【専門家監修】高位破水したのに陣痛がこない! 破水の判断方法と対応3つを紹介

破水したかも!?

出産の兆候は、おしるし・陣痛・破水の3つといわれています。その中の「破水」は赤ちゃんと羊水を包んでいた卵膜が破れ、羊水が外へ流れ出ることをいいます。


破水したときは一体どうすればいいのでしょうか。

破水とは

破水は出産の兆候ですが、破水であるという判断が難しい場合があります。水風船が割れたように大量の水が出れば破水であると判断しやすいですが、尿と同じようにちょろちょろと出ると尿もれと間違えやすくなります。


しかし、破水した状態は細菌が入りやすい状態になっているため、少しでも破水の疑いがある場合は早めに産院へ連絡をしてください。

破水したらすぐに産院に連絡を

破水をしたり、破水の判断が難しい場合にはすぐに産院へ連絡をします。そのとき発熱や腹痛など他の症状もある場合は、それについても電話で伝えましょう。


破水したあとは赤ちゃんが細菌に感染する恐れがあるため、シャワーはせずに、大きめのナプキンなどを当てておきましょう。産院へ行くときには、入院に備えて入院用バッグも持っていきます。車は自分で運転せずに、家族にお願いするか、陣痛タクシーなどを利用しましょう。

破水の判断方法4つ

一気に大量の羊水がでている場合は、破水だと分かりやすいですが、羊水の量が少量だと、破水か尿もれの判断が難しくなります。破水か尿もれかはどうやって判断すれば良いのでしょうか。


破水の判断方法は4つあります。それは量、色、におい、自分の意思でとめられるかです。以下で詳しく解説していきます。

破水の判断方法1:量

破水か尿もれか判断が難しい時は、水の出る量を確認しましょう。尿もれは、くしゃみのときなどに一瞬出るだけなので少量です。破水の場合は立っている時だけでなく、寝転がっている時でもちょろちょろと出続けるため、尿もれよりも量が多くなります。


羊水の出始めは気がつかなくても、下着を何度交換しても湿った感じが続いていると、さすがに尿もれではないと気がつくでしょう。

破水の判断方法2:色

破水は、色でも判断できます。尿は濃い黄色から薄い黄色ですが、破水は基本的に無色透明です。


血液が混じる場合もあるので、ピンク色の場合もあります。その他黄色、黄緑色、緑色などがでることもあります。それらは異常所見であることもあるため、見たことのない色が出ている時は産院に相談するようにしましょう。

破水の判断方法3:におい

破水は、尿もれとにおいも違います。健康な人の尿は弱酸性で、アンモニアのにおいがします。破水はアルカリ性で、においがしない・甘酸っぱいにおい・生臭いなど個人差があります。


もし、尿もれ時に無臭、もしくはアンモニア以外のにおいがしたら破水を疑いましょう。

破水の判断方法4:自分の意思でとめられるか

自分の意思で止められるかどうかも、破水の判断材料になります。尿もれはくしゃみをした時や、重いものを持ち上げた時など、腹筋に力をいれた時に出ることが多いものです。気がついた時に下腹部や股に力を入れると止めることができます。


しかし、破水は自分の意思では止められません。下腹部や股に力を入れても、安静にしても、継続してちょろちょろと出続けます。自分の意思で止められないならば破水と判断できます。

破水の種類3つ

破水には3つの種類があります。陣痛の開始前に破水する「前期破水」、陣痛開始後で子宮口が全開になる前に破水する「早期破水」、卵膜の高い位置で破水する「高位破水」です。


週数や胎児の状況によって緊急を要する場合や経過観察になるなど、対処が変わるので注意が必要です。それでは3種類の破水について見ていきましょう。

破水の種類1:前期破水

陣痛の開始前に破水する「前期破水」は、全妊娠の1割弱の割合で起こります。週数が37週以降の妊婦のおよそ9割は、前期破水の24時間以内に陣痛が始まります。


破水をすると、膣から細菌が入り、赤ちゃんが細菌感染するリスクが高まります。


週数35週未満で前期破水をした場合は、抗生剤や陣痛抑制剤を投与しながら赤ちゃんや妊婦さんが感染しないように経過をみていき、感染兆候がみられた際には臨月まで待たずにお産にすることもあります。


その場合の赤ちゃんは、未熟児となるため小児科合併の総合病院などに搬送される場合がほとんどです。

破水の種類2:早期破水

子宮口が全開になる前に破水する「早期破水」をした場合は、臨月で既に陣痛が始まっており、入院している場合がほとんどです。そのまま分娩へと繋がるので、医師や助産師の指示に従い、分娩に備えてください。

破水の種類3:高位破水

卵膜の高い位置で破水する「高位破水」が起こった場合、約8~9割の妊婦は24時間以内に陣痛がきます。週数が37週以上であれば、高位破水が起こっても問題ありません。


しかし、高位破水はちょろちょろと羊水が流れ出るため、尿もれと間違えることも多いです。そのまま破水に気がつかないと、赤ちゃんが細菌感染する危険がありますので、上記で解説した破水の判断方法を参考にして、速やかに産院へ連絡をしましょう。

破水したのに陣痛がこない場合も

高位破水後24時間以内に陣痛がこない場合もあります。産院によっては即入院となり、陣痛促進剤などを使用してお産を進める処置をします。


また、高位破水をしても破水が自然にとまり、流れ出た羊水量が少なかった場合は、経過観察となることもあります。

高位破水して陣痛がこない場合の対応3つ

破水すれば赤ちゃんの細菌感染リスクがあるため、長い時間そのままにしては危険です。そのため高位破水後は入院となることがほとんどです。産院では、陣痛がこない場合、状況に応じて様々な対応がなされます。


入院してからは少し様子を見て、陣痛がこないようなら陣痛誘発剤、子宮経管拡張器などを使って分娩を進めていく流れとなります。


この流れについて詳しくみていきましょう。

高位破水して陣痛がこない場合の対応1:入院し陣痛が来るか様子を見る

高位破水をした場合は、ほとんどの場合即入院になります。しかしその後陣痛がこないからといって、すぐに陣痛誘発剤などを使用するわけではありません。


赤ちゃんの細菌感染リスクを減らすために、母親は抗生物質の薬を飲み、感染予防の点滴をした上で、しばらくは陣痛が来るのを待ちます。

高位破水して陣痛がこない場合の対応2:それでも陣痛が来ない場合

入院して薬を飲み、点滴をしてしばらく待っていても陣痛がこない場合は、次の段階へと移ります。


赤ちゃんを24時間以内に外へ出さないといけませんので、お産を進めるために妊婦の状況に合わせた処置がなされます。


陣痛がこない場合の対応は、陣痛が始まるように「陣痛誘発剤」を使用したり、「子宮頸管拡張器」で子宮口を広げたり、「陣痛促進剤」で陣痛を強めたりします。それぞれの方法を詳しくみていきましょう。

陣痛誘発剤

陣痛誘発剤は、医師が赤ちゃんを早く外へ出した方が良いと判断した時に使用されます。高位破水から陣痛がこない時もその対象です。


陣痛誘発剤は、錠剤タイプと点滴で投与するタイプがあります。どちらのタイプがその患者さんにより有効か医師が判断し、厳重に注意しながら投与していきます。


陣痛誘発剤の使用は、陣痛が強くなりすぎたり、子宮が強く収縮することによる胎児機能不全や子宮破裂などが起こることがあります。そのような事態を防ぐために分娩監視装置で赤ちゃんの様子を見ながら慎重に行われます。

子宮頸管拡張器

陣痛がこない場合に使用される子宮頸管拡張器は、子宮口にゴム製の袋を入れ、風船のように膨らませ子宮口を広げるタイプと、棒状のものを挿入し水分を吸って少しずつ拡大して子宮口を広げるタイプがあります。


陣痛誘発剤などを服用しても、子宮口が広がっていなければお産が進まないため、薬を投与する前に使用されます。臍帯下垂や頸管裂傷、子宮破裂などが起きないように、エコーや分娩監視装置で赤ちゃんの様子を見ながら慎重に処置がなされます。

高位破水して陣痛がこない場合の対応3:陣痛が微弱な場合

適切な処置を行い陣痛がきたとしても、陣痛が強くならなければ、お産は進んでいきません。


陣痛が始まったのに陣痛の痛みが弱かったり陣痛の間隔がなかなか狭くならなかったりすることを「微弱陣痛」といいます。


微弱陣痛の場合、お産が進まず母親が大変なだけでなく、赤ちゃんも苦しい状態が続くことになります。微弱陣痛が続くようなら、陣痛促進剤を使用して、陣痛を強くしていく処置がとられます。

陣痛促進剤

子宮口が4~5cm開いているのに、微弱陣痛が続く場合は、陣痛促進剤を使用します。主にオキシトシンという子宮収縮剤を点滴で少量ずつ投与していきます。陣痛促進剤を使用すると、効果が強く表れる人と効き目がない人など、効き目には個人差があります。


子宮収縮することで陣痛が強くなりすぎたり、胎児機能不全や子宮破裂などのリスクがあるため、母子ともに分娩監視装置で状態を確認しながら慎重に処置が行われます。

高位破水して陣痛がこない場合も慌てず入院して様子をみよう

高位破水をすると、ほとんどの場合は24時間以内に陣痛がきますが、陣痛がこない場合でも、慌てなくても大丈夫です。入院をすると、陣痛がこない場合には陣痛誘発剤やバルーンで、微弱陣痛が続く場合は陣痛促進剤など、状況に合わせて医師が対応してくれます。


突然高位破水をしてしまっても慌てないように、事前に入院準備をしておいたり、寝室や車にバスタオルや生理用ナプキンなどを備えておくようにしましょう。