生後1ヶ月までの赤ちゃんを新生児と呼びます。お腹の中ですくすくと育ってきて、外の世界に初めて触れている貴重な時期です。
生後1週間もたてば、出産時の体重より200g前後大きくなっています。1日15~20回ほどの排泄回数も、膀胱が大きくなってくると回数が減ってくるでしょう。全ての変化が赤ちゃんにとっての成長です。
ママにとっても目が離せない、貴重な日々となるはずです。
免疫物質や栄養素が含まれている母乳は、赤ちゃんにとってパーフェクトな食事と言われています。生後半年間、母乳で育てられた赤ちゃんは胃腸炎やインフルエンザなどの感染症にかかりにくいというデータもあります。
母乳の中にはタンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素の他にビタミンやミネラル、酵素も含まれているそうです。また母乳を出すことで、拡がった子宮を収縮するという母体へのメリットもあります。
新生児に授乳する際の方法はいくつかあります。新生児の吸い付きが弱い時や、母乳の出が悪い時などは授乳方法を変えるのもひとつの対策です。
その時の体調や気分に合わせて、授乳方法を変えてみるのも良いでしょう。初めてのことだらけで、不安も多く体力的にもしんどい時がありますが、授乳できる期間は人生においてとても短いです。
ぜひその貴重な日々を、大切に過ごしてください。
出産経験が無い人でも、授乳方法をイメージする時に思い浮かべやすいベーシックな姿勢が横抱きです。クレードルとも呼ばれています。
赤ちゃんを両手で包み込むようにして、背中とお尻を支えます。この時にママのお腹と、赤ちゃんのお腹が近くなるように抱き寄せるのがコツです。
しかし体の小さい新生児は、横抱きだとなかなか安定しません。その時は授乳クッションを取り入れて、安定感を出しましょう。
クロスクレードルとも呼ばれている交差横抱きは、基本的には横抱きを同じような授乳方法ですが、赤ちゃんを支える腕が異なります。
授乳する乳房と反対の腕で赤ちゃんの背中とお尻を、手で頭を支えます。もう一方の手は、自分の乳房を支えましょう。
交差横抱きの授乳方法は、吸い付きが弱い赤ちゃんにおすすめです。新生児の場合は授乳クッションがあると楽に支えられます。
縦抱きはママが座った状態で、太ももの上に赤ちゃんを座らせて授乳する方法です。首が座っていない新生児でも、首をしっかりと支えれば取り入れられます。
赤ちゃんの鼻の位置が、乳首の高さくらいになるのがベストです。新生児の場合は、クッションを赤ちゃんのお尻の下に敷いて、高さを調整するのが良いでしょう。
吐き戻しが多い時や赤ちゃんが中耳炎になった時にもおすすめの授乳方法です。
帝王切開をした後や、双子出産の時に取り入れられる授乳方法が脇抱きです。フットボール抱きとも呼ばれ、フットボールを片脇で抱えるような体勢で授乳します。
ママの腕と赤ちゃんを支えられる大きいクッションがあると、授乳しやすくなります。横抱きや縦抱きとは違う乳腺を刺激するので、母乳が溜まるのを防ぐことが可能です。
腰の痛みが気になる時や、母乳が良く出る時に取り入れられる授乳方法がレイドバックです。ママのお腹に、赤ちゃんを乗せて手や膝でお尻を支えて固定し授乳します。
乳房により赤ちゃんが窒息しやすいので、注意が必要です。
ママも赤ちゃんも寝た状態のまま、授乳できる方法が添い乳です。ママと赤ちゃんが向かい合った状態で、赤ちゃんの口の位置と乳首の高さを合わせます。
新生児は特に高さが合わないので、頭の下にタオルを敷いて調整しましょう。ママの背中と足の間にクッションや丸めたタオルがあると、楽な授乳体勢をとれます。
この状態でうたた寝してしまうと、赤ちゃんが窒息するリスクも生まれるので気をつけましょう。
授乳方法にはいくつか種類がありますが、いずれにしても正しい方法を取り入れることが大切です。正しい授乳方法を把握しておかないと、新生児が上手に母乳を飲めないだけではなく、ママにも良くない影響を与えます。
新生児に授乳する時の注意点をいくつかピックアップしてみました。注意する理由や、それによって起こる影響なども合わせて紹介します。
どの授乳方法の場合でも始めに確認して欲しいのが、新生児が乳輪全体をしっかりくわえているかです。乳輪全体をくわえていないと、乳首に傷がついてしまう可能性が高くなるだけではなく、上手に飲めなくなります。
上手に授乳ができないと母乳がうっ滞し、乳腺炎のトラブルなども引き起こしてしまうので注意が必要です。
添い乳やレイドバックの時はもちろんですが、どの授乳方法でも新生児が窒息しないように気をつけるのは大切です。姿勢が悪くなってしまうと、乳房が赤ちゃんの鼻を塞ぎ呼吸できなくなります。
正しい姿勢で授乳することを意識しましょう。また添い乳をする時には、うたた寝しないように注意が必要です。疲れが溜まっている場合は、無理して母乳にせずに粉ミルクを取り入れてください。
どの授乳方法でも気をつけて見ておきたいのが、新生児の顔と体の向きです。新生児の耳、肩、腰が直線で結ばれている姿勢なら母乳も飲みやすくなります。
また赤ちゃんの姿勢を正しくしておくと、乳首が傷つくリスクも抑えられます。ママにとっても赤ちゃんにとっても、気をつけておきたいポイントのひとつです。
授乳する時には、ママと新生児はなるべく密着した姿勢をとりましょう。しっかりと距離を近づけないと、新生児は特に上手に乳輪まで口に含ませることができないため、母乳が飲みづらくなります。
赤ちゃんが上手に母乳を飲める体勢や距離を整えられれば、母乳のうっ滞や乳首が傷つくことも防げます。ママの体にしっかりと寄せて、赤ちゃんのお尻から頭までを支えてあげることが大切です。
ママの体勢も授乳生活において気をつけなければなりません。もともとの癖や、赤ちゃんを覗いた時につい猫背になってしまうことがあります。猫背になると乳房により、赤ちゃんの鼻を塞いでしまうので注意が必要です。
また猫背の体勢で授乳を続けてしまうと、ママの腰の負担が大きくなります。クッションや座椅子などを利用しながら良い姿勢で授乳を心がけましょう。
授乳を続けていると、やりやすい体勢や方法がどうしても出てきてしまいます。しかしいつでも同じ体勢で授乳を続けていると、乳腺炎のリスクが高くなってしまうので気をつけましょう。
授乳をする時には、両方の乳房で均等にすることが大切です。片方だけで終わらせてしまうと、授乳していない乳房がうっ滞を起こしてしまい乳腺炎になりやすくなります。
授乳時間がわかってきたら、両方の乳房で均等に母乳を与えるのがおすすめです。
授乳は毎日続けるものなので、毎回同じ体勢を続けているとママの体調に異変をきたしてしまいます。腰や腕の負担を軽減するためにも、乳腺炎にならないためにも意識して違う抱き方で授乳しましょう。
赤ちゃんが飲みやすい抱き方なども覚えておくと便利です。乳房にしこりや痛みを感じる時には、抱き方を変えることで対策できます。
母乳が出づらい場合は、四つん這い授乳などもおすすめです。
授乳の際に赤ちゃんの姿勢や、頭の向きを整えておかないと乳首をかまれることがあります。乳首に対して赤ちゃんの顔が正面にくるように、高さと向きをあわせることが大切です。
赤ちゃんの顔が斜めになっていたり、顔の高さが合わなかったりすると上手にくわえられないので乳首が傷つくことに繋がります。体勢を整えていても、上手にくわえられない時には乳頭マッサージしてから授乳するのもおすすめです。
授乳する期間は長い人生の中でとても短く、限られています。実際は睡眠時間もとれず、休む時間もなく辛いと感じることも多いでしょう。
ピリピリした状態では赤ちゃんの吸い付きの変化や、赤ちゃんの異変に気づけないことがあります。好きな音楽をかけたり、お気に入りの座椅子やクッションを買ったりと心地よい環境を作り、リラックスして授乳するのが大切です。
出産する時には色々なワードを耳にすることが多いでしょう。あまりにも情報が錯綜してしまい、どれを信じて実践すれば良いのか悩んでしまうことも少なくありません。
授乳している期間に覚えておきたい、豆知識をいくつか紹介します。食生活に関すること、赤ちゃんに関する注意事項などさまざまです。
母乳にはいくつかの種類があるのを知っていますか?医学用語ではありませんが、差し乳とたまり乳というタイプがありそれぞれ特徴が異なります。
もちろん栄養素的には違いがありません。簡単に言うと、乳房の状態で差し乳とたまり乳のタイプに分けられるようです。
乳房があまり張らない、授乳をし始めると母乳の分泌が一気に増えるのが差し乳の特徴です。生後すぐにこの状態になる人もいれば、授乳リズムが安定してからなる人もいます。
以前は授乳をしてから母乳が作られるという解釈でしたが、母乳は24時間常に作られているということが分かりました。たまり乳と差し乳は、同じように母乳が作られている状態です。
乳房が張らない差し乳は、授乳や搾乳を忘れやすいので注意しましょう。
乳房が張りやすいのが、たまり乳の特徴です。授乳をすることで一旦落ち着きますが、全ての母乳を与えきった感覚を得ることができません。
生後すぐのママたちがなりやすい状態ですが、生後1ヶ月ほどで落ち着きます。しかし赤ちゃんの飲む量よりも母乳が多く分泌されている母乳分泌過多の可能性もあります。乳腺炎にもなりやすいので、気になる時には医療機関に相談してみましょう。
授乳した後は、新生児は特にげっぷをさせてあげてください。授乳中に体に取り入れてしまう空気を体外に吐き出すことが目的です。
げっぷをさせないと、お腹が膨らんだり嘔吐したりする原因になります。新生児は首を支えながら肩でかつぐようなイメージで抱いてげっぷをさせます。その体勢のまま、背中を軽く叩いたりさすったりしてげっぷを促しましょう。
妊産婦におすすめのバランスガイドが、厚生労働省により出されています。ママの食事がそのまま母乳に直接関わるので、バランスの良い食事にこだわるのはとても大切です。
噂や口コミなどで流れている授乳中におすすめの食べ物を鵜呑みにして、それにこだわった食事をするよりも、1日3食まんべんなく栄養を摂取しましょう。もちろんたばこやお酒を避けるのは当然です。
食事の中で油分は控えめにした方が良いでしょう。
結論から言うと、授乳中のママがはちみつを摂取するのはOKです。栄養価が高いはちみつは、むしろバランス良い食生活を心がける際に取り入れるのに適しています。
しかし注意して欲しいのが、1歳以下の赤ちゃんです。まだ消化器官が発達していない時期にはちみつを摂取すると、乳児ボツリヌス症になってしまう可能性があります。ふとした瞬間にはちみつが口に入ることが無いように気をつけましょう。
カフェインが入っているコーヒーは、授乳中には避けておきたいもののひとつです。コーヒーだけではなく、紅茶やコーラにもカフェインが含まれているので授乳中には気をつけましょう。
摂取したカフェイン量の1割程度が、母乳に影響すると言います。カフェインを過剰摂取すると、赤ちゃんの寝付きが悪くなるなどの症状が出てきてしまうので注意が必要です。
授乳中はノンカフェインのコーヒーや紅茶などを摂取すると良いでしょう。
ママは無敵ではありません。時には体調を崩しても休む時間を確保できないので、薬に頼りたくなる時もあるでしょう。風邪薬程度であれば、授乳中でも服用できる風邪薬がほとんどです。
しかし心配であれば、服用する時間に気を使いましょう。服用してから2~3時間後に、服用したものがもっとも母乳に反映されます。そのため授乳後すぐに服用すれば、時間を置けるため赤ちゃんへの影響を減らすことが可能です。
授乳はママと赤ちゃんにとって、かけがえのないとても貴重な時間です。まだまだ体が小さく上手に母乳を飲めない新生児のためにも、ママの体のためにもさまざまな授乳方法を取り入れていきましょう。
正しい方法を知っておくと、赤ちゃんにとってもママにとても快適な時間となるはずです。