切迫早産とは、早産になる危険性が高い状態のことをいいます。
切迫早産は早産の一歩手前で、お腹の張りや痛みが規則的かつ頻繁に起こり、子宮の出口が開き、赤ちゃんが出てきてしまいそうな状態です。
早産と切迫早産の違いについて説明します。
早産とは妊娠36週6日までに出産した場合のことをいいます。切迫早産は早産になる可能性が高い状態であり、出産には至っていませんが子宮の出口から赤ちゃんが出てきてしまいそうな状態のことをいいます。
切迫早産の状態で無理すると早産になり、妊娠34週未満に産まれてしまった場合、赤ちゃんは自力での呼吸が難しく、呼吸器管理が必要になる可能性があります。最近では妊娠34週以降で正産期以前に産まれた場合でも、呼吸状態に重篤な症状を残す可能性があることが報告されています。
切迫早産は早産になりかけの状態なので、これまでの妊娠で早産を経験した方は切迫早産になりやすい傾向があります。
子宮の出口の病気で子宮頸部を切り取る円錐切除術の手術を受けた方、双子や三つ子を妊娠されている方、細菌性膣症などの病気にかかっている方もなりやすいといわれています。
また、超音波検査で子宮頸管という子宮の出口が短くなっている方も注意が必要とされています。
遺伝によって起きやすいと考えられている方も多いようですが、医学的に遺伝との関連性は明らかにされていません。
早産とは正産期より前に産まれることで、妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産のことです。妊娠22週未満は流産となります。
切迫早産は早産の危険性が高いと考えられる状態のため、同様の期間が切迫早産にあたる時期です。この時期より前の場合は、切迫流産となります。
切迫早産かもしれない症状とは、どのようなものがあるのでしょうか。
ここまでは、切迫早産について説明しました。ここからは、切迫早産かもしれない症状5つについて説明します。赤ちゃんが産まれてしまうかもしれない状態ということをしっかり認識しましょう。
お母さんの感じる違和感は大切な判断材料です。いつから症状があるのか、しっかり医師に伝えましょう。
下腹部に痛みを感じる症状がある場合は注意が必要です。
安静にしていたにもかかわらず、歩くのがつらいほどの下腹部痛が消えないときは急いで病院に連絡してください。
多くの妊婦さんはお腹の張りに伴い、軽い痛みを感じる場合もあります。横になって安静していても改善されない、痛みが強くなり規則的に感じる場合はすぐに病院に連絡しましょう。
普段と異なる張りが続く場合は、注意が必要です。
妊娠後期になってくると、多くの妊婦さんがお腹の張りを感じるようになります。しかし、横になって安静にしていても張りが収まらない、張りや痛みが強くなってきた場合はすぐに病院に連絡するようにしましょう。
赤い性器出血がある場合は注意が必要です。
妊娠中期以降の出血は切迫早産のサインの可能性があります。病院へ連絡し、出血したときの様子を伝えてください。出血時の写真やパッドを持参して見せると分かりやすく伝えることが出来ます。
また張りや痛みが伴っているときは、すぐに病院に連絡するようにしましょう。
おりものが増えることは感染症の可能性があります。
切迫早産の原因の一つに「絨毛膜羊膜炎」というものがあります。
膣内で細菌感染による炎症がおこり、感染が子宮の入り口に進むことが原因です。その結果頸管炎になり、炎症が赤ちゃんを包んでいる絨毛膜、羊膜まで達し、絨毛膜羊膜炎となります。
この絨毛膜羊膜炎の症状に、破水や腹痛、おりものの変化があります。
破水した場合はすぐに病院に連絡しましょう。切迫早産では他の症状に合わせて破水が先に起きたり、同時に起きたりすることがあります。
何らかの原因で赤ちゃんを包んでいる膜が破れてしまい、羊水が流出している状態のことをいいます。羊水が出続けてしまうと、陣痛が起きたり、細菌感染したり、羊水が減ったことによる胎児の圧迫などが問題となります。
尿漏れと判断できない時もすみやかに病院に連絡しましょう。
切迫早産と診断された場合は、安静にしましょう。
切迫早産と診断された場合、自宅安静、通院、入院のどれかで安静にすることになります。家庭状況や切迫早産の状態に合わせて医師から指示されますので、無理せず早産の可能性がなくなるまで安静にしましょう。
普段の生活で安静にしなかったからと自分を責めるのではなく、赤ちゃんにとって最善の方法を医師と相談して決めましょう。いつまで安静にする必要があるかなど、安静解除の目安も医師の指導に従ってください。
なるべく休める環境を作りましょう。
切迫早産で自宅安静と医師より診断された場合、どの程度なら動いていいのか不安な方は、医師に相談してみましょう。特に上の子がいる場合はお世話の必要がありますので、サポートを依頼できるところを探さなければいけません。
また、家事はどこまでしていいのかも人によって異なりますが、基本的には安静にしなければならないということを忘れずにいてください。お腹が張る場合はすぐに座ることや横になれる環境を作りましょう。
切迫早産の治療には、通院が必要な場合もあります。
子宮口が開いていくといけないので、それを防ぐためにも子宮の収縮を抑える目的でウテメリンなどの子宮収縮抑制薬を使用することがあります。(細菌が原因の時は抗菌薬を使用します。)
子宮口があまり開いていなくて、おなかの張りも軽い場合は外来通院による治療になるでしょう。
切迫早産で入院する場合もあります。
子宮収縮が強く認められ子宮口の開きが進んでいる場合は入院し、赤ちゃんがまだ産まれないように子宮収縮薬の点滴治療が行われます。また、生まれた後の赤ちゃんの状態をよくするために、投薬治療をすることもあります。
症状が安定すれば退院することもありますが、自宅での生活状況など医師としっかり相談して退院を決めましょう。
切迫早産で入院する場合、入院費は医療保険適用となるため3割負担ですみます。しかし、入院が長期に及ぶこともあるため「高額療育費制度」の適用になる場合があります。
医療費の支払いが限度額を超えた場合、超えた分を払い戻しされます。自己負担額は収入や年齢によって異なります。
出典:切迫早産とは?|ユニ・チャーム株式会社ホームページ
参照:https://jp.moony.com/ja/tips/pregnancy/pregnancy/trouble/pt0639.html
切迫早産を引き起こす要因を考えましょう。
切迫早産や早産の予防には、日ごろから無理のない妊娠生活を心がけましょう。そして、妊婦検診をきちんと受診し、医師の指導にはしっかりと従いましょう。
体重増加や運動不足に悩む妊婦さんがウォーキングなど運動を開始するのは、妊娠中期が最適と言われています。運動が切迫早産や早産の原因になることもありますので、自分で判断するのが不安な場合は担当の医師に確認しましょう。
妊娠中は負担を抱えないようにしましょう。
妊婦さんに大切なことの1つとして、体に無理な生活をしないよう心がけることが必要です。困った時は周囲の協力を求めるようにし、不安なことはしっかりと医師に相談しましょう。
異常を見つけるためにも、妊婦検診をしっかり受診しましょう。
妊婦検診ではエコーによる超音波検査や血液検査など、早産の兆候もしっかり見ますので、かならずかかりつけ医の妊婦検診を継続的に受けましょう。もし異常があった場合はその指導にしっかり従うようにしましょう。
妊娠中の喫煙は、早産のリスクを上げる傾向にあります。
妊娠中にタバコを吸うことで、様々なリスクが高くなります。妊娠22週以降の死産や新生児死亡をはじめ、上位胎盤早期剥離や前置胎盤、前期破水など、切迫早産以外にも様々なリスクが高まります。
乳幼児突然死症候群の原因の一つとも言われており、無事に出産できてもそのリスクはつきまといます。
また、副流煙による受動喫煙も前述のリスクを引き起こす要因になりますので、受動喫煙してしまうような場所を避け、パートナーが吸っている場合は禁煙を考えてもらいましょう。
妊娠中の血流低下により、子宮が張りやすくなります。
体が冷えて血流が悪くなると子宮の動きも悪くなり、お腹も張りやすくなります。お腹が頻繁に張ると切迫流産や切迫早産のリスクも高まるので、冷えには注意が必要です。
妊娠中は体重増加に気を付けましょう。
妊娠中の過度な体重増加は肥満や妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群を合併するリスクも上がります。その一方、痩せすぎてしまうと胎児の発育に影響を及ぼしてしまう可能性があります。
妊娠中はカロリーや栄養を考えながら適切な食事をとるようにしましょう。
早産は全妊娠の約5%に発生し、その原因は体質や感染症が主な原因なことが多いといわれています。また、常位胎盤早期剥離や前置胎盤、妊娠高血圧症候群、胎児機能不全では、子宮内で赤ちゃんが生きられなくなってしまうため、人工的に早産で産まざる得ない場合もあります。
切迫早産や早産の予防には日ごろから無理の無い生活をすることが最も大切です。そして、妊婦検診をしっかり受診し、医師の指導には必ず従うようにしましょう。