赤ちゃんであっても便秘することがあるため、親が気づいて対策をとってあげる必要があります。
まだミルクしか口にしていないような赤ちゃんに便秘、と言われてもピンと来ないでしょう。しかし何かしらの理由で赤ちゃんが便秘になってしまうことがあります。
赤ちゃんはお腹が苦しくても、自分で訴えられません。周囲の人が便秘のサインに気づくことが大切です。
赤ちゃんが便秘になりやすい時期は新生児期、生後2~3ヶ月、離乳食を始めた初期と後期の4つの時期があります。
ここからは、どうしてこれらの時期に便秘が多くなってしまうのか、それぞれの時期で便秘になる理由について紹介します。赤ちゃんの便秘が起こりやすい時期を把握して、しっかり体調チェックしてあげましょう。
生まれたばかりでまだ母乳やミルクしか口にしていない赤ちゃんは、ほとんど体を動かさないことから運動不足で便秘になったり、母乳量が不足して便秘になったりすることがあります。
新生児期の赤ちゃんの便秘は、母乳よりもミルクの方がなりやすいと言われています。母乳で便秘になった場合は、飲む母乳の量が足りず体の水分が減って便が硬くなり、便秘になっている可能性があります。
生後2~3ヶ月になると赤ちゃんの1日の排便回数が減りますが、それだけに便秘になる赤ちゃんも出てきてしまいます。
これは新生児期と違い、赤ちゃんがある程度お腹の中で便をためてから排出するようになるためです。その影響で、なかなか便が出ないという赤ちゃんも出てきます。また母乳量が足りずに便秘になる可能性は、この時期にもあります。
母乳やミルクから離乳食に切り替えていく離乳食初期は、離乳食の分母乳やミルクを減らすので便秘が多くなる時期です。
離乳食を始めて便秘になる、というのはよくあることです。離乳食前の赤ちゃんはミルクや母乳から十分な水分をとっていましたが、離乳食が始まると飲むミルクの量が減っていきます。体の水分量が以前よりも減るようになり、結果、便秘になりやすくなるのです。
離乳食に慣れた離乳食後期には大人とあまり変わらない物を食べるようになりますが、赤ちゃんの内臓機能がまだ未熟であるため便秘になりやすい傾向にあります。
離乳食に慣れてくると、初期のような消化の良い軟らかい離乳食から、固めの固形物に変わっていきます。こうなると便の量も増えますが、食品に含まれる水分量が減るため便が硬くなり、便秘になりやすくなっています。
赤ちゃんは言葉で、お腹の調子が悪いことを親に伝えることはできません。しかし便秘の赤ちゃんの様子を注意深く観察していると、便秘になっていると必死に知らせるサインを出していることがあります。
便秘の赤ちゃんは口に出せず苦しい思いをしていることがあるので、親の側がしっかり赤ちゃんの便秘サインに気づいてあげられるよう、これらの項目をチェックしましょう。
排便回数は赤ちゃんの便秘のサインですが、これまでの赤ちゃんのふだんの排便回数を記録しておき、それと比べて回数があまりにも減っているようなら便秘になっている可能性があります。
赤ちゃんの排便回数は個人差が大きく、毎日の子や3日に1度の子などさまざまです。赤ちゃんのふだんの様子との比較が大切ですが、3日たっても一度も排便がないというケースは便秘だと言えるでしょう。
赤ちゃんが排便時に顔を真っ赤にしたり、苦しそうに排便したりしているときは便秘になっている可能性が高いでしょう。
便秘はそもそも、便の中の水分量が減って硬くなりすぎてなかなか排泄しにくくなっている状態です。
そのため赤ちゃんは排便のためにいきんで泣いてしまったり、顔を真っ赤にしたりしてしまいます。排便時の赤ちゃんの様子をよく見て、便秘の兆候がないかチェックしましょう。
便の量があまりにも少ない場合は、便の量が少ないことで赤ちゃんが便秘になっている可能性があるでしょう。母乳やミルクで育てている新生児や、離乳食初期の赤ちゃんに起こりやすいサインです。
単純に飲む母乳の量が少ない、あるいは離乳食を始めて間もなく食べる量・飲む量が減ってそもそも便の量が少なくなってしまい、なかなか排便できずに便秘になってしまっている可能性があります。
赤ちゃんの便なのにやたらと硬かったり、血が混じっているような場合は便秘になっている可能性が高いでしょう。硬い便は水分が足りていないことを示し、便に血が混じっているのは硬い便で肛門が傷ついた可能性があります。
ただ、母乳で育っている赤ちゃんの便には時おり血が混じることがあります。これは直腸の粘膜代謝が活発化したために起こっているもので、他に異変が無く赤ちゃんの機嫌も良い場合は、とくに注意が必要なものではありません。
しっかり母乳やミルクをあげたり、離乳食もたっぷり食べていてきちんとオムツの取り換えもしているのに赤ちゃんの機嫌が悪いことが続いたら、便秘のせいでそうなっている場合があります。
しっかりと食事やおむつの交換もして、室温など環境に問題はないはずなのに赤ちゃんの機嫌が悪いようなら、要注意です。赤ちゃんはそれらの理由以外で、便秘による腹部の痛みや不快感から機嫌を悪くしている可能性があります。
ミルクを飲んだ直後、離乳食の直後でもないのにお腹がぱんぱんに張っているような場合は、腹部にたまった便が原因の可能性があります。
便秘のせいで排泄できない便が、赤ちゃんのお腹の中にたまってしまい、お腹が張った状態になってしまうのです。
赤ちゃんのお腹はミルクや離乳食で一杯になってもぱんぱんになるので、空腹時のお腹の様子を確認することが大切です。
赤ちゃんがいつもよりも母乳やミルクを飲もうとしない、食欲が減っているような場合は、便秘が理由になっていることがあります。
便秘によって赤ちゃんのお腹の中に便がたまっており、そのせいで食欲をなかなか感じなくなることがあります。便秘の上に飲むミルクの量が減るとさらに悪循環に陥る可能性があるので、早めに適切な処置をする必要があります。
赤ちゃんのおならの回数が多くなったり、匂いが強い場合も便秘になっている可能性があります。
赤ちゃんのおならでも、大きくなると少しずつ匂いは強くなっていきます。しかしあまりにもおならの匂いが強かったり、硫黄の匂いがしたりする場合は便秘が原因になっている可能性があります。
おならはたくさん出るのに排便は少ない、といった場合も便秘の可能性があるでしょう。
赤ちゃんが便秘になってしまう原因は、主に5つあります。たいてい便秘の原因になっているのは食べ物や飲み物ですが、赤ちゃんの体質によるものや病気によるものの場合もあります。
どんな理由で便秘になってしまうのか、それぞれ詳しく紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
母乳で育てている赤ちゃんの場合、授乳量が不足して便になるほどの量がたまらなかったり、母乳不足で水分がなくなり便が硬くなって便秘になることがあります。
赤ちゃんの体が順調に大きくなっていると、なかなか母乳が不足していることに気づけないことがありますので、排便が順調かどうかも合わせて考える必要があるでしょう。飲ませる量を増やす工夫が必要になってきます。
離乳食を始めると、母乳やミルク中心だった頃よりもとれる水分の量が減ってしまうため、便秘が起こってしまう原因になることがあります。
離乳食前は赤ちゃんの食事は全て、母乳やミルクという水分で行われていました。しかし離乳食が始まると固形物を食べるようになり、ミルクや母乳の量は減ってしまいます。その結果、離乳食前よりも摂取する水分量が減ってしまい便秘になってしまうのです。
赤ちゃんは大人よりもずっと汗をかきやすいため、発汗による水分不足が起こると体内の水分量が減ってしまい、便が硬くなって便秘の原因になることがあります。
寝起きの赤ちゃんや、授乳後の赤ちゃんを触るとじっとりと汗で濡れていることがあります。赤ちゃんは水分をよく摂りますが、まだ自力での体温調節を上手くできないために発汗で失う水分が多いのです。失った水分を、しっかりと補給する必要があります。
赤ちゃんの便秘の原因として、もともと便秘しやすい体質だったという「便秘体質」が原因の場合もあります。
便秘体質の赤ちゃんの場合、生後1ヶ月あたりから便秘の症状が見られるようになります。体質によるものなので少し大きくなるまで便秘が続くことがありますが、食事や習慣に気をつければよくなる場合もあるでしょう。
赤ちゃんの便秘はそう珍しいものではないのですが、中には稀な例として腸などの先天的な病気が原因で便秘が起こっているケースがあります。
気をつけていても便秘が続いたり、生まれた頃からずっと便秘体質であるというような場合に診察を受けると、腸の病気が判明する場合があります。早いうちに手術できる病気もあるので、便秘が続くようなら医師に相談してみるとよいでしょう。
ここでは、すぐに始められる赤ちゃんの便秘解消法を5つ紹介します。赤ちゃんは自分から何かをすることはまだできないので、親の側が食べ物や飲み物に気をつけ、適度な刺激を与えてあげる必要があります。
赤ちゃんに便秘の傾向がみられて心配だという場合は、これらの解消法を試してみましょう。
とくに母乳で育てている赤ちゃんの場合、母乳が足りずに便秘が起こっている可能性があるため、ミルクを作って補給するよう調節してあげるとよいでしょう。
母乳が不足して便秘が起こっているのなら、新たにミルクを加えたことで水分不足は解消され、便秘症状も改善していくでしょう。少し様子を見てみましょう。
赤ちゃんが生後6ヶ月以降であれば、腸内の善玉菌を増やしてくれるオリゴ糖を飲ませて腸の活動を活発にし、便秘を解消する方法が使えます。
オリゴ糖は赤ちゃん向けのものを選んで使い、メーカーの推奨量を参考にしながら、飲ませてみましょう。離乳食が始まった後であれば、オリゴ糖を食べ物に混ぜて食べさせることも可能です。
離乳食開始後に便秘が始まった、または以前からの便秘が続いているという場合は、離乳食で消化によくて柔らかい食品を食べさせてみましょう。
代表的な食品としては、さつまいもやバナナ、りんごやヨーグルトなどがあります。離乳食に慣れていない頃なら裏ごししたり潰して食べやすくして工夫してみましょう。
赤ちゃんのお腹、腸のあたりを直接刺激するように赤ちゃんのお腹を出して優しく手を当て、力を入れずに「の」の字を描くようにマッサージしてあげましょう。
赤ちゃんの体は思ったより柔らかいので、なるべく力を入れずにマッサージするのがコツです。ベビーオイルのような滑りのよいものを使い、優しく撫でるようにマッサージするとよいでしょう。
綿棒にベビーオイルといったオイル類、またはワセリンなどを塗ってお尻の肛門付近を軽く触って刺激を与えてあげてみましょう。
よく「綿棒浣腸」とも呼ばれますが、綿棒を肛門に突っ込むようなことはしないようにしてください。綿棒の先を肛門に入れるのではなく、少し入る程度におさえて肛門周辺を刺激してあげるとよいでしょう。
赤ちゃんの便秘はあることなので、便秘したからといってすぐに病院に行かなければならない訳ではありません。いつも便秘がちな赤ちゃんの場合、いつものことだと流してしまうこともあるでしょう。
ここでは病院に行くタイミングや、病院に行くかどうかの見極め方について紹介します。便秘の赤ちゃんで、これらの項目の症状が該当する場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。
赤ちゃんが便秘と共に苦しそうに排便したりおならをしていたりしていた場合、病院で診察してもらった方がよいでしょう。
何もないのにずっと便秘で機嫌が悪く、苦しそうな様子を見せているようなときも該当します。排便でいきんだときに痛みを感じている可能性があり、痛むからといきむのをやめて便秘が悪化する可能性があります。
赤ちゃんが顔を青くしてぐったりしていたり、食欲をなくして元気がない様子を見せた場合も病院を受診した方がよいでしょう。
便秘の症状に加えて、ミルクや食べ物の量が減ったり、嘔吐している場合は適切な処置が必要です。
便秘しているだけで元気ならばそんなに心配はないですが、ぐったりして元気がないようなら病院で診てもらいましょう。
便秘の赤ちゃんのお腹はパンパンに張っていることがありますが、これがいつもよりも張りが強かったり硬かったり、触ると痛がったりする場合は、早めに病院に行った方がよいでしょう。
便秘がちだったとしても、悪化すると自力での排泄が余計に難しくなる場合があります。それだけでなく、張りが強いということは痛みもあると考えられるため、早めに病院を受診してみましょう。
便秘の解消法を試しても便秘が続いたり、生まれた頃からずっと便秘しているなど繰り返す便秘の場合は病気が原因の可能性があるため、定期健診で相談してみましょう。
赤ちゃんの便秘自体は、そう珍しいことではありません。しかし稀に、母乳の不足や水分不足などよくある理由以外で便秘になっている場合があります。繰り返す便秘で治らない場合、相談してみるとよいでしょう。
赤ちゃんが便秘になるのはよくあることです。便秘以外で特に赤ちゃんに症状がないようなら、便秘解消法を試して様子を見てみるのもひとつの手です。しかし、いつもと様子が違う場合には早めに病院を受診することがおすすめです。
赤ちゃんは便秘で苦しくても自分でそのことを言えないので、周囲が気づいて適切にサポートし、対処するようにしましょう。