830円(税抜き) | |
含まれる栄養素 | 鉄、カルシウム、DHA、ビタミンDなど |
甘さ | にがみを抑え、まろやかな味。あっさりした甘さ。 |
タイプ | 缶(830g、300g)、スティック(14g×10本) |
購入可能な場所 | 店舗、アマゾンや楽天市場などのネット |
アイクレオのフォローアップミルクは、1歳から3歳までを対象とし、たんぱく質、カルシウムや鉄といったビタミン、ミネラルをバランス良く含んでいます。
母乳に含まれるすこやかな発育に必要なヌクレオチドを国内メーカーで初めて配合したといわれています。母乳に含まれるガラクオリゴ糖配合により、ビフィズス菌を増やし、体内でDHAに変わるα-リノレン酸を含むエゴマ油で風味づくりをしています。
また、グリコの栄養士や子育てアドバイザーが栄養相談を行っており、バックアップが手厚いのもお母さん達には助かります。商品の種類は、スティックタイプと大缶の2つです。
値段と容量 | 820g:2242円(税込み) |
13.6g×10本:540円(税込み) | |
含まれる栄養素 | 鉄、カルシウム、ヌクレオチド、ガラクオリゴ糖、α-リノレン酸など |
甘さ | あっさりとした甘さ |
タイプ | 缶(820g)、スティック(13.6g×10本) |
購入場所 | 店舗、グリコ公式サイトに各ネットショッピングのリンク掲載 |
ステップらくらくキューブは、1歳から3歳までが対象です。特徴は、明治ステップを400ml(コップ2杯)飲んだとき、カルシウム・鉄は1日の必要量を摂取できることです。
カルシウムの吸収を助けるビタミンC、鉄の吸収を助けるビタミンDも1日の必要量とれます。また、7種のビタミン、ミネラルや赤ちゃんの発育に大切なDHAも配合となっています。
この商品は、大箱、特大箱と種類がありますが、なんといっても、世界初のキューブタイプという形態と、そのパッケージの使いやすさがポイントです。キューブタイプなので、計量する必要がなく、開封したらそのままポンッと容器に移すだけです。
値段と容量 | 448g(28g×16袋):1505円(税抜き) |
1344g(28g×24袋×2箱):3518円(税抜き) | |
含まれる栄養素 | 鉄、カルシウム、ビタミンC、ビタミンDなど |
甘さ | ほのかなミルク飴のような甘さ |
タイプ | 大箱(448g)、特大箱(1344g)(中身は個包装) |
購入可能な場所 | 店舗、明治公式サイトに各ネットショッピングサイトのリンク掲載 |
雪印メグミルク たっちは、9ヶ月から3歳までを対象とし、さまざまな栄養素を含みます。特徴は、適正なたんぱく質を量、質共に調整し、5種類のヌクレオチドを母乳同様の比率で配合しているところです。
乳児期に必要なリン脂質も含み、DHAやガラクオリゴ糖を母乳に合わせて配合しています。ビタミンC、D、βーカロテンなどのビタミン、ミネラルもバランス良く配合し、鉄を100g当たり9.0mgと高配合しています。
こちらの商品は、甘すぎない口当たりで飲みやすい味になっています。
値段と容量 | 850g:1827円(税込み) |
14g×10本:お試しキャンペーン | |
含まれる栄養素 | 鉄、カルシウム、ヌクレオチド、ガラクオリゴ糖、ビタミンCなど |
甘さ | 甘さ控えめ |
タイプ | 缶(830g)、スティック(14g×10本) |
購入可能な場所 | 店舗、アマゾンや楽天市場などのネットショッピング |
チルミルは、9ヶ月から3歳まで使用できます。特徴は、M-16V、BB536という生きたビフィズス菌を独自に配合し、赤ちゃんの強いからだづくりをサポートしています。
18種類の大事なビタミン、ミネラルを配合し、初乳に多いラクトフェリンやビフィズス菌を増加させるラクチュロース、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖も配合しており、お腹の中から強くしようというものです。
また、水にも溶けやすく、種類もはじめてセットから大缶、スティックタイプとさまざまです。
値段と容量 | 400g×2袋:1847円(税込み) |
400g×2袋(詰め替え用):1588円(税込み) | |
800g:1850円(税込み) | |
14g×10本:400円(税込み) | |
含まれる栄養素 | 鉄、カルシウム、ラクトフェリン、DHAなど |
甘さ | さっぱりとした甘さ |
タイプ | 詰め替え式パック(400g×2袋)、缶(800g)、スティック(14g×10本) |
購入可能な場所 | 店舗、森永公式サイトに各ネットショッピングのリンク掲載 |
値段と容量 | 300g:900円(税抜き) |
14g×18本:1050円(税抜き) | |
含まれる栄養素 | 鉄、DHA、シアル酸、オリゴ糖など |
甘さ | 少し甘め |
タイプ | 缶(300g)、スティック(14g×18本) |
購入可能な場所 | 店舗、アマゾンや楽天市場などのネットショッピング |
雪印ビーンスタークは、雪印メグミルクの育児事業部の前身で、育児用粉乳などのベビー関連商品を専用に販売するメーカーです。その中の、9ヶ月から3歳までを対象にした「つよいこ」は、鉄とDHAを一番に重要視しています。
乳児期には、鉄が欠乏しやすく、鉄欠乏性貧血や中枢神経の発達に影響を与えるといわれています。もちろん、赤ちゃんに必要な他の栄養素も多く含んでいます。
商品の種類は、スティックタイプ、小缶、大缶とわかれています。
明治ステップは、前記の明治ステップらくらくキューブの粉タイプになります。栄養成分や特徴は、記載したとおり、1歳から3歳までに使用でき、さまざまな栄養がとれる商品です。
粉タイプには、パッケージにこだわりがあり、お子さまが開けられないように力を加えないと開かない仕組みになっています。また、片手でも開け閉めしやすく、すり切りも片手でできます。800gの缶を1缶か2缶セットで選択できます。
値段と容量 | 800g:2120円(税抜き) |
800g×2缶:4240円(税抜き) | |
含まれる栄養素 | 鉄、カルシウム、ビタミンC、ビタミンDなど |
甘さ | ほのかなミルク飴のような甘さ |
タイプ | 缶 |
購入可能な場所 | 店舗、明治公式サイトに各ネットショッピングのリンク掲載 |
フォローアップミルクは、乳製品でもあるため、ミルク以外でも、牛乳やヨーグルトなどの代わりとして料理に使うことができます。乳製品を使う料理は、普段のごはんやおやつなど、色々な場面で使えます。
その料理の活用方法の中で、特に使いやすいレシピを4つ紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
ホットケーキを作る際に混ぜる牛乳の代わりに、フォローアップミルクを使います。牛乳と同様のミルクの量を入れて使います。
さらに、もっと簡単に、卵抜きでも作れます。ホットケーキミックス、油、フォローアップミルク、シロップの4点だけでも、充分おいしくでき、卵アレルギーのお子さまにも作れます。
フォローアップミルクは、料理方法によっては小麦粉の代わりとして使えます。野菜も乳製品もたっぷり含まれていて、栄養がたっぷりの一品ができます。
グラタンを作る場合、じゃが芋やかぼちゃを潰し、フォローアップミルクを粉のまま混ぜます。耐熱皿に、炒めた玉ねぎやひき肉と一緒に加え、チーズをのせてオーブンで焼きます。ゆでたブロッコリーなどの緑ものを添えたら完成です。
スムージーを作る場合にも、牛乳の代わりに使うことが出来ます。フルーツと一緒にミキサーにかけるととろみも出て、飲みやすく、またまろやかでおいしいスムージーになります。
野菜と一緒にミキサーにかけて、ポタージュやスープにするのもおすすめです。
凝固剤を使わなくても、卵1個とフォローアップミルク140ccを混ぜて加熱し、冷蔵庫で冷やすだけで卵プリンができます。
また、ミルクにコーンスターチを大さじ3を加えて加熱し、混ぜます。とろみがつくまで、加熱とミックスを繰り返し、冷蔵庫で冷やすとでも作ることができます。
ちなみに、寒天やゼラチンは、消化機能が充分ではない時期には与えない方がよいので、離乳食後期になったら使うようにしましょう。
ここまで、フォローアップミルクについて、詳しく紹介してきました。しかし、さまざまな商品が販売されていて、一体何を目安に選択すればいいのか、悩んでしまう人もいるでしょう。
ここからはフォローアップミルクを選ぶコツを4つ、紹介していきます。ぜひ商品選びに活用してください。
容量やミルクの形態がメーカーや商品ごとに異なるので、自宅では大缶、外出先ではスティックタイプやキューブタイプといった軽量と使い分けると便利です。
赤ちゃんの栄養摂取の状況やその時の体調にもよって、使用量や必要な栄養素が異なってきますので、場面に沿って赤ちゃんに合ったタイプを選ぶようにしましょう。
メーカーごとに各栄養素の含有量や強化している栄養成分が異なります。骨を丈夫にするためにカルシウムが多い商品、腸内を整えるためにオリゴ糖やビフィズス菌を強調している商品、鉄を強化している商品など、さまざまです。
栄養素をバランス良く摂取したいのか、部分的に補いたいのかで商品を選ぶようにましょう。
フォローアップミルクが甘すぎるデメリットとして、赤ちゃんがフォローアップミルクしか飲まなくなり、離乳食や母乳を口にしないといった可能性があります。
フォローアップミルクは、あくまで補助食品にすぎないので、甘さ控えめであっさりしたテイストのものを選択しましょう。
フォローアップミルクは、普段の離乳食や母乳、粉ミルクの食事と併用するため、プラスでお金がかかります。
また、普段の食事と違って、ミルク単体を購入しなくてはいけない上、3歳まで利用し続けることを考えると、値段をおさえ、経済的にコスパの良い商品を選ぶとよいでしょう。
商品も栄養がしっかり配合されていて安心、といった品質良好で安い商品はたくさん販売されているので、自身に合ったものを選びましょう。
毎日、赤ちゃんの食事や体調に試行錯誤されている親御さんをサポートするために、あらゆるメーカーがあらゆるベビー商品を販売しています。
フォローアップミルクもそのひとつで、赤ちゃんの状態によって対応できるように、各々の特徴をもつ、さまざまなミルクの種類が販売されています。
また、メーカーによっては栄養士などの専門家がサポートしてくれる環境も備わっており、ひとりで抱えず悩みを相談できます。
赤ちゃんや自分の考えにあったフォローアップミルクをしっかりと選んで、栄養素を上手に補っていきましょう。