まずは、1歳9ヶ月の子はどんなことができるのか、発育状況から見ていきます。主に発達するのは視覚機能や筋力、そして発語力ですが、知的好奇心が芽生えてくるので癇癪を起こしやすくなるのもこの頃です。
1歳児は乳児から幼児に切り替わる大事な時期でもありますから、お子さんの発達段階をしっかり把握してあげましょう。成長に沿った遊びができる環境を整えることで、知育面を伸ばすきっかけにもつながります。
生後しばらくは明るさ、形、色がわかる程度でしたが、1歳半を超えたあたりから赤ちゃんの視覚は急激に発達します。
1歳9ヶ月頃には「両眼視機能」が身につき、立体視ができるようになるでしょう。奥行きを持って見ることができるようになるので、遊びの幅も広がります。
1歳9ヶ月頃になると、大人のすることが真似できるようになります。体の発達に加え想像力も育ってきているので、ごっこ遊びが盛んになるでしょう。
例えばママが毎日やっているお料理、掃除、洗濯といった家事のほか、お店屋さんごっこや電車ごっこにも興味を持つようになります。
足の筋力がしっかりして、下半身が安定してくる頃です。歩き方がスムーズになり、少しずつ走れるようにもなってきます。
座りながら何かをすることが多かったそれまでと比べ、体を動かす楽しさを知るようになり、運動量もだいぶ活発になってくるでしょう。
「マンマ」「ワンワン」など1語だけだったのが、「ワンワンいた」「ブーブおっきいね」など2つの言葉を使って話すようになります。
言葉の発達は一人ひとりペースが違うものですから、なかなか言葉が出てこなくても焦らず、いろんな言葉をかけながら気長に待ってあげてください。
1歳9ヶ月になって手や足を使って動き回れるようになると、遊びの幅はぐんと広がります。では、具体的にどんな遊びを好むのでしょうか。なぜその遊びを楽しめるのかという理由とともに、もう少し詳しくご紹介していきます。
「見立て遊び」とは、お子さんがそれまでに見てきたものをヒントにした遊びのことです。積み木を携帯電話に見立てたり、ぬいぐるみにご飯を食べさせたりする仕草がそれに当たります。
周囲の環境がよく見られるようになった証拠で、周りの大人たちが普段何気なくしているシーンが遊びの元となっています。始めは物を使って単純な動きをするだけですが、徐々に音声や言葉が加わるようになるでしょう。
「ごっこ遊び」は、ママやお医者さん、お店屋さんなど自分以外の何者かになって振舞う遊びです。周りの大人たちの様子を観察する中で、強く印象に残ったシーンや日常のひとコマなどを切り取って再現します。
ごっこ遊びができるようになったということは、お子さんが言葉を覚え、想像力が発達した証でもあります。親やお友達など、徐々に人が加わることで、小さな世界や社会が構築されていく遊びです。
続いては、1歳9ヶ月の子におすすめの道具を使った遊びのアイデア4種類をご紹介します。運動量が活発になることで行動範囲が広がり、指を使った細かな遊びができるようになるのもこの時期の特徴です。
身の回りにあるものだけでなく、ダンボールなどを使った造形道具を作り、さまざまな遊びに挑戦させてあげましょう。
ごっこ遊びに欠かせない道具といえば、やはり段ボールです。普段ママが立っているキッチンやパパが運転している車など、大型のものでもわざわざ買わずに手作り工作で再現できます。
普段からやっているごっこ遊びや見立て遊びも、実際に環境を整えてあげればその世界に入り込むことができるので、夢中になって遊んでくれるでしょう。雨の日や冬の寒い日でもすぐ飽きることなく、家の中で十分楽しめる遊び道具です。
おままごとのメインアイテムとなるキッチンは、ダンボールでもリアルに再現できます。2歳を目前にし、遊びの中でお母さんごっこやご飯を食べる真似が始まったらぜひ作ってあげてください。
材料はダンボールの他、100均で手に入るリメイクシートや蛇口に見立てるためのポンプ、シンクに見立てるためのバットやボールが必要です。耐久性が心配な場合はダンボールや新聞紙などを重ね、ボンドで接着すればしっかり補強されます。
音が鳴るおもちゃは、どんな子どもにも大人気です。体を動かすことがますます楽しくなってきた1歳9ヶ月の時期に、ピッタリのお家遊びではないでしょうか。
作り方はダンボールを箱として成形し、ラップの芯などバチの代わりになるものを用意します。叩く面の裏はクリアファイルで補強しましょう。中に鈴を仕込んであげると音に厚みが出て、楽しさが広がります。シールなどで飾り付けて、お友達にプレゼントするのもおすすめです。
大きめのダンボールが手に入ったら、お子さん自身が乗れるサイズの車を作ってあげましょう。基本的には箱の形のまま、出入りする部分だけフタを中に折り込むなどすると補強にもなります。
全体の装飾は模造紙や画用紙で、パトカーや救急車にしたいのであればプリンの容器などに色を塗ってつけてあげると本物っぽくなります。車のフロント部分として一回り小さめのダンボールを前方に足せば、よりリアルさが増すでしょう。
小麦粉ねんどは保育園の製作遊びでもよく使われる、口に入れても安全な粘土です。家にあるもので簡単に作れますし、手先の動きが発達してきた1歳9ヶ月のお子さんには適した遊びと言えます。
材料は小麦粉、水、油、塩のみです。まずは感触を楽しみ、食紅で色をつけて色が混ざる様子を楽しむのも良いでしょう。万が一口に入れても安心な粘土ですが、お子さんに小麦粉アレルギーがある場合は米粉で代用してください。
1歳~1歳半にもなれば、室内だけでなく外遊びも本格化しているのではないでしょうか。外の世界は学びにあふれた遊び場です。葉っぱや小石など自然のものを上手に使って、見立て遊びをさせてみましょう。
例えば葉っぱをお皿にし、どんぐりなどの木の実を食べ物に見立てるだけで立派なおままごとになります。レジャーシートをひいて、ピクニックごっこでも良いでしょう。お子さんの想像力に任せれば、世界はどんどん広がります。
少しずつ言葉がわかってくるようになると、絵本にも興味を持つようになります。以前読み聞かせをしてみたものの「ページをクシャクシャにしてしまった」という人も、この時期にぜひ再度チャレンジしてみてください。
絵本を選ぶときは対象年齢にこだわらず、好きな乗り物や動物、言葉がリズミカルで楽しいものがおすすめです。文章の通りに読むだけでなく、絵やお子さんの様子を見ながらお話を創作しても良いでしょう。
2歳が近づくにつれ、1人で遊びたがることも増えてきます。「まだ上手に遊べないのでは」と手助けしたくなりますが、実は子どもの成長にとって1人で何かに没頭する時間はとても大切です。
とはいえ目を離すわけにもいきませんので、どのような立ち位置で見守ってあげれば良いか1人で遊びたがるときの対処法をご紹介します。
まずは、お子さんの自立心を大切にすることを忘れないでください。例えば真剣に積み木を重ねている時、お子さんは頭の中で思考を巡らせています。そこで「あんまり高くすると倒れちゃうよ」などの口出しをしてしまうと、自主的な思考がストップしてしまうのです。
一見寂しそうにも見えますが、お子さんは1人の時間を楽しんでいます。「親の先回り」をできるだけ避け、子どもが自主的にやろうとする意欲を育てましょう。
危険なものに手を出したり、危ないことをしようとした時は、きっぱりやめさせてOKです。ただし、一方的に制限するのではなく「そうだね。楽しいね」と共感した上で「危ないからやめようね」とお話します。
1歳9ヶ月に限らず、1人遊びは基本的にそっと見守ることが大切です。お子さんの気持ちに寄り添って、真剣な顔つきであれば見守り、相手が欲しいと感じているようであれば一緒になって遊んであげると親子の関係性も深まります。
生後1歳9ヶ月は活動量も言葉も増え、乳幼児の切り替わりとなる心身ともに繊細で重要な時期です。だからこそ成長過程を配慮した遊べる空間を整えてあげることが、教育面でのプラスにもつながります。
まずは安全を第一に考え、「やりたい」という気持ちと想像力を十分発揮できる環境を用意しましょう。そして大人は、必要な時にすぐに手助けをしたり応えられる場所にいてあげることで、お子さんは安心して遊ぶことができるのです。