【専門家監修】妊娠中のおりものの特徴4つ!注意したいおりものも紹介

そもそもおりものとは?

子宮や膣からの粘性のある分泌物で、それらから剥がれ落ちた古い細胞なども混ざっています。基本的に色は無色透明から白っぽく、乾くと黄味がかっていることもあります。


ただ、排卵期には量が増えたり、生理前には粘着質が強くなったり、ツンとした臭いになって白濁したりするなど、女性ホルモンの影響で変化します。また、おりものの状態がいつもと違うことで病気などを発見できたりすることもあります。


このように、おりものは自分のからだの周期や異常を知るために重要な役割を果たしています。

おりものの役割

おりものには自浄作用の役割があり、膣の潤いを保ち粘膜の保護をする働きはもちろん、菌が入り込めないように膣の中を弱酸性に保つ働きもしています。


そのため、膣の中を過剰に洗ってしまうと、逆に菌が繁殖しやすくなってしまったりするので、洗いすぎには注意が必要です。


また、精子は弱アルカリ性のため、弱酸性の膣内をおりもので包み精子を守り卵子まで運ぶなどの妊娠のサポートをする役割も持っています。

妊娠中のおりものの特徴4つ

おりものは女性ホルモンの影響で変化するため、女性ホルモンのバランスが変化する妊娠中はおりものにも変化が見られるようになります。ではいったいどのような変化が見られるのでしょうか。


これから、妊娠中のおりものに見られる特徴を4つ紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

妊娠中のおりものの特徴1:色

妊娠してもおりものの色は通常と変わりのないことが多いですが、人によっては黄色くなったと感じる人もいるようです。


また、妊娠初期に着床出血の血が混ざり赤茶色のおりものが出たり、赤ちゃんの成長過程で毛細血管が切れるなどで出血し、その血が酸化して混ざり薄茶色のおりものとして出ることもあります。なお、妊娠後期になると白っぽいおりものに変化することもあるようです。

妊娠中のおりものの特徴2:におい

おりものには善玉乳酸菌が含まれているため、通常でも酸っぱいにおいがすることがあります。


妊娠してもおりもののにおいに変化はほとんどないようですが、通常よりも酸っぱいにおいがしたり、生臭く感じたりすることもあるようです。ただ、そのにおいの変化も通常より少し増す程度なので、あまりにも生臭いなどの場合は注意が必要です。

妊娠中のおりものの特徴3:量

妊娠するとおりものの量が増える傾向があります。おりものの量は排卵の時期に妊娠しやすくするために量が増えて、受精しないと徐々に減るのが一般的です。


しかし、妊娠中は女性ホルモンが増えるため、頸管粘液が増加しておりものの量も増えるので、妊娠週数が進むほど量も増える傾向にあります。ただ、あまりにも多すぎると感じたときは医師に相談するとよいでしょう。

妊娠中のおりものの特徴4:状態

妊娠するとおりものの状態が水っぽくとろとろしていたり、トロンとしたゼリー状に変化する人がいます。


通常は問題ありませんが、妊娠後期であまりにも水っぽいと感じる場合や、水っぽさが続く場合は破水の可能性もあるので注意が必要です。

妊娠中のおりものはあくまで個人差があることを意識

妊娠中のおりものの特徴について紹介してきましたが、妊娠するとこのように変化する訳ではありません。元々、おりものの状態や量は個人差が大きく感覚も人それぞれなので、ネットや本の情報などは参考程度に考えるようにしましょう。


おりものの変化を知るには、妊娠する前からおりものを日々観察して、自分の生理周期による変化や体調による変化を知ることが大切です。

基礎体温と一緒に記録しておくのもおすすめ

自分の生理周期を知るのに基礎体温の記録を付けている人も多いでしょう。


その基礎体温の記録と一緒におりものの変化を観察して記録することで、生理周期による自分のおりものの変化を知ることができます。また、そうすることで、おりものを見ただけで排卵日が近づいていることなどが分かるようになるでしょう。

妊娠中に注意したいおりものの特徴5つ

おりものは妊娠すると変化するのですが、注意が必要な変化もあります。妊娠中は膣内の自浄作用が弱まっているので菌が繁殖しやすい状態になっているため、さまざまな感染症に注意しなければなりません。


感染症にかかるといつもと違うおりものの状態になるなど、その感染症によっておりものが変化します。


これから注意が必要なおりものの特徴を5つ、詳しく紹介していまきす。ぜひ参考にしてみてください。

妊娠中に注意したいおりものの特徴1:カッテージチーズのように不透明でぼろぼろしている

おりものがネバネバしていてカッテージチーズ状であったり、おからや酒粕のような状態で、不透明でポロポロとしたものが下着に付く場合は膣カンジダ症が疑われます。


かゆみを伴ったり、膣がヒリヒリするような感覚や排尿痛が起こることもあり、このようなおりものの変化や症状が出た場合は診察を受けるようにしましょう。

膣カンジダ症とは

常在菌のカンジダという真菌が膣や外陰部で繁殖してしまうことで炎症を引き起こす感染症です。膣カンジダ症は女性の約7割がかかるとも言われるくらい多い感染症ですが、かゆみが強く出たり、おりものにも変化が現れることが特徴です。


妊婦が感染してそのまま出産した場合、産道を通るときに赤ちゃんも感染する可能性があり、赤ちゃんが感染してしまうと、口の中に白いカビが発生する鵞口瘡(がこうそう)になったり、皮膚にかぶれなどの症状が出ることがあります。

妊娠中に注意したいおりものの特徴2:黄色くて粘り気がある

おりものが濃い黄色や黄緑っぽい色になり、量が多くなり粘り気があるような場合はクラミジア感染症が疑われます。


下腹部痛や排尿時に痛みが伴うこともあるので、このようなおりものの変化や症状が出た場合は受診するようにしましょう。

クラミジア感染症とは

性行為によって感染する、日本でも多い性感染症ですが、ほとんど症状が出ないことが多く感染しても気付かない場合があります。


感染したまま妊娠すると、子宮外妊娠や流産の原因になってしまったり、出産時に感染していると赤ちゃんが産道を通るときに感染してしまい結膜炎や肺炎を発症する可能性があります。妊娠中にクラミジアの検査はありますが、症状がある場合はすぐ受診するようにしましょう。

妊娠中に注意したいおりものの特徴3:泡状かつ黄緑色

おりものが泡状で黄色や薄黄緑色をしていて、腐ったような臭いがある場合はトリコモナス膣炎が疑われます。


外陰部のかゆみやただれを引き起こしたり、悪化すると排尿痛を伴うこともあるので、このようなおりものの変化や症状が出た場合は受診するようにしましょう。

トリコモナス膣炎とは

トリコモナス原虫という寄生虫が膣内で繁殖してしまう感染症です。トリコモナス膣は性行為だけではなく公衆浴場の浴槽やタオルの共有、便器などから感染してしまう可能性があるため、幅広い年齢層の感染者がいるのが特徴です。


妊娠中にトリコモナス膣炎になってしまっても赤ちゃんには影響はないと言われています。出産時に産道を通っても感染することはないので安心です。


ですが、トリコモナス膣炎になると、おりものの臭いが強くなったり、悪化すると排尿痛などを引き起こしてしまうので、症状が出た場合は受診して治療するようにしましょう。

妊娠中に注意したいおりものの特徴4:膿のような黄緑色

おりものが黄色や黄緑色の粘状や膿のような場合は淋菌感染症が疑われます。かゆみを伴うこともあり、下腹部痛や排尿痛を引き起こしたりする可能性もあるので、このようなおりものの変化や症状が出た場合は受診するようにしましょう。

淋菌感染症とは

淋菌という細菌によって起こされる性感染症です。淋菌感染症は女性の場合あまり症状が出ないことが多いため、気付かずに悪化してしまうことがあります。


悪化すると卵管炎や子宮内膜炎などを起こしてしまったり、子宮外妊娠や不妊症などの原因になると言われています。


また、妊婦が感染すると流産や早産の原因になったり、感染したまま出産すると産道感染して赤ちゃんが結膜炎を起こしてしまう可能性があるので、症状が出たり感染した場合は受診してしっかり治療するようにしましょう。

妊娠中に注意したいおりものの特徴5:灰色や白色で生臭い

おりものが灰色や白色でサラサラしていて量が多く、生臭さがある場合は細菌性膣症が疑われます。


かゆみや腫れを伴うこともあります。このようなおりものの変化や症状が出た場合は受診するようにしましょう。

細菌性腟症とは

膣内の常在菌同士が膣内環境の乱れなどでバランスが崩れ異常繁殖を起こすことで発症します。


軽い膣症であれば自浄作用で治ることもあるのですが、膣トリコモナスやカンジダ症と症状が似ているため判断が難しいことと、悪化すると子宮内膜炎や卵管炎、骨盤腹膜炎などを引き起こすことがあるので注意が必要です。


また、妊婦が感染すると流産や早産の原因となる可能性があるので、症状が出た場合は受診するようにしましょう。

妊娠中は血の混じったおりものにも注意

妊娠中に血液が混じったおりものが出ると何かしらの異常かと不安になりますが、出血にもさまざまな原因があり妊娠時期によっても対処方法が変わります。


妊娠初期に薄いピンク色や少量の血が混ざったような茶色のおりものが出るのは問題ないことがほとんどですが、生理のときのような鮮血やどんどん出血が増えるようなときは注意が必要です。


また、妊娠中期以降は安定しているため出血することはほとんどありません。もし出血した場合は、切迫早産などの異常の可能性もあるので、受診するようにしましょう。


妊娠37週以降の正期産に入ると、おしるしと言って粘り気のあるピンク色や赤い出血がありますが、これは出産が近いというサインなので問題ありません。


ただ、サラサラと流れ出す出血や大量の出血、下腹部痛を伴うようであれば異常も考えられるので受診しましょう。

妊娠後期のおりもので注意すべきこと

妊娠後期に入るとおりものも出産に向けて変化するため、量が増えて卵白のようなどろっとした白いかたまりが出たり、色が濃くなり甘酸っぱい臭いがするなど変化します。


また、赤ちゃんと羊水を包んでいる卵膜が破れて羊水が体外に流れ出す、破水という状態になる可能性があり、おりものや尿漏れかなと思っていたら破水していたということもあります。


水っぽくサラサラしていたり、生臭いにおいでちょろちょろ継続して流れるように出てくる場合は、すぐかかりつけの産科に連絡するようにしましょう。


また、感染症が疑われるおりものの症状が出た場合はすぐ受診しなければなりませんが、妊娠後期はおりものも変化し量が増えたりすると判断が難しいので、不安な場合はすぐ医師に相談するようにしましょう。

妊娠中おりものが気になる場合は?

妊娠中はおりものの量が増えるため、妊娠前より下着が汚れるようになるので気になる人も多いでしょう。


また、免疫力も低下し感染症にもかかりやすくなるので、蒸れるのを防ぐために通気性の良い下着を着用したり、おりものシートを使いまめに交換したりするなどして常に清潔にしておくと良いでしょう。

洗い過ぎには注意

妊娠中はおりものの量が多いため、清潔にしようとしてデリケートゾーンをごしごし洗ってしまいがちです。しかし洗いすぎると膣内の常在菌まで流れてしまい、膣内のバランスが崩れ、逆に菌が繁殖しやすくなってしまいます。


デリケートゾーンは優しく洗うようにしましょう。

妊娠中のおりものの変化をチェックしよう

女性にとっておりものは、自分の生理周期やホルモンバランスの変化を知るためや、病気などを発見するのに重要な役割を持っています。


毎日おりものを観察することによって少しの変化にも気付けるようになるので、妊娠中はもちろん、妊娠する前からしっかり観察して変化をチェックするようにしましょう。