今回は、粉ミルクを作るときに使う「湯冷まし」についてご説明いたします。そもそも「湯冷まし」とは具体的には何のことを言うのでしょうか。
湯冷ましとは、「一旦沸騰させて、飲めるくらいまで冷ました水」のことを指します。湯冷ましは、ミルクを作るときの調乳や赤ちゃんの水分補給として使われています。
湯冷ましを使う理由や、作り方、注意点や、外出先での湯冷ましの使い方について触れていきます。
湯冷ましは、水道水を沸騰させてから冷まして作ります。沸かすために鍋ややかんを用意して、冷やすためのボールを用意するなど、手間がかかります。
お腹が空いている赤ちゃんに早くミルクを飲ませたいですし、忙しいお母さんにとっては、1つでも手間が少ないほうが良いでしょう。
なぜ粉ミルクは、湯冷ましで混ぜて作るのでしょうか。ここからは湯冷ましが使われる理由を、2つご紹介します。
まず1つ目の理由として、水道水を沸騰させることによって、水の安全性が高まるので、抵抗力の弱い新生児にも安全に飲ませられる、ということが挙げられます。
特に昔は井戸水を利用していたのでそう言われていました。今でも水道管中に錆が発生している可能性もあり、沸騰させた方が安全でしょう。
日本の水道水は厳しい基準をクリアした安全な水が家庭に届けられています。水道水には健康に影響するほどではないものの、消毒のためにカルキが含まれています。
カルキには人間の胃腸に負担をかける可能性があるので、赤ちゃんにそのまま与えるのは避けたいところです。そこで、2つめの理由として、水道水を一度沸騰させるとカルキなどの物質が気化して分解、除去できるという点が挙げられます。
湯冷ましは、一度沸騰させたあとに、赤ちゃんがやけどしない温度まで冷まします。カルキを除去した水を飲ませられるでしょう。
ここまでは、湯冷ましの定義、湯冷ましを利用する理由について触れてきました。
ここからは湯冷ましを作る手順をご紹介します。安全に使用するために、ポイントを絞って詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
まずは、必要なものをご紹介します。湯冷ましを作るときに、水道水を沸騰させるために、やかんや鍋を準備しましょう。
湯冷ましを作るには、10分以上沸騰させる必要があるため、10分以上沸騰させることができない電気ケトルや電気ポットは、使用しないほうが良いでしょう。
製品によっては、ミルクの調乳に適したものがありますが、電気ケトルや電気ポット内部に細菌が付着している可能性があります。やかんや鍋で沸騰させてしまうのが、より安全と言えるでしょう。
やかんや鍋が準備できたら、水を沸騰させましょう。火加減は、強火で火にかけ続けます。
このとき、早く沸騰させるためにふたをしてしまいがちですが、湯冷ましを作る際には、ふたをせずに開けたまま火にかけましょう。水道水中の物質は、ふたを開けておいた方が気化が促され、しっかりと除去できると言われているためです。
火にかけた後は10分以上沸騰させてください。沸騰後、5分程で水道中の塩素がぬけ、カルキ臭がとれるでしょう。
また、健康に影響を与えない範囲で、水道水にはトリハロメタンという物質が含まれています。トリハロメタンは10分以上沸騰させることで気化するので除去できると言われています。湯冷ましを作るときも、トリハロメタンを除去するために、10分以上沸騰させましょう。
作った湯冷ましが冷えてしまったら、再度、沸騰させてもう一度使いたいと思う人は多いのではないでしょうか。一旦沸騰させた水を、再沸騰させることは可能なのでしょうか。
結論としては、再沸騰はおすすめできません。一旦沸騰させたお湯は、再び沸騰させることにより、空気中の不純物を取り込んでしまうと言われています。再沸騰は避けましょう。
人肌に近い36~37℃になるまで、容器ごと冷ますと湯冷ましができます。あまり冷たいものだと赤ちゃんの体に負担をかけてしまいます。人肌程度まで冷ましましょう。
冷まし方は、湯冷ましを入れた容器ごと冷水を入れた容器に入れて冷やすという方法があります。もしくは、冷めるまで流水にさらすという方法もあります。
温度を測るときは、ホームセンターなどで売っているキッチン用品のデジタル温度計などを使うと便利です。
入れ物に移すときは、清潔な哺乳瓶などを使いましょう。高温で溶けてしまう可能性があるためペットボトルに移すのは避けましょう。
以上までで、湯冷ましが使われる理由や、湯冷ましの具体的な作り方について触れてきました。
ここでは実際に、粉ミルクと湯冷ましを混ぜてミルクを作るときの方法を2つ詳しくご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
1つ目の方法は、湯冷ましで作りたい分量のすべてを、一気に溶かしてしまう方法です。
まず、湯冷ましの作り方で触れたように、水道水を一度10分以上沸騰させてください。併せて、衛生的な哺乳瓶に、粉ミルクを正確に量って入れます。
その後70℃前後まで冷ましたお湯を入れます。キャップを閉め哺乳瓶をよく振り、粉ミルクを溶かします。
粉ミルクを溶かすときには、細菌が入り込む可能性があるので、70℃前後の湯冷ましを使うようにしましょう。
その後、人肌に近い40℃くらいまで冷ましましょう。冷まし方は、ミルクを入れた容器ごと冷水を入れた容器に入れて冷やすという方法があります。もしくは、冷めるまで流水にさらすという方法もあります。
実際に人肌程度の温度になっているか確認しましょう。手首の内側に少量のミルクをたらして、ほんのり温かく感じる程度になっていれば完成です。
粉ミルクの量を量るときは、添付されているスプーンを使い、必ずすりきって使いましょう。母乳と同じ濃度になるように製品ごとに決まっているためです。毎回、専用スプーンで正確に量りましょう。
専用のスプーンを使用した後は、綺麗に洗って、衛生的に保管しておくようにしましょう。
もう1つの方法は、粉ミルクを溶かした後に湯冷ましを足して作る方法です。
70℃前後まで冷ましたお湯を、出来上がりの約2/3まで入れます。キャップを閉め哺乳瓶をよく振り、粉ミルクを溶かします。粉ミルクを溶かしたあと、出来上がりの量まで湯冷ましを加えます。その後、人肌に近い40℃くらいまで冷ましましょう。
粉ミルクを作る際に、赤ちゃんにも安心で便利な湯冷ましですが、いくつか注意点があります。赤ちゃんに与えるものなので衛生面に注意してうまく利用したいものです。
ここからは、湯冷ましで粉ミルクを作るときの注意点をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
赤ちゃんに使うための水は、水道水を沸騰させて使う方法のほかに、ミネラルウォーターが使えるのではないかと、考える人もいるでしょう。
ミネラルウォーターには、ミネラル分が多い「硬水」とミネラル分が少ない「軟水」があります。ミネラル分が多いと赤ちゃんの内臓に負担をかけてしまうと言われています。
軟水であれば赤ちゃんの体に負担が少ないため、「軟水」を選びましょう。ミネラルウォーターであれば開封後すぐ飲ませられますが、冷えているものは、常温に戻してから飲ませましょう。
湯冷ましを作るのには手間がかかります。作った湯冷ましを、全て使わないときは、残りを保存しておきたいものです。
とはいえ、沸騰させてカルキを抜いていますし、どれくらいの期間保存できるのでしょうか。湯冷ましは、具体的に、いつまで保存しておけるのかという点に触れていきます。
常温の場合の湯冷ましの保存期間は、直射日光を避けた涼しいところで、1日と言われています。
保存方法は、沸かした鍋ややかんにそのまま入れておく、魔法瓶やコーヒーポットにいれておくなどの方法が挙げられます。
作った湯冷ましは、カルキが除去されており、通常の水道水より細菌が増えやすくなっているでしょう。なので早めに使い切るようにしましょう。
冷蔵庫の場合の保存期間は、2~3日と言われています。
冷蔵庫に入れて保存する場合は、衛生的なガラス瓶やペットボトルが便利です。常温の場合より、保存期間が延びますが、あくまで目安になります。赤ちゃんの体のことを考えて、早めに使い切るようにしましょう。
お出かけしたときに、ミルクを作らないといけない場面もでてくるでしょう。必ずしも、出先に湯冷ましが用意できる設備があるとは限りません。
外出時はどのように湯冷ましを用意したら良いのでしょうか。やはり、家で作って持っていくことになるでしょう。
ここからは、外出時に湯冷ましを作って持っていく時のアイデアを2つご紹介します。楽しく外出するときのアイデアとして参考にしてください。
10分以上沸騰させた、熱めのお湯を哺乳瓶に入れて、持ち歩くという方法があります。哺乳瓶には保温効果がありません。時間とともに冷めることを想定して、熱めのお湯を入れておきましょう。
直接哺乳瓶を持って行っているので湯冷まし専用の容器は必要ありません。荷物も少なく済みます。
粉ミルクを溶かすには70℃以上のお湯が必要です。粉ミルクを溶かす専用のお湯は、魔法瓶タイプの保温できる水筒に入れて持ち歩きましょう。
お湯と湯冷ましを入れて、温度を調整します。大体半々ずつの割合で混ぜるとちょうど良い温度になるでしょう。
湯冷ましは、赤ちゃんのミルク作りにぴったりです。離乳食期の赤ちゃんの水分補給にも使えます。湯冷ましを作成したあとは、衛生的な配慮から、できるだけ早めに使い切りましょう。
子育てをしている親御さんは、家事に育児に忙しい日々を送っていることとでしょう。湯冷ましを上手に利用して、ミルク作りを続けてください。