【専門家監修】授乳中の風邪薬に関する3つのポイント|市販薬も合わせて紹介

授乳中に風邪薬は飲める?

風邪薬は「なんだか熱っぽい」「鼻水がつらい」「のどの痛み」など、つらい症状に効く頼りになる存在です。しかし、妊娠前は気軽に使えていた薬でも、赤ちゃんへの影響を考えて妊娠中や授乳中に服用して大丈夫なのか不安に思う方も多いのではないしょうか。


結論から言えば、注意するポイントを押さえていれば、授乳中でも風邪薬を服用することができます。それでは、具体的にどのような点に気を付ければよいのでしょうか。


この記事では、授乳中の風邪薬との関わり方についてポイントをまとめました。

授乳中風邪をひいてしまったときは

まずは無理をせず、横になって体を休めましょう。つらい症状の中、家事や育児を続けることで疲労が溜まり、さらなる不調の原因になることもあります。


助けを求められる人は近くにいるでしょうか。家族や一時保育、ベビーシッターなどに思い切って子どもを預け、休息をとるのも一案といえます。


また、あらかじめ、ファミリーサポートなどの地域の子育て支援事業などに登録して、万が一の際に助けてもらえるつながりを作っておくと安心です。

授乳中の風邪について知っておきたいこと6つ

しかし、いつも母乳を中心とした授乳をしている場合、授乳を長期間中断することは母子共に負担が大きいものです。


体調が悪い中、赤ちゃんに授乳して風邪がうつらないか心配になる方も多いのではないでしょうか。風邪をひいている間に授乳をする際には、いくつかポイントがあります。

授乳中の風邪について知っておきたいこと1:体調に無理がなければ授乳できる

基本的に自分の体調に無理がなければ、授乳は可能です。もし体力的につらいのであれば、粉ミルクやあらかじめ搾乳した母乳を赤ちゃんの面倒を見てくれる人にあげてもらいましょう。


なお、搾乳は電動搾乳機を利用すると、より楽に搾乳できます。

授乳中の風邪について知っておきたいこと2:授乳で風邪がうつることはない

母乳を介して赤ちゃんに風邪がうつることはありません。しかし大人の感染経路と同じく飛沫感染のリスクがあるため、自分の咳やくしゃみに注意する必要があります。赤ちゃんと接する際はマスクをしていたほうが安全です。


また、手洗いうがいを励行するなど通常のウイルス対策をしましょう。

授乳中の風邪について知っておきたいこと3:インフルエンザもうつらない

インフルエンザでも同じく母乳を介してうつることはないといわれています。母乳は原材料が血でできていますが、血中に大量のウイルスが発生することは考えにくいからです。


しかし、重症化しやすい病気ですから赤ちゃんにうつらないよう感染予防を徹底することが重要です。

授乳中の風邪について知っておきたいこと4:母乳からうつる限られた病気を知る

現在、母乳からうつるとされている感染症はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、HTLV1( 成人T細胞白血病ウイルス)やCMV(サイトメガロウイルス)といわれています。


これらを診断された方は医師の指導の下、粉ミルクでの育児をする必要があります。今回の記事で触れている、通常の風邪では母乳を介して菌がうつることは考えにくいため、安心して授乳してください。

授乳中の風邪について知っておきたいこと5:無理のない範囲で授乳を続けるべき

>体力が回復し始めたら、なるべく無理のない範囲で授乳を続けましょう。</strongお母さんの体は赤ちゃんに乳首を吸ってもらうことで、プロゲステロンやオキシトシンなどのホルモンが分泌され、母乳の量を保っています。


そのため、授乳しない期間が長くなることで、生産量が下がり母乳の出が悪くなることもあります。また、授乳をしないことで乳汁がうっ滞し乳腺炎の原因にもなり、乳腺炎により発熱や悪寒などの症状が出ることもあります。体調をみながら授乳を続けましょう。

授乳中の風邪について知っておきたいこと6:赤ちゃんにうつさない対策はしっかりする

母乳によって風邪がうつることはありませんが、手や服に付着した菌が赤ちゃんにうつることは大いに考えられます。


直接母乳を与える際は、手洗いうがいや、マスクの着用、清潔な服に着替えるなどの感染対策をしましょう。飛沫感染を防止することが、赤ちゃんへの感染を防ぐことにつながります。

授乳中の風邪薬についてのポイント3つ

授乳中に風邪薬を絶対に服用してはいけないということはありません。しかし、お母さんが飲んだ風邪薬の成分は母乳を通して赤ちゃんに移行します。


そのため、お医者さんや薬剤師の判断のもと、授乳婦でも飲める薬を処方してもらい、正しく服用することで赤ちゃんへの影響を最小限にすることができます。

授乳中の風邪薬服用のポイント1:風邪薬を飲む場合は授乳直後

風邪薬を服用後、授乳の間隔は何時間あけるとよいのでしょうか。風邪薬の成分は母乳を通して、赤ちゃんに送られます。


一般的に母乳中の薬の濃度が高くなるのは服用した3~4時間後といわれています。そのため、その時間帯の授乳は避けたほうがよいでしょう。つまり、風邪薬を飲むおすすめのタイミングは授乳直後です。

授乳中の風邪薬服用のポイント2:受診時に授乳中であると伝える

内科を受診した際は、お医者さんに授乳婦であることと赤ちゃんの月齢を必ず伝えましょう。


処方される薬の成分によっては、母乳ではなく粉ミルクをすすめられることもあるでしょう。もし、母乳育児を続けたい場合は、受診の際にその希望をしっかりと伝えることも大切です。

授乳中の風邪薬服用のポイント3:薬剤名から授乳中に飲めるか調べられる

薬剤名から、授乳中に服用可能か調べられるウェブサイトもあります。


薬には「禁忌」と呼ばれる、授乳婦に投与してはならないものもあります。配合されている成分を事前に検索することができるので、不安な場合はこちらをチェックしてみてもよいでしょう。

授乳中に安全に使用できると考えられる薬

授乳中に飲める市販薬の例4つ

やむを得ない事情で病院に行けない場合、すぐに症状を緩和させるためにドラッグストアなどで手に入る市販薬を服用するという方法もあります。この場合も赤ちゃんへの影響が気になりますが、ほとんどの市販の薬は決められた用法用量で使用すれば授乳を続けることができます。


今回は授乳中に飲める市販薬を4つご紹介します。必ず薬局にて薬剤師または登録販売者に授乳中であることを相談の上、購入するようにしましょう。

授乳中に飲める市販薬の例1:新セデス錠

新セデス錠は、アセトアミノフェン、エテンザミド、アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェインの4種類の成分が配合されています。そのなかでも、アセトアミノフェンは医療用医薬品の「カロナール」と同じ成分で、子供用の解熱剤としても使われています。


公式ホームページでは、薬剤師や登録販売者への相談を推奨していますが、服用の間隔は4時間以上あけるよう記載されています。

授乳中に飲める市販薬の例2:ロキソニンS

医療用医薬品の「ロキソニン、ロキソプロフェンNa」と同じ成分と量です。出産後の痛み止めとして使われることが多いため、使用したことがある方もいるのではないでしょうか。


公式ホームページでは、授乳中の服用に関する安全性は確立していないと記載されています。やむを得ず服用する場合は授乳を避け、服用後8時間以上空けるよう指示されています。また、授乳再開時は一搾乳し廃棄した後に授乳を開始することがすすめられています。

授乳中に飲める市販薬の例3:新コンタックせき止めダブル持続性

つらい咳や淡に特化した風邪薬です。非麻薬性鎮咳剤のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物が、せきをしずめ喉を楽にします。


さらにジプロフィリンが収縮した気管支を広げて気道を確保することで、咳止めを促し、淡を出しやすくします。


公式ホームページでは、妊娠中はお薬の成分が胎児に影響を与えることがありますので、コンタックの服用は控えるよう記載されています。やむを得ず服用する場合は、服用期間中はできるだけ授乳を避けてくださいとあり、具体的な時間は示されていません。

授乳中に飲める市販薬の例4:ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒A

風邪の漢方薬といえば、葛根湯をイメージする方も多いのではないでしょうか。鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛などに効きます。風邪のひきはじめに服用するのがおすすめです。


公式ホームページでは、服用について薬の種類や服用期間、お母さんと赤ちゃんの状態などを総合的に考慮する必要があり、受診するときや薬局薬店で薬を買うときに、授乳中であることを申し出て相談することが推奨されています。


ツムラの他に、クラシエの「葛根湯エキス顆粒Sクラシエ」も有名ですが、どちらも同じような注意事項が記載されています。

授乳中の風邪薬の服用はお医者さんに相談しよう

授乳中の風邪薬との関わり方について紹介してきました。体調を崩した際は、自己判断せずまずはお医者さんに相談するようにしましょう。


どうしても病院にいくことが難しい場合は、市販薬に頼ることも一案です。その際は薬剤師や薬局の登録販売者への相談を行い、安心して薬を服用したいものです。


また、風邪薬は直接ウイルスそのものをなくすものではありません。頭痛や咳、熱などの不快な症状を一時的に抑える目的で使用します。決して薬だけに頼らず、まずは安静と休養を心がけるようにしましょう。