夏は年々暑さが厳しくなっており、体調を崩さないか心配です。夏に起こる症状といえば、熱中症や夏バテといった暑さから来る体調不良です。
実は大人だけではなく、赤ちゃんも夏バテが起こることがわかっています。しかし、成人と異なり、体温調節機能が不十分のために、親御さんが気をつけてあげる必要があります。
では、どのように赤ちゃんの夏バテを防ぐのでしょう。
赤ちゃんは、夏場に普段と異なる様子が見受けられる場合は、夏バテを疑うことも考慮した方がいいでしょう。
赤ちゃんの夏バテには、主に、脱水症状、食欲不振、イライラ、便秘、下痢、微熱、体重が減る、落ち着かない、嘔吐といった9つの症状があげられます。
それでは、症状のひとつひとつとその予防方法も合わせて、詳しく見ていきましょう。
高温の場所に長時間留まっていると、体温調節機能が働かなくなり、汗などで熱を発散できなくなります。そのため、体内に熱がこもり体温がどんどん上昇していきます。
そして、体内の水分、ミネラルのバランスが崩れていき、脱水症状となってしまいます。
赤ちゃんは、機能が未発達で体温調節をうまくコントロールすることができません。そのために、赤ちゃんが高温多湿の場所で過ごす場合は、脱水にならないようにさまざまな配慮が必要です。
夏バテを起こすと、自律神経が乱れ、食欲が低下します。そのために、体重が低下したり、栄養不足で状態が悪化する可能性もあり、とても危険です。
無理に食べさせようとすると、胃腸の不調などの理由により、余計に嫌がって食べない恐れもあります。しかし夏バテにより体力が低下している際は栄養補給も重要です。
赤ちゃんに無理のない程度に、様子を見ながら食事を与えてあげましょう。
こちらも食欲不振と同じく、自律神経の乱れによってイライラを起こします。
たとえば、よく泣く、ミルクを飲まない、離乳食を食べない、寝ないといった状態は、機嫌が悪いサインです。
イライラだけでなく、体調や状態が良くないときには、特に、よく泣く行為で表現することが多いので、親御さんがよく様子を観察し、そのサインに気づけるようにする必要があります。
便秘も自律神経の乱れにより、腸の不調が起こり、ぜん動運動が機能しづらくなるために起こります。
また、食欲がわかないために食べる量が減少し、さらに便をつくるためのかさが減るため、便秘になりやすいのです。
便秘は、赤ちゃんの排便状態を注意深く観察し、回数や硬さ、量などで判断します。また、お腹が張っており、ミルクを飲みたがらず吐いてしまう場合も便秘の可能性もあります。
一方で、便秘ではなく、胃腸の状態や赤ちゃんの体調具合によっては、下痢を発症する場合もあります。
夏バテにより、胃腸が正常に働かないと飲食物が充分に吸収されず、排出されてしまいます。
水分が胃腸に吸収されづらいので、水分が多い下痢となって出てきてしまいます。下痢が起きた時は、赤ちゃんの水分補給にも注意してあげましょう。
前述したように、夏バテでは体温調節機能が低下し、からだに熱がこもるために、体温上昇につながります。
発熱をすると赤ちゃんは、よく泣く、ぐったりする、機嫌が悪いと様子がいつもと異なりますので、よく状態を観察し、異変に早めに気づけるようにしましょう。
夏バテでの胃の不調、食欲不振により、食べ物が食べられずに体重が減っていってしまいます。
また、眠れない、倦怠感などの症状により、身体の疲労感がとれず、さらに食欲不振に拍車をかけてしまいます。
下痢が続く場合も、体内の水分が奪われるので、体重が減少します。
赤ちゃんは、自ら不調を訴える方法が限られています。症状や痛みのある箇所を言葉で伝える手段がありません。
そのため、発熱やイライラ、疲労などの不調を泣きわめく、寝つきが悪いといった落ち着きのない行動で、自分のつらさをアピールするのです。
いつもと様子が異なる場合は、体調が悪いサインでもあります。
胃腸の不調やイライラ、寝不足などのストレスで、より自律神経が乱れ、また胃の粘膜を刺激し嘔吐につながります。
また赤ちゃんは、消化器官の発達が未熟なために嘔吐しやすいと言う点もあります。嘔吐しても元気な時はさほど心配はいりませんが、吐しゃ物に色がついている場合は注意が必要です。
赤ちゃんは吐しゃ物で窒息してしまう可能性があるため、嘔吐した場合は仰向けではなく、横向きに寝かせてあげて様子を見ましょう。
ここまで、赤ちゃんが発症する夏バテの主な9つの症状をご紹介しました。
親御さんからすると、いつ夏バテになってしまうのではないかと心配がつきません。日常の中で注意することで未然に防ぐ事ができれば、それに越したことはありません。
これからご紹介するのは、夏バテを予防する6つの方法です。ポイントは、適温と水分です。この方法を活用して、日頃から気をつけることで赤ちゃんを夏の暑さから守ってあげましょう。
暖気から冷気へと極度に変えてしまうと、からだの冷えや体温が低下することにより夏バテになりやすくなってしまいます。体温調節が苦手な赤ちゃんのためにも適温に設定しましょう。
適度なエアコンの温度は、25~28℃といわれています。この温度は、赤ちゃんだけではなく、全年齢の方に共通していえることでもあります。また、エアコンと扇風機を併用して、室内に空気を循環させると、均一に空気が行き渡り部屋中が快適な温度となります。
ただし、エアコンも扇風機も直接冷気が、赤ちゃんに当たらないように気をつけましょう。
その理由は、下記でお伝えします。
それでは、なぜ、冷気を当ててはいけないのでしょうか。
赤ちゃんは、体温調節が苦手なために、大人よりも冷たい強い風に感じてしまいます。その風に当たり続けると、体温や水分が奪われてしまい、逆に脱水症状などの体調不良を起こしやすくなってしまうのです。
そのため、赤ちゃんに当たらないように風を送り、部屋中に空気を行き渡らせることにより、赤ちゃんのからだを間接的に涼しくします。
窓際は、窓が閉まっていたとしても、暑さや寒さ、風などを最も感じやすい場所です。
体温調節機能が不十分な赤ちゃんは、その影響を受けやすいため、体温が左右されたり、体調を崩す原因につながります。
また、日光も入りやすい場所なので、明るすぎてなかなか寝つけなくなります。睡眠が不十分になると、自律神経もより乱れやすく、夏バテになりやすいです。
赤ちゃんは、自分で水分補給を行うことができません。大人が、意識的に水分を与える必要があります。
赤ちゃんは体内の水分が多く、代謝がよいので水分をこまめに補給し、体内の水分バランスを保持するように心がけます。
暑さによる発汗で失われた水分を補うためにも、水分を取ることは必要です。
何も食べないと栄養不良や体調悪化により、夏バテしやすくなります。赤ちゃんが食べやすいよう工夫をして、少しずつでも食事から栄養をとるようにしましょう。
たとえば、フルーツなら、やわらかいかたさのものを与える、またはフルーツを潰したり、摺り下ろしてあげましょう。他には、ヨーグルトやゼリーなどのデザート類、野菜のポタージュといったスープが、夏バテにおすすめの食事となります。
ただし、冷たいもののとり過ぎは、胃腸の不調を増幅させるので、気をつけてください。
日中の12時~15時は、最も気温が高い時間帯です。赤ちゃんを外出させるなら、それ以外の過ごしやすい時間が良いでしょう。
長時間、気温の高い屋外にいることは避け、短時間で済ませるか、涼しい屋内にいるように気をつけましょう。
また、朝の日光に当たるのは、体内リズムを整える効果があると言われており、結果、夜の適切な時間に睡眠を促してくれます。睡眠をしっかりととることは、夏バテを予防することになります。
赤ちゃんは、室内でも充分に気をつけなくてはいけないほどに、環境に影響されやすいものだということがわかりました。
ただ、日常で規則正しい生活を送っていたとしても、夏の暑さは相当厳しいものです。外気に影響されないとは言い切れません。かといって、室内にずっといることもなかなか難しいですし、赤ちゃんにとっても日光や外の空気に触れないことはよくありません。
外出時の以下の準備ポイントを押さえておきましょう。
長時間、屋外にいる場合は外気の気温だけではなく、実はベビーカーの内部も温度が高くなりがちです。
ベビーカーは、より地面に近く、アスファルトから跳ね返された日光の熱を赤ちゃんは感じ取りやすくなっています。また、熱もこもりやすいのです。
ベビーカー以外を使用していたとしても、外出時は気温の影響を受けやすいため、すぐに冷却できるようにしておきます。また、熱中症の疑いがある場合も、冷却グッズを所持していれば応急処置ができます。
離乳食が始まった赤ちゃんの水分補給には、ミルクだけでは水分・ミネラルが充分ではないので、白湯や麦茶を飲ませて、発汗した分を補ってあげましょう。
新生児の場合は、基本的には夏は欲しがるだけミルクか母乳をあげてください。体重や体調などを考慮して水分量は調整しましょう。
ただし一気に、なおかつ大量に水分を与えると、体内の水分が薄められて水毒症を発症する可能性もありますので、与えすぎは禁物です。
発汗により体を冷やすことは大切ですが、そのまま着続けると逆に体温が低下し過ぎてしまいます。
体温調節機能が不十分な赤ちゃんは、暑さの対策だけでなく、体の冷えにも気をつけてあげなければいけません。
赤ちゃんは代謝が良いため、特によく汗をかくので、「汗をかいたな」と思ったらタオルで汗を拭くか新しい服に着替えさせてあげましょう。
夏バテは、主に自律神経の乱れによる体調不良が多く、食欲不振や胃腸の不調、イライラがそれに当たります。
それに比べ、熱中症は、筋肉痛、頭痛、呼吸困難、意識混濁などの重症化が激しく、そのスピードは夏バテに比べて速いのが特徴です。
ただ、熱中症の初期症状と夏バテの症状は類似している点がありますので、異変を感じたら病院への受診をおすすめします。
まずは、からだを冷やすことです。涼しい場所に移動し、衣類をゆるめて、脇や首といった太い血管を冷やすと早く熱を下げることができます。
次に、飲むことができるようでしたら水分を与えます。その場に経口補水液があれば最適ですが、ない場合は水や麦茶でも構いません。呼びかけに反応がない場合に水分補給させようとすると、気道に流れ込んでしまう可能性があるので無理をしてはいけません。
また、体温が下がらなかったり、状態に変化がない、または、悪化するようでしたら、すぐさま病院を受診しましょう。
大人と同様に、赤ちゃんも生活リズムが乱れると、体調を崩しやすくなります。日頃の生活の中で、気をつけていくことが予防の第一歩です。
「栄養バランスのよい食事をとり、睡眠を充分にとる。からだを冷やさず、また、水分をこまめにとる。」ということが赤ちゃんにとって大切になってきます。
赤ちゃんは、少しの環境の変化に敏感なものです。親御さんにとっては、わが子が体調を崩さず元気でいてくれることが願いです。日頃から気遣っていくことで、夏バテを予防していきましょう。