正常なおりものの色は透明や乳白色をしていますが、膣の粘膜から剥がれた細胞などが混じっているため、クリーム色をしていることもあります。
下着について乾くと黄色くなるため、おりものの色をチェックする時はトイレットペーパーについたものをチェックすると良いでしょう。
また、正常なおりものはほとんどにおいませんが、おりものは酸性のため少し酸っぱいにおいがすることもあります。
量に関してはおりものシートでカバ―できる量なら正常と言えるでしょう。
おりものは下着について乾くと黄色っぽくなりますが、トイレットペーパーについたおりものが黄緑色をしている場合には注意が必要です。
黄緑色のおりものがあると性器クラミジア感染症や子宮内膜炎、膣トリコモナス症などの可能性があります。
特におりものの量やにおい、形状が普段と違うという場合や外陰部にかゆみがある場合には一度婦人科を受診しましょう。
黄緑色のおりものは注意が必要なことを解説しましたが、黄緑色以外にも気をつけた方が良いおりものもあります。
ここでは黄緑色以外の異常なおりものについて見ていきましょう。
排卵日の前後に出るピンク色や赤茶色のおりものは排卵に伴う少量の出血がおりものに混ざったものであり、異常ではありません。
しかし、膣や子宮が炎症を起こしている場合や、子宮がんなどによる不正出血がある場合にもおりものが赤茶色になることがあります。
そのため、排卵期に関係なく赤茶色のおりものが見られたり、血液の混じったおりものが長引いたりする場合には一度婦人科を受診する方が良いでしょう。
薄いピンク色のおりものが見られる場合、排卵日の前後であれば排卵に伴う出血がおりものに混ざったものである可能性が高いです。
しかし、排卵日に関わらずピンク色のおりものが続くような場合には膣内で不正出血が起こっている可能性があります。
不正出血の原因として考えられるのは、炎症やポリープなどですが、強いにおいがある場合には子宮頸がんの可能性もあるため、一度婦人科を受診しましょう。
白く濁ったおりものは月経前に見られることが多く、心配のない場合がほとんどですが、膣や子宮の炎症による場合もあります。
カンジダ腟炎や膣トリコモナス、細菌性腟炎、萎縮性腟炎などの膣の病気や子宮内膜炎の可能性も考えられるため、白く濁ったおりものが長く続く場合や、量やにおい、形状に変化があったり、おりもの以外の症状が見られたりする場合には早めに婦人科を受診しましょう。
サラサラした水っぽいおりものが見られ、量が多い場合にはクラミジア感染症の可能性が疑われます。
そのため、サラサラした水っぽいおりものがある場合には、パートナーとの性行為を避け、なるべく早めに婦人科を受診しましょう。
黄色いおりものが見られる場合には、トリコモナス膣炎や淋菌感染症、細菌性膣炎などの膣内の炎症による病気や子宮頸管炎、子宮内膜炎、子宮がんなど子宮の病気の可能性があります。
そのため、黄色いおりものが続く場合や腹痛、発熱などの症状を伴う場合、不正出血がある場合、またパートナーが性感染症にかかった場合などはなるべく早く受診するようにしましょう。
水っぽい灰色のおりものが見られる場合には、細菌性膣症の可能性があります。体の抵抗力が弱い時に腟内に細菌が増えて発症することが多く、水っぽい灰色のおりもので生臭いにおいがするのが特徴です。
放置すると子宮内膜炎などの病気に進展することもあるため、早めに婦人科を受診して治療を受けるようにしましょう。
ここまで黄緑色やそれ以外の異常なおりものについて解説して参りました。ここでは黄緑色のおりものから考えられる4つの病気について、その症状や対処法を見ていきましょう。
膣トリコモナス症はトリコモナスという原虫に感染して膣や膀胱で炎症が起こり、泡状で悪臭の強いおりものが増加したり、外陰部や膣の強いかゆみや痛みが生じたりします。
なかには無症状の場合もあり、気付かない間に炎症が卵管まで達して不妊や流産、早産のリスクが生じる場合もあるため注意が必要です。
10日間ほどの投薬治療が行われるのが一般的ですが、投薬後症状が消え、トリコモナスの消失が確認されても僅かに残ったトリコモナスが再び増殖する可能性もあるため、次の月経後に再度トリコモナスがいないかを検査してもらう方が良いでしょう。
子宮頸管炎は子宮頸管が病原菌に感染し炎症を起こす病気で、あまり自覚症状がありません。そのため、気付かないうちに慢性化して不妊の原因となることもあります。
初期にはおりものが増加し、病気が進むと悪臭のある黄色いおりものが多くなり、不正出血や下腹部痛などの症状があらわれたり、性交渉後に出血が見られたりするようになるのが特徴です。
治療にはおりものの一部を採取して炎症の原因となっている菌を調べ、原因菌に合わせた抗生物質を使います。
子宮内膜炎は主に細菌感染が原因で子宮内膜が炎症を起こす病気です。細菌に感染して発症する場合にはおりものの増加に加え、発熱や下痢、下腹部痛、不正性器出血などが症状として見られます。
治療には検査で原因となっている菌を調べ、その菌に有効な抗生物質を服用します。また、子宮内膜の血管増殖などの助けとなる女性ホルモンのエストロゲンを投与することもあります。
淋菌感染症は淋菌に感染することで発症する性感染症です。子宮頸部に炎症が生じますが、自覚症状がないことも多く、気付かないうちに炎症が広がっていくことで不妊症や子宮外妊娠の原因となることもあります。
淋菌感染症の治療は、スペクチノマイシンやセフィキシム、オフロキサシン、ビブラマイシンなどを点滴や注射、内服薬で投与します。
黄緑色のおりものから考えられる病気について詳しく見て参りました。ここからは黄緑以外の異常なおりものから考えられる病気について、その症状や対処法を見ていきましょう。
性器クラミジア感染症は、性行為などでクラミジア・トラコマティスという細菌に感染することで発症する性感染症です。自覚症状がなく感染しても気付かないことが多いですが、子宮頸管炎や骨盤内付属器炎、肝周囲炎、不妊などの症状を引き起こします。
性器クラミジア感染症の治療には抗菌薬を使用するのが一般的です。クラミジアは男女間で感染させるため、パートナーがいる場合には同時に治療を行う必要があります。
膣カンジダ症は常在菌であるカンジダ菌が疲れやストレスで抵抗力が落ちることで増殖し、発症する病気です。
粘度の高いカッテージチーズ状の白いおりものや、膣とその周辺に痛みやかゆみが生じたり、排尿、性交時に痛みが生じたりします。
膣カンジダ症の治療にはオキシコナゾール硝酸塩などの抗真菌薬の腟錠を使用することが多いです。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルスというウイルスの感染が原因といわれている病気です。子宮頸がんは初期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると不正出血や異常なおりものが見られたり、下腹部痛、性交時の痛みがあらわれたりします。
子宮頸がんの治療は病気の進行期や患者の年齢、妊娠希望の有無、基礎疾患の有無などを考慮し、手術や放射線療法、化学療法を単独や組み合わせて行います。
子宮頸管ポリープは子宮頸管内にできる良性の腫瘍です。多くの場合無症状ですが、ポリープは柔らかく傷つきやすいため、性交時や運動時に出血する場合があります。
そのため、不正出血やおりものに血が混じることもあり、感染を起こしている場合にはおりものに膿が混じることもあります。
子宮頸管ポリープの治療には手術でポリープの切除をするのが一般的です。よほど大きなものでない限り、外来の処置室で処置することが可能で、その日のうちに帰ることができます。
子宮膣部びらんは子宮頚管粘膜が外に向かって広がることで生じるものです。びらんは薄い皮膚で覆われているだけのため、炎症や不正出血を起こしやすく、いつもおりものが多い状態になります。
子宮膣部びらんの治療は膣洗浄や薬では一時的に良くなってもすぐに再発してしまいます。長期的に改善するには手術をする必要がありますが、不都合がないなら慌てて手術する必要もありません。
びらんのためにおりものが多かったり不正出血が多かったりして困っている場合には手術を検討しても良いでしょう。
細菌性膣炎はもともと体の中にある細菌が増殖することで膣内に炎症を起こす病気です。おりものの量が増えたり、においがきつくなったり、外陰部に痛みやかゆみが生じたりします。
細菌性膣炎は自然に治る場合もありますが、膣剤を使用すれば早く症状の改善が期待できるでしょう。
また、自然に治ったとしても再発しやすいため婦人科を受診することをおすすめします。
おりものには個人差があります。日頃からおりものの様子を観察しておくことで、おりものに異常があった場合すぐに気付くことができます。
おりものは体からのサインです。黄緑色のおりものなど異常を感じたら医療機関を受診するようにしましょう。