【専門家監修】血便が出た赤ちゃんへの対応4つ|病院で便の状態を伝える方法とは

健康な赤ちゃんのうんちの色や状態は?

赤ちゃんのうんちは月日が経つと少しずつ色が変わっていきます。生まれたての頃に出る胎便には、お母さんのお腹にいたときに飲み込んだものが含まれています。緑がかった黒い色でネバネバしていますが心配いりません。


その後、便は黄みがかった明るい色になり2カ月目くらいまでは水分の多い状態が続きます。3カ月目頃からは茶系や緑っぽいドロッとした便が出始め、離乳食が始まるとさらに色や硬さが変化します。

口にしたもので変わる赤ちゃんのうんちの色

胎便が出た後の赤ちゃんのうんちが、いつも黄色や茶色っぽい色だとは限りません。母乳やミルクの時期には、うんちのなかに未消化のカルシウムや脂肪が白い粒になって出てきます。


食べ物や飲み物によってもうんちの色は変わるので、離乳食開始後は落ち着いて便を確認しましょう。スイカやトマトは赤っぽい便になり、ブロッコリーやキウイはつぶつぶが見える場合があります。また、口にした薬によっても便の色は変化します。

赤ちゃんの便に血が混じる原因

赤ちゃんの便に血が混じるときは、何らかの原因が隠れていると考えられます。血が混じる原因は大きく二つに分かれます。


一つ目は下痢の後や硬い便が出た後に肛門が傷つき血が出たケースです。状況から肛門付近の傷で出血していると感じたら、ひどくならないようケアしながら様子を見ましょう。


二つ目は何らかの病気が原因の場合です。赤ちゃんの状態をよく観察し、受診のタイミングを逃さないようにしてください。

赤ちゃんの血便を確認するポイント

血便が出たらまずは全体をよく見てどのような状態の血便であるかをチェックします。表面だけに付いているかうんち全体に混ざっているか、黒っぽいか赤色かなど便から得られる情報は出血部位を見つけるヒントになります。


たまにちょっとだけ表面に赤い血が付いている程度なら肛門付近からの出血が考えられるため全身状態を合わせて様子を見てみましょう。全体に混ざっている場合は早急に受診が必要な病気の可能性があるため注意してください。

血便が出た赤ちゃんへの対応4つ

血便が出たときは、状況や赤ちゃんの様子を見てどう対応するのか決めなければなりません。対応の仕方を知っていれば、不安を感じても冷静に行動できるでしょう。


ここからは下痢を伴う、血便が続く、イチゴジャム状の便が出るといった便の状態と赤ちゃんの機嫌がいい場合の4つのパターンにおいてどう対応すればいいのか見ていきます。

血便時の赤ちゃんへの対応1:下痢をして血便が出ているとき

赤ちゃんがお腹を下し血便が出ているときは、飲み物や食べ物による細菌への感染が疑われます。下痢と血便以外にいつもと違う点がないかチェックし早めに受診しましょう。


高熱を出す場合もあるので、自宅で熱も測っておきましょう。受診するまでは水分補給しながら安静にしておきます。いつものように元気がなくぐったりしているなら、脱水症状が出ている可能性もあります。

血便時の赤ちゃんへの対応2:しばらく血便が続いたとき

いつまでも血便が続いているときは感染症のほかに、特定の食べ物に反応する食物アレルギーなどが考えられます。下痢のときと同様、赤ちゃんの様子をよく見てみましょう。


機嫌が悪く泣き止まない、ゆっくり眠れない、食欲が落ちているといった様子が見られればどこか具合が悪いのではないかと察知できます。辛そうだと感じたら、医療機関へ連れていきましょう。

血便時の赤ちゃんへの対応3:血便がイチゴジャムに似ているとき

血便の状態がイチゴジャムに似ている場合はすぐに受診が必要です。イチゴジャムのほかイチゴゼリー状と表現される場合もあります。粘液の混じった粘度のある血便はできるだけ早く治療しなければなりません。


ほかの症状を伴うため、イチゴジャム状の血便が出る前は急に不機嫌になります。緊急性の高い病気のため、夜間であっても外来診療時間まで待たず救急外来を受診してください。

血便時の赤ちゃんへの対応4:元気があり機嫌のいいとき

血便が出ていてもいつもと変わらず元気があり機嫌がいいのであれば、しばらくも見守っていても心配ないでしょう。様子を見ているうちに症状がなくなる場合もあります。


肛門付近から出血しているなら、傷が回復すれば便に鮮血は付かなくなります。傷から出血している期間は傷口のケアを欠かさないようにしましょう。1日に何度かぬるま湯を入れた洗面器にお尻をつけ優しく洗ってあげると良いでしょう。

赤ちゃんの血便から見つかる主な8つの病気

赤ちゃんのうんちが血便だったときは何らかの病気にかかっている可能性があります。便の一部に少量混ざっているだけでも見逃さないように気をつけましょう。


血の混ざる量や便の状態、その他の症状からどんな病気か推測できます。赤ちゃんの血便によって見つかる主な病気を8つ紹介しますので、医療機関を受診するかどうかの判断に役立ててください。

血便から見つかる病気1:新生児メレナ

生後2~4日目頃に吐血やタール状の便が見られるのが新生児メレナです。メレナとは消化管からの出血を指します。


出血の原因として考えられているのはビタミンKの不足です。ビタミンKが足りなくなると血液を固まらせる成分も不足するため出血しやすくなります。


分娩時に赤ちゃんが血液を飲み込むとも血便が出る場合があります。こちらは新生児仮性メレナと呼ばれ、簡易検査により新生児メレナと見分けられます。

血便から見つかる病気2:腸重積症

腸管が腸管に入り込み腸を塞いでしまう疾患が腸重積症です。3カ月から2歳未満がかかりやすいと言われています。腸重積症は触診、超音波、レントゲンにより診断が可能です。


ケースによりますが最初の段階では機嫌が悪い、激しく泣く、お腹を痛がる、嘔吐などの症状が見られ、その後顔色が青白くなりイチゴジャム状の血便が出ます。


発症から24時間以内なら手術せずに元に戻せる可能性が高いですが、発症からの時間が長引くと入院手術が必要になる可能性が高くなります。

血便から見つかる病気3:新生児乳児消化管アレルギー

赤ちゃんがミルクを飲んだ後で嘔吐や下痢、血便の症状が出た場合は新生児乳児消化管アレルギーが疑われます。通常の食物アレルギーと違い、飲んでから数時間もしくは数日後に症状が表れるのが特徴です。粉ミルクだけでなく母乳でも起こる可能性があります。


粉ミルクの場合、アレルギーの元となるのは牛乳のたんぱく質です。ミルクアレルギーが疑われる赤ちゃんは専門の医師の指導を受け、専用のミルクを利用します。

血便から見つかる病気4:壊死性腸炎

壊死性腸炎は出生体重が1,500g未満の新生児に多く見られる、主に生後1カ月以内に発症する病気です。未熟な腸管がさまざまな影響を受け壊死します。


初期にはお腹が張る、ミルクを飲まない、元気がないといったサインや呼吸、脈拍、体温の変動が見られます。血便を目で確認でき、お腹の張りが強くなったときはすでに次の段階です。ここまでは内科的な治療が中心に行われるので、なるべく早く病院で調べてもらいましょう。

血便から見つかる病気5:乳児良性直腸出血

乳児良性直腸出血による血便は母乳を飲んでいる赤ちゃんに見られます。便に点々や糸状の血が混ざりますがほかに症状はありません。いつもと変わらず機嫌がいいなら様子を見ても問題ないでしょう。


乳児良性出血の多くは自然に治るため治療の必要はなく飲食の制限もありません。ただし、赤ちゃんの血便は別の病気の場合もあるので、気になるときは自己判断せず診察を受けましょう。

血便から見つかる病気6:メッケル憩室

メッケル憩室は小腸に発生する袋状の突起物です。名前は19世紀に活躍したドイツの解剖学者に由来しています。


妊娠7週目くらいまで胎児の中腸とお母さんの卵黄のうは卵黄のう管で繋がっています。消えるはずの卵黄のう管が小腸側に残り、外へ膨らんだものがメッケル憩室です。


メッケル憩室は症状が出ない人も多く見られますが、血便や腹痛のほか、腸重積や腸閉塞といった大きな病気の原因になる可能性があります。

血便から見つかる病気7:細菌性腸炎・ウイルス性腸炎

細菌やウイルスなど微生物が原因で起こる感染性腸炎でも血便が見られる場合があります。細菌が原因で起こる細菌性腸炎はサルモネラ菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、カンピロバクターが代表的です。粘液便や血の混じった臭いの強い下痢便が見られます。


ウイルス性腸炎はロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどのウイルスに感染し発症し、発熱や下痢などが見られますが血便はあまり出ません。

血便から見つかる病気8:切れ痔

硬い便が出て肛門が切れると切れ痔になるのは赤ちゃんも一緒です。赤ちゃんの血便の原因は切れ痔が一番多いと言われています。何度も切れたり炎症を起こしたりすると裂け目が膨らみイボのようになります。


出血や痛みを繰り返すと赤ちゃんはうんちを嫌がり便秘が悪化するおそれがあるため注意が必要です。便秘気味のときは水分摂取の回数を増やす、離乳食で食物繊維を取る、綿棒浣腸するなどの方法で便を柔らかくしてあげましょう。

血便の状態を医師へ伝える方法

赤ちゃんの血便で小児科を受診するときは、医師に血便が出始めた時期や回数、状態を伝えなければなりません。不安を感じ焦っているときは、口頭で伝えようとしてもなかなかうまくいかないでしょう。


血便に関する情報を正確に伝えるのにいい方法が二つあります。状況に合わせてどちらかの方法を取り入れ、正しい診断が早く出るようにしましょう。

血便の写真を撮影しておく

赤ちゃんの便が血便だったときは、スマホで写真を撮っておきましょう。受診までに数回出ているなら、その度に撮影しておきます。


スマホに写真を残していれば日時も記録されているため血便の状態だけでなく、頻繁に出ているかどうかも確認しやすいでしょう。


血便の写真は診察した先生が赤ちゃんの病気を判断する材料になります。写真で血便の状態がしっかり伝われば、検査や治療をスムーズに受けられるでしょう。

赤ちゃんのオムツごと血便を持っていく

血便の状態をうまく伝えられるか不安ならば、オムツごと医療機関に持って行き診察時に見せましょう。紙オムツなら便の状態がよくわかります。


感染症だった場合に二次感染を起こす可能性があるので、オムツはビニール袋などに入れ漏れないようにしっかり閉じ、あまり時間が経過しないうちに持っていきます。オムツに触ったら、汚れていなくても手を洗うようにしてください。

赤ちゃんの血便が出ても焦らず対応しましょう

赤ちゃんの便に血が混ざっていると、どうしていいのかわからず慌てがちになります。赤ちゃんを守れるのはそばにいるお母さんやお父さんですので、焦らずに血便や様子を観察してみましょう。


下痢などの症状が出ているときはケアを続け、小さな変化を見逃さないことが大切です。医療機関へ連れていく場合も落ち着いて準備し、病状をきちんと説明できるよう心がけておきましょう。