気温が下がる季節が近づくにつれ、子どものしもやけがよく見られるようになります。私たちの体には体温を調節する働きが備わっていますが、寒さを感じるとその情報が脳に届き、体内の熱を逃がさないために皮膚表面の温度を低く保とうとします。
「寒い」状態が長く続くと手足などの抹消の血液の循環に障害が起こり、赤く腫れたり、かゆくなったりという現象が起こります。汗などで皮膚がぬれたままになってしまうと、水分が蒸発する際に急激に皮膚の温度が下がるため、しもやけになりやすくなります。
しもやけが重症化することはほとんどありませんが、日常生活においてこまめに寒さ対策をしていきましょう。
では赤ちゃんや幼児のしもやけの症状とは、具体的にどの様なものになるのでしょうか。赤くむくんだり、腫れてみえたり、実際に経験したことがある人は「痛がゆい」と伝えることが多いようです。
詳しくは、「樽柿型」「多形紅斑型」「あかぎれ」の3タイプに分かれます。詳細を以下で1つづつ解説していきます。
「樽柿型(たるかきがた)」と言われる症状とは、手足全体が熟れた柿のように腫れあがる状態のことをさし、子どもに多く見られます。また、腫れた部分が硬くなる場合も多くみられます。
「多形紅班型(たけいこうはんがた)」とは、手の先や、耳・鼻・頬・足先・足裏などに赤い発疹が出る状態をさします。こちらは、大人にもよく出る症状です。
普段から、手足や顔などが赤くなりやすいお子様の場合は、注意して観察する必要があるでしょう。
「あかぎれ」は、寒さや乾燥が原因として皮脂と水分が失われ、皮膚のバリア機能が低下してしまい、肌の亀裂(ひび割れ)や出血、痛みが発生することをさします。
つまり、「あかぎれ」においては、寒さ対策よりも保湿といった肌のケアが重要となります。赤ちゃんでも使える保湿クリームを使って、肌のケアをするようにしましょう。
では実際に赤ちゃんに「しもやけ」が出来てしまった場合にはどうしたら良いのでしょうか。もしも、重症化してしまった場合には皮膚科のある病院に急ぎましょう。
ここでは重症になる前に自宅でできる対処方法を2つ紹介いたします。『あたためる』『冷えを継続させない』ことがポイントとなってきます。
赤ちゃんにしもやけができてしまった場合、血行不良を起こしてしまっているので、まずは暖めることが大切です。ぬるま湯で沐浴と同じように患部を暖めましょう。あたため終わったあとは、必ずしっかりと水分をふき取るようにしましょう。
患部をお湯と冷たい水に交互につけて血行促進をする方法もありますが、まだ小さな赤ちゃんには向かないので、焦らずゆっくりとあたためてあげましょう。また、こたつなどの遠赤外線でじっくりと暖める方法も効果的だといわれています。
赤ちゃんは大人よりも汗をかきやすい特性を持っています。また、赤ちゃんはよだれも多く、手によだれがついてしまうこともよくあります。気温の低い場所で汗をかいたままにしてしまうと、その部分の皮膚が急激に冷えてしまいます。
通常は、暖かくなれば自然に軽快しますので、さらに冷やしてしまわないように、汗やよだれはこまめにしっかりとふき取りましょう。
しもやけが出来てしまった場合の対処方法がわかったところで、更にくわしく注意するべき箇所をチェックしていきます。赤ちゃんにしもやけが出来てしまったとき、周りの大人は焦ってしまいがちですが、そんな時こそ冷静に対処していくべきなのです。
赤ちゃんはまだ自分の意思を言葉で発せない分、大人がしっかりと観察して対処していきましょう。
あたためることにより、冷えて血流の悪くなった部分に血液が流れると、『かゆみ』が発生することがしばしばあります。大人であれば我慢することも可能ですが、赤ちゃんはそうはいきません。自分でかけないために泣いて訴えることもあります。
急激なかゆみに襲われないためにも、急激な温度上昇やあたためすぎには注意をしましょう。
しもやけは、血流が悪くなっている状態ですので、幹部の血行を改善する必要があります。そのために、患部を優しくほぐすようにマッサージするのも効果的です。ただマッサージするのではなく、ぬるま湯の中でマッサージしてあげると良いでしょう。
焦ってもみほぐしてしまいそうになる気持ちを抑え、赤ちゃんが「気持ちいい」と感じる力加減で優しくマッサージすることが大切です。
しもやけのほとんどは軽症で、あたためることで回復しますが、まれに重症化するケースもあります。「暖かくなっても治らない」「冬季でないのにしもやけのような症状が出た」などのケースは他に思わぬ病気が潜んでいることもあります。
他にも、少しでも気になることがある際は、迷わず医療機関を受診しましょう。例として以下があげられます。
このような時にはすぐに医療機関に相談・受診が必要です。「思うように軽快せず、ずっと泣いている」「症状が重い(水疱になったり、破れたりしている)(明らかに痛みや腫れがひどい)」「発熱があり、継続している」等です。
他にも心配なことがあれば、専門機関に相談・受診をしましょう。
赤ちゃんのしもやけの原因、もしもなってしまった場合の対処法が理解いただけたと思います。一番良いことは「しもやけにならない(させない)」ことです。
しもやけにならない・させない為のポイントを部位ごとにご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
手足といったからだの末端の部分は冷えやすい部位となります。素肌が冷たい空気にさらされないように外出時には赤ちゃんにも手袋をつけてあげましょう。
現代は赤ちゃん用の手袋も多く販売されているので、気軽に手に入れられます。また、もしも濡れてしまったときのためや汗をかいたときのために、予備を持ち歩くと安心です。
赤ちゃんが外出するときには、大人が抱っこやおんぶをしたりベビーカーに乗せるなどをして、歩くことはほとんどないでしょう。そこで忘れがちになってしまうのが、足先です。「赤ちゃん用の靴だけはかせればいいや」は禁物です。
それでは足首が外気にさらされる危険性があります。寒い日には、足首まで覆われる厚手の靴下を履かせることが大切です。1枚で足りない場合は2枚重ねて履かせることも効果的でしょう。
何かあったときに、すぐ交換できるように予備の靴下を持ち歩くと安心できるでしょう。
顔全体は、どうしても外気にさらされてしまい保温もしにくい箇所となります。その中でも『耳』は、顔の末端にあたる部分ですが帽子などで保護・保温が可能です。
耳あては幼児期になってから使用し、赤ちゃんの時期は耳まで覆われるタイプの帽子をおすすめします。帽子であれば耳と同時に、まだ頭髪の少ない頭も保護・保温できおすすめです。
赤ちゃんが嫌がらなければ、あご下で結ぶタイプも良いでしょう。このタイプは耳の下部分もあたためることができますが、赤ちゃんが手でいじって口に入れてしまうことがあるので、その点は注意してみてあげてください。
『しもやけ』は赤ちゃんから大人までどんな方もなる可能性があり、その主な原因は寒冷刺激により血行不良を起こすためだといわれています。
もし、しもやけに赤ちゃんがなってしまった場合には、焦らずにあたため優しくマッサージしたりしましょう。何よりも大切なことは、しっかりと予防することであり、身体の末端(手指・足先・顔)を冷やさない・濡らしたままにしないということです。
また、『症状が改善しない』時や明らかに重症化してしまっているときには、迷わずに医療機関に相談・受診しましょう。
冬季だけでなく、秋から冬にかけて・冬から春にかけてなど気温の上がり下がりが激しくなる時期も、しもやけになりやすい季節と言えます。赤ちゃんの保温に努め、濡れた手袋や靴下(靴)は早めに取り替え、よく乾燥させることを習慣として、健康的に冬を過ごしていきましょう。