【専門家監修】葉酸が妊婦と赤ちゃんに必要な理由とは?|葉酸のほかに摂りたい栄養素5つ紹介

葉酸とはどんな栄養素?

昨今ドラッグストアのサプリメント売り場で「葉酸」をよく見かけます。葉酸とはどういったものなのでしょうか。


葉酸とは水溶性のビタミンB群の一つです。その効果でよく知られているのは、妊娠初期の妊婦に欠かせない栄養素で、胎児の神経系の形成に大きな働きがあります。また、新しい赤血球をつくる働きがあります。


葉酸を多く含む食品は、野菜では枝豆やもろへいや、肉では鳥レバー、海のものだと焼きのりが挙げられます。

葉酸の由来とは

葉酸と名前がつけられたのはなぜでしょうか。葉酸とは、1941年にほうれん草の葉から発見された栄養素です。ラテン語で「葉」を意味する「folium」から「folic acid」=「葉酸」と名付けられました。

1日の摂取量

葉酸の1日に推奨される摂取量は、男性女性限らず成人で240μgです。妊婦の方も240μgですが、妊娠を計画している・または妊娠の可能性がある女性は1日に480μg摂取することが望ましいです。


この480μgは、例えば生キャベツなら1/2個分、ほうれん草のおひたしなら約4皿(1皿100g)ですが、毎日続けるのは正直大変です。食事でまかないきれない部分は、サプリを上手く組み合わせましょう。

葉酸の役割

葉酸とは、妊娠初期の胎児の神経系の形成に必要な栄養素だということ、赤血球の形成を助けるビタミンだということは先に述べました。


具体的には、胎児の神経管閉塞障害を予防する効果、成長を促進する効果、貧血を予防する効果、動脈硬化を予防する効果、脳の機能を改善する効果があります。胎児の成長だけではなく、私たち成人の健康のためにも、欠かすことができない栄養素です。

葉酸が妊婦に必要な理由4選

葉酸とは、妊活中・妊娠の可能性があるかただけではなく、妊娠中の妊婦さんにも大切な栄養素です。


妊娠中は体に様々な変化が起きます。お腹が大きくなり胎児が成長することとても幸せな姿でありますが、普通の体ではない分健康には気をつけなければなりません。動脈硬化や妊娠高血圧、不調を防ぐためにも葉酸が必要です。


いくつかの項目ごとに詳しく説明させていただきます。

葉酸が妊婦に必要な理由1:貧血予防

妊婦さんだけでなくすべての人において葉酸とは、新しい赤血球を作り出すための必要不可欠なビタミンです。葉酸はビタミンB12と共に働き、赤血球の元となる物質の合成に関わっています。よって葉酸が不足すると新しい赤血球が正常に作られず、貧血になりやすくなるのです。


貧血=鉄不足と思われる方が多いですが、それと同時に葉酸も忘れてはなりません。妊娠中の妊婦さんは貧血になりやすいため、葉酸も忘れず摂取しましょう。

葉酸が妊婦に必要な理由2:動脈硬化・妊娠高血圧

葉酸とは、動脈硬化や妊娠高血圧を予防する働きもあります。葉酸は動脈硬化を引き起こす原因となる物質を、「メチオニン」というアミノ酸に変換する働きがあります。


また葉酸とは、動脈硬化を引き起こす物質自体の産生を、抑制することがわかっています。つまり葉酸は動脈硬化を予防するために必要な栄養素であり、『動脈硬化を予防する=妊娠高血圧のリスクも軽減する』のに欠かせない栄養素なののです。

葉酸が妊婦に必要な理由3:セロトニンの分泌量の増加

葉酸は、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」の分泌を促します。「マタニティーブルー」という言葉がありますが、妊娠中はホルモンバランスの関係で精神的に不安定になったり、イライラしやすくなります。


葉酸を摂取して、セロトニンの分泌量を増やすことで妊婦さんのストレスも軽減することが期待できます。お腹の中の赤ちゃんと過ごす10ヶ月の間、安定した気持ちで毎日を健やかに過ごせるよう、葉酸を摂取しましょう。

葉酸が妊婦に必要な理由4:常位胎盤早期剥離

近年ノルウェーからの研究で、妊娠中に葉酸とマルチビタミンを両方を摂ると「常位胎盤早期剥離」を予防する効果があるとの報告がありました。日本の厚生労働省でも、葉酸が臓器の細胞増殖に働き、胎盤の異常防止になると記載されています。


常位胎盤早期剥離は、赤ちゃんと母体両方の命の危険がある疾患です。是非葉酸を積極的に摂取して予防しましょう。

葉酸が赤ちゃんに必要な理由2選

妊娠中、母体と胎児にとって葉酸は必要不可欠です。特に妊娠初期は、胎児の神経器官が形成される時期で葉酸が必要となります。妊娠初期の葉酸不足は二分脊椎や神経管閉塞障害などの発症リスクが高くなります。


葉酸は赤血球の形成や胎児の正常な発育に必要なビタミンB群です。このような新生児障害のリスクを減らすために積極的に摂取しましょう。

神経管障害

妊娠初期の妊娠4週~12週においては胎児の細胞分裂が盛んな時期です。胎児の神経器官はその時期に作られるため、葉酸が不足していると胎児の先天性の疾患をまねく危険があります。


細かく説明させていただきます。

頭部神経管の閉鎖不全

胎児の先天的な神経器官の障害で、頭部神経管の閉塞不全があります。頭部神経管の閉塞不全とは、頭側で神経の閉塞に障害が起こり、中枢神経組織が形成されないことや、神経組織が外に露出してしまうことです。「ニ分頭蓋」「脳瘤」などはこれにあたります。


一番重篤な症状は無脳症であり、脳組織が発達できずに死にいたります。また水頭症が起きる原因も、この神経管の閉塞不全にあります。

尾部神経管の閉鎖不全

神経管の閉塞不全では頭部側の他に尾側があります。それが原因でおきる障害とは、閉塞不全によって、脊髄が損傷を受けたことが原因で起き、腸、膀胱、脚に重度の問題が発生します。例えば歩行困難や、尿閉、排便のコントロールができなくなったりなどです。

葉酸とは赤ちゃんに必要な理由2:造血器官

葉酸はビタミン12とともに赤血球を作るため、「造血のビタミン」と言われています。妊娠中は胎児とママが胎盤で繋がり、ママの栄養が胎児に送られるため、ママの血液量も多くなります。この時ママの葉酸が不足していると、質の良い血液が作られず胎児に影響が出る場合があります。


葉酸は、妊娠中のママと胎児にとって必要な栄養ということです。

悪性貧血

赤血球を生産に欠かせない葉酸が不足すると、質の良い赤血球が作られません。その結果、生活習慣病などや、悪性貧血を起こす原因となります。


質の悪い血液だと、ママ自体が貧血になったり、胎児に栄養が行き渡らず発育に影響があることがあります。妊娠中は積極的に葉酸を摂取しましょう。

葉酸のほかに摂りたい栄養素5つ

葉酸とは妊娠初期から出産までにかけて、欠かすことができない栄養素です。しかし、葉酸だけではなくそれ以外の栄養素も同時にバランスよく摂取することも大切です。


葉酸を含む食品だけでなく、それ以外のどのような食品を摂ったらよいのかを簡単にまとめさせていただきます。

葉酸のほかに摂りたい栄養素1:ビタミンC

妊娠中はホルモンバランスの影響でママの肌が敏感になりやすいため、肌がカサついたりくすんだり肌荒れを起こしてしまいます。


ビタミンCは美肌を作るのに効果的な栄養素です。美肌を保つためにも積極的に摂取しましょう。また、ビタミンCは免疫力を高めるため風邪の予防にもなります。


ビタミンCを多く含む食品は、いちごやキウイ、レモンなどです。

葉酸のほかに摂りたい栄養素2:鉄分

妊娠中の貧血の多くは、鉄分が不足し起こる鉄欠乏性の貧血です。胎児はママの子宮を流れている血液の中の酸素を吸収し、呼吸をしているので、ママが強い貧血になると赤ちゃんに十分な酸素が送られなくなります。


この貧血の改善方法は、鉄分を多く含むレバーや卵黄、しじみ、ひじきなどの食べ物を摂取することです。またビタミンCと一緒に摂取すると、鉄の吸収がよくなります。

葉酸のほかに摂りたい栄養素3:カルシウム

胎児の成長にはカルシウムが必須です。胎児はママの体の中のカルシウムを胎盤を通して受け取り、骨や歯を作ります。カルシウムは妊娠中に積極的に取りたい栄養素の一つです。


カルシウムを多く含む食品は、牛乳、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、小魚、ひじきなどです。カルシウムの吸収をよくするために、ビタミンD(きくらげ、干し椎茸など)や、ビタミンK(納豆、卵など)も一緒に摂取するとよいでしょう。

葉酸のほかに摂りたい栄養素4:ビタミンB群

妊娠中積極的に取りたい栄養素にビタミンB群があります。葉酸もビタミンB群ですが、その他にビタミンB6、ビタミンB12も積極的にとりましょう。ビタミンB6はつわりの予防に効果があるといわれていて、ビタミンB12は、正常な赤血球の生成に欠かせない栄養素です。


赤身の魚やヒレ肉やささみにはビタミンB6が豊富に含まれており、牡蠣やあさりなどはビタミンB12が豊富に含まれています。

葉酸のほかに摂りたい栄養素5:亜鉛

亜鉛も妊娠中に意識して摂取したい栄養素です。胎児はママのお腹の中で毎日活発に、細胞分裂を繰り返しています。そして亜鉛には、この細胞分裂を促す働きがあります。ママに亜鉛が足りない状態では、細胞分裂が滞り、胎児の低身長や低体重のリスクがあります。


亜鉛を多く含む食品は貝の牡蠣や牛肉、鶏肉、豚肉などです。

葉酸とはどのような効果があるのかを知ろう

今やドラッグストアのサプリコーナーに行くと、葉酸が数多く取り揃えられております。葉酸とは世の女性にとって、身近な栄養素です。妊娠を考えている女性や、妊娠中、産後の女性において必要不可欠な栄養素ですので、意識して摂取してみましょう。