【専門家監修】妊娠中に発生することがある味覚変化の例10個|原因と対策とは

妊娠中に味覚が変わる人は多い?

妊娠中に味覚が変わる人は実際に多く、つわりのある妊娠初期から妊娠後期にかけて、ふだんとは好む食べ物が変わることがあります。ふだんは好きではない物が食べたくなったり、逆にふだん食べていた物が食べられなくなったりします。


しかし、まったく味覚に変化はないという人もいます。妊娠中に味覚が変わる人は多いのですが、必ずおこるという訳でもなく、個人差があるということを覚えておきましょう。

妊娠中に味覚が変わる原因は?

妊娠中に味覚が変わる原因は厳密には分かってはいませんが、ホルモンの変化やそれによる口内環境の変化、亜鉛不足などに原因があるのではないか、と考えられています。


妊娠すると「プロゲステロン」と呼ばれる黄体ホルモンと、エストロゲンと呼ばれる「卵胞ホルモン」の分泌が増えることにより、ホルモンバランスの乱れやさまざまな変化が体に起こってきます。味覚の変化は、この変化のうちの1つであると考えられています。

味覚の変化が起こりやすい時期は?

味覚の変化が起こりやすい時期は妊娠初期です。妊娠初期は、ムカつきのあるつわりが起こる時期でもあり、味覚の変化だけでなく食べられる食品に変化がでる時期です。


好む食べ物が変化すると栄養が偏る可能性もあるため、亜鉛不足を補ったり味付けを変えたりしてみましょう。しかし、つわりで食べられるものが限られる場合は、口にできるものだけでも構いません。

味覚変化はいつまで続く?

妊娠による味覚の変化は妊娠初期・中期・後期を経て、出産前後まで続くという非常に長いものです。


ほとんどの場合、何もしなくても出産後に味覚は元に戻ります。また出産後まで続くといっても、ずっと同じように味覚が変化している訳ではありません。個人差はありますが妊娠初期には酸味、中期には塩味、後期には甘味の変化が大きいという傾向があります。

妊娠中に発生することがある味覚変化の例10個

妊娠中にどんな味覚変化が発生するのか、代表的なものを10個ほど紹介します。


妊娠中の味覚変化は、ホルモンバランスの変化やそれによる口内環境の変化、亜鉛不足などが原因と考えられていますが、はっきりとは分かっていません。ここに紹介する味覚変化の例はよくある例ですが、個人差があるため他の変化が発生することもあります。

妊娠中の味覚変化の例1:すっぱいものが食べたくなる

妊娠するとすっぱいものが食べたくなる、というのは有名で、すっぱいものに関する変化は妊娠初期に起こりやすい味覚変化となっています。


ふだんはすっぱいものが苦手な人でも、妊娠初期にはやたらと食べたくなります。妊婦さんに人気のあるすっぱいものとしては、トマトの他にレモンやグレープフルーツなどのかんきつ類があります。日本で昔から食べられている、梅干しなどもよいでしょう。

妊娠中の味覚変化の例2:濃い味のものが食べたくなる

妊娠中は味覚が変化して味に鈍感になってしまうのか、作る料理が軒並み濃い味になってしまうという例もあります。こちらは、本人は気づかず、周囲の人に指摘されることが多いでしょう。


しかし、塩分の摂り過ぎは危険です。妊娠中の塩分摂取量は1日10g以下なのでそれを目安に、自分の味覚で料理するのではなく、しっかり量を測って作ることをおすすめします。

妊娠中の味覚変化の例3:辛いものが食べたくなる

妊娠中は辛いものも食べたくなりますが、こちらも食べる量やスパイス、ハーブの種類によっては注意が必要です。辛い食べ物といえば、カレーやキムチなどが有名でしょう。


妊娠中だからといって、辛いものを避ける必要はありません。食欲増進効果や消化をよくすること、冷え性対策などの効果も期待できるからです。


しかしハーブの中にはパセリやセージなど、妊娠中は避けた方がいいものもあるので、注意しましょう。

妊娠中の味覚変化の例4:いつも食べているものが美味しくない

妊娠中の味覚変化として、いつも食べているものや大好きだった食べ物が、なぜか美味しく感じられない、ということがあります。


いつも同じものを食べているのに、これってこんな味だったっけ、と感じ、あまり食べられなくなる例です。食事自体が嫌になってしまう場合もあるため、小分けにしていつでも食べられるようにしてみたり、飲みやすいゼリー飲料を用意したりしてみましょう。

妊娠中の味覚変化の例5:白米が臭いと感じる

炊き立てのご飯は美味しい匂いだと感じる人が多いのですが、妊娠中にはその白米の匂いを臭いと感じてしまい、口にできなくなることがあります。


とくにダメになりやすいのが、炊き立てのご飯の匂いです。ですが現代では、主食はご飯だけでなくパンもあります。パンに切り替えたり、炊き立ての匂いが苦手なら、時間が経って冷めたご飯なら平気な場合もあるため、工夫して食べてみましょう。

妊娠中の味覚変化の例6:苦味が感じられない

妊娠中に苦味や渋味を感じられなくなり、ふだん食べられなかったものが食べられるようになることもあります。


いつも感じていた苦味や渋味を感じなくなるため、味付けが薄いのかと、ついつい通常よりも量を増やして対応してしまいがちですが、そうすると濃い味になってしまいます。お茶やコーヒーなど、飲み物に対して苦味が感じられなくなる例もあるようです。

妊娠中の味覚変化の例7:口の中の感覚がいつもと違う

妊娠中は口の中がいつも苦い感じがしたり、いつもよりも唾液の分泌量が増えたりする場合があります。


妊娠中に起こる口の中の変化は、ホルモンバランスの乱れや体の変化によるものとされています。また、妊娠中は歯周病菌が増殖しやすいことも知られています。これらの対処法として、妊娠前よりも歯磨きの回数を増やすといいでしょう。


歯磨き粉を受け付けなくなったなら、他のものに変えてみるなど工夫しましょう。

妊娠中の味覚変化の例8:口の中が乾く感じがする

普段よりも唾液が増えるよだれつわりの逆で、妊娠中は口の中がいつもよりも乾く感じがするという変化もあります。この原因は、新陳代謝が活発になることや、多くの血液を作るために水分が不足するからではと言われています。


妊娠してからの1日の水分量は、目安として1日2リットルです。一度にたくさん飲むと体に負担をかけてしまいますので、喉が渇いたなと感じたら、少しずつ飲むようにしましょう。

妊娠中の味覚変化の例9:妊娠期間の時期による味覚の変化もある

妊娠中は味覚の変化がよくあるのですが、だからといって、ずっと同じではなく、妊娠期間の時期によってさらに変化していきます。


例えば、妊娠初期は甘味の好みが減って酸味の好みが増えるのに対して、中期は塩味に好みが移り甘味も復活し、後期はより甘味への好みが増える傾向にあります。


必ずこうなる訳ではありませんが、傾向としてこのような味覚の変化があります。

妊娠中の味覚変化の例10:1人目と2人目でも味覚の変化が同じとは限らない

1人目のつわりがこうだったからと用意しても、2人目の妊娠中のつわりは以前とは違う感じ方になることがあります。


1人目の時のつわりで食べたかったものが、2人の時も食べたくなるとは限りません。また、1人目で酷いつわりを経験して味覚が変化したのに、2人目の時はとくにそんなことはなかった、という場合もあります。

妊娠中に味覚が変わる原因と対策3つ

妊娠中に味覚が変わる原因は主に3つあると考えられており、ホルモンバランスによる口腔内環境の変化や、塩分の過不足、亜鉛の不足などがあります。


ここからは、味覚が変わる原因とされている3つの理由と、それぞれの対策について紹介しますので見ていきましょう。

妊娠中に味覚が変わる原因と対策1:口腔内環境の変化

妊娠すると、女性ホルモンの分泌が増えたりそのことによるホルモンバランスの変化によって、口腔内の環境が変化します。


歯茎がはれやすくなったり、血が出やすくなったり、口内炎が起こりやすくなったり、唾液が増えたり減ったりします。妊娠前より歯磨きの回数を増やしたり、ガムを食べたりして、口の中の違和感に対処しましょう。

妊娠中に味覚が変わる原因と対策2:塩分の過不足

妊娠中は、口腔内の変化といった原因により、味覚が鈍化し塩分も感じにくくなることがありますが、1日の摂取量は10g以下として過不足のないようにしましょう。


妊娠中は栄養素がいつもより多く必要になります。しかし、塩分を多く摂りすぎると体がむくみ、血圧が高くなってしまうことがあります。味覚の変化で味を感じにくくなる場合があるため、料理に使う塩は、味見や目分量ではなく、測って入れましょう。

妊娠中に味覚が変わる原因と対策3:亜鉛などの栄養分の不足

味覚が変わるのは、亜鉛やビタミン類の不足が原因で、味覚障害に陥っている可能性もあります。味覚障害は妊娠に関係なく起こりますが、妊娠中はより亜鉛が不足している傾向があります。


亜鉛を多く含む食品として、イカやしじみ、煮干しなどの魚介類、のりや干しひじき、牛肉・豚肉、小豆や納豆、インゲン豆などを積極的に摂るようにしましょう。

妊娠中の味覚の変化について知ろう

妊娠中に食べ物の好みが変わったり、味覚が変化するのは、よくあることです。ホルモンバランスの乱れや変化が原因のこともあれば、塩分や亜鉛などの栄養素が原因の場合もあります。


妊娠中にどんな味覚の変化が起こるのか、味覚の変化に対する対策はどのようなものがあるのか知っておきましょう。