つわりとは、妊娠中に食欲不振・吐き気・嘔吐などの消化器の症状が起きることを言います。
一般的に、早朝や空腹時に起こることが多いとされており、12〜16週までには落ち着くことが多いです。しかし、つわりの症状には個人差があるため、妊娠後期に再発する人も多く、これを「後期悪阻」と言います。
また「妊娠悪阻」は、つわりが重症化し水分がとれない時や栄養代謝障害などを引き起こした場合を言います。
しかし、全ての妊婦がつわりを発症するわけではなく、症状が全く現れない妊婦もいます。また、つわりの有無と胎児の状態は関係ないとされています。
一般的に、妊娠中の母体がホルモンバランスの変化に適応できないことから、身体の不快症状としてつわりが起こるとされています。
他にも、黄体ホルモンであるプロゲステロンが増えるため、体内にガスがたまりやすくなり、その結果として吐き気・不快感・嘔吐の症状が起きると言われています。
そして、ビタミン不足が原因で起こる代謝障害・血糖の変動・精神的な影響なども、つわりの原因と考えられています。
ここからは、つわりも含めた、妊娠中に起こる症状に効果があるツボをご紹介します。
たとえば、つわりを和らげるために炭酸を飲んだり、ビタミンB6を積極的に摂取したり、食事の回数を変えてみたりなど、色々な方法を試してみても改善されないという人も多いのではないでしょうか。
そのような時は、これからご紹介するツボを刺激してみましょう。少しでも改善される可能性がありますので、体調に合わせて試してみてください。
「内関」は、内臓の働きによく効くため、吐き気・胃痛・乗り物酔い・二日酔い・しゃっくりなどの消化系に効果があるとされるツボです。
手のひらを上にし、手首から指3本分置いた所にツボがあります。指で押す場合は、少し強めに6〜8秒を7セット繰り返すことで効果が得られます。
他にも、食欲不振や軟便、お腹の張りに効くとされているので、ぜひ試してみてください。
「膻中」は、緊張をほぐし、気持ちを落ち着かせる効果があるとされるツボです。
両乳首を線で結んだ、ちょうど胸の真ん中にあるツボです。軽く握り拳を作り、トントンと数回叩くように押してください。
「足三里」は、腹痛・嘔吐・下痢等、胃腸のトラブルに効果があるとされるツボです。他にも、足の痺れや歯痛に効果があり、足の疲れをとるツボでも有名です。
まず、膝を立て、弁慶の泣き所(向こう脛)に沿って親指を下から上に移動させます。すると、骨の膨らみに当たるので、その部分から外側に親指の幅だけ離れた所にあるツボです。
少し前屈みで体重を乗せるように押す事で、楽にツボを刺激する事ができるので、試してみてください。中指や親指で、心地良いと感じる程度に数回押してください。
「裏内定」は、腹痛・下痢・嘔吐に効果があるとされるツボです。足の裏にあるツボで、人差し指の裏側でもっとも盛り上がっている所に墨や絵の具を塗り、塗った指を折り曲げると、足底に付くのでそこがツボになります。
自宅に墨や絵の具がない場合は、足の人差し指のすぐ下の筋肉がもっとも盛り上がっている所がツボの位置です。心地良いと感じる程度に、数回押してみましょう。
ただし、お腹が大きくなると押しづらくなりますので、パートナーやご家族に押してもらうようにしてください。
「大椎」は、体の熱を下げる効果や、ほてりを鎮めたい時に刺激すると効果があるとされるツボです。特に、頭部にほてりを感じた時に刺激すると、ほてりが和らぐでしょう。
首の付け根がツボの位置です。首を前に倒した時に飛び出る、大きな骨の下にあるくぼみを軽く指で押してください。
「身柱」は、体の熱を下げ、リラックス効果があるとされるツボです。他にも、けいれんの症状にも効果的とされています。
大椎の下、指3本分下におりた場所にツボがあります。背中にあるツボのため、指で押すことは難しいでしょう。しかし、蒸しタオルを当てることでも効果は得られますのでおすすめです。大椎と一緒に覆うように温めると、なお効果的でしょう。
つわりの時は、どうしても横になって過ごすことが多くなります。そのような時に、指でツボを刺激するとなると、横になったままでは難しいでしょう。
起きることが難しいという場合には、タオルを使うことで、横になったまま楽にツボを刺激することができます。
ここでは、タオルを使ってツボを刺激する方法3つをご紹介します。つわりに悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
まず初めに、乾いたタオルとジップロックを準備しましょう。
濡らしたタオルをジップロックに入れて温めることによって、タオルの水分で、服や家具、寝具が濡れる心配もありません。温かさも長持ちしますのでおすすめです。
蒸しタオルを作る場合は、電子レンジを使う方法とお風呂を使方法の2つがあります。どちらのやり方も簡単ですので、やりやすい方法で試してみてください。
まず、タオルを濡らして絞ります。この時、水が垂れていると温めた時に熱湯となって火傷してしまう恐れがあるため、しっかりと絞りましょう。
そして、ジップロックへ入れたら、爆発しないように口を少し開けてください。600Wで大体1分程度温めます。ただし、電子レンジのワット数で温める時間が変わりますので注意してください。
もうひとつの方法として、42℃くらいのお湯にタオルを浸しても簡単に作ることができます。
蒸しタオルができたら、ツボを覆うようにタオルを当ててください。
じんわり温かくなり、ツボを刺激してくれるでしょう。さらに、温めたタオルを入れたジップロックを、乾いたタオルで包むと長持ちしますので、ぜひ試してみてください。
冷たくなる前に外すようにするのがポイントです。
お灸は、昔から伝わる伝統的な医療です。
不妊治療・妊娠中のマイナートラブル・逆子・安産・産後ケアに効果があるとされています。
ただし、妊娠中にはおすすめできないツボもありますので、行う前には必ず医師や鍼灸師へ相談し、指導のもとで行うようにしてください。
鍼灸師が行う場合は、火を使うタイプが多いでしょう。
お灸は、家庭でもセルフケアができるように、火をつけるタイプでも安全に使用できるものと、火を使わずにできるタイプが市販されています。
裏のシールを剥がしツボの上に置くだけの物と、カイロのように温める物があるので、簡単に使用できます。自分に合うタイプを選んで使用しましょう。
妊娠中の悩みとして、圧倒的に多いのは「浮腫み」です。お灸は浮腫みに効果的で、女性にとってはとても重要なツボとされています。
スネの内側にあり、くるぶしから4本分離れた骨の上に浮腫みのツボがあります。浮腫みのツボにお灸を据えれば、子宮の血流をよくしたり、子宮下垂やホルモンバランスを整えてくれるなどの効果が得られるでしょう。
他にも、安産灸、逆子の時にも使用、陣痛促進のツボとしても知られ、冷え症にも効果があるとされています。
ただし、妊娠初期や中期には強い刺激を与えると危険なツボとされているため、必ず医師や鍼灸師に相談してから行うようにしてください。
お灸でツボを刺激する時は、火を使うタイプであれば、お灸の裏側のシールを剥がしてライターで火をつけます。煙が出てきたら、すかさずツボへ貼ってください。15〜30秒で煙は出なくなります。
体感温度が「温かい」から「熱い」に変化したら剥がし時です。剥がした後は、水を張った容器に入れ、消火してから捨てましょう。火を使わないタイプも手順は変わりません。裏側のシールを剥がしツボへ貼るだけです。
お灸がない場合など、温かいペットボトルや蒸しタオルで温めるだけでも効果的であるとされています。
つわりが重症化すると「妊娠悪阻」という病気になってしまうことがあります。
食事や水がほとんど摂取できない状態となって体重が大幅に減少し、脱水がひどくなったり、栄養不足に陥ったりします。他にも、毎日嘔吐が続き、フラフラして歩けない、尿がほとんど出なくなるといった症状が起こることさえあります。
つわりが重症化しないためにも、食べられるものを食べ、飲める物を飲み、辛い時は無理をせずに家族に協力を求めましょう。そして、好きなことをしたり、外出したりして気分転換をしてください。
つわりは、人によって重さが違います。その辛さは自分にしか分からないので、重症化してしまう前に、パートナーや家族、医師に相談することが大切です。
本記事では、つわりに効果的なツボをご紹介してきました。「内関」や「裏内定」は、つわりに効果的なツボです。
このように、つわりや体の不調がある時に、ツボの知識があるのと無いのとでは大きく変わってきます。
お灸の場合は、セルフケアできるように自宅用も販売されていますが、自分でツボを見つけるのが心配な方は、鍼灸師の所へ行き、お灸を据えてもらう事をおすすめします。
特に妊娠中の気持ちが不安定な時などは、誰かと話をすることで気持ちが楽になる場合もあるでしょう。
お灸の他にも蒸しタオルを使用する方法をご紹介しました。ツボを覆うように蒸しタオルを当てることで効果が得られますので、こちらの方が手軽に行えるでしょう。
お灸も蒸しタオルも、担当の医師へ相談の上行うようにし、つらいつわりの時期を乗り切りましょう。