幼児期は、言葉や運動能力などの発達も著しく、信頼感をはじめとした愛着関係を築いたり、生活習慣を身に付けたりするなど基礎が形成される大切な時期といわれています。
人間は、産まれたときから1人ひとり違った気質や特性を持っています。そのため、乳幼児期の成長において、いつ頃どんなことができるようになるかは個人差があります。しかし、発達の道筋と大まかな順序には共通して見られる特徴があるのです。
乳幼児期と一言で言っても、月齢や年齢によってできることは大きく異なります。1歳を迎える前の赤ちゃんと、3歳の子どもでは話せる言葉も運動能力も違いますが、1つずつ成長段階を経て、できることが増えていくのです。
この記事では、1歳までの乳児の成長段階について5つ、1歳~2歳の幼児の成長段階について4つ、2歳~3歳の幼児の成長段階について3つと年齢別に分けながら、合計12個紹介していきます。
0歳から1歳までの乳児期は、まだ産まれて間もなく、ずっと守られていたお母さんのお腹の中とは違う、外の世界という環境の急激な変化に対応するため、著しく心身が発達する時期といわれています。変化に対応していくにつれて、生活リズムも作られていきます。
まず、1歳までの成長段階にはどのようなものがあるか、5つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
産まれたばかりの赤ちゃんは昼夜の区別がなく、寝たり起きたりを繰り返します。個人差はありますが、生後3~4ヶ月頃になると、まとめて眠るようになってきます。
しかし、夜の睡眠とお昼寝の区別はほとんどついていないので、昼にまとめて寝てしまと昼夜が逆転するということも起こります。
生後半年くらいになると、昼と夜の区別が付いて、昼間起きている時間が長くなり、夜にまとまって眠るようになるといわれています。
生後3ヶ月頃には、赤ちゃんは相手を見分けることができるようになるといわれています。しかし、誰に対しても、見つめたり微笑んだりする反応は同じです。
それから段々と自分にとって安心できる関係のお母さんやお父さんと、そうでない人との区別が付くようになります。
生後7~8ヶ月になると人見知りが始まります。初めて出会う人や初めての場所に不安を感じて激しく泣く子もいますので、お父さんやお母さんが抱いて安心させてあげましょう。
赤ちゃんの成長段階における「お座り」とは、大体1分以上、両手を床に着けずに支えなしで座っていられる状態です。1人座りができるようになるには、背中や腰の筋肉の発達が必要です。
概ね、生後8ヶ月頃には、1人でお座りができるようになるでしょう。個人差も大きいですが、厚生労働省の調査では、生後9~10か月未満の乳児の90%以上が1人座りが可能であると示されています。
成長に伴って、母乳やミルクだけではエネルギーや栄養が不足していきます。少しずつ固さや形のある食べ物を飲み込む練習をするため、離乳食を与えるようにしましょう。
一般的な離乳食の開始時期は5~6ヶ月です。生後5ヶ月を過ぎて、首がしっかり座っていて寝返りができる、支えてあげるとお座りができる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出さない、食べ物に興味を示す等が開始の目安に挙げられます。
乳幼児の言葉の発達は、運動能力面での発達よりもさらに個人差があるといわれています。そのため、ピンポイントでいつどのような言葉を発するかは特定できません。
1歳になる前から「パパ」「ママ」などの意味のある言葉を話し始める子もいれば、2歳近くになって急にたくさんお喋りするようになる子もいます。
1歳半くらいで「マンマ」「ワンワン」など、意味のある単語を話すようになることが多いでしょう。
1歳を過ぎると、自分の思いをまだ上手に伝えられないものの、相手の言うことが少しずつ分かるようになります。
かけてもらった言葉をぐんぐん吸収しながら、好奇心も育ち、理解力や思考力の成長も見られ、自己主張がはっきりしてくるといわれています。
1歳~2歳の幼児の成長段階には具体的にどのようなものがあるのか、4つ紹介します。
1歳頃になると、全身を使った運動が増えてきます。運動機能の発達が目覚ましい時期です。足腰の筋力が付いて、つかまり立ちや伝い歩きができるようになります。
つかまり立ちや伝い歩きを始めると危なっかしいですが、次第にバランスをとれるようになります。
すぐに伝い歩きを上手にできる子、つかまり立ちからなかなか進まない子など個人差があります。歩く力をきたえているところですから、ゆっくり見守りましょう。
1歳頃になると、なんでも自分でやりたいと思うようになります。自我が芽生えてきた表れです。1歳半を過ぎたあたりから、さらに自己主張が強くなりイヤイヤが表れることもあります。
「自分でやってみたいのに、うまくできない」「やりたいのに、やらせてもらえない」という気持ちの揺れの表れです。挑戦しようという気持ちの表現であり、成長の証ともいえます。子どものやる気を受け止め、挑戦したことをほめてあげましょう。
一般的に1歳3ヶ月頃になると、手指が器用になり積み木を3~4個積めるようになります。
1歳6ヶ月には、さらに手先が発達して、積み木やブロック遊びが楽しめるようになります。まだ上手ではありませんが、スプーンを使ったり自分でコップを持って飲んだりといったこともできるようになってくる時期です。
1歳半を過ぎる幼児の成長として「見立て遊び」が見られます。積み木やブロックを車に見立てたり、葉っぱをお皿の代わりにするのが見立て遊びです。
2歳前になると想像力も成長して、物を見立てるだけでなく周囲の大人の言葉や動作の真似をしながら見立て遊びをより楽しめるようになるといわれています。
2歳~3歳になると、言葉でのやりとりが格段に増えます。1歳代までよりもなめらかに話せるようになり、表現の幅も広がるでしょう。思考力や記憶力と言った知的な成長、情緒面での成長も著しい時期です。
2~3歳の、言葉、情緒、運動機能の成長段階について3つお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
2歳頃になると、「ワンワン」「ブーブー」といった一語から、「ワンワン、いるよ」「ブーブー、きた」のような二語文を話すようになります。
同じくらいの子はおしゃべりが上手なのに、わが子はなかなか言葉が出ない、増えないとなると不安になりがちです。
しかし、個人差が大きいため、たくさんの言葉を蓄えてから話し始めるタイプの子どももいます。焦らず、色々な言葉をかけてあげましょう。
2歳を迎えた幼児の成長としてよく知られているのが、イヤイヤ期です。親が言うことに「いや」といい、自分の意見を押し通そうと全身で表現したりします。
イヤイヤ期が現れるのは、自分の表現したい気持ちがあるということで、自我や情緒が順調に育っている証拠です。信頼している相手だからこそ全力でイヤイヤを表現するので、受け手としては大変ですが、大切な時期でもあります。うまく気分転換をしながら見守りましょう。
2歳を過ぎる頃には、筋力や運動機能が発達して、走ったり両足でジャンプする、階段を上るなどの基本的な運動ができるようになるといわれています。
筋力の発達や鵜運動能力にも個人差があるので、その子にあったペースで体を使った遊びを楽しませ、できることを増やしていきましょう。
幼児の成長において、認識力や社会性の発達、基本的な生活習慣の獲得は重要なことです。
認識力や社会性を伸ばしたり基本的な生活習慣を身につけるにはどのような方法が良いのか、それぞれ紹介していきます。
幼児の成長において、2~3歳は認識力や社会性が発達する時期といわれています。社会性の発達に必要なのは、自己主張と自己抑制のバランスです。
数や色の違い、大きい小さいなどの認識力は、遊びを通して自然に学ぶことができます。積み木やボール、ままごと、季節の草花や生き物の観察などから吸収できることがたくさんあります。
自己主張や自分でやりたいという気持ちを受け止めつつ、こちらの思いを丁寧に伝えることも大切になります。
2~3歳は、基本的な生活習慣を付け始める時期です。基本的な生活習慣を付けるには、細かく指示を出すよりも、「これをしたら、これをする」という見通しを子どもが自分で持てるようなリズムを作りましょう。
次に行うことを具体的に説明したり、子どもにとって楽しみを期待できるような声かけをするのも効果的です。できた時にはしっかりほめて、子どもの達成感を積み重ねていくことも大切です。
幼児の成長は、年齢によって大きく異なります。親子ともに笑顔あふれる生活のためには、幼児の成長に合わせた子育てをすることが重要でしょう。
健康状態や栄養状態について知りたいときは、幼児の成長曲線のグラフに身長と体重を記入することで目安となるカーブに沿っているか確認できます。
各年齢の発達についての知識は備えつつ、目の前のわが子をしっかり見守り、ほめたり励ましたり、喜びを共有しながら子育てすることが大切です。