「妊娠超初期」とは、妊娠0~3週の時期を示します。
妊娠超初期は医学的用語ではありませんが、受精してから数日間の妊娠確定前の期間を意味する言葉で、よく使われている表現です。
妊娠超初期の期間は、体調の変化はあるのでしょうか。着床後には、胎児組織の絨毛から妊娠性ホルモンが分泌されるようになります。
妊娠超初期には自覚症状が現れないことが多いと言われています。しかし、何らかの体調の変化がある妊婦さんもいるようです。ここから妊娠超初期を示す症状12個についてひとつずつ紹介します。
生理前や妊娠超初期の症状としては、腰痛が挙げられます。これは物理的なことで起きているのではなく、ホルモンが関係していると言われています。腰に重たい痛みを感じ、筋肉痛とは異なる痛みです。
妊娠し、子宮が大きくなることが理由で骨盤が広がります。また、リラキシンというホルモンが分泌されるようになりホルモンの分泌の影響で骨盤が緩むため、腰や背中に負担を及ぼした結果、腰痛が起こると言われています。
おりものは、女性の体の疲れや体調不良を教えてくれるバロメーターで、妊娠を知る目安にもなります。妊娠がきっかけで、おりものに変化が出る人が多いと言われています。
しかし、おりものの変化は人それぞれです。おりものの量が増える、水っぽくなる、色が変わる、急にインナーに汚れが付くようになるなど、おりものの変化が著しい場合は、妊娠の可能性があるかもしれません。
妊娠超初期症状として胃腸の動きが低下し、吐き気や胸やけを感じる人がいます。また、下痢や便秘、おならの回数が増えるなど、消化器系の不快症状を抱える女性も多いようです。
原因のひとつとして、妊娠が成立すると黄体ホルモンが大量に分泌されることが挙げられます。黄体ホルモンは、子宮の収縮を抑える働きがありますが、腸の働きまで抑えてしまいます。その結果、便やガスがたまったり、お腹を下したりしてしまうことがあるのです。
下痢が流産につながる危険性は考えにくいですが、脱水症状を引き起こしてしまう場合があります。母体に負担がかかってしまうので、しっかりと水分補給するように心がけましょう。
妊娠すると、体温が下がらず高温期を維持します。基礎体温は、妊娠が成立せず生理が始まると下がりますが、妊娠すると高温期から下がらなくなります。このように、微熱が続く風邪のような症状が妊娠超初期にも起こります。
これにより外気を冷たく感じ、寒気を感じることもあります。体温が上がると、体の熱を逃さないように体の表面の血管が収縮します。こうして体内と表面に温度差が生まれ、これが寒気の原因となります。
女性ホルモンの分泌により、眠気が強くなります。妊娠超初期は、高温期になり、妊娠を継続させる働きのあるプロゲステロンというホルモンが分泌されます。
プロゲステロンの分泌が増えると眠気が強くなるため、昼間にぼーっとする、眠くなるなどの症状が現れます。
妊娠超初期に現れる症状としてよくあるのが、匂いに敏感になることです。匂いの強いものが苦手になったり、特定の匂いに敏感になり気分が悪くなったりなど、妊娠をきっかけに今までは平気だった匂いが突然受け付けられなくなる場合があります。
ホルモンの分泌により、食欲が不安定になる人もいます。妊娠初期では、人によって食欲が減退したり、反対に食欲が増進したりすることがあります。
食べ物の趣向が変わり、好きなものが食べられなくなったり、反対に苦手なものが食べられるようになったり、また同じものを繰り返し食べたくなったりするといった傾向は、妊娠の兆候なのかもしれません。
妊娠が成立すると、赤ちゃんに栄養を送るために子宮にたくさんの血液が送られます。そうすると、母体の脳への血液の流れが悪くなり、貧血の症状が出ることがあります。長く続く場合は妊娠の可能性があるので病院で診てもらいましょう。
また、妊娠によって自律神経が不安定になったり、低血糖や低血圧からと考えられるめまいや立ちくらみが起こったりすることもあります。妊娠超初期には無理をせず、しっかりと栄養を取り、水分補給も意識しましょう。
妊娠超初期は、女性ホルモンの分泌が増すことで胸が張りやすくなることがあります。しかし、生理前と似たような張りのため区別がつきにくいようです。乳頭に違和感を覚えたり、乳頭が下着に触れると痛みを感じたりする場合もあります。
胸の張りは排卵後に増えるプロゲステロンの影響です。このホルモンは血管を広げる作用があり、これにより内側から押されて張りを感じると言われています。個人差があるので、排卵数日後に気づく敏感な人もいれば、全く気づかない人もいます。
妊娠超初期症状として、肌が荒れやすくなることも挙げられます。これは、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌のバランスにより、ニキビや吹き出物ができる症状です。
黄体ホルモンのプロゲステロンが大量に分泌されることが原因で、ニキビができやすくなります。ホルモンバランスが乱れ、美肌作用のある卵胞ホルモンのエストロゲンの分泌が減少し、肌の環境を悪くしてしまうのです。
排卵期から生理前までの間、肌のトラブルが起こりやすいのも同じことが原因と言えるでしょう。
妊娠超初期では、感情の起伏が不安定になることもあります。妊娠すると、体内に新しい命を宿しているため何らかの変化があるのは当然でしょう。
ホルモンバランスが急激に変化することで精神的に不安定な状態になり、ささいなことでイライラしてしまったり、気持ちが落ち込みやすくなったりする場合があります。
妊娠していない時期は、周期的に女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が繰り返されています。一方、妊娠時期はこの2つのホルモンの分泌が周期的なものではなくなるため、バランスが崩れ情緒不安定になってしまうのです。
便秘気味になるという症状も妊娠超初期には見受けられますが、生活習慣や体質、運動不足などで普段から便秘の人は気づかないことも多く、後になって妊娠の影響であることに気づく人も少なくありません。
妊娠が成立するとホルモンバランスが乱れることにより、筋肉が緩みさらに腸の働きが弱まってしまいます。これらが原因で、便秘や下腹部の違和感を起こしてしまいます。腸に便やガスがたまることによって、腹痛につながることもあります。
妊娠超初期の症状を、12個紹介しましたが、これらに当てはまり妊娠の可能性がある場合は、お腹の赤ちゃんのために気をつけなければならないことがあります。
ここからは妊娠超初期が発覚したら気をつけること8選を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
妊娠中はコーヒー、紅茶、緑茶など、カフェインが含まれる飲み物は控えたほうがいいでしょう。妊娠時、カフェインは分解や排泄されるまでに時間がかかり、摂取量が増えると貧血気味になります。
コーヒー、紅茶、緑茶以外にココア、チョコレートなどにもカフェインは含まれています。一般的には1日あたりコーヒー1~2杯程度であれば問題ないと言われていますが、出来る限りカフェインレスの飲料を選びましょう。
妊娠中、お酒が好きな女性が特に注意したいのは飲酒です。飲酒すると赤ちゃんの脳の発育を妨げる「胎児性アルコール症候群」のリスクが高まると言われています。
飲酒した後すぐに胎児性アルコール症候群になるわけではないので、誤って一口お酒を飲んでしまって慌てたり、自分を責めてしまったりする必要はありません。
カフェイン飲料と同じく、お酒はノンアルコール飲料に切り替えるのがおすすめです。ノンアルコール飲料も最近はバラエティ豊富にそろっていますので、十分楽しめるのではないでしょうか。
妊娠中に最も気をつけなければいけないことに、喫煙が挙げられます。母親の喫煙は赤ちゃんの発育に影響を及ぼす危険性があります。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり、お腹の赤ちゃんに十分な栄養と酸素が届かなくなってしまうのです。
流産率2.5倍、早産率2倍、低出生体重児になるなど、喫煙には危険性が多くあるので、妊娠の可能性がある場合は赤ちゃんへのリスクを考え禁煙しましょう。受動喫煙も危険ですので、家族の協力も必要です。
妊娠の可能性がある場合は、強度な運動にも注意が必要です。妊娠超初期~初期は流産しやすい時期でもあるので、お腹を圧迫するような運動、ジョギングなど心拍数が上がる運動、転ぶリスクのある運動は避けたほうがよいでしょう。
妊娠超初期にもおすすめの運動が、座りながらでもできるラジオ体操、軽いウォーキング、マタニティ用のヨガやエクササイズなどの体への負担が少ない運動です。妊娠中は疲れやすくなる人もいるので、体調が優れない時は運動を控えましょう。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんのために栄養バランスを取ることが重要です。たくさんの栄養素を摂取するようにしましょう。
中でも、葉酸は先天性の疾患「神経管閉鎖障害」のリスクを減らす効果が期待されます。赤ちゃんの神経系は初期から作られるため、この時期に摂取するのが望ましいです。鉄分とカルシウムも意識して摂るようにしましょう。
妊娠中は、普段よりも免疫力が下がるため食中毒にも注意が必要です。生魚、生卵をはじめ、水銀を含む魚、塩分を多く含むインスタント食品、胃の負担になる辛い物も控えたほうがよいでしょう。
生理前に黄体ホルモンのプロゲステロンの影響で眠気が出ることがありますが、妊娠時も分泌されるため、程度に個人差はあるものの生理前と同様に眠気が増すことが考えられます。
妊娠中は普段よりも疲れやすい状態になっています。いつも通り仕事をしすぎたり、家事を頑張りすぎたりして、身体に疲れを感じることがあれば、昼間でも横になって休む工夫をすることが大切です。また、毎晩の睡眠時間もたっぷり取るようにしましょう。
妊娠中は免疫力が低下するため、風邪、インフルエンザをはじめとする感染症にかかりやすくなります。普段は軽症で済んだ病気も重症になってしまうケースがあるので、注意が必要です。
インフルエンザのワクチンは不活化ワクチンのため、妊娠中の接種は問題ないと言われています。インフルエンザにかかると母体にも負担がかかるため、流行する前に接種しておきたいものです。
身体の冷えは、血流が悪くなったり、お腹が張りやすくなったり、便秘気味になったりと、妊娠中の大事な身体に影響を与えてしまいます。お腹が張るのは超初期ではなくまだ先のことですが、冷えは万病の元と言いますので、冬の寒い時期はもちろん夏でも冷房対策が必要です。
上着を一枚羽織るなどして熱を外に逃さないようにしましょう。厚手のソックス、マフラーなどで足首や首を冷やさないようにするのもよい方法です。温まって汗をかいてしまった時は、汗で体が冷えないようインナーを取り換えましょう。
食事や飲み物も、冷えたものより常温もしくは温かいものを選ぶことも大切です。時間にゆとりのある時は、足湯やゆっくりとリラックスしながら湯船に浸かるなどして体を温めることもおすすめです。
以上、妊娠超初期の兆候が分かる症状12個と気をつけるべきこと8選について紹介しました。妊娠超初期はまだ受精して間もない時期です。
見た目では分かりませんが、中枢神経や心臓など、赤ちゃんの体の重要な器官が形成されていく大事な時期であり、体の中では大きな変化が始まっています。
妊娠がまだ分かっていなくても、妊娠を心待ちにしている女性、妊娠の可能性がある女性は生活習慣に気をつけてください。妊娠しているかも、と感じたら、これから生まれてくる赤ちゃんのことを第一に考え、身体を大切にして日々明るい気持ちで過ごしましょう。