妊娠検査薬は尿を使って妊娠しているかどうかを検査するものです。hCGと呼ばれる物質を利用して調べます。hCGは赤ちゃんを育てるために妊娠中の女性の胎盤で作られ、妊娠していないときには出ていません。
尿内にhCGが一定以上含まれていると妊娠検査薬に妊娠反応があらわれます。妊娠の可能性があるとわかったら産婦人科を受診し、正確な診断を受けるようにしましょう。
妊娠を早く確かめられる早期妊娠検査薬も発売されています。通常の妊娠検査薬よりも早く、月経予定日から検査可能です。早期妊娠検査薬は半分の濃度のhCGでも診断できるように作られているため、分泌量の少ない早い時期から使えます。
早期妊娠検査薬は販売場所が限られています。一般的な妊娠検査薬とはリスク区分が違い、薬剤師のいる店舗でしか購入できません。
妊娠検査薬は使い方を間違えるときちんとした結果が得られません。付属されている説明書やパッケージにプリントされている説明にしっかりと目を通しておきましょう。
妊娠検査薬は使用する時期、検査時のポイント、保管方法など6つの点に注意して使います。失敗なく正確に診断できるよう注意点を知り備えておきましょう。
妊娠検査薬を使う場合は使用時期を見極めましょう。気が焦り早く使ってしまうと反応は出ませんし、反対に遅すぎても分泌量が多すぎるため正しく反応しません。
hCGの分泌は妊娠が成立し胎盤が作られるとスタートします。尿の中からhCGが検出される時期は妊娠4週目頃からですが、もう1週待たなければ反応する濃度になりません。早く結果が知りたくても月経予定日の1週間後になるまで待ちましょう。
市販の薬と同じように妊娠検査薬にも使用期限が記載されています。使用期限はきちんとチェックしてから使いましょう。ほとんどの製品は、外箱や中の包装の印字を見れば使用期限を確認できます。
使用期限を過ぎた妊娠検査薬を使うと正しく判定されない場合があります。使用期限が書かれた外箱を処分してしまい、いつまで使えるのかわからなくなったときは別に新しい妊娠検査薬を準備しましょう。
妊娠しているか調べるときは、朝起きてすぐの尿を使って検査しましょう。眠っている間は尿量が少なくなるため、朝一番は濃縮された尿が出ます。朝の濃い尿はhCGも濃く、正しい判定が出やすくなると言われています。
検査の時間は朝と決められてはいないので昼や夜でも検査は可能です。ただし、尿が薄くなると正しい結果が出ない可能性が高まります。飲料をたくさん飲んだ後は避けたほうがいいでしょう。
採尿した尿で検査するときは、時間を置かずにその場で検査してください。しばらく放置した尿を使って検査するのはNGです。時間が立つと採った尿の中に雑菌が増えて結果に影響する可能性が出てきます。
採尿した尿は検査前によく見てから検査を始めましょう。いつもと比べて変わった点がないか、尿の状態やニオイをチェックしてください。浮遊物や血液が混ざっている尿、普段と違うニオイのひどい尿は判定に使えません。
購入した妊娠検査薬をすぐに使わないときは、買ってきたまま放置せず正しい方法で保管しましょう。保管方法によっては使用できなくなってしまいます。
保管場所は直射日光が当たらず、涼しくて湿度の低いところが適しています。小さな子供の手に触れないよう置き場所を考えてください。
個々に包装されているものは中袋を開けずそのまま保管します。ほかの入れ物に移して保管するのもやめましょう。
不妊治療中は担当の先生に相談してから妊娠検査薬を使ってください。治療内容によっては正しく判定されません。
妊娠検査薬は妊娠して作られたものではないhCGでも妊娠反応が出てしまうので、まずは先生に聞いてみましょう。
妊娠検査薬の使い方はそれほど難しくありません。4つの手順通りに行えば妊娠しているかどうか判断できます。
妊娠の可能性があるとき産婦人科へ行くのは少し勇気がいります。妊娠検査薬を使い自分で確かめてみる場合も、使い方を理解できていなければ不安を感じるでしょう。
製品によって若干の違いはありますが、大まかな使用方法を頭に入れておけば、落ち着いて検査できます。手順に沿って詳しい方法をチェックしていきましょう。
まずは妊娠検査薬に尿をかけましょう。本体を取り出したら、尿をかける部分を確認します。尿をかける部分の反対側を手で持ち、製品の指示に従って必要な秒数かけていきます。
尿のかけ方は容器に採って調べる方法と直接かける方法の2種類があります。採尿する場合は紙コップなど乾いた清潔な容器が必要です。直接かける方法は手軽にできますが、尿のかかる位置がずれ正しく判定されないおそれがあるので気をつけましょう。
尿をかけた後の妊娠検査薬は確実に平らである場所に置き、水平な状態を保ちます。妊娠検査薬を立てかけて置いたり、傾いた状態で置いてしまったりするのも判定が正しく出ない原因になるでしょう。
検査窓を上に向けて水平の状態にしておくと尿は染みわたり検査薬にしっかり届きます。尿をかけた後で置き場に困らないよう、判定が出るまでの間に妊娠検査薬を置いておく場所は検査前に考えておきましょう。
結果が気になり確かめたくても判定終了のサインがでるまではそのまま待ちましょう。少しでも早く判定を出そうとして待っている間に妊娠検査薬を振る、ひっくり返すなど動かしてはいけません。待っている間に動かすと判定に影響します。
妊娠検査薬の判定にかかる時間は、説明書などに大体の時間が書かれています。どのくらいかかるか先に調べておくと安心して待てるでしょう。決められた時間が来たら判定窓をのぞいてみてください。
判定できる時間になったら結果を確認します。遅くても検査を始めて10分以内に忘れずチェックしましょう。
検査窓に線が出ていなければ陰性、線が表れていれば陽性と考えられます。陰性ならばお腹に赤ちゃんがいる可能性は低く、陽性では高くなります。
陽性反応が出たら産婦人科で妊娠の有無をきちんと確かめることが大切です。陰性でその後も月経が来ない場合は約1週間後に再検査するか産婦人科で診察してもらいましょう。
妊娠検査薬は正確に妊娠しているかどうかがわかるものではありません。精度は高いですが、間違った使用方法やそのほかの理由により誤った結果が出るケースもあるため注意が必要です。
妊娠していないのに陽性と出る偽陽性、妊娠しているのに陰性と判定される偽陰性になるのには原因があります。結果が偽陽性や偽陰性になる原因についても知っておきましょう。
偽陽性になる原因はいくつか考えられます。hGCを使った不妊治療により陽性反応となることがあるほか、体内の腫瘍が原因でhGCが分泌されているときや尿の中にタンパクや血液が出ている場合も陽性反応が出やすく正しく判定できません。
時期が早く気づきにくい流産でも偽陽性になる可能性があります。産婦人科で確定するまでの間に流産すると結果が陽性から陰性へと変わってしまいます。
偽陰性となる理由もさまざまです。薄い尿での検査や検査時期が早すぎたときは陽性反応が出にくくなります。このほかにも、妊娠していても陰性となる場合があるので気をつけましょう。
子宮以外に受精卵が着床する子宮外妊娠も、通常の妊娠に比べhCG値が低く妊娠検査薬に正しく反応せず結果が陰性になりがちです。双子以上を妊娠しているときも、hCGの値が基準を超えてしまい正確に反応しないケースが見られます。
妊娠検査薬で陽性とわかったら、産婦人科で確定診断を受けましょう。妊娠検査薬を使う目的はお腹に赤ちゃんがいるかどうか知るだけではありません。結果をもとに正確な診断を受け、お母さんとおなかの赤ちゃんを守るためです。
早く妊娠が確定すれば出産に向けた準備も始められ、妊婦であることを意識して注意しながら生活を送れます。診察しなければ異常の有無もわからないので、できるだけ早く受診しましょう。