乳腺炎とは、主に産後に起きる乳腺の炎症のことです。授乳中に起きることが多く、特に授乳を開始して間もないころに症状が出るケースが多く見られます。
乳腺炎には、母乳が乳管につまって起きるうっ滞性乳腺炎と、細菌が感染して起こる急性化膿性乳腺炎があります。また授乳をしているかどうかに関係なく起こる、慢性乳腺炎もあります。
マッサージなどで改善する場合もありますが、症状によっては薬での治療も選択肢の一つです。
乳腺炎になると、しこりができる・腫れるなど乳房に変化が起こります。最初は乳房のみに症状が出て痛みを感じなかったり、感じてもそれほど強くなかったりします。ですが、乳腺炎が悪化すると、倦怠感や発熱など全身に影響が出てくるものです。
乳腺炎になった時に見られる体の変化は、主に8つあります。それを知っておくと乳腺炎に気づきやすくなり、早めの対処も可能です。では、乳腺炎のなった時の体の変化について具体的に見ていきましょう。
乳腺炎になると、乳房が赤く腫れる場合があります。一部分だけが赤くなったり、Vの字に見えるように赤くなったりするケースも見られます。
乳房が赤く腫れて見える段階は、まだ乳腺炎が軽度な状態です。そのため、乳腺炎になっていることに気づきにくい時期でもあるのですが、早めにケアすれば症状が強くなる前に改善できるので、乳房にいつもと違う感じがある場合は注意しましょう。
乳腺炎の症状の一つに、頭痛があります。高熱や関節痛、全身の倦怠感などを伴うこともあり、インフルエンザにかかった時のように感じることもあります。
頭痛が起きるのは、通常乳腺炎が悪化してからです。乳腺炎の初期のうちに対処ができれば、頭痛が起こる前に改善することも可能です。
乳腺炎が悪化してくると、悪寒が止まらなくなるケースも見られます。最初は風邪のように感じる場合もありますが、だんだんひどくなって悪寒が止まらなくなったら、高熱が出る前兆のこともあるので注意が必要です。
いずれにしても乳腺炎が原因で悪寒が止まらなくなっている時は、かなり悪化している状態です。早めに受診して、治療を受けましょう。
乳腺炎の初期段階には、乳房にしこりが見られることもあります。痛みを伴わずに、しこりだけができることもあります。しこりができるのは、乳管に母乳が詰まってその部分が固くなっているからです。
ほかの症状が見られない段階なら、適切な処置で早い回復も可能です。対処が遅れると治療が長引きますので、授乳中しこりに気づいたら、早めに受診するなどの対処をしましょう。
乳腺炎になると、乳房に焼けるような痛みを感じる場合もあります。両方の乳房が痛くなるケースは稀です。通常は乳腺炎が起きている乳房のみ痛くなります。
最初はあまり強い痛みではなくても、だんだん強くなることもあります。最初は押さえたら痛い、圧迫されるような痛みがあると感じる程度です。チクチクした痛みと表現されることもあります。症状が進むと焼けるような痛みを感じるようになるので、早めに対処しましょう。
乳腺炎になると、全身に倦怠感が出ることもあります。最初は軽い疲労感や体のだるさがあり、風邪のように感じるなどの体調不良が見られます。悪化すると、倦怠感が強くなることもあるので注意が必要です。
乳腺炎になると、胸だけではなく全身に症状が出ることもあります。
乳腺炎が悪化すると、わきの下のリンパ節が腫れたり痛みを感じたりします。
わきの下が腫れるタイプの乳腺炎は症状が強く出る場合が多く、強い痛みを感じる場合もあります。細菌感染によって起こる、急性化膿性乳腺炎に伴って見られる症状です。
乳腺炎になると、熱が出る場合もあります。乳腺の中に母乳がたまって起こるタイプの乳腺炎では熱が出ない場合もあり、出たとしても症状が軽度で微熱程度で済むことも多いものです。
ですが、細菌感染で乳腺炎が起きている場合は、症状がより強く出ることが特徴です。38度を超える高熱が出る場合もありますので、きちんと治療を受けましょう。
乳腺炎になるのには、何らかの原因があります。例えば、もともと乳腺が細い体質が原因で乳腺炎になることもありますし、授乳の間隔が関係している場合もあります。
乳腺炎の原因は、主にコレステロール値やストレスなど考えられる原因が8つあります。では、それぞれについて確認しましょう。
1つ目の原因は、コレステロール値が高いことです。コレステロール値が高い人は血液がドロドロの状態になっているので、血液がうまく流れません。
母乳は血液からできているので、血液がドロドロだと乳管が詰まりやすくなります。その結果、乳腺炎になるのです。この場合は、脂質の多い食べ物を避ける、和食を中心とした食事をとるなどの対策が考えられます。
ストレスがかかると、乳腺炎になりやすいことが知られています。ストレスがかかると、ホルモンの分泌や自律神経の働きが乱されます。母乳はホルモンの働きによって分泌されているので、ホルモンがうまく分泌されていないと母乳に影響が出てしまうのです。
悩みや不安があると、ストレスを感じやすくなります。育児をしているとどうしても不安を感じる場面も多くなりますが、それも乳腺炎の原因の一つでしょう。なにか困ったことがある時は周りの助けを借りましょう。
乳腺が細い人も、乳腺炎になりやすいことが分かっています。乳腺の細さはもともとの体質で、変えることができません。また、実際に授乳を始めてみないと、乳腺がどれくらい細いのかを知ることもできません。
乳腺の細さが原因で乳腺炎になりやすい人は、授乳間隔をあけ過ぎないなど、ほかにできそうなことを試してみましょう。
母乳が長時間乳房内にたまっていると、乳管が詰まりやすくなり乳腺炎の原因になります。授乳間隔が広いと授乳回数が減るので、母乳が乳房内に残って乳腺炎を引き起こすのです。
仕事に復帰したり離乳食を開始したりなどのタイミングで、授乳間隔が開いてしまうことも考えられます。断乳をすると、どうしても乳房に母乳が残ってしまいます。このような時は搾乳をするなどの方法で、母乳が残りにくい状態を作りましょう。
寝不足も、乳腺炎の原因の一つです。ゆっくり寝られないと体が休まらず、ストレスや疲労の原因になります。ストレスは自律神経やホルモンの働きを乱すので、寝不足になると母乳が出にくくなり、乳腺炎を引き起こしやすくなります。
寝不足だとストレスを感じやすくなりますし、ストレスが強いと寝つきが悪くなります。どちらも影響を与え合い、悪循環になってしまうのです。
細菌に感染することで、乳腺炎になることもあります。授乳をしている時に乳首に傷ができた場合、そこから細菌が入り込み感染が起こります。赤ちゃんに歯が生えると乳首に傷がつくことも多く、乳腺炎になりやすいのです。
そのままにしておくと感染が奥深くへと広がっていき、膿がたまります。そのため、早めに治療を受けましょう。原因の多くは、口の中などに存在している「黄色ブドウ球菌」です。
一度乳腺炎にかかって治療をした後、乳腺内に細菌が生き残っていると再び乳腺炎になるケースも見られます。乳管と皮膚の間にトンネルができていて、そのトンネルがある限り再び乳腺炎になる可能性があるのです。
この場合は、授乳をしているかどうかに関係なく乳腺炎になる可能性があります。乳頭や乳管が形成不全の人や、乳頭が陥没している人に起こりやすい傾向があります。過去に乳腺炎にかかったことがある人は注意しましょう。
授乳に関係なく起こる慢性乳腺炎は、授乳に関連して起こる急性乳腺炎と同じように、乳房の腫れや痛みなどを感じる乳腺炎の一種です。細菌感染を起こすことによって慢性乳腺炎になりますが、慢性乳腺炎は喫煙と関連性が強いと疑われています。
喫煙のほかにも、肥満や糖尿病があると慢性乳腺炎になりやすいと言われています。
乳房の痛みや腫れから始まり、悪化すると高熱が出るなど全身にさまざまな症状を引き起こすのが乳腺炎です。乳腺炎になるとかなり辛いので、予防が大切です。
授乳をしているとなかなか休む時間が取れず、自分のことはつい二の次になってしまいます。ですが、寝不足が重なるとストレスもたまり、乳腺炎になる可能性が高まります。できる限り休息を十分にとるよう意識して、乳腺炎を予防しましょう。