新生児から1歳までの一年間は、赤ちゃんの成長は著しいものです。生まれてからの一年間での赤ちゃんの体の成長、授乳や食事、排せつや睡眠時間の変化はどのようなものでしょうか。赤ちゃんの成長について紹介します。
母子手帳に体重や身長の目安となる発育曲線を見て、赤ちゃんの成長を確認している方も多いのではないでしょうか。赤ちゃんの体の成長は、個人差があります。また、成長してくるにつれて、体格や発達の差も出てきます。
赤ちゃんの個性ととらえ、赤ちゃんの成長を見守ることが大切です。気になることや心配がある場合は、健診時などに医師に相談すると良いでしょう。
生まれて間もない新生児の頃は、頻回に授乳する必要があります。赤ちゃんがミルクを欲しがるサインを見逃さずにあげましょう。
成長するにつれて、ミルクを欲しがるタイミングや時間帯が定まってきたり、積極的に赤ちゃんからミルクを欲しがるサインを出してくれるようになります。
成長とともに一度に飲めるミルクの量が増えると、授乳の回数は減っていきます。1歳頃になり離乳食が進むと、卒乳の時期も近づきます。
成長するにつれて、赤ちゃんの消化器官も発達します。
新生児は一日に何度も排せつしますが、1歳を迎える頃には、夜間のおしっこの回数が減ってきたり、うんちの回数や時間帯が決まってきたりと、大人に近づいていきます。離乳食の時期には、一時的に回数が増えたり、逆に便秘気味になることもあります。
排せつの回数は、赤ちゃんによって異なります。赤ちゃんの機嫌を確認しながら、適した回数であるかを判断してください。
生まれて間もない赤ちゃんは、ミルクを飲むことと睡眠を繰り返します。個人差はありますが、生後3か月頃までは一日に平均して14~17時間の睡眠を取ると言われています。
生後12か月頃には平均12~15時間となります。成長するにつれて、起きて活動する時間が増えていく分、睡眠時間は減っていきます。
また、大きくなるにつれて、お昼寝や睡眠の時間帯が定まってくるようになります。成長とともに生活のリズムができます。
生後一年間の赤ちゃんの成長は目を見張るものがあります。体つきがしっかりし、できることが増えていく様子を見るのは子育ての醍醐味でもあります。しかし、赤ちゃんの発達には個人差があります。
母子手帳や健診時の、何か月頃には何ができている・発達しているという項目は、あくまでも目安です。発達について気がかりな点があれば、気軽に医師に相談しましょう。
赤ちゃんがあまり動かずにほとんど寝ている時期は短いものです。生後12か月を迎える頃には、動き回ったり、歯が生えたりし始め、一年間の身体的な発達は著しいものです。
また、笑ったり、遊んだり、コミュニケーションが取れるようになったりと、心や社会性も成長してきます。可動範囲が増えると怪我や事故の心配もあります。赤ちゃんの成長に合わせた過ごし方を心掛けてください。
生まれてから1歳までの赤ちゃんはどのように成長していくのでしょうか。赤ちゃんの主な成長過程について、月齢ごとに14個の時期に分けてそれぞれ紹介します。
赤ちゃんの成長や発達は個人差が大きく、必ずしもすべての赤ちゃんに当てはまりませんので、目安として考えてください。
生後28日未満の赤ちゃんを新生児といいます。ママのお腹から出て初めての肺呼吸など、生後すぐから赤ちゃんは空気中での生活に適応していきます。生後間もなく一時的に体重が減少することがありますが、平均的には一日20~50gずつほど体重が増加する時期です。
この時期は、時間帯に関わらず一日中ミルクを飲んで寝る、を繰り返す生活です。泣いている時は何か不快なことを伝えていますので、原因を取り除いてあげましょう。
2~3時間おきに、ミルクを飲んだり眠ったりを繰り返しています。一日に14~17時間眠っていますが、まだ昼夜の区別はつかないので、夜中でもミルクが欲しい時に起きます。
排せつの回数が多いので、おむつは頻繁に取り換えてあげましょう。おむつかぶれの予防にもなります。またこの時期には原始反射という、生まれて間もない時期特有の種々の反射が見られます。
誕生時よりも皮下脂肪がついてふっくらしてくる頃です。体重は誕生時より1kg程度増え、身長は6~7cm程度伸びています。徐々に体を動かす機能が発達してきて、首を横に動かしたり、手足をばたつかせたり、手を口に入れたりと、動きも増えてきます。
まだあまり視力が発達していませんが、赤ちゃんのお顔から20~30センチのところで、ママやパパのお顔を認識できたり、白黒などはっきりした色の違いを見ることができます。
起きている時間が徐々に長くなってきます。赤ちゃんの視力も少しずつ発達してきますが、ママの顔や表情までは見えていません。赤ちゃんは肌や感覚でママの温もりや心地よさを感じています。スキンシップを積極的にとって、親子の絆を深めましょう。
赤ちゃんの聴力はお腹にいる頃から発達しており、ママの声が聞こえています。まだママの声に反応を見せることができない月齢ですが、お世話の時に声掛けしてあげてください。
体重増加が一日平均25~30gになり、ペースが落ち着いてきます。筋肉も少しずつ発達してきて、首がしっかりしてきたり、手足の動きがさらに力強くなってきます。意味のある言葉を話すのはまだ先ですが、喃語に聞こえるような声を発する場合もあります。
お腹がいっぱいになる感覚がわかるようになり、満腹になると途中でミルクを飲まなくなる赤ちゃんもいます。
目でものを追いかける、追視ができるようになります。ママやおもちゃの動きを目で追ったり、首を左右に振ったり、見える世界が広がってきます。また、この頃になると表情が出てきます。表情や声で気持ちを表せるようになりますので、たくさん声掛けしてあげましょう。
ご機嫌の良い時は、直射日光を避けて、短いお散歩に行くのも良いでしょう。お散歩は赤ちゃんにとって良い刺激となりますし、生活にメリハリがつきます。
出生体重の約2倍の体重になっている頃です。3か月頃になると、首がすわりはじめる赤ちゃんもいます。ますます筋肉がついてきますので、寝返りの練習になるようなねじりの動きをはじめる赤ちゃんもいます。授乳のリズムもだんだんできてくる頃です。
早い赤ちゃんではこの頃に夜泣きが始まることがあります。毎日同じ時間帯に泣くようであれば夜泣きの可能性があり、そうでない場合は他の原因も探ってみましょう。
自分の意思で見たり首を傾けたりすることができるようになり、外の世界の刺激に反応するようになります。また、ママの声を聞き分けられるようになり、ママの声がする方へ顔の向きを変えたりするようになります。
自分の手をなめたり、足に触ったり、自分の存在を認識しはじめるようになります。手に軽いおもちゃを握らせてあげる遊びも喜んでくれます。
4か月を過ぎると、多くの赤ちゃんの首がすわりはじめます。首がすわると縦抱きができるようになります。
離乳食のスタートも近くなり、唾液が多くなります。機嫌の良い時に声を出したり、手を伸ばしておもちゃを取って口に入れて確かめるなどの一人遊びも始まります。授乳は一日平均5~6回です。夜間は長めの睡眠時間をとるなど、生活のペースを作りはじめましょう。
首がすわった赤ちゃんは、今までより自由に見渡すことができ、世界が広がります。いろんなものに興味を抱き、なんでも口に入れて確かめようとする時期でもあります。誤飲が起きないよう、口に入ってしまうような大きさのものは近くに置かないなどの配慮が必要です。
ミルクの遊び飲みをする赤ちゃんも増えてきます。遊び飲みをした際は、一旦ミルクをあげるのを止めましょう。
表情や喃語が豊かになり、赤ちゃんの個性がわかるようになってきます。体重増加は一日15g程度になり緩やかなペースです。赤ちゃんの欲しがる様子を見て、離乳食に挑戦しても良いでしょう。
ほとんどの赤ちゃんが首がすわり、うつぶせ状態で上半身を起こすことができるようになります。腰もしっかりしてきて、寝返りをする赤ちゃんも増えてきます。赤ちゃんの動きが豊かになる分、安全対策も必要になります。
日々豊かになる赤ちゃんの表情や喃語から、赤ちゃんの意思や好き嫌いなどがわかったり、コミュニケーションが取れるようになります。たくさん話しかけをしたり、赤ちゃんと簡単なゲームをしたり、お散歩に行ったりして、良い刺激をたくさん与えてあげましょう。
離乳食をはじめるようになり、さらに生活のリズムができてきます。遊びやお散歩、お昼寝、食事、授乳タイム、就寝時間など、なるべく決めた時間に行うようにしましょう。
お座りができはじめたり、離乳食が本格的に始まったり、大きなステップを踏み出す時期ですただし、これはあくまでも目安であって、ひとりひとり赤ちゃんの成長ペースがありますので焦らずに見守りましょう。大柄・小柄など体格の違いもはっきりしてきます。
原因もなく決まった時間になると泣きはじめる夜泣きをする赤ちゃんが増えます。1歳頃にはおさまる場合が多いので、おおらかな気持ちで見守りましょう。
身近な人と、そうでない人の違いがわかるようになってきます。いつもお世話してくれるママやパパの方に手を伸ばしてくれるようになる一方で、知らない人に対しては人見知りが始まる赤ちゃんもいます。
また、次に何が出てくるのか予想する能力も発達してきます。いないいないばぁや、箱から何が出てくるか当てる遊びも、楽しくできるようになります。
少しずつ長い時間お座りできるようになり、視界が広がり、手が自由に使えるようになります。また、この時期には手先もさらに器用になってきます。
これまではミルクが主な栄養源でしたが、離乳食も一日に2回に増え、食物からの栄養源も取れるようになる時期です。下の前歯二本が生え始める赤ちゃんもいます。離乳へ向けて赤ちゃんの体も準備が進んでいる証拠です。
上あごと舌ですりつぶす動きができるようになり、食べられるものが増えてきます。人が味覚を感じる味蕾は、赤ちゃんの頃が最も多く、大人になるにつれて減りますので、いろんな味に触れさせてあげましょう。
6か月を過ぎた頃から、ママからもらった抗体が減少し病気に罹りやすくなりますので、気をつけてあげましょう。医療機関の連絡先などをすぐに取り出せるように準備しておきましょう。
ハイハイやずりばいなど、赤ちゃんがよく動くようになり行動範囲が広がる時期です。赤ちゃんによっては、最初から立ち上がる子や、座ったままお尻で動くシャフリングベビーもいます。成長の仕方も個人差がありますので、赤ちゃんの個性をあたたかく見守ってください。
また、この時期には歯が生えてくることにより、むず痒い場合があります。ガーゼで優しく拭いてあげたり、冷やしたり、おもちゃの歯固めを与えるのも良いでしょう。
しっかりした言葉を発することはまだできないものの、ママやパパがよく使う言葉を理解できるようになります。そのため、知っている言葉を聞くと、笑ったり嫌がったり、表情や喃語で応えてくれるようになります。
また、生活面では一日のリズムが定まってきます。起床時間や午前午後のお昼寝時間、就寝時間を決めて、生活のリズムがつけやすいように工夫してみましょう。
ハイハイが上手になり、立っちができたり、つかまり立ちに挑戦する赤ちゃんも出てきます。この頃はまだ安定して立つことができませんので、転倒や怪我に注意して部屋の環境を考えましょう。
離乳食が一日に3回になる時期でもありますので、大人と同じ時間帯に一緒に食事が摂れるようになってきます。手づかみ食べも大切な成長のステップです。
赤ちゃんの表情や喃語もより複雑で豊かになっていきます。また、この頃になると、相手の表情を読み取ろうとしたりするようになります。赤ちゃんと接する際は、たくさんの言葉がけとともに、笑顔やびっくりした顔など表情でも気持ちを伝えてあげると赤ちゃんも喜びます。
体つきもしっかりしてきて、ハイハイやずりばいからステップアップして、つかまり立ちや、つたい歩きをしはじめる赤ちゃんも増えます。行動範囲が広がると同時に、ママやパパの後ろをついて歩く「後追い」も始まります。
お昼寝も午後に一度のみとなる赤ちゃんもいます。早寝早起きの生活習慣を作りましょう。お外遊びやお散歩も取り入れて、遊ぶ、食べる、寝るというリズムを作ってあげることも大切です。
手先がより器用になり、記憶する能力も発達してきます。短時間であれば、直前の出来事を記憶しているようになります。赤ちゃんの月齢に合った知育玩具を与えることで、良い刺激になります。
喃語から、単語に移行していく赤ちゃんもいます。赤ちゃんが発音しやすい短い単語で語り掛けたり、「はい、どうぞ」「ありがとう」など、簡単なやりとりを習慣化してみましょう。
足腰がしっかりしてくるとともに、腕の力もついてきます。行動範囲もさらに広がってきますので、階段や高いところに登っていないかにも注意しましょう。
離乳食も終わりに近づいてきます。ミルクからももうすぐ卒業です。ストローやカップで飲む練習をするのも良いでしょう。
赤ちゃんはよく周囲を観察していろんなことを吸収しています。この頃になると、指を差すとママやパパが同じ方向を見る、特定の喃語を発すると大人が欲しいものを持ってきてくれる、などがわかるようになってきます。
赤ちゃんの興味を確認しながら、指差ししながら絵本を読んだり、音楽に合わせて体を動かす遊びも楽しめます。
1歳のお誕生日を迎える頃には、体重は出生時の約3倍、身長は約1.5倍ほどに成長しています。活動的になると同時に、赤ちゃんらしい体つきから、徐々にしっかりしてきます。また、ほっそりとしてくる赤ちゃんもいます。
夜にまとめて眠れるようになってきます。起きている時間の活動が、夜の睡眠の質につながりますので、体を使う遊びを取り入れた規則正しい生活を心掛けてください。離乳食は完了期になります。
ママやパパの言葉のまねっこではなく、自分の意思で言葉を使うようになってきます。自我が育ち、意思表示もはっきりしてきます。思いを伝えきれず癇癪を起すこともありますが、赤ちゃんの気持ちに寄り添ってあげましょう。
離乳食が終わりに近づきます。きちんと食事から栄養が摂れているようであれば、ミルクや牛乳の量を減らし始めましょう。卒乳も近づいています。
体重や身長の成長は、1歳までの間に比べてより緩やかになります。1歳半頃から一人で歩けるようになる子や、はっきりした言葉が話せるようになる子が増えてきます。
すべて生えそろうのはまだ先ですが、乳歯が生えてきている赤ちゃんがほとんどです。虫歯予防のためにも、歯磨きの習慣をつけるためにも、歯のケアは毎日続けてください。
自分の体をより自由に使えるようなり、好奇心も旺盛です。手先がさらに器用になり、ものをつまめるようになります。いたずらをした時は、今後のためにも優しく諭しながら教えてあげましょう。誤飲や事故に十分注意してください。
言葉も発達して、コミュニケーションも上手に取れるようになってきます。しかし、赤ちゃんの成長時期には正解はありません。ゆっくりタイプ、早いタイプなど個人差がありますので、焦らなくて大丈夫です。
新生児から1歳までの赤ちゃんのお世話の中で、安心して赤ちゃんをお世話するために特に重要な2つのポイントをご紹介します。親子で安心して過ごすためにも、事故を防ぐためにも大切なポイントとなりますので、ぜひ参考にしてください。
特に首がすわる前の赤ちゃんは、しっかり首を支えられる姿勢で授乳しましょう。授乳中は、赤ちゃんの呼吸の妨げとならないよう、ママは姿勢を正して座り、常に赤ちゃんの顔が確認できるようにしてください。
授乳は頻度も高く、長く続くお世話です。赤ちゃんとママが気持ちよく授乳タイムを過ごすためにも、授乳用のクッションで高さを調節するのもおすすめです。また、母乳育児中にママが薬を飲む際は、医師に確認しましょう。
うつぶせ寝は、仰向け寝よりも乳幼児突然死症候群や窒息などの事故との関連が高いことがわかっています。ですから、医師からうつぶせ寝を勧められている場合を除き、赤ちゃんは仰向け寝で寝かせましょう。
寝返りができるようになると、好きな姿勢で眠るようになる赤ちゃんもいますが、赤ちゃんの顔が見えるように仰向けで寝かせるのが安心です。
赤ちゃんの月齢別の成長過程を紹介しました。成長過程を知っていることで、予め用意できることや、赤ちゃんに適した育児が考えられるようになります。
赤ちゃんひとりひとりの成長の速度は違うものです。赤ちゃんと向き合って、コミュニケーションを育みながら、一緒に成長を喜びましょう。